2026年の発売が予定されている剣戟アクションシリーズ最新作、『鬼武者 Way of the Sword』。
本作は、主人公の宮本武蔵が「鬼の篭手」をまとい、幻魔が跋扈する江戸時代初期の京都で、剣術を繰り広げるダークファンタジーだ。鬼武者シリーズのアクションは“空前絶後のバッサリ感”とも評されるほどの痛快さがあり、発売を待ち望んでいるファンも多いことだろう。
電ファミでは過去に2回、本作のインタビューを行っているが、今回は東京ゲームショウ2025の会場内にて合同インタビューを実施する機会を得られた。その内容を本稿にて紹介しよう。

文/kawasaki
久々のシリーズ新作に宮本武蔵を起用した理由は?
──長らく新作が途絶えていた鬼武者シリーズですが、再始動の大きな決め手みたいなものはあったのでしょうか?
門脇氏:
再始動をした、というよりは“最適なタイミングになった”と言い表すのが適切かもしれません。
これまでも社内では「鬼武者の新作を作りたい!」ということはずっと言われてたんです。でも弊社には、他にもファンの皆さんから期待されているシリーズがたくさんあるわけです。
さらに、ゲーム開発のプロジェクトは年々大きくなり、開発期間もかかります。そういった状況で、たとえ鬼武者の新作を作りたいと思っても、それを作る開発者や環境を揃えるのが難しかった。
そういったなか、2020年頃に、ようやく鬼武者の新作を作れるメンバーが集まれるタイミングがありまして。また、RE ENGINEも成熟していたり、他社さんの剣戟アクションのゲームがヒットしていたりと、いろいろなタイミングが合致して、新作のプロジェクトを動かすことができました。
──本作の開発スタッフの数はどれくらいなのですか。
門脇氏:
開発スタッフだけで180人ぐらいいますね。それ以外にも、カットシーンなどを専門に担当している人もたくさんいます。
──どのような経緯で、宮本武蔵という歴史上の人物を主人公にしたのですか?
門脇氏:
じつはプロジェクトを立ち上げた頃に考えていた主人公は、宮本武蔵じゃなかったんです。名もなき武将でした。
それでパイロット版を作ったのですが、僕としてはやっぱり、この新作をグローバルで売りたいという想いが強かった。グローバルでも通用する主人公を誰にしようかと仁瓶と話したとき、武蔵の名前が挙がりまして、即決でした。
──宮本武蔵は日本では圧倒的な知名度がありますが、海外ではどうなんでしょうか?
門脇氏:
かなり知名度が高いと思います。
ほら、日本のいろいろなコンテンツで宮元武蔵が主人公の作品って多いじゃないですか。そういった作品が海外に知れ渡ることで、宮本武蔵という人物も浸透している印象です。
──宮本武蔵という歴史上の人物に対し、鬼の篭手のようなフィクション要素をどこまで盛り込むかという部分には悩まれましたか?
仁瓶氏:
鬼武者シリーズの世界観は、ダークファンタジーと戦国を組み合わせたもので、史実ベースに完全に寄り切っているわけではありません。専門家に時代交渉などの検証をしてもらったうえで、エンタメとして面白くなるように調整しており、そこの部分に対する悩みはありませんでした。
──いまの技術面だからこそ実現できたシステムはありますか?
仁瓶氏:
カットシーンにおける武蔵の多彩な表情は、いまの技術だからできる表現だと思います。あとは、斬った場所に応じて変化する「自由切断」の表現は新たな挑戦でしたね。
武蔵や巌流らの人生を変えた「鬼の篭手」について
──今作における「鬼の篭手」について、話せる範囲で教えてください。
仁瓶氏:
本作では、鬼の篭手に出会ったことで武蔵の人生が変わっていく物語が繰り広げられます。
また、巌流も元々は普通の人間だったのですが、鬼の篭手を付けたことで、彼の人生も大きく変わります。そのほかにも鬼の篭手を付けた登場人物が数名登場し、なかにはこれを利用して悪巧みをするヤツもいます。
──武蔵と巌流で、鬼の篭手の色が違うのは、なにか特別は意図はあるのですか?
仁瓶氏:
そこまで特に深い意図はないですね。
キャラクターのイメージに合わせて色を付けている感じです。
──4th トレーラーでは凄腕の剣豪らしき人物が登場しました。彼は史実に名前が出てくるような人なのですか?
仁瓶氏:
まだ詳細は申し上げられないです。
びっくりするキャラクターだと思いますので、ぜひ期待してください。
──現在公開されている情報では近接戦闘がフィーチャーされていますが、今後、ミドルレンジや遠距離での戦闘シーンは登場しますか?
仁瓶氏:
ボスのなかには遠距離攻撃をしてきたり、巨大な武器を持ったりと、さまざまなタイプがあります。近接戦以外のシチュエーションの戦闘もありますよ。
──今作の武蔵は、ステージ内のロケーションを利用したアクションが可能です。このバリエーションについて教えてください。
仁瓶氏:
屋外だったら大八車とか。屋内だったら畳をめくって敵にぶつけたりとか。その場所に置かれていて自然なものを利用して戦えます。
──鬼武者のアクションは剣戟が主体だとは思いますが、それらのロケーションを利用したギミックは、どれくらいの配分なのですか?
仁瓶氏:
皆さんが鬼武者シリーズに対して期待するのは剣戟アクションでしょう。それに対し、仮にギミックを利用しないと倒せないケースが続くと、ストレスを感じてしまうと思うんです。そのの部分には気を付けていますね。
戦闘中に、ふとオブジェクトを目にして、それを使ってみたら簡単に倒せた! といったくらいのバランスを目指しています。
──今回は武蔵にとっての仲間も登場しますが、彼らはストーリーに出演するだけではなくて、ゲームプレイ中の交流などはありますか?
仁瓶氏:
プレイアブルキャラをチェンジで戦うわけではないですが、彼らとの交流でイベントなどが進展することがあります。
──多くの人にとって、武蔵=二刀流というイメージが根強くあると思うのですが。
仁瓶氏:
武蔵は基本的に1刀で戦い、基本攻撃のスタイルチェンジなどは無いです。
ただ、アクションのなかで小太刀や二刀を使った展開も起こりうるので期待してください。。
武蔵の成長システムやゲームバランスについて
──今回は久々のシリーズ作ということで、鬼武者を知らない人もたくさん遊ぶことになると思います。初心者のプレイヤーに対する導線や難度調整について、工夫はしていますか?
仁瓶氏:
今回は2種類の難易度を用意しているのですが、簡単ほうでは敵が弱いだけでなく、「一閃」などの剣戟アクションも出しやすくしています。また、新たな剣戟アクションを覚えるたびに、プレイヤーが実際に試せる環境も用意しています。
──武蔵の成長システムについて教えてください。
仁瓶氏:
武蔵の体力や気力などのパラメータが増えるほか、レベルアップに応じて、スキルツリー形式でスキルや技を開放していきます。そのほかにも、アイテムを集めることで成長につながるシステムや、パッシブの効果のある装飾品やお守りのようなアイテムもありますよ。
──たとえば「連鎖一閃」のような新たな技が、ツリーを取ることで使えるようになるのでしょうか?
仁瓶氏:
そういうイメージだと思ってもらえればと。
──武器に関する強化システムなどはありますか?
仁瓶氏:
刀とはまったく違う武器は今作には登場しません。
ただ、刀以外にも、さまざまなアクションが使えるようになります。
──ゲームプレイの1周のボリュームはどれくらいを想定してますか。
仁瓶氏:
初見プレイの場合は20時間ぐらい掛かるだろうなと思います。
また、そのほかにもサイドミッションみたいなコンテンツや、討伐したボスと再度戦えるような、やりこみ要素も検討しています。
──やり込みという意味だと、鬼武者のシリーズ的に「魔空空間」が思い浮かびますが。
仁瓶氏:
今回には魔空空間はありません。
──近年はソウルライクが人気ですが、もっと手軽に剣戟アクションを楽しみたい人は一定数いると思います。鬼武者って、まさにそういった人が楽しめるシリーズだと思うのですが、そういった人に向けてアピールをお願いします。
仁瓶氏:
鬼武者シリーズは「空前絶後のバッサリ感」と評価されるくらい、剣戟の気持ち良さを大事にしています。PVなどで見る以上に、実際に触ってみたら面白さが体感できるゲームなんです。
今回の東京ゲームショウを通じて、初めて触れる人も多いと思いますが、これから発売に向けて、そういう機会を増やしていきたいですね。
<了>