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【FGO】奈須きのこ氏が二つ返事でスポンサーに!?プロレスラー「グレート-O-カーン」の“FGO推し活”が人生を変えた話。友人の“ドスケベ礼装絵師”に背中を押され「FGOプレイヤー」と公言するように。今では激務の傍ら冠位戴冠戦を400周する猛者にまで成長

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『Fate』シリーズの悪を貫き通す英霊が好き

──ありがとうございます。いま、英霊の話が出たので聞きたいことがあるんですけど、『Fate』シリーズは英霊とお別れする場面、いわゆる退去するシーンが華だと思うのですが、『FGO』をプレイしているなかでオーカーンさんが印象深かったお別れシーンはございますでしょうか。

オーカーン氏:
難しいな……。印象深いか。ぱっと思い浮かべるのは宮本武蔵だな。退去というか、別の世界線に行くというのが印象深かったな。別の世界で強さをきわめていく存在もいるという、Fateシリーズならではの深さを感じられたな。

あとは、基本的に英霊が退去する時って、いい人みたいになっちゃうだろ。
その中でも、確か悪党のまま最後まで通しきったやつがいたんだよな。

【FGO】奈須きのこ氏が二つ返事でスポンサーに!?プロレスラー「グレート-O-カーン」の“FGO推し活”が人生を変えた話_012

──最近ですと、「不可逆廃棄孔 イド」で登場したカリオストロなどが挙げられるでしょうか。

オーカーン氏:
あ~、そうそう。そういうやつの方がかっこいいなと思う。アイツも主人公をずっと殺そうとしてたよな。余も、ヒールレスラーとして最後まで悪を貫き通して退去したい。悪として在りたい、という気持ちはある。

──悪を貫き通す英霊の姿は、ヒールレスラーとしてシンパシーを感じる部分があるということですか。

オーカーン氏:
もちろん、ある。
余は英霊から影響を受けている部分があって、自分のことを余と呼んでしゃべるところとかはネロから。ほかにも朕(ちん)も考えたことがある。もちろん、ネロだけじゃないのだが、余としゃべろうかな、と思っていた少し前に、『Fate/EXTRA』のアニメが放送されていて、音痴すぎるネロの姿を見てハマりにハマった。

あと、『Fate/Zero』のイスカンダルが好きでな、ビッグマッチの時は余は帯剣するのだがイスカンダルが使っていたような幅広の剣を使っている。

──『FGO』の生放送でも語られていましたが、衣装にも『Fate』シリーズのキャラクターからインスピレーションを得たものもあったのですね。

オーカーン氏:
色々ある。この、余というキャラクターのグレード感を伝えるときに、どういう風に態度を示そうかと思った時に、ふたりのキャラクターが思い浮かんだ。ひとりは『天元突破グレンラガン』の螺旋王。もうひとりはギルガメッシュ王だ。

すごいよ、ギルガメッシュは。ここまで不遜にいけるか、と驚いた
どうしても『FGO』やネロ祭りのときはくだけた態度になっちゃうんだが、アニメではもう、ずっとすごい

これでもかというくらい超自信満々。かのアーサー王やイスカンダルと並んでも、王としての性格のデカさというか、威厳がすごい。すごすぎる。余もこういう風にあろう、と思った。

そういう意味でも、余はさまざまな面で『Fate』シリーズに影響されている。

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──いろんな作品や登場人物の要素を取り入れて、オーカーンさんが出来上がっているということですか。

オーカーン氏:
プロレスラーはゲームとか以前に表現者だから、ゲームとかアニメとかの要素を自分に取り込んで憑依させて、キャラクターを好きに演じることができるんだ。

例えば、余の入場用のガウンはモンゴル人の衣装なんだが、『銀魂』「良いキャラクターはシルエットで白黒にしたときにもわかる」と書かれていたのに影響を受けた。サングラスは『FGO』の李書文からきてるぞ。

『FGO』は歴史を掘り下げたくなる最高のコンテンツだ

──『FGO』は史実や神話に登場する英霊が多数登場するストーリーが展開されますが、歴史的な部分には興味はありますか?

オーカーン氏:
実は、余は歴史も好きなんだよ。それもあって『FGO』にハマったというのもある。歴史を語る系のYoutubeチャンネルも視聴するし、新しい英霊が登場したらその掘り下げをするぞ。

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──まさに、『FGO』プレイヤーならではの楽しみ方ですね。ちなみに、最近掘り下げた英霊は誰ですか?

オーカーン氏:
最近だと“人斬り”の河上彦斎(かわかみげんさい)、やつは面白い人物だ。

幕末の時代の中でも重要人物の佐久間象山(※)を暗殺した人斬りが河上彦斎なんだよ。佐久間以降、ぱたりと暗殺をしなくなり、結局は河上彦斎も殺されてしまう。

この佐久間象山の息子は新選組に居たんだ。息子は河上彦斎に復讐をするために新選組に入るのだが、もうめちゃくちゃなくらいのクズ。多分、『銀魂』でもこの息子をイメージしたのかとんでもない問題児が入ってきたことがあった。象山の息子がモデルなんじゃないかと思ってる。

佐久間象山があまりにも凄すぎるから、息子が問題を起こしても問題にならず、新選組をやめる時も切腹せずに済んでる。本来は新選組から抜けるのであれば切腹しなくてはならないらしいんだけども、「え?抜けてくれるの?どうぞどうぞ」という感じだったらしい。

※佐久間象山
幕末期の思想家で、東洋の精神文化と西洋の物質文明の両方に通じ、 砲術家・科学者・医学者・詩人・儒学者という多彩な顔を持ち、 各々の分野で業績を残しており、日本で最初の電信開発者。(象山神社の公式サイトより引用)

──遊んだ後に史実を掘り下げて解像度を高めるという、かなり『FGO』を楽しんでいる方のコメントですね。

オーカーン氏:
別のゲームでも掘り下げることがある。『ウマ娘』もだな、アニメ観た時に泣いちゃったよ。

ライスシャワーの話ですげぇ泣いちゃって。悪魔のような扱いを受けていたんだけど、骨折して倒れてその場で殺処分しなきゃいけないという時に「悲劇だ」と騒がれ、ジョッキーが「こうしたのはお前らだろう。こいつはただ、走っただけだ」という話があった。グッときた。

脳筋すぎるジャンヌの起こした奇跡を語るオーカーン氏

──歴史の登場人物の史実や伝説を掘り下げるのは『FGO』の醍醐味と言えますが、最近ではなくこれまでの中でもとくに印象深かった英霊はいましたか。

オーカーン氏:
中でも面白いと思ったのはジャンヌ・ダルクだ。

ジャンヌは皆がイメージしているとおり、本当にフランスのド田舎の女の子だったらしく、いきなり神の啓示が降りてきて、本当に救いに行こうとするんだ。その様子を見た、(当時イングランドに負けている)フランスの国王が「こいつ利用できそう」と考えた訳だ。

で、実際にジャンヌがどうやって敵軍に勝ったのか、そのエピソードが凄くてだな超脳筋なんだよ。特攻すんだよ。

中学生(くらいの)女の子が「行くぞぉぉぉ!!!」って。

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──あまりにも、シンプルすぎる突撃。

オーカーン氏:
いわゆる、味方にバフをかけまくるんだよ

戦争は基本的には数が上の方が勝つんだけど、よく戦略的に指揮や演説で部隊の士気を高めるっていうじゃないか。ジャンヌの場合はもう、「行くぞぉおおおお!!!!!!」で行くんだよ。

その中でも面白い話があって、オルレアンの城塞がある場所で、昼寝をしてたジャンヌが目覚めたら旗が無かったんだよ。

──大事な戦旗がない、と。

オーカーン氏:
そう。味方が旗をちょっと移動させていたらしいんだが、ジャンヌは「旗を盗まれた」と思ったの。

そして旗を取りに敵陣へと向かっていった。それを見た周りの兵士が「ジャンヌがひとりで特攻してるぞ、俺らも行かないとあかんだろ」と勘違いして、作戦も何もなく特攻して敵の城塞ごと陥落させたという。

だから、「オルレアンの奇跡」っていうのは本当にすごいな。
ただ「行くぞ」だけで何年も不落の城塞がおちるんだよ。もう田舎の村娘からの成り上がり方がすごい。

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──ジル・ド・レェなどの優秀な人が近くにいたというのも大きいかもしれませんね

オーカーン氏:
そう。周りにはすごい優秀なやつが集まったんだけど、なんで集まったかと言うとジャンヌは愛国心がすごく強いから。そういう歴史の部分も知ることができるのは『FGO』の面白いところだな。

──本当に『Fate』シリーズを楽しんでますね。

オーカーン氏:
そうだな、人生は楽しんだもんがちだから。
この記事を読んでいる愚民に言いたいのだが、『Fate』シリーズにはプロレス技が出てくるだろう。

奈須きのこもプロレスが好きなんだよ。『FGO』から歴史を深堀りするのと同じで、プロレスも深堀りすると、より面白く感じられると思う。

DMで罵倒されても「好きなものは好き」と言い続ける。明かされるレスラーの生活

──すさまじい周回数を誇るオーカーンさんですが、プロレスラーってすごく忙しいイメージがあります。リングで活躍する傍らで、どのようにして時間を捻出しているのでしょうか。

オーカーン氏:
これ、電ファミニコゲーマーはすごく良い質問をしたと思う。
なかなか1日のサイクルって言ったことないから。

まず、試合がある日と無い日があるのだが、試合が無い日はジムに向けて1時間かけてウォーキングする朝から始まる。身体を温めて準備運動として、有酸素で歩く。そのほうが筋トレしやすい状態になるからだ。

ジムでは2時間練習して、帰りも歩くんだよ。大体2時間で1万2000歩~3000歩くらいだな。いい塩梅の歩き具合なんだ。すると、合計で4時間くらいしか稼働しない。残りの時間をゲームに当てられる。アニメも視聴しながらだからどっちもできる。

試合がある日は巡業で北海道から沖縄まで移動するんだが、普通に4~5時間はかかる。その時間帯にゲームをすることもある。

──スマホで遊べるというのは大きいですよね

オーカーン氏:
逆に言うと試合がある日の拘束時間はすごく長い。長時間労働だ。
だからイギリスに居た時はすごかった。イギリスに行った時はボックスガチャイベントが始まってて、練習も練習もしなくていいんだ。俺が個人事業主だからな。

もともと体力があるから、ほかの人が3時間とか4時間でギブアップする道のりでも、余なら5時間以上やれるっていうアドバンテージもある。

──周回にも体力が必要である、ということですね。

オーカーン氏:
もちろんそれはある。

──もうひとつお聞きしたいのですが、『FGO』をプレイしていて、プロレスラー生活に支障をきたしたことはありましたか?

オーカーン氏:
余はプロレスラーで、アニメオタクで、この面でヒールレスラーとなるとアンマッチ、ミスマッチ感があってな。それについても文句を言うやつって結構いる。

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──それは……クレームが来るということですか?

オーカーン氏:
全然いる!初期の頃はDM(ダイレクトメッセージ)なんかもうすごかったから、誹謗中傷の嵐で、こちらが訴えたら100パーセント勝てるぐらいの内容だった。急に「死ね」「プロレスやめろ」「真面目にしろ」とか。上から目線のいちゃもんが飛んでくるぞ。

例えば、試合が終わった後はバックステージでコメントを発表するのだが、
「今日負けたけども、別に腕は折れてねえし、足も動くし、ええ、気持ちも死んでねぇ。だからもう1回やればいい、やればいいだけだ」といったことを言うんだ。その時にもアニメの名言とかを使ったりする。パッと出てくるのは「悪りィが、こっから先は一方通行」とか。

──本当にアニメ好きなんですね。

オーカーン氏:
そういうコメントはどこかから借りた言葉だから、「本心っぽくなくて刺さらない」とも思われる。アニメオタクって世間では認められている用に見えるかもしれないけど、高尚な趣味としては認められていないんだな、と感じられた。

未だに差別的な言葉はあるけれども、根本としてアニメが好き、ゲームが好きっていうのは、どこかしらこう、良くないと思われる。

─逆にアニメ好きからは「パフォーマンスじゃないの?」と言われたことはありませんでしたか?

オーカーン氏:
それは余も心配していたが、今のところ無いな。

──オタクからは好かれているということですかね

オーカーン氏:
余の実力で認めた部分もあると思う。
知識とか、思いとかがちゃんと伝わっているのではないか。にわかオタクと言われたことはない。

グランドサーヴァントもライダーは450周、アサシンも400周オーバーで周回してるし。もちろん、上には上がいるのだけれども、そこで大事なのは好きという気持ちなんだと思う。

それを教えてくれたのが『FGO』だ。

そういう周回数とかを気にするのって、一部のファンなんだよ。
だって奈須きのこがさ、「冠位戴冠戦400周しかできない人はちょっと……」と言うわけないじゃん。

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──確かに、それを言ったら大変なことになってしまう。

オーカーン氏:
声優とか、役を演じているわけでもない余が『FGO』のイベントにゲストとして出演させてもらえたのも自信に繋がったし、それが叶ったのも「好き」を語っていたから。自分でも思いもしなかった結果を残せたと思っているよ。『FGO』というブランドを背負えたのは、超絶!胸を張れる。

プロレスでチャンピオンになることは、夢でもなんでもない、ただの目標なんだよ。前まではプロレスラーがAnimelo Summer Live(アニメロサマーライブ)に出演するとかは、思いもしなかった。

だから、これからもめげずに好きという気持ちをもっと伝えて、人生を楽しみたい。

──好きなものは好き、と言える世界であってほしいですね。

オーカーン氏:
別に、プロレスと何も関係のないゲームを遊んでても、強くなるかっていったら強くならないんだけど。プロレスだけじゃないから。

ゲームってもともと、娯楽だろ。楽しむのが一番いいんだ。
楽しんでて遊んでいるものを「これくらいしか遊んでないからにわか」とか評価する前提がおかしい。

たとえにわかと言われようが、「好きなものは好き」と伝えていこうという気持ちになるよ。

──とはいえ、冠位戴冠戦を1クラス400周オーバーはやり込んでいる方ですよね

オーカーン氏:
ぼーっとしながらやってる。最後の頃には感情も無になってる。

クレームに負けてコンテンツを終わらせないでほしい

──これまで『FGO』も含め熱い思いを語っていただきましたが、周囲のプロレスラーの中で『FGO』に関して話される方はいらっしゃらないのですか?

オーカーン氏:
一切いないのが本当に苦しいし、悔しい。
ファンもそうなんだけど、プロレスの中でもゲームやマンガなどの文化はあまり受け入れられてない。

──逆に言うと、ほかのプロレスラーたちには、どのような趣味があるんでしょうか。

オーカーン氏:
筋トレ(即答)

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──(笑)。となると、オーカーンさんは周囲のプロレスラーたちと比較してもかなり特殊な事例なのでしょうか。

オーカーン氏:
余が新しい道を開拓する人、みたいになっているとは思う。
今の新日本プロレスで『FGO』をスポンサードにつけている選手は余だけだし。
自分で言うのもおかしいんだけど、キャラクター性がモリモリになっているのも余だけ。

ちなみに、余はプロレスの内容も尖ってるんだ。
1度もリングに上がらずにリング外でだけ試合したこともある。

女子とのシングルマッチも史上二人目になった。
蝶野正洋が一人目で、史上初の女子とのデスマッチを決行した。タイトルマッチでは史上初で、日本のプロレス52年の歴史の中ではじめてだ。それで、女子との試合でケツに●●●●したんだ。

──うん。やばすぎる。

オーカーン氏:
何か言ったか。

──無礼をお許しください。どうぞ、続けてください。

オーカーン氏:
余はアンチテーゼをやりたくてな。もちろん、お互い了承のうえでリングに上がっているから。この技は男子同士でも昔はやっていて、女子になった途端にできない、というのはおかしくないか?

デスマッチは武器も使っていい、なんでもありのルールだからな。

反則も反則じゃなくなっちゃうから、なんでやっちゃいけないの?って思う。
もし、これをやっちゃダメだ、と思っていたとしたら、それはただのよくわかんないふわっとした理由だろ。

もし、アインシュタインが英霊になったら言うと思うよ。
「常識とは、18歳までに集めた偏見のコレクションである」とな。

──ハッとさせられる言葉ですね。

オーカーン氏:
アニメとか献血のポスターとかもあったが、Vtuberが広告に使われて、最近は絵に関して言われることが多い。余は、そういうクレームに負けてほしくないと思う。

プロレスもそうなんだよ。これも歴史の話になるけど、コロッセオ、ローマにあった闘技場だな。

あれは一大エンターテインメントだったのだが、人が死ぬし残虐性が高いからという理由でブーイングが多発して終わったんだよ

──コロッセオがクレームを受けて中止になったイベント、ということですか

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オーカーン氏:
そうだよ。あれだけ盛り上がっていたから残念がっていた人もたくさんいたと思うのだが……。プロレスも一緒なんだ。やってるのって、シンプルに言うと暴力じゃないか。

最近って、『アンパンマン』にクレームが入るんだよ。ものごとを“アンパンチ”という暴力で解決するのはいかがなものか、と。あと、男女平等と言いつつ、これはOKで、これはダメと言う理由もわからない。

──いわゆる、性差別ですとか、性的搾取、なんて言葉がチラホラ見られますね

オーカーン氏:
色々あるよな。それで言うと、胸がでかいキャラクターが出てきただけで「性的搾取だ」とか。もう意味がわからん。それを言うんだったらプロレスラーも上半身が裸だが。そこを平等にするならおかしいでしょって話になるわけ。こういうクレームに負けちゃいけないと思う。

だから、女子との試合では“普段は見られないこと”をやったんだ。

余自身も、根底に「クレームに負けたくない」という信念はある。
さっきも言ったが余は頼光が大好きで、頼光の水着やドスケベ礼装が出せなくなったらと思うと嫌じゃないか。

──そうですね、また別パターンのものも見たいです。

オーカーン氏:
見たいよな?好きなら、もっと新しいのも見たくなるよな。
どこかで、スパルタクスのようにレジスタンスをしないとダメだと思う。
それが余だな、と。そこに自信はあって、「好き」を突き詰めれば必ず味方をしてくれる人がいるっていうのはもうわかっているから。

──これまでを振り返ってみて、『FGO』好きと公言して良かったですか?

オーカーン氏:
後悔はない。メリットしかない。
最初に踏み出す勇気がちょっとなかっただけで、本当にやってよかった。

──SNSで公言する際に気を付けていたことはありましたか?

オーカーン氏:
基本的には炎上上等なんだけど、100パーセント悪くはないよ。
例えば、何か犯罪をして炎上って、それは当たり前だ。
切り抜き方とかで、炎上する場合もある。そういうのはもう、一切気にしない。

ある日、芸能人がスズメが怪我していたから助けたんだ。ただ、それは鳥獣保護法で犯罪らしくてな。優しさで助けたのに、SNSでは犯罪扱い。どう考えたって醤油差しペロペロのほうがダメだろ。鳥を助けたら「それ違反だからだめです」って、わけがわからんくないか?

ただ、そういうのはあってもしょうがない。余は、炎上上等で喧嘩を売る。
この世の中に対するアンチテーゼを求めたい。本当に悪いことではないのであれば、喧嘩を売ろうと思う。

【FGO】奈須きのこ氏が二つ返事でスポンサーに!?プロレスラー「グレート-O-カーン」の“FGO推し活”が人生を変えた話_023

オーカーン氏:
あと、夢を与えたいと思っている。
例えば女の子をはべらせて、高額な領収書をのっけて「こんなもんで済んだか」って言ったりな。

──Instagramで公開されていましたね

オーカーン氏:
この時は、どれだけ高くても「こんなもんで済んだか」と言う。
例えば、「これだけのものを支払ったのだ」と、ギルガメッシュなら言わないだろう。

なんでかというと、プロレスラーというものに夢を与えたい。
余はマンガやゲームで夢をもらった。『スラムダンク』では、怪我した時に「うるせぇテーピングだ!」って刷り込まれていて、今でもそう信じている。「もう歩けなくなってもいい!この試合だけ」ってな。マジで、それくらいは感じている。

最近だと『僕のヒーローアカデミア』が大好きなんだが、余が酔っ払い女の子を助けた時も本当に同じことを言ったよ、「体が勝手に動いてた」と。

──名シーンですね

プロレスは50年以上続くバトルマンガのようなもの

──『FGO』で歴史を掘り下げることの好きなユーザーはもちろんいるのですが、プロレスの歴史ってどのようなものなのでしょうか。

オーカーン氏:
言ってみれば、プロレスはバトル漫画なんだ。50年以上続く話だ。
なぜこいつらが戦うのか、どのような因縁があるのか。もともとタッグパートナーで別れたから、弟子が裏切ったから、何年もライバル同士であったとか。さまざまなストーリーが根幹にあるんだ。

本当に、一番最初の旗揚げまで遡ると全部が繋がるぞ。それもアニメっぽいだろう。普通はゲームやアニメに携わりたいなら、エンジニア、声優、ライターとか、色んな方法がある。

プロレスは何にも携わりがないんだけど、こういう風にインタビューもしてもらえる、スポンサーにもなってもらえる、配信にも出演させてもらえる。

さらには、東京ドームで大会を開催したい、という夢もできる。それに向かって頑張ろうとも思える。

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オーカーン氏:
あと、これもよく言ってるんだけど、プロレスは恰好の良い存在だけど、余はレスラーの中ではデブの方なんだよ。ハゲで、ブサイクって言われるんだけど。それでいいんだよ。別に自分を卑下しているわけじゃない。「それでも夢は叶うんだぞ」と言いたい。

女の子をはべらせることも、金を稼ぐこともできる。
アニメが好きなら、その界隈で関係も持てる。すごくないか?

──夢がありますね。それこそ、オーカーンさんが『FGO』について発信したことでプロレスに興味をもった人もいると思うのですが、実際に試合を見に来てもらったり、もしくはレスラーになりたい、という人がいたら歓迎しますか?

オーカーン氏:
歓迎したいと思うね。
あと、プロレスっていっても余は色んな格闘技をやってる。
10種目で日本チャンピオンになってるんだよ。

──10種目!まさにマンガのような話ですね。

オーカーン氏:
アマチュアレスリングでオリンピック選手候補になって、ブラジリアンの全日本チャンピオン。ただ、やってるだけじゃなくて日本一になってる。これも格闘技が好きだから、に入るね。余はいろんな格闘技を極めた。こんなやつ、ほかにいないから。

ひとつの全日本チャンピオンも県大会、関東大会、全国大会があって、その高校、大学、社会人で全国大会が開催される。その中で、高校生のチャンピオン、大学生のチャンピオン、社会人のチャンピオンが集まって、さあ、誰が1番強いんだい。っていうのが全日本選手権だ。それで勝っちゃう。

──まさに『グラップラー刃牙』みたいな……。

オーカーン氏:
ところがな、プロレスって、ただ強いだけだとうんともすんとも言わない。
そもそも、プロレスから総合格闘技が生まれてるから。しかも新日本プロレスだった。

総合格闘技が出てきて、キャラクター性とかエンターテイメント性が失われてったんだ。ただ、自分が好きなものがあって「これを表現したい」というのは良いと思う。

余も最初はプロレスに興味なかったけど。自分の強さを表現できればなんでもよかった。10種目の頂点に立ち、それが最終的にプロレスに行きついたというだけ。じゃあ「プロレスで何がしたいの」となった時に考えたのは、チャンピオンのなり方だ。

アニメとか好きなことを表現しながらチャンピオンになりたいな、と思った。それを今、体現してる。もちろん『ホーリーランド』とかの格闘技のマンガも好きで、それをやるのも楽しいのだが、なんで続けられているかというと、どんどん嫁が出てくるんだよ。

──(笑)。

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オーカーン氏:
「嫁って3ヶ月に1回変わるじゃん」って言うじゃないか。
アニメとかゲームとかが好きだと、モチベーションになるものがどんどんと生まれていく。

『FGO』がスポンサードになって、その名に恥じない行動をとらないといけない。それに慣れてくると、次のモチベーションとして東京ドームのイベントも開催したくなる。

ほかにも『僕のヒーローアカデミア』が大好きになって、その生きざまを見て、「もっともっと頑張ろう、鍛えよう」と思える。今度は僕のヒーローアカデミアに携わる仕事がしたい!となる。ヒーロー漫画だから、体もがっしりしないといけない、とかな。

『スクールランブル』からアニメにハマり、どっぷりと沼に

──それでいいますと、オーカーンさんはいつ頃からアニメ、ゲーム好きになったのでしょうか。

オーカーン氏:
余はね、ちょっとこう、記憶喪失なんだけども……。
心に残っているのは『スクールランブル』というアニメだ。
当時のそのゴールデンタイムは、バトルとかおもちゃで戦うものが多かった。
女の子が主人公で、恋愛もので、しかも女の子がいっぱい出てきて多人数の恋愛模様を描くのは面白くて、しかもギャグテイストで。ズドンと刺さったっていうのがある。


これもうろ覚えだが、武道を幼少の頃からやってて心の拠りどころみたいなのがアニメだった。アニメが放送されるのが野球とかで流れると泣いてたなっていうのがちょっとうろ覚えで、泣くぐらい。アニメを好きになる才覚がもともとあったのだと思う。

──覚えている限りでいいのですが、嫁遍歴みたいなものはありますか。

オーカーン氏:
最初は、『魔法使い黒姫』っていうジャンプの作品があってな。髪が長くて巨乳だった。次に『天上天下』、これはロリでもあるんだけども、長くて巨乳。次が『あかね色に染まる坂』の長瀬湊。名前はちゃんと覚えててよかった……でも、あれはゲーム版の方がいい。

──あ(何かに気づく)それでは、話を『FGO』に戻し……

オーカーン氏:
オイ待て、処すぞ。こっからが語りたくなる。

──無礼をお許しください。どうぞ、続けてください。

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唐突に早口になるオーカーン氏:
彼女の魅力がすごくて、まず実妹という安心感が良い。義妹とかいうしゃらくさいのじゃなくて、本当の妹っていうのが良くて。15年ぐらい一緒に生活していなくて、主人公は親に見捨てられて不良状態だった。そこに料理も掃除もなんでもできる妹が現れる。好きなエピソードがあって、屋根裏に兄貴がエロ本を隠してた時があり、妹はその場所を知ってるんだ。ある日、金髪ものが出てきて、「お兄ちゃん、最近は金髪も好きなんだ。趣味変わったね」って言うんだよ。その寛容さ、精神の出来具合がすごい。なんでもできるのに包容力まである完璧な妹。

この包容力からママみを求めるようになったのかもしれない。次に、遍歴でいうとCIRCUS FETISHが制作した『ホームメイド』というエロゲ―があってな。没落貴族だった主人公のもとに雇っていたメイドさんが訪れるんだ。もうお金もないけど、「私はあなたと一緒に過ごしたいだけです。私がお金も稼ぎます」と言って、お世話もしてくれるんだけどキャバクラみたいなところで仕事をしつつ、主人公の居るワンルームのボロアパートに男を引き込んで、身体を売るんだよ。

その間、主人公はふすまの中に隠れてメイドが抱かれているのを目の当たりにするわけだ。それがもうすごい情けなくて、苦しくて、悔しくて「うぐぐ、ぐーーーーっ」ってなるんだ。その子はそれでも「あなたの傍に居たいんです」と。主人公は絵を描いているんだが、その絵がたまたま売れたんだ。そのお金でメイドに会うためにキャバクラに行ったんだ。なんでこんなことを、と言うんだけど、メイドは「主人公のことが本当に好きだからやらない」と、主人公はその気持ちがわからない。好きなのになんでヤらせてくれないんだ、ってな。喧嘩もするんだ。

ぐちゃぐちゃにされても愛を貫いてくれる。これがね、よかった。
そういう性癖がどんどん積み重なっていったな。

もし、自分が英霊として召喚されるなら

──話を少し『FGO』に戻しますと、オーカーンさんは生放送やYoutubeチャンネルで「もし、自分が英霊として召喚されるなら」と想像されていましたが、今後『FGO』とコラボして実現したいことはありますか?

オーカーン氏:
英霊として、な。それが自分であったら良いんだけど、もうアントニオ猪木とかは色んなマンガに出まくってるだろう。

──確かに、似たような登場人物が『グラップラー刃牙』などにも…

オーカーン氏:
もう、出過ぎてる。バキも浦安もだけど、大体のプロレスの話が出てくる時はしゃくれた長身のキャラクターが出てくるんだよ。それが、余であってほしいと想いながら頑張っている。

──それこそ、『FGO』のイベントでは「グレート・スプリガーン」というエネミーが出現していましたが……

オーカーン氏:
あれはReDropにめちゃくちゃ言われた。
『FGO』界隈では「これはグレート-O-カーンなんじゃないか」と言われていたんだが、んなわけないだろう、と思ってたんだがReDropは「100%そう」って。

──私もプレイしている時に「これって……」って感じました。

オーカーン氏:
こういうことをしてくるんだよ、ラセングルは!
ReDropがそこまで言うなら、ということで『FGO』の生放送では自己紹介の時に軽く触れたな。

──とくにラセングルさんから連絡はなかったんですか?

オーカーン氏:
聞いてなかったな。もう全然やっていいけどね。
なんだったらモンゴル風のモブキャラとして出してほしい。

──ご自身のYouTubeチャンネルでは、もし自分が英霊として召喚されるならどのようなステータスになるだろうか、と語っておられましたね。クラスは「レスラー」にしたい、と。

オーカーン氏:
そうだな、レスラーじゃなかったら、バーサーカーか、ルーラーだ。
過去に女の子を助けたから……『FGO』って、よくも悪くもそれだけでいいから。
葛飾北斎も、先祖に侍がいたから水着セイバーになったからね。そんなふわっとした理由でいいらしい。

──(笑)。

オーカーン氏:
でも、『Fate』シリーズが良いのは文科系のサーヴァントが登場するところも良いよな。アーティストでも声優でも、自分でプロフィール作ろうと思って作れちゃうし。

──確かに、プロフィールにスキルやステータスが表示されているから自分のステータスも妄想できますね。

オーカーン氏:
そうだ。余のスキルは「カウント2.99」
(リングでも)スリーカウントで負けるから、2回はガッツが発動する。
ふたつめのスキルは「感謝状」だな。女の子を助けた逸話がスキルになって、“助ける人”に対してガッツを付与できる。で、みっつめがやるとしたら「パンケーキ」かな。生放送では回復とか言っていたかもしれないけど、栄養価があるから攻撃力とか、バスターが上がる、とかでもいいな。

うむ……チャンピオンベルトでもいい。チャンピオンとしての意地でバフがかかるという。まだ余の人生は長いから、スキル3は色々考えたいな。

──それでは、名残惜しいですが、最後の質問に移りたいと思います。
『FGO』はストーリーが非常に長いタイトルで、途中で世界を救う旅の途中で挫折してしまったマスターもいますし、これからその長い旅路を始めようとしているマスターもいます。そこで、あらためてオーカーンさんから、マスターたちへ『FGO』の魅力をお伝えいただけないでしょうか。

オーカーン氏:
『FGO』っていうのは、慕うものには幅広く恵みをくれるんだ。
新米マスターに対してはこの期間までにクリアすると聖晶石(ガチャに使用するアイテム)を配布したり、AP(スタミナ)消費量を半減するキャンペーンを実施するとか、施してくれる。

あと、約10年間ずっとアプリのトップランキングに君臨している。これはもう、ゲーム界のチャンピオンだ。信用されてるブランドでこんだけ施しているゲームは他にない。もはや、遊ばないほうが「愚民」だ。

「愚民」と呼ばれるのが嫌だったら、今すぐ『FGO』をプレイしろ。

【FGO】奈須きのこ氏が二つ返事でスポンサーに!?プロレスラー「グレート-O-カーン」の“FGO推し活”が人生を変えた話_027

──本日はお忙しいところ、ありがとうございました。


今回のインタビューを通じて、新日本プロレスのリングで支配者(ドミネーター)として君臨するグレート-O-カーン選手の計り知れない『FGO』愛が垣間見えた。そしてアニメ、マンガなどの文化や歴史に対する情熱がすさまじいことがわかった。

筆者が最も印象的だったのは、誹謗中傷や世間の意見といった逆風にも屈しない、徹底したヒールレスラーとしての姿勢だ。批判を受けても「好きなものは好き」と公言し、それを武器にすることで新たな境地を開拓し続けている。

そして、「『FGO』を遊ばないほうが愚民だ」という強烈なメッセージである。
これは『FGO』未プレイのマスターへの叱咤激励であると同時に、多彩なコンテンツに熱狂するすべてのファンに向けた、「楽しんだもの勝ちだぞ」という真理に思えた。

今後のオーカーン選手の活躍は、『FGO』と共に紡がれていくであろう新たなプロレスの歴史となるのかもしれない。

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編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚えてゲームと共に育った生粋のゲーマー。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳に参加し、『バルダーズ・ゲート3』が日本語化される前にひとりで全文翻訳してクリアするほどRPGが好き。 『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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