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『バイオハザード レクイエム』新主人公・グレースが生まれたのは、「レオンが今さらビビるはずない」から。それは確かにそう【開発者インタビュー】

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意外性のある怖さのために、ゾンビが道具を使ったり喋ったり。でも喋りすぎると“面白く”なってしまう

──今作の敵は『バイオハザード』シリーズではお馴染みのゾンビですが、チェーンソーのような武器を使ったり、他のゾンビが落としたそれを拾ったりと「知性」を感じる瞬間が度々あって驚きました。

中西氏:
『バイオハザード7』『バイオハザード ヴィレッジ』を経て、次のタイトルは「ゾンビで行く」というのは最初から決めていました。

ただ、ゾンビってもうほとんどのプレイヤーが「倒し慣れちゃってる」敵でもあるんですよね。熟練のプレイヤーなら、それこそ何千、何万という数のゾンビをゲームの中で倒してきてるんじゃないかと思います(笑)。

『バイオハザード レクイエム』開発者インタビュー。グレースが生まれたのは、「レオンが今さらビビるはずない」からだった_013

──確かに、ホラー世界ではゾンビは超メジャーな存在ですよね。

中西氏:
もうゾンビのやることなんて、想像がつくじゃないですか。「ウ~ウ~」と唸り声をあげながら近づいてきて、ガブッと噛みつく。ホラーをやるには「油断できない敵」じゃないと怖さがないので、何か変化をつける必要があると思っていました。

実際にチェーンソーを拾って襲い掛かってきた時には「ウソッ!?」ってなったと思うんですよ。

──なりました(笑)。

中西氏:
ああいう瞬間がホラーゲームでは大事なんです。そのためにプレイヤーの意表を突ける特徴というのをいろいろ考えて、今の形になっています。

──今回はチェーンソー以外にもナイフや注射器を持っていたり、中にはビンや斧を投げつけてくるタイプのゾンビまでいましたが、ほかにもいろいろ……?

中西氏:
そうですね、さすがに氷山の一角と言うと大げさすぎるかもしれませんが(笑)。
『バイオハザード』は最後まで飽きさせず、油断させずがモットーですので、手を変え品を変え楽しんでいただけるようにしていますね。

──ゾンビの話で言えば、チェーンソーを持ったゾンビが地面を泳ぐみたいに突っ込んできたり、ガス缶を抱えていたり、ちょっとギャグっぽいノリの敵もいろいろいましたよね。

中西氏:
グレースとレオン、それぞれのパートは違う方向で特化させようとしていたのですが、レオンのパートでは「ちょっと笑っちゃうような悪ノリ感」をあえて出しているところもあります。

グレースの方でも少し悪ノリしている部分もあるのですが、単にギャグになるのではなく、「敵が狂気をはらんだ危険な存在に見える」ように注力しています。ちゃんと「怖い」と感じられるようなさじ加減は意識していますね。

──今作では「喋る」ゾンビも登場しますよね。これも受け取り方によっては面白く感じてしまう部分だと思うのですが、この辺りは制作にあたってどう意識されたのでしょうか。

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中西氏:
いやぁ……もう仰る通りで、制作中は喋ることで面白くなりすぎてしまうケースがいっぱいありました(笑)。

──やり過ぎてしまったのですね(笑)。

中西氏:
今回のデモ版で登場した中だと、キッチンで包丁をバンバン叩いているシェフゾンビがそうでした。前はもうちょっと饒舌だったんですが、喋ってると中華料理屋の店主みたいになってしまって、怖くなくなっちゃうんです。

緊張感がなくなってしまうので、最終的にはブツブツ何か言っているような演出になりました。ゾンビに喋らせると、簡単に面白くなっちゃうんですよ。

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──ゾンビに関しては、探索中に倒したはずのゾンビが再び歩き回っている瞬間に出会うことがあったのですが、時間経過で復活する仕様が組み込まれているのですか?

中西氏:
いえ、基本的に敵の数は有限で、復活する仕様は入れていません。おそらくトドメをさせていなかったのが原因ではないかと思いますね。

ゾンビって、倒してもなかなか起き上がってこなかったりしますけど、だからこそ殺したかどうかが凄く分かりにくいじゃないですか。あれがゾンビの嫌なところでもあるのですが、今回もその手の要素は入れているので、殺し損ねたパターンでしょうね。

グレースはちょっとずつ“ビビリ脱却”しようとしている。ゲーム的にもストーリー的にも成長していく

──今回のグレースのパートで初登場した要素で「レクイエム」という特殊銃がありました。使ってみた感じでは、ゾンビを一時的に麻痺させる効果のある緊急回避策の意味合いを持った武器になっていましたが、この武器はどういった狙いで考えられたのでしょうか。

中西氏:
レクイエムに関しては、僕個人「か弱いキャラクターがイカつい武器を持つ」というギャップのある組み合わせに、心くすぐられるものがありまして(笑)。それがインスピレーションになっています。

ゲーム的には、昔のシューティングゲームで言うところの「ボム」の役割を持ったものですね。ここぞという時にだけ使える強力な武器で、その代わり弾数も少ない設定になっているんです。

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──レクイエムはグレース専用なのでしょうか?レオンでも使えたりするのですか?

中西氏:
今回の体験の範囲内だと、レオンが武器を持っていないグレースに渡してあげて、彼女が使うという形になっていましたが、最後までずっとグレースが持っている訳ではなく、どこかでレオンがこの武器を使う場面が出てきます。

ただ、どのような経緯でレオンがレクイエムを使えるようになるのかについては、製品版を遊んでみてのお楽しみとさせてください。

──グレースは本当に弱々しいキャラとして表現されていましたが、この先成長していったりするのでしょうか?先ほどレオンについては、「追い詰められる展開がある」と言われていましたが。

中西氏:
グレースの場合は「危機に対処する選択肢が増える」という形で成長を描いています。ゲーム開始すぐの時点では本当に何も手札がないので、隠れるか走るかしかできません。ですが銃を拾ったり、敵を破裂させる破血アンプルを作れるようになったり、手札は増えていきます。

選択肢が増えれば、どのゾンビをやり過ごし、どのゾンビを倒すのかといった、行動の幅も広がります。グレースと一緒にプレイヤーも成長していきますから、ゾンビの特性なども有効に活かしやすくなるでしょう。

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──ゲーム的にはずっと弱いまま、というわけではないのですね。ストーリー的にはどうでしょう?

中西氏:
ストーリーの進行に応じて、精神的な成長を描いています。実を言うと、昨年の東京ゲームショウなどに出展していたデモ版のグレースって、一番ビビッている頃のグレースなんです。ずっとハーハーと息を切らせてましたよね。

今回のデモ版では、前回に比べて息遣いも安定していて、ビビる頻度が減っています。少しずつ慣れていっている感じですね。

──とは言え、グレースのパートでは明らかに倒せない敵も出てきますよね。今回の範囲だと頭部が赤く膨れ上がったゾンビとか、最初は「倒せるのかな?」と思って何発も撃ち込んでみましたが、結果的に銃弾を過剰に消耗することになってしまって……。

中西氏:
あのゾンビはグレースだと無理です。ただ、レクイエムを使えば倒せるので、それが唯一の対処法になっています。あのような変異してしまうタイプは、変異させないための対策をしておくのが最適解となりますね。

──グレースの場合はアイテムの所持枠も小さく、何を持ち運ぶのかという取捨選択の難しさもありました。このあたりも、ゲームバランスとして想定されているものなのでしょうか?

中西氏:
今回体験いただいたパートは、所持枠が一番少ないタイミングなので、より考えさせられる状況にはなっていますね。コインを集めると拡張される枠があるのですが、ほかにも探索中に見つけられるサイドバックもあります。色々隈なく調べながら進めていけば、そこそこのアイテムを持てるようになりますよ。

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──ただ、その後のレオンパートをやると、もう所持枠の大きさが全然違って……(笑)。

中西氏:
「こんなに変わるんかい!」と思いますよね(笑)。これも序盤の特徴なのですが、グレースが弱い分、レオンは強くてゆとりもあるので、ストレスなく気持ちを発散させてあげようというコンセプトになっています。

一方で、先ほど話したレオンが過酷な状況になると、お馴染みのアタッシュケースを上手いこと整理して詰め込む考え方も求められてきます。ケースの拡張も必要になったりしますので、変化を感じつつ楽しんでいただけると思います。

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好みの多様性に応えるためにモダンとクラシックの選択肢を用意。難しくても「これが『バイオ』」と思う人を裏切らない

──先日のショーケースで紹介されていた内容ですが、標準難易度のスタンダードの中に「モダン」と「クラシック」という2つの選択肢が用意されているとの紹介がありました。こうしたさらに別の選択肢を設けられたのはどうしてでしょうか?

中西氏:
例えば1人称と3人称の視点についてもそうなのですが、ファンの方の好みに合わせるという意図のものですね。『バイオハザード』はこれまでに色んな作品を作ってきましたから、ファンの方々の好みもハッキリと分かれているんです。

──今回の「クラシック」ではインクリボンによるセーブ制限がありましたよね。直近のシリーズ作ですと、『バイオハザード:RE2』では最も難しい「ハードコア」専用のシステムでしたが、それを標準難易度のなかでも導入できるのは面白いなと。

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中西氏:
今回のデモ版からだいたい想像できると思いますが、この中に昔の『バイオハザード』でお馴染みだったインクリボンによるセーブ制限を設けると、凄くストレスフルな作りになってしまいます。

ですが、「これが『バイオハザード』だ、この緊張感がたまらない」と好意的に受け取ってくれるファンの方もいらっしゃるんですよね。

──確かに、このシステムに『バイオハザード』らしさを感じる方の気持ちは分かりますね。

中西氏:
実際に当時インクリボンのシステムはすごく評価が高かったのですが、最近のシリーズから入った人からすれば、「これって現代のゲームでやること?」という印象にもなります。本当にもう、真っ二つなんです。

ですからそれを踏まえて、それぞれが好みのスタイルで遊べるようにしているのが「クラシック」スタイルを設けている理由です。だからこの設定は「カジュアル」難易度だと選べないようになっています。そちらは気軽に楽しめる難易度、という形で割り切ったものですから。

──今回、Nintendo Switch 2版も発売されますが、Nintendo Switch版の『バイオハザード リベレーションズ アンベールドエディション』には、Joy-Conによる直感的なエイム操作のほか、携帯モード限定でタッチスクリーンの操作が用意されていました。今回もそうした対応はあるのでしょうか?

中西氏:
タッチスクリーンの操作に関しては対応していません。ただ、Joy-Con 2によるエイム操作には対応しています。カメラの方もJoy-Con 2で操作可能でして、直感的に遊べるようになっています。

──最後になりますが、製品版の発売まであと1ヶ月ほどになります。本作の発売を心待ちにされている方々に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

中西氏:
今の時点では、公表していないものでお伝えできる情報はないのですが、僕らとしても今回の『バイオハザード レクイエム』には凄く手応えを感じていますし、ファンの皆さんの声援にも感謝しております。

これから発売に向け、メディアさんのデモプレビューもそうですが、続報も色々と出していきますので、ぜひ注目していただければと思います!(了)


巨大なクリーチャーの出現に慌てふためく、逃げまどったりする50歳間近のレオン。想像してみれば、確かに違和感が凄い。それに『バイオハザード4』と『バイオハザード6』などで過酷な経験をしている実態を踏まえれば、「こんなレオンは見たくない!」「これはレオンじゃないだろう……」という意見が出るのも「それはそう」である。筆者も正直、「見たいか?」と言われると首を傾げてしまう。

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結果的に今回のゾンビに対して一切の容赦をしない、強くて無慈悲で斧を振り回すレオンが生まれて良かったと思う。実際にレオンが強いことはイベントデモでもよく現れており、とりわけグレースを襲う巨大クリーチャーを銃撃で鮮やかに仕留める姿は、紛うことなき“イケメン”(イケオジ)の風格を漂わせていた。

制作チームによるキャラクター像の深堀りもあって、『バイオハザード レクイエム』は新しいレオンの魅力を堪能できる作品になるのは間違いないだろう。

また、グレースも実は息遣いで成長を描いていたというのは体験時には気づけなかった部分で、製品版で改めてその辺りの変化していく様子を確認したくなった(言われてみれば、途中から冷静さを垣間見せていたような……?)。

精神的に成長していく様子もストーリーとゲーム双方で描かれていることで、いかにして新たなバイオハザードの主人公としての存在感を高めていくのか、見逃せないところである。

改めての紹介になるが『バイオハザード レクイエム』はPlayStation 5、Xbox Series X|S、Steam、そしてNintendo Switch 2で発売予定だ。

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。
Twitter:@shelloop
編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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