数億人のシェアを持つAptoideとの提携だからこそ得られる「国産ゲームに、新たな海外販路を提供する 」という恩恵
吉田氏:
これまでお聞きしたこと以外に、あっぷアリーナ!を利用することによるゲーム開発者へのメリットはありますか?
橋本氏:
「海外展開」という観点でも、メリットを感じていただけると考えています。Aptoideが展開している地域であれば、海外であっても比較的容易にストア展開ができるような仕組みが、プラットフォーム側ですでに実装されているんです。
「おもしろいゲームを作っているけれど規模がそれほど大きくない」という会社さんは、海外向けに展開するのは苦労が多いと思います。
あっぷアリーナ!を使っていただくことによってAptoide経由で海外へ比較的容易に展開できるというのは、Aptoideと連携している大きな意義でもありますし、メーカーさんのメリットにもなっていくのではないでしょうか。
Aptoideの展開は現在のところヨーロッパがメインとなっていますので、法律の問題はたしかにあります。それでも、日本と同様に「法改正されたところは積極的に展開していく」という想定でAptoideはビジネスを広げているんですね。

日本も「海外にコンテンツを持っていきましょう」という動きがありますので、Aptoideの動きに呼応する形で、「コンテンツはあるけれど海外へ持っていく方法がわからない」という課題に対して、我々なりの答えを出せるのではないかと思っています。
吉田氏:
あっぷアリーナ!そのものは日本ユーザー向けですが、あっぷアリーナ!で展開するための開発に一度対応してしまえば、その後Aptoideで世界展開がやりやすくなる、ということですね。
橋本氏:
そのとおりです。SDK(アプリケーションの開発ツール)は基本同じですので、プラットフォーム上での設定さえ調整すれば、スムーズに出せる仕組みはすでに実装されています。
──知見のある吉田さんにお聞きしたいのですが、日本製の小規模制作タイトルをグローバル展開するというのは、現在でも難しさがあるのでしょうか。
吉田氏:
基本デジタルのストアはグローバルですので、PCであればSteam、コンソールであれば各種プラットフォーマーさんのストアなどでグローバル展開はできますよね。もちろん、PRやマーケティング、ユーザーコミュニティのマネジメントまでを考えると、開発者だけでの対応は難しいと思います。
ただ、スマホアプリの場合はタイトル数があまりにも多いので、既存のストアがグローバル対応していたとしても、「自国以外で自分のタイトルを見つけてもらう」というのは困難だろうな、という想像はつきます。
PCやコンソールの分野では、すでに日本のインディーデベロッパーが開発したタイトルが世界ですごく評価されたり、アワードを獲ったりと広く知られていますし、最近では「1週間で300万本売れました」というタイトルも出てきています。
あっぷアリーナ!さんとしては、個人や少人数で作られているような開発者さんに対して「うちなら海外展開がしやすいですよ」といったメッセージを発信されているのですか?
橋本氏:
個人の開発者さんまで対応できるようになるためには段階が必要ですが、小規模でやられているような会社さんのタイトルも、ご希望をいただければ海外展開のお手伝いはできると思います。
プロモーションをどうするか、Aptoideがどこまでフォローアップできるか、といった整理は必要ですし、ローカライズの問題ももちろんありますが、対応している国で展開するということに関しては、ストレスなく進行できるようにサポートを行っていきます。
日本のコンテンツが大好きなユーザーさんが一定数いるところをターゲットに絞ったうえで国産ゲームを展開すれば、知名度や売上がぐっと伸びて、そこからさらに横展開できるという可能性もあると考えています。
Aptoideも、現状はストアに置いてあるタイトル数がそれほど多くはありませんので、フィーチャーされれば、かなり目立つものになるでしょう。
「日本だけではなくて海外でも売れますよ」というのはメーカーさんにとってのメリットですので、「あっぷアリーナ!に参加したい」と思っていただけるような実例を、早めに作っていきたいと思っています。
「貪欲にいきたい」。国内での収益と国産ゲームの海外展開、「あっぷアリーナ!」が見据える“成功”の両軸
吉田氏:
橋本さんが目指す、「あっぷアリーナ!が成功した」と言える状態とは、どのような姿なのでしょうか?
橋本氏:
国内コンテンツの海外展開と、国内市場の拡大。このふたつの軸があると思っています。
これまでグローバル展開できなかったところのお手伝いを通じて、アプリメーカーさんが成長していただければ、いっしょにやっていけることが増えると考えています。
そういったところで、先ほど吉田さんのお話にあったような「300万ダウンロードを達成するようなタイトル」が何本か出たときに、通過点にはなりますが、ひとつの目的を達成したと考えてもいいかもしれません。
もちろん、利益はしっかりとあげなければいけません。「海外展開のお手伝い」という理想と、「国内市場で収益をあげる」という足元の部分。この二軸がともにうまくいけば「ひとまず成功したかな」というところです。
ただ、当然ながらその「二軸の成功」をゴールと考えるのではなく、あくまでもスタートラインとして「そこからさらに広げるにはどうするか」ということにこだわってやっていきたいと思います。
吉田氏:
ちなみに、橋本さんが個人として好きなモバイルゲームはどんなものですか。
橋本氏:
私はミーハーなので、発売されているおもしろそうなゲームはひととおりプレイしています(笑)。ロボットゲームやRPG……個人的にサッカーが好きなので、サッカーゲームもいろいろと遊んでいますね。
プレイの方針としては「とりあえず遊んでみて、楽しかったら継続する」という感じです。電車移動中にカジュアルなものを遊ぶなど、ジャンル問わず遊んでいます。
あっぷアリーナ!にある『ナットソート』を遊んだときは、いつの間にかレベル1000ぐらいまで遊んでしまって周囲が驚いていました(笑)。
吉田氏:
『ナットソート』はいいゲームですよね。私も編集部おすすめ記事を読んでプレイさせていただきました。
これは個人的な好みの話となるのですが、私が無料のモバイルゲームで気になっているのが「広告を見させられる時間が長い」ということなんです。ゲームはすごくよくできているんだけど、決まった時間、広告を見せられる作りですと、プレイをやめてしまうことにつながってしまう。
その点、『ナットソート』は広告が入るものの、すぐに閉じられるのでたいへん気に入りました。あと、こちらもアプリ内の編集部がおすすめしていましたが、『スクイーズキャッツ』もピクセルで描かれたキャラクターがかわいくていいですよね。私としても、おすすめしたいタイトルです。

橋本氏:
楽しんでいただき、ありがとうございます。吉田さんにおすすめいただけるゲームをもっと増やすべく、タイトルの誘致を一層がんばりたいと思います。
日本企業へのアプローチも鋭意進行中。国産ゲームも「年内にどんどん出していけるようがんばりたい」
吉田氏:
日本のゲームもこれから増えていくということですが、あっぷアリーナ!側から日本のゲーム会社さんへのアプローチは、どのように行っているのでしょうか。
橋本氏:
お声がけはしておりますが、法改正を受けてストア外部での決済が容易になったこともあり、皆さん「いったんはアプリ内課金を優先したい」という方針のようでして、大手さんになればなるほど、導入までの交渉は時間がかかる印象です。
ただ、こういった代替ストアを出していることに関して、ネガティブな意見はひとつもありません。課金など直近の変更対応が落ち着いて、タイトルの接触機会を増やしていくという観点が立ち上がった際には、割と幅広く、大手さんも含めてあっぷアリーナ!へ参加していただけるのではないかと思っています。
ほかにも、ゲームに詳しいメンバーからは「このアプリすごくいいですよ」という報告を逐次もらっていますので、そういったものをどんどんフィーチャーしていきたいと思います。
もうすでに開発をスタートしていて、この記事が掲載されている頃にはリリースしている国産タイトルの予定もあります。とくに縛りはございませんので、参加していただける可能性のある方々すべてにお声がけを行い、あらゆる機会を設けて誘致を進めています。
吉田氏:
すでにiOS、Android用のモバイルゲームで完成しているタイトルがあるデベロッパーさんにとって、あっぷアリーナ!で出すための開発項目というのはどういうものがありますか。
橋本氏:
基本的には課金周りのSDKをあっぷアリーナ!仕様に変えていただくだけですので、それほど時間も工数もかからず開発できると自負しています。
ただ、Aptoideはポルトガルの会社のため、若干ヨーロッパ仕様といいますか、日本のベンダーさんには少し不親切な設計で不便をおかけしてしまうケースがあることは事実です。
現在は、ベンダーさんからご指摘いただいた不親切な部分を日本向けに変えていったり、サポートを行いながら開発を進めています。APK(Androidアプリのインストールファイル)をいじるわけではなく、課金周りのところだけの調整となりますので、日本向けの調整が落ち着けば、導入にはそれほど時間がかからないと想定しております。
ベンダーさんからのご意見をうかがいつつ、整備も進めつつ、というのを並走しながらやっていますので、参加メーカーさんが増え、結果としてユーザーさんが「やってみたい」と思うゲームがもっともっと増えるようにがんばっていきたいと思います。
──最後に、今後のビジョンも含めて、あっぷアリーナ!に注目している方々へのメッセージをお願いします。
橋本氏:
あっぷアリーナ!は、クリエイターさんとユーザーさんをしっかりとつなげる「ハブ」の役割だと思っています。
プラットフォーム自体は海外製ですが、日本に運営があることで、ユーザーさんやベンダーさんへの細かなケアも日本人の感覚で行うことができます。そういったケアをしっかりしながら、ユーザーさんとベンダーさんがそれぞれWin-Winになっていく形を目指したいと思っています。
みなさんが「このストアに参加して良かった」と1年後に笑っていただけるように、がんばっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
最初にお話させていただきましたとおり、スピード優先で進めたため、現状はアプリ内に海外タイトルが多い状態となっていますが、国産のタイトルも増えていく予定です。現在交渉中のタイトルも多数ありますので、そういったタイトルが年内にストアに並ぶよう、がんばってまいります。(了)
2025年12月の法改正を受けて生まれたアプリストア「あっぷアリーナ!」は、橋本氏も「本当にたいへんだった」と振り返るような、異常なスピード感で世に送り出された。
その速度には、代償もあった。ストアがオープンしたタイミングで、プレイ可能なアプリの数はそれほど多くなかったというのが正直なところである。ユーザーがおもしろいアプリを“発見”するために、アプリの確保がつぎなる課題として立ち上がっていた。
現在のところ、徐々に「あっぷアリーナ!」の収録タイトル数は増大している。現在『くまのレストラン』、『みどりのほしぼし』、『ペルシャと魔法のパズル』といった国産タイトルのローンチが行われ、活発な動きが見てとれる。他プラットフォームですでにプレイしているユーザーでもデータをそのまま引継ぎプレイすることが可能。
果たして、“代替ストア”という新たな試みが、どのように受け入れられるのか。そして、“発見型”というコンセプトが、ユーザーからどのように評価されるのか。読者諸賢にも、あっぷアリーナ!と橋本氏の挑戦を、ともに見届けてほしい。
