16世紀の大航海時代を舞台に、船団を率いて交易と探険を繰り返し、時に海戦を行いながら広大な大海原に挑む、コーエーテクモの「リコエイションゲーム」(歴史SLG+RPG)の名作『大航海時代』。
その4作目がスマホに移植されました。
『大航海時代Ⅳ』です。
2006年にニンテンドーDSで発売された『大航海時代IV ROTA NOVA』をベースとしており、『信長の野望・武将風雲録』や『三國志V』と同じニンテンドーDS/3DS版の移植。
PC版の『大航海時代IV PORTO ESTADO』は1999年に大公開されています。
自由度の高いゲームで、ストーリーはありますが、どこに行って誰にケンカを売っても構いません。
船一隻からスタートし、交易で財を成し、船団を組んで新大陸やアジアへと思うままに勢力を伸ばしていけます。
今までの『大航海時代』の舞台は1500年頃、大航海時代の中期で、まだ明らかになっていない世界が多く残されていましたが、今作の舞台は1600年頃、大航海時代の後期です。
欧州列強が世界中に進出しており、各地でさまざまな勢力がせめぎ合っている時代。
そのため今作は探険よりも、港の占有率「シェア」の取り合いが中心となっています。
ゲームとしては『大航海時代II』の縮小版という印象です。
「4なのに2の縮小なの?」と思われそうですが、拡張より遊びやすさを重視した作りですね。
正直、『I』や『II』のような海洋大冒険を期待していると拍子抜けすると思いますが、前述したように探険の時代ではないし、これはこれでスマホで手軽に遊ぶのにはマッチしています。
主人公は『大航海時代II』のように複数用意されていて、国籍も目的も異なる人物が、それぞれの物語を展開させていきます。
ただ、最終目標は世界に点在する「覇者の証」と呼ばれるアイテムの捜索で、これは共通しています。
そして問題は、この「覇者の証」の捜索がものすごく複雑・難解・面倒なことですね……。
価格は1900円。買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等はありません。
なお、『大航海時代』は『V』まで登場していますが、3作目はリアル大航海時代にし過ぎて地味&面倒なゲームになってしまい、まったく人気にならず、PC以外の機種には移植されませんでした。
『V』はDeNA(モバゲー)と共作のソーシャルゲームになっていて、航海士や船の入手はガチャ、航海は紙芝居、戦闘はジャンケン、探険はミニゲーム、そしてスタミナによるプレイ制限あり……と、私的にはナンバリングタイトルというより、まったくの別物と捉えた方が良いと思っている作品です(一応フォローしておくと、当時のソシャゲとしては高クオリティでした)。
最初は小さな船で近隣の港を巡りながら、交易を行って資金を稼いでいくことになります。
海上の移動は行きたい方向をタップするだけでOK。
帆の操作は自動で、従来の『大航海時代』より移動が早いため、あっという間に近くの港に着くことができます。
すごくアッサリした航海で、旧作にあった冒険浪漫的なものは感じられませんが、今までよりサクサク進行します。
港に着いたら交易品を売買する「交易」を行って資金を稼ぐわけですが、それには港の「シェア」が必要。
これは王宮や総督府に行って「契約」を行い、その後に「投資」を行うことで増やすことができます。
しかし投資をするには相応のお金が必要で、すでに他の勢力がシェアをすべて占有している場合、契約自体ができません。
また、シェアを増やせば買い付けられる交易品が増えますが、最初の船には交易品を積む船倉が2スロット分しかなく、買える量を増やしたところでそんなに積み込むことはできません。
最初のうちは最低限のシェア(1%)だけ取って、細々と売買をしていくしかありませんね。
港を巡っているうちに初期のストーリーが進み、仲間(航海士)が増えていきます。
航海士は船長に任命できるのに加え、「甲板画面」で船内に配置することで、スピードアップや物資消費量減少などのさまざまな効果を得られます。
そしてある程度ストーリーが進むと、他の海域に向かうことをすすめられます。
前述したように、このゲームで交易を行うには「シェア」が必要。
ところが地中海や北海はすでに他の勢力に占められているため、後発である主人公の商会が入り込む余地はあまりありません。
よってアフリカや新大陸(中南米)に進出することになります。
大陸間の交易ができるようになると、収益も上がります。
ヨーロッパの武器は新大陸やアフリカでは高値で売れ、新大陸のタバコやカカオ、アフリカの貴金属や珊瑚などはヨーロッパで珍重されます。
お金を貯めて船倉の大きな船を買い、船団を組めばさらに収益が上がるでしょう。
発展途上の港は投資費用が安いので、港のシェアに空きがあれば、一気に占有することもできます。
投資によって港の経済力が高まれば、新しい交易品が登場することもあります。
しかし他の勢力の艦隊も世界を行き来していて、各地で投資を行っているため、シェアの空きはどんどんなくなっていきます。
いずれは新たなシェアの獲得は、投資だけでは行えなくなります。
こうなると…… 他の勢力に「宣戦布告」して、力ずくでシェアを奪い取らなければならなくなります。
今作は往来する商船を無差別に襲ったり、海賊に頻繁に襲われたりすることはありません。
他の商会や海軍と抗争状態になって、その相手の船団と遭遇したときのみ海戦は起こります。
一応、海賊はいますが、これもマップ上を往来している勢力のひとつであり、やはり敵対しないと戦いになりません。
ストーリーの流れで相手から宣戦布告される場合もありますが。
戦いは、やはり今作はアッサリしています。
初代や『II』のように海戦マップに移行することはなく、普段の移動画面のままで戦います。
砲撃は自動で行われ、敵艦隊に接触すると斬り込み。
船の耐久力(赤いバー)か、船員(緑のバー)が尽きると船は沈没か降伏し、相手の旗艦を倒せば勝利です。
旗艦の「海兵詰所」に剣術に優れた航海士を配置して、敵の旗艦に突っ込むと一騎打ちになり、これで勝てばダメージをほとんど受けることなく倒せるので、ラクに決着できます。
砲撃で倒すには相手よりも上位の艦隊を持っていないと無理ですね。
いずれにせよ、シェア争いは最終的には殴り合いになるので、十分に稼いで、強力な軍船を持つ船団を用意しておく必要があります。
余った船は売っても良いのですが、十分な資金(10万)と統率力(150)のある航海士がいれば、地方艦隊を編成して自動で交易させることができるので、当面は保持しておいた方が良いでしょう。
さて、ゲームの目標は七つの海(地中海、北海、アフリカ、新大陸、インド、東南アジア、極東)の各主要海域にひとつずつ存在する「覇者の証」を、すべて集めることです。
その手順は以下のようになっています。
・その海域で勢力一位になるか、討伐イベントを達成することで、ひとつめの手がかりが見つかる。
・その海域の遺跡イベントを進めることで、もうひとつの手がかりが見つかる。
・ふたつの手がかりがそろうと「覇者の証」の地図が手に入る。
・その場所で探索を行う。
勢力一位になることはゲームの基本目標でもあるので、迷うことはないでしょう。
討伐イベントもストーリの流れで発生します。
問題は遺跡イベントの方で、発生条件がとにかく複雑で面倒くさい。
多くの場合、特定の港の酒場娘から情報を得ることになりますが、その酒場娘が希望するアイテムをプレゼントしなければなりません。
これが大変で、たとえば日本の酒場娘が希望するアイテムは、北海の奥のストックホルムにあったりします。
しかもアイテム名だけ言われて、どこにあるのかわかりづらいことも。
遺跡の奥に行くことになったときには、その遺跡の地図も必要。
これはギルドで買えますが、どこのギルドで買えるかはわからない。
自力でやる場合、全主要海域のすべての港を巡り、一通りの仲間をそろえ、すべてのギルドで売られているアイテムを余さず購入し、全海域で勢力一位(及び討伐イベント達成)の手がかりを得たあと、全海域の酒場娘にプレゼントをして回り、発生したイベントをこなしていく必要があります。
「ギルドの全アイテム購入と酒場娘へのプレゼント」がカギなのを忘れないようにしましょう。
というか、素直にググった方が良い気がしますね。
『大航海時代IV』が『II』ほど話題にならなかったのは、この謎解きが難しすぎて、クリアできた人が少なかったからという気もします。
『1』や『II』は名声が高まれば自然とストーリーが進む形で、わかりやすかったんですけどね……。
ニンテンドーDS版の移植なこともあってか、ちょっとこぢんまりした『大航海時代』で、スマホゲームとしてはグラフィックもやや見劣りします。
しかし交易を繰り返して大金を稼ぎ、強力な船団を編成して戦いを挑む『大航海時代』らしさはそのままです。
世界中の港を投資と海戦で支配していく「世界征服」な楽しさもあります。
今は謎解きで詰まってもネットに頼れるし、かつての『大航海時代』を知る人なら、買って“大後悔”するゲームではないでしょう。
私的にはおすすめしたい作品です。
大航海時代Ⅳ
七つの海で交易と海戦を繰り広げる海洋歴史シミュレーション
・歴史シミュレーションRPG
・コーエーテクモ(日本)
・1900円
文/カムライターオ