『荒野行動』で知られる中国のメーカー「NetEase(ネットイース)」の新作。
ゾンビウィルスの蔓延により文明が崩壊した世界で、自給自足のサバイバルを行いながら拠点を築いていく、ゾンビシューターでMMORPGなオープンワールドのiOS/Android用オンラインゲームが公開されています。
『ライフアフター』です。
NetEaseの新作ガンシューティングということで、『荒野行動』や『PUBG』、『フォートナイト』のようなバトルロイヤル系のゲームかと思っている人も多いようですが、違います。
このゲームがメインとしているのは「終末世界での生活」。
文字通り”アフター”での”ライフ”。
ゾンビと撃ち合うこともありますが、プレイヤーの目的は道具を自作し、素材を集め、建材に加工し、生活を行うための家や村を建設することです。
既存のゲームでいうと『ARK: Survival Evolved』や『Radiation Island』に似ていて、そのオンラインゲーム版。
短時間で終わる勝負を繰り返す、アーケードライクなゲームではありません。
そのため、ストアレビューでは『作業ゲー』、『わかりづらい』、『めんどくさい』といった意見が散見されますが、シンプルに撃ち合いたい人は『荒野行動』や『PUBG』をプレイしてください。
先日、NetEaseの新作『サイバーハンター』が公開されましたが、これも『フォートナイト』のような、建設要素を盛り込んだバトルロイヤル系です。
『ライフアフター』はガンシューティングの要素もありますが、長期的な「開拓」のほうが中心です。
一方、『マインクラフト』や『テラリア』のようなサンドボックスゲームや、無人島生活のようなサバイバルゲームが好きな人には、ピッタリの作品です。
ひとりで黙々と家の改築を行うことも、仲間とともに領地の拡張を行うこともできます。
ゾンビサバイバルなのでFPS/TPS要素が強めで、『どうぶつの森』や『ファンタジーライフ』のようなホノボノした感じではありませんが、生産の楽しさを感じられるゲームです。
アプリ本体は無料ですが、課金やガチャ、スタミナの代わりになるものは存在します。
ただ、詳しくは後述しますが、スタミナ(精力値や物資輸送数)が尽きてもゲームの続行は可能で、ガチャ(製法書合成)もレベルを無視した強力なものが出てきたりはしません。
課金圧力はかなり低いのでご安心ください。
ゲームを始めると、まずは「オープニングシーン」がスタートします。
これはストーリー仕立てのガンアクションになっていて、ゾンビに襲われ車が転落事故を起こした後、救援に駆けつけた「アレクシャー」とともに危険な森からの脱出を試みます。
このオープニングシーンはチュートリアルを兼ねていて、基本操作と簡単な生産、戦闘の基礎を学ぶものですが、40分ほどのボリュームがある、単なるチュートリアルを超えた内容です。
派手なシーンが連発されるうえに巨大なボスも登場する、見応えのあるものになっています。
このシーンの存在が、協力型ガンアクション”のみ”のゲームだと勘違いされる一因になっている気もするのですが…… でも、こうした部分がしっかり作られているのは良いですね。
オープニングを突破したら、いよいよ本番ですが……。
その前に「ハッピー101」と呼ばれる、生存者が集う町に向かうことになります。
「ハッピー101」は終末世界とは思えないほど楽しげな装飾にあふれていて、緊迫したオープニングサバイバルの後だと拍子抜けするほど。
ここで物資の取引や、クエストの受注を行えます。
そしてプレイヤーは市長から「101開発エリア」の開拓を頼まれます。
開発エリアでまず行うのは、家の土台の設置と、最低限の壁と家具の作成、そしてゾンビの撃退。
チュートリアルのように細かく方法を指示されるため、迷うことはないでしょう。
ただし一定時間後にゾンビの襲撃が始まるため、急いで守りを固めなければなりません。
この時点ではボロ小屋のような拠点しか作れず、武器も手製の弓矢しかないので、満足な防衛はできませんが…… 味方の援軍がやって来るし、開拓地にいるゾンビは弱いので、それでも何とかなるはず。
弓矢は銃と違い、攻撃ボタンを長押しして引き絞らないと、十分な威力にならないので注意してください。
周辺のゾンビを掃討できたら、ようやくそのエリアはプレイヤーの「荘園」、つまり私有地となります。
ここからは自由に開発が可能。
もちろん開発には木や石などの素材が必要で、それを採るための道具も用意しなければなりません。
早くまともな装備も欲しいですね。
いきなりやれることが増えるため、サバイバルゲームの未経験者だと、ここで途方に暮れる人もいるようです。
ただ、荘園を得たプレイヤーには「生存指南」と呼ばれる、サバイバルの基礎が書かれたガイドブックが渡されます。
このガイドブックにはプレイの手順や方針がとても丁寧に書かれていて、各項目を達成することで報酬も得られます。
言わば当面の「メインクエスト」といえ、これに沿って進めていけば、スムーズにゲームを理解することができるでしょう。
「わかりづらい」と言われることも多い今作ですが、サバイバル系のゲームとしては驚くほど懇切丁寧で、他のゲームだと何度も死にながら試行錯誤しなければならないシステムの理解を、このガイドブックがほぼ解決してくれます。
各エリアにはヘリが常駐していて、町や地域を行き来することができます。
荘園の周辺にもいくらかの木や石がありますが、十分とは言えないため、他の地域に資源採集に出かけなければなりません。
ただし行ける場所はプレイヤーの「採集レベル」に応じていて、序盤は町の「ハッピー101」と、「秋の森林」しか利用できません。
ともあれ、まずは秋の森に向かいましょう。
このゲームはMMORPG(大規模多人数オンラインRPG)であり、そこでは大勢の他のプレイヤーも活動しています。
「秋の森林」にはたくさんの木々が生い茂り、採掘できる岩が点在しています。麻や木の実も採れます。
資源はどんどん湧いてくるので、他のプレイヤーがいても激しい取り合いにはなりません。
ただし、ここは危険な郊外。
「感染者」と呼ばれるゾンビがうろついており、狼や熊といった凶暴な野生動物も生息しています。
最初は防具がなく、武器も弓矢とパンチしかないので、何度もピンチに陥るはず。
木を伐っている最中に後ろから野犬にガブガブかじられ、回復する間もなくやられるといった、サバイバルゲームでおなじみの展開は、やはり今作でも健在です。
前述したように「すごく懇切丁寧」ではありますが、「簡単」なわけではありません。
しかし、死んでもペナルティはわずかです(ゲーム内の表記は”気絶”)。
物資をほんの少し失う程度で、近くの避難小屋からリスタート可能。
装備の耐久度も低下しますが、序盤はまともな装備なんてないし、自宅のベッドでログアウトすれば取り戻せる程度です。
昼夜や天候の変化もあり、急にどしゃ降りになるかもしれません。
雨の日にしか採れないアイテムもありますが、ずっと雨に当たっていると風邪をひいて走れなくなり、夜には感染者も多発します。
サバイバルゲームは死んでナンボですが、あまりに危険そうなときは小屋で大人しく待った方が良いでしょう。
採集を続けていると、そのうちバッグがいっぱいになってしまいます。
無制限に持てるわけではないので、一旦帰還する必要がありますが…… 最初は帰り方がわからないはず。
帰還用のヘリが待機している場所は、マップ上のドアマークで示されています。
ミニマップをタップすると全体マップが出てくるので、方向を確認しましょう。
ヘリの周囲には感染者がいる場合が多いので、警戒は怠りなく。
ヘリに辿り着いても、すぐに乗り込めるわけではありません。
郊外で採集したものはゾンビウィルスに「感染」している可能性があり、近くにいる輸送担当者に渡して、除染後に家に郵送してもらう必要があります。
感染物質を持ったままではヘリに乗れません。
ただしアイテムにはレアリティがあり、レアな素材は「現実時間の」1日で輸送できる量が決まっています。
それを超えた輸送には課金通貨の一種「金塊」が必要で、これがスタミナ制の変わりになっています。
とはいえ、輸送できる量は割と多く、序盤は上限まで使い切ることはないでしょう。
もし上限に達しても「倉庫サービス」があり、ここに放り込んでおいて、後日輸送することもできます。
また、輸送量は地域別なので、他の地域に行けるようになったら、森で上限になっても別の場所で採集すれば対処できます。
そこまでこの制限で困ることはないでしょう。
荘園に帰還できたら、ポストで輸送品を受け取ります。
さっそく集めた資材を使って、家と設備をグレードアップしましょう。
とりあえず最初に必要なのはタンス。
最初に「ワインチェスト」という収納棚をもらえますが、これひとつでは不十分。
「小さな木製タンス」を作り、家のアイテム収納量を拡張すべきです。
タンスを作るには、先に「半製品」の「木の板」の生産が必要です。
材料は自分で所持しておく必要はありません。
タンスに入れたままでも使用可能です。
ポストから輸送品を取るときも、タンスに直接放り込むボタンがあり、手間のかからないインターフェイスになっています。
生産には時間がかかりますが、ボーッと待つ必要はありません。
完成まで別のことをして、時間になったら作業台から回収する、という方法でOKです。
もちろん家具だけでなく、装備も欲しいところ。
ガイドブック(生存指南)では、まず「カジュアルパーカー」を作って耐久力を上げるのを促されます。
「獣の皮」や「布切れ」が必要ですが、ガイドブックのクエスト報酬で手に入ります。
野外で長時間活動するための食料も忘れずに。
オーブンを使い、肉や木の実で料理を行いましょう。
料理には「レシピ」があり、肉4つで作れる「焼肉」、ベリー4つで作れる「ジャム」の製法は最初から知っていますが…… 実は、レシピがなくても料理は可能で、しかも失敗はしません。
材料は必ず4つ必要ですが、肉とベリーを両方放り込めば「串焼き」が、肉とキノコを使えば「キノコの串焼き」が、肉ふたつとキノコとアブラナを使えば「ステーキセット」が作れ、そのレシピを新たに入手できます。
適当にポイポイ放り込んでも何かできるので、色々なメニューを試してみましょう。
一刻も早く欲しいのは武器でしょう。
ゾンビや熊に、木の弓とパンチで対抗するのは、さすがに無謀。
必要なのは銃。火力は正義です。
しかし、上位の生産を行うには「荘園レベル」をアップさせる必要があります。
これを上げないと壁もボロいままで、家具もロクな物が作れません。
ただ、荘園レベルを上げるには材料に加え、採集・制作・戦闘の3つのプレイヤーレベルを上げなければなりません。
これらは普段の活動でも少しずつ上がっていきますが、かなり時間がかかります……。
ではどうするのか? 町や郊外で「クエスト」を受注し、達成していくのが近道です。
町の役場の掲示板には、商隊クエストと呼ばれる依頼が掲示されています。
さらに「秋の森林」の休憩小屋にある掲示板には、さまざまなデイリークエストが張り出されています。
デイリークエストには特定の地点の探索や、採集による素材集め、狩りによる戦利品集めなどがあり、人物や動物の写真を撮影するユニークなものも。
郊外に行ったらまず掲示板を確認し、採集と平行してクエストもこなしていくのが基本です。
たまに突発の救助イベントや、討伐イベントが発生することもあります。
「精力値」というステータスがあり、これが十分なうちは採集経験値を多くもらえるため、採集レベルに関しては普段の活動だけでも相応に上がっていきます。
ただし、この精力値はスタミナの一種で、採集するごとに減少し、回復には実時間の経過が必要です。
少なくなると経験値の入手量が減少し、そのうちほとんど上がらなくなります。
ただ、精力値は素材の入手量には無関係で、採集自体は尽きても問題なく行えます。
あまり気にする必要はないと思いますが、早くレベルアップしたい人は、1日2回行われる家具屋の荷物運びクエストで回復アイテムを得られるので、それを利用すると良いでしょう。
採集レベルが上がると、廃墟となった市街地「遠星城」や、砂漠地帯の「砂石の城」などに行けるようになり、新しい素材を見つけられるようになります。
しかし、二番目に行けるようになる「遠星城」は「交戦区域」、いわゆる「PK可能エリア」であり、他のプレイヤーに襲われる可能性があります。
今作は、最近は少なくなったPK(Player Killer)のあるゲームで、油断はできません。
ただ、殺されても通常のダウンと同じく、少量のアイテムを落とすだけで、すぐに復活が可能です。
装備の耐久度も下がりますが、連続ダウンしない限り深刻ではありません。
一方、PK側は「指名手配」となり、その存在がエリアにいる全員に通知され、罪を重ねるごとに位置も特定されやすくなります。
また、指名手配のプレイヤーは死亡時に落とすアイテムが多くなり、PKK(PKを討伐)したプレイヤーには報酬と多めの「名声」が与えられます。
他プレイヤーの殺害によって増加する名声のランキングがあり、これを競うエリアでもあります。
他にもゲームが進めば、パーティーを組んで協力してゾンビと戦う「ミスカ大学」、2チームにわかれて拠点を制圧し合う自由参加の「ナンシー市」、クラン(ギルド)同士で抗争を行う「エルタウン」といったバトルエリアも利用可能になります。
PK&PKK、チーム戦、クラン戦、Co-op戦など、実は多くのガンシューティングが盛り込まれている欲張りなゲームで、最終的にはこれらのバトルコンテンツが中心になっていくかもしれません。
ただ、戦うためには武器や防具が必要。
そのためには採集と生産が大切で、やはりすべての基礎となるのは、拠点の開発です。
予想以上にゲーム要素をてんこ盛りした意欲作。
グラフィックも『荒野行動』より綺麗で、長く楽しめそうな作品です。
ただ、冒頭でも述べたように「開拓」や「サバイバル」が中心にあるため、すぐに戦えるバトロワ系の方が好きという人もいるでしょう。
どちらが良いか悪いかではなく、好みの問題ですね。
私的には、とても中国メーカーらしい作品という印象があります。
欧米ライクなゾンビサバイバルですが、説明は丁寧で、洋ゲーほど「投げっぱなし」感がなく、無料アプリだけど日本のようなガチャゲーではなく、韓国ではあまり好まれない生産活動が中心になっています。
おそらくこのデザインだとウケるのは日本と中国で、そこに絞っている気がします。
やや残念なのは翻訳で、これだけ『荒野行動』が日本でヒットして、日本展開に力を入れているにもかかわらず、意味はわかるけど文体のおかしい日本語が表示されます。
ゲーム的に困るほどではないのですが、企業規模を考えると、もうちょっとマシにしてくれないものか……。
でも、気になるのはそのくらい。
グラフィックが『荒野行動』より向上しているためか「スムーズに動かない!」という意見が見られますが、グラフィックの質やフレームレートは設定で調整可能で、低くすれば安価な機種や旧機種でも大丈夫でしょう。
個人的に好みの、開発系やサバイバル系が好きな人には一押しできるゲームです。
ライフアフター
ゾンビシューター・オープンワールド・サバイバルMMORPG
・FPS/TPS、サンドボックス、オンラインゲーム
・NetEase(中国)
・アプリ本体無料、課金要素あり
文/カムライターオ
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2015 年の発売後、すぐに世界中で話題となり、2016年にはXbox OneやPS4にも移植され、2017年の夏にはPS4の日本語版も登場。
今も拡張バージョンが続々発売されている作品です。
そんな人気作『ARK』が、ついにiOS/Androidにも上陸しました。
『ARK: Survival Evolved』です。
クエストによる案内が導入されたとはいえ、やはり高難度のサンドボックス。
簡単なゲームではありません。そこで序盤の進め方を日記形式で、再現しながら解説していきたいと思います。