いま読まれている記事

初代から『シン・ゴジラ』まで、歴代シリーズに登場する怪獣たちが一同に会する地球防衛クリッカー【レビュー:ゴジラディフェンスフォース】

article-thumbnail-190606a

 もはや世界のポップカルチャーとなった、SF巨大怪獣映画『ゴジラ』
 生誕65周年を迎え、最新作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』も5月31日より上映されています。

 そんな『ゴジラ』シリーズに登場する歴代ゴジラ、および数々のライバル怪獣たちが次々と都市に来襲し、それをタップで撃退していく、クリッカー(クッキークリッカー系)のゲームが公開されています。
 『ゴジラディフェンスフォース』(Godzilla Defense Force)です。

 「東宝」からの許諾を受けた正式な『ゴジラ』ゲーム。
 ラドン、モスラ、キングギドラなど、70体以上の怪獣が迫力のあるビジュアルで登場します。

 『Tap Titans』系のクリッカーですが、連打が必要なのは序盤だけで、ゲームが進むとほぼ放置で良くなります。
 戦闘で得られる資金を使い、自動で戦う兵士をパワーアップして、怪獣を撃退するための戦闘力を高めていきます。

 クリッカーとしてはグラフィックや演出はトップクラスですが、ボス戦で逃げられない(ザコ戦に戻れない)ため、ボスを倒せない場合、倒せる攻撃力を得られるまでひたすら負け続けることになり、ここに批判があります。
 2周目以降になれば、ゲームの「特典付きリセット」で対応できるのですが…… 1周目は苦行。
 『Tap Titans』系の1周目がつらいのは「いつもの話」ではあるのですが、詳しくは後述します。

 アプリ本体は無料で、課金要素はありますが、必須ではありません。
 ガチャにより戦闘で使える「怪獣カード」が手に入りますが、これは倒した怪獣からも得られます。

 それよりも気になるのは広告のほうで、強制広告はありませんが、ボーナスをもらえる任意動画広告がかなり目に付きます。
 ただ、無課金でも遊べるゲームなのは確かです。

 ゲームがはじまると、ザコ怪獣の皆さんがぞろぞろ東京にやって来るので、銃弾でおもてなしします。
 前述したように兵士は自動で出てきて勝手に戦いますが、画面をタップすると出現ペースがアップ、連打すればワラワラ出てきます。
 「クリッカー」ですから、連打連打で敵を撃破していくわけですが……。

 ただ、敵を倒してお金を貯め、ロケット兵や戦車、攻撃ヘリなどを出撃させられるようになると、連打にはあまり意味がなくなります。
 連打しても出現が早くなるのは最初の兵士だけで、上位の兵器には影響がないからです。

 しかしそのおかげで、手は疲れません。
 『Tap Titans』のように敵をバシバシ叩いたり、『私、茄子で飛びます。』のように弾をビシビシ連射するわけではないため、連打の爽快感がなく、クリッカーとしてどちらが良いのかは微妙ですが、ほぼ放置で進むのはラクですね。

 もちろん、まったく操作が必要ないわけではありません。
 お金を使って兵器をレベルアップさせる必要があるのはもちろん、たまに逃げ遅れた民間人や、異星人のUFOが出現し、タップで救助やボーナス獲得を行えます。

 助けた民間人は「月」に送って、ガチャに必要な鉱石を採掘させることができます。
 「月送りにして鉱山労働させるって極悪じゃない?」とか思いますが、地球の危機の前では些細な問題でしょう。

 10ステージごとにボスが登場。
 モスラやラドンなどの有名どころから、エビラやガイガン、ヘドラなどのマイナーどころまで、数々の巨大怪獣が登場して都市を襲います。
 それぞれ固有の動きや攻撃の演出を持ち、初登場の怪獣が現れたときはオペレーターによるちょっとした解説も出てきます。

 ボスは高い耐久力を持っており、30秒以内に撃退できないと敗北扱いに。
 攻撃を受けた基地が破壊され、特定の兵器が出撃できなくなることもあります。
 ただ、壊れた基地は長押しすることで修理可能。
 一度だけボスに弱点マーカーが現れ、タップすれば大ダメージを与えられます。

 問題は、他の『Tap Titans』系とは違い、負けてもザコ戦に戻らないこと。
 では勝てない場合はどうするのか?

 勝てなくても与えたダメージに応じた資金は手に入るので、連戦していれば少しずつ兵器を強化していくことができます。
 また、「補給物資」という名目の動画広告ボタンが現れ、広告を視聴すればまとまった資金をもらえます。
 さらに「ブースト」という名前の動画広告ボタンもあり、こちらは生産速度上昇などの補助効果を得られます。

 つまり「勝てないなら広告で勝て」といった感じですが…… これではさすがに「広告ゲー」の批判は免れませんね。
 とはいえ、当面は広告を見なくても、何とか基地の強化で勝つことができるでしょう。

 そしてステージ40ごとに、大ボスである「ゴジラ」が登場!
 ゴジラは一種類ではなく、各時代、各作品のものが別の怪獣として登場し、表情や大きさ、攻撃方法も様々。
 他の怪獣より一回り高い耐久力を持ちますが、ゴジラ戦の前のみ、ザコ戦を好きなだけ繰り返して資金を稼ぐことができるので、十分にパワーアップしてから挑むことができます。

 初めて倒した怪獣からは「怪獣カード」を得られます。
 カードごとに「戦車系の攻撃力が20秒アップ」や「DPS(秒あたりの攻撃力)の20倍のダメージを敵に与える」といった効果を得られ、3枚装備可能。
 使い捨てではなく、ゲージを消費して使用します。

 他の『Tap Titans』系の必殺技に相当するもので、このゲームでは自由に入れ替え可能なカードになっています。

 ガチャはこの怪獣カードを手に入れるもので、ガチャからしか得られないものもありますが、大半はボスの打倒で入手可能。
 ガチャ専用カードは特別に強力、ということもありません。

 同じカードを手に入れると効果が強化されていくので、ガチャを繰り返すことで強くすることができますが、カード入手済みの怪獣を倒したときに手に入る「カードパウダー」でも強化は可能で、無理に課金してガチャをしなければならないゲームではありません。

 カードは効果だけでなく、入手すると閲覧できる「怪獣図鑑」も魅力です。
 新旧のさまざまな怪獣の解説を、複数の写真と共に見ることができ、脈々と続くゴジラシリーズの歴史を感じることができます。

 近年のクリッカーで攻略の要となるのが…… 特典付きの「リセット」。
 『Tap Titans』でいうところの「プレステージ」。

 このゲームでは「タイムマシン」と呼ばれていて、実行することでゲームの進行がリセットされ、ステージ1からやり直しになる代わりに、「時の欠片」と呼ばれる専用の通貨を得られます。
 これを使って恒久的なパワーアップ効果を持つ「アーティファクト」を入手でき、周回を繰り返してそれを収集・強化することが、どんどん強くなっていく怪獣に対抗するのに必須となります。

 問題は、タイムマシンにたどり着くまでが大変なこと……。
 冒頭でも述べたように、『Tap Titans』系は最初のプレステージ(タイムマシン)を行うまでがつらく、よく「苦行」と表現されます。

 このゲームの場合、ステージ80の「ビオランテ(最終形態)」が山場となります。
 1周目のこの時点では、倒すのに必要な攻撃力がまったく足りておらず、しかしまだタイムマシンは使えない。
 何度も戦いを繰り返してお金を貯めないといけませんが、その度に負けるので気分が悪く、登場演出もうっとうしくなってきます。

 おまけに、負けるたびに援助金とブーストの動画広告のボタンが出てくるので、「そこまで広告見せたいのかよ!」とうんざりしてきます……。
 労力的・時間的には『Tap Titans』のほうがつらいと思うのですが、こちらの連敗地獄・広告地獄は別の方向で「苦行」。

 ただ、ここまでつらいのは1周目だけで、ステージ80さえ突破できれば、直後のゴジラ戦は手前のザコ戦で資金を稼げるし、それを倒すと新エリア「ロンドン」に行くことが可能に。
 そしてロンドンで戦っていれば、レベルが上がってタイムマシンを使用可能になるので、以後はつらくなったらタイムマシンではじめに戻り、アーティファクトを手に入れれば良くなります。

 手に入るアーティファクトはランダムですが、どのアーティファクトも固有効果に加えて攻撃力を底上げする効果もあるため、2周目からは進行が速くなり、初期の怪獣は秒殺できるようになるでしょう。

 ボスに連敗を強いられる仕様はどうかと思いますが…… クリッカーとしては非常に高クオリティです。
 何より怪獣が豊富で、それぞれ動きが異なり、歴代ゴジラの違いも再現されていて、大手メーカーが本気で作ったクリッカーという印象を受けます。
 用語やキャラクターのデザインなど、全体に漂う昭和感も良いです。

 一気にレベルアップさせるボタンがない、リセット後の序盤ステージのショートカットがないなど、他の『Tap Titans』系と比べると細かい配慮が乏しいのは感じます。
 一方で、登場するモンスターが聞き覚えのある怪獣になっているのは、見知らぬモンスターと戦うより楽しく、ゴジラのIP(知的財産)の強さを感じますね。

 ストアレビューにはクリッカー未経験の方の批判が多数見られ、確かに『Tap Titans』系を知らない方に対する攻略上のフォローは足りていない気もしますが、経験者にとっては違和感のない内容。
 クリッカーが好きな方、ゴジラシリーズを愛する方には、おすすめのアプリです。


 【 ちょこっと攻略 】

※DPSは「Damage Per Second」、1秒あたりの攻撃力の略です。クリッカーでは一般的な用語。ただ、あくまで平均値で、毎秒このダメージが入るわけではありません。

・基本的には、もっとも強い兵器でないと、レベルアップさせてもDPSはまともに高まりません。
・ただし、一定のレベルに到達することで兵器のランクがアップし、攻撃力が桁違いに上がるため、このときは下位の兵器でも相応にDPSが高まります。

Lv50までは、Lv25ごとにランクがアップします。容易に上げられるため、どの兵器も星2(1-2)までは上げておくと良いでしょう。
Lv50からLv300(2-3)までは、Lv50ごとにランクがアップします。要求される金額が大幅に増えますが、それでもLv300までは上げやすいです。
・Lv300の次はLv400(3-0)でランクアップ。そこからはLv200ごとにアップし、Lv1000(3-3)でMAXです。
Lv400以降は非常にランクアップしづらくなります。下位の兵器をランクアップさせようとして途中で資金が足りなくなると、ほとんどDPSが上がらず無駄金になります。不用意に手を出さず、無理だと思ったらすぐ中止を。

・先のエリアほど資金効率が良く、エリア間は自由に行き来できるため、ロンドンやシドニーに行けるようになったら、そこでお金を稼いで東京に戻るという方法で、東京で強力な防衛力を得ることができます。

ゴジラディフェンスフォース

歴代ゴジラと怪獣が総登場する地球防衛クリッカー

初代から『シン・ゴジラ』まで、歴代シリーズに登場する怪獣たちが一同に会する地球防衛クリッカー【レビュー:ゴジラディフェンスフォース】_019
(画像はゴジラディフェンスフォース – AppStoreより)

・クリッカー(クッキークリッカー系、Tap Titans亜種)
・開発:NEXON / NEOPLE / STUDIO42(韓国)
・販売:NEXON(韓国)
・アプリ本体無料、課金要素あり

文/カムライターオ

【あわせて読みたい】

ポプ子とピピ美が敵を勝手にしばいて回る、自動進行のハクスラ系クソアクションRPGが登場【レビュー:ポプテピピック++ ~ポプ子ピピ美の友情大作戦~】

 「クソ4コマ」や「クソアニメ」を自称する、女子中学生(中身は実質オヤジ)のふたりが、予測不可能、支離滅裂、レゲーネタ満載のシュールギャグを脈絡なく連発する、人気のクソ作品『ポプテピピック』。
 そんなクソアニメを「鷹の爪団」で知られるメーカー「DLE」がクソゲーにしてしまった、スマホ用クソアプリが公開されてしまいました。
 『ポプテピピック++ ~ポプ子ピピ美の友情大作戦~』です。

 このゲームは見た目はアクションRPGですが、2016年に公開された『Nonstop Knight』というゲームによく似ており、クリッカー(クッキークリッカー系)の延長線上にある作品です。

関連記事:

【シン・ゴジラ大ヒット記念】今だから遊びたい『ゴジラ』ゲームまとめ〜MSXからVRまで〜

iPhone AC 番外レポート : Tap Titans 2 – 世界的な人気のクリッカー RPG に続編が登場

著者
初代から『シン・ゴジラ』まで、歴代シリーズに登場する怪獣たちが一同に会する地球防衛クリッカー【レビュー:ゴジラディフェンスフォース】_020
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

Amazon売上ランキング

集計期間:2024年4月26日10時~2024年4月26日11時

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ