世紀末の街は砂埃の匂い
MADサバでは戦闘だけでなく、「街」エリアで世紀末の日常生活を味わうこともできる。
街ではさまざまな行商人がいたるところに店を広げており、あたかも『フォールアウト』シリーズの街のような雰囲気に包まれている。
行商人が売っている品物は、ただの水から手製のアクセサリー、さらには本格的な金属マスクまでと非常に幅広い。
街では基本的にCAPで売買を行うが、なかには妙なおっさんが描かれた紙切れで応じてくれる、物好きな行商人もいる。
CAPの手持ちが足りない場合は、交渉してみるのもよいだろう。
また、街で売られているのは物品だけではない。世紀末に生きる人々は、さまざまなサービスを提供することでも日銭を得ている。
「弾丸摘出屋」では、戦闘で身体に受けた弾の摘出処理を請け負っている。銃傷に対しては、早めのケアが大切だ。
面倒臭がって銃弾を残したままにしていると、傷の治りも悪く、弾丸に含まれたなにかが悪さをしかねない。
筆者はAコースを選択し、最先端の“ブレットリムーバー”なる機器で弾丸を摘出していただいた。
摘出には激しい痛みを伴う。しかしそれを乗り越えてこそ、明日もまた生き延びることができるのだ。
摘出後には謎の白い粉末を溶いた水を提供された。店主いわく、滋養強壮に良く、飲めば疲労がポンと取れる薬だとのこと。治療後のアフターケアも万全の優良店だ。
なお、摘出した弾丸は記念品として頂いた。
身体に受けた弾丸は、世紀末に生きる漢の勲章のひとつだ。
ほかにも、世紀末の街にはあらゆる手段でCAPを稼ごうとする商魂たくましい人々の営みがあった。
こちらはその名も「甲冑殴られ屋」。甲冑を着込んだ店主を武器で殴って、戦闘の訓練や、新調した武器の試し切りをサービスにしている。
こちらの店ではサウナを営業。そこらの石を熱して温める、ワイルドながらも本格的なスタイルだ。
蒸された熱気が、戦闘で疲れた身体に染み渡る。これはたまらない。
ちなみに、あいにく入場料のCAPが足りなかったのだが、店主はじつに気のいい人物で、奴隷首輪をつけて3回回ってワンと鳴けば、タダで入れてくれた。
持たざる者は持てる者に逆らってはならない。これも世紀末の理である。
自慢のMADビークルをお披露目!
街エリアに隣接している「自治区」エリアでは、なんと車両の乗り入れが可能。
ここぞとばかりに、自慢のMADカー・世紀末バイクが大集合した。
午後には、実際にMADビークルを乗り回す車両コンテストも開催された。
エンジンをブンブンと吹かし、砂埃を巻き上げるさまはじつに世紀末の空気に似つかわしい。
なお、彼らはきちんと交通規則を守り、公道を走ってここまで来ている。真の漢だ。
水着コンテスト。それは世紀末に訪れた、ひとときの祝祭
世紀末にあっては、娯楽は貴重だ。ネットもなければ、スマホもない、ゲームもない。そもそも電気が通っていない。漫画も映画も核爆発の熱波で焼失した。
そんな娯楽に乏しい社会であるにもかかわらず、MADサバ運営自治隊は最高の娯楽を我々参加者に提供してくれた。美男美女、MADメン&MADウィメンが己の肉体美を競い合う、水着コンテストだ!
ルールは簡単。1枚あたり3CAPの紙幣を購入し、推しの水着ガール&ボーイのあんなところやこんなところに挟むという、ウェイストランド・スタイルだ。
次々と現れる挑戦的な水着姿に、会場のMAD戦士たちは大興奮。推しの男女を定めるやいなや、我先にと紙幣を挟みに群がってゆく。
その盛り上がりの度合いは、戦場でのそれを遥かに凌ぐほどであった。世紀末では、娯楽はそれほどに貴重なものなのだ。
水着の美男美女はマッシヴな音楽に合わせて踊り、漢たちは狂ったように紙幣を買い求め、運営は当初3CAPであった紙幣を1CAPに値下げする。会場のIQは下がり続けるが、テンションは上がり続ける。
水着コンテスト。そこで人々は争いをやめ、踊り狂う。
そう、それは世紀末に訪れた、ひとときの祝祭だった。
「ふたりが入り!」、「出るのはひとり!」
しかし、祝祭はまだ終わらない。世紀末の漢たちは水着も好きだが、なんといっても血を見るのが大好きなのだ。
そんな漢たちの欲望を満たす、巨大な「サンダードーム」が会場に出現した。『マッドマックス/サンダードーム』でおなじみのこのドーム、こちらもルールはじつに簡単だ。
ふたりの漢が同時に入り、相手を倒すまで死闘を続ける。互いの腰にはチェーンがつけられ、どちらかが死ぬまでは出ることができない、文字通りのデス・マッチだ。
「ふたりが入り!」、「出るのはひとり!」の掛け声とともに闘士が入場。試合が始まるやいなや「殺せー!」、「やっちまえー!」との野次が飛び交う。
闘いを見ているだけでも、胸にふつふつと熱いものがこみ上がってくる。「殺せー!」、「いけ! そこだ!」と野次を飛ばすとき、私は完全に『マッドマックス』のモブと同化していた。そこには世紀末のリアルがあった。
やはり、真の漢どうしの果たし合いこそが世紀末の最高の娯楽だ。
残念ながら、筆者はCAP不足により闘士として参加できなかった。そんな始末では読者のみなさまに面目が立つまい。
そこで最後に、サンダードームに参加する闘士のひとりに許可を頂き、果たし合いの一部始終を動画で撮影させていただいた。
世紀末の漢どうしの、真の漢の闘いを、ぜひご覧いただきたい。
世紀末が初めてでも大丈夫!
日も暮れてきたころ、喫煙所で出会った参加者から興味深い話を聞けた。
いわく、MADサバの良いところは「世紀末なのに、あたたかい」ことだと言う。
いわゆる通常のサバゲーは、基本的に身内と楽しむもので、MADサバのように見知らぬ人と大人数で遊ぶことは少ないという。
もちろん、オンラインFPSのように“野良”で参加もすることもできるのだが、殺伐とした雰囲気になりがちだそうだ。
というのも、リアルのサバゲーは武器の性能差が顕著に出るからだ。高性能の武器、大容量のマガジンなど、お金をかければかけるほど強くなる。
しかも、当たればかなり痛い弾丸を全然知らない人から大量に浴びせられるのは正直悔しいこともある、とその戦士は笑いながらぼやいた。
その点で言えば、MADサバでの弾数制限はわずか30発。たしかに、戦闘中にフルオートで弾をばらまく戦闘スタイルはみかけなかった。すなわち、“ガチ勢”も“カジュアル勢”も同条件での闘いになっているのだ。
さらに言えば、銃器での撃ち合いならいざしらず、“近接戦闘”に関しては全員が素人だ。だからこそ、サバゲーが初めてで銃を撃ったことがなくても、己の身体ひとつで闘うことができる。
また、「世紀末」というコンセプトに関しても、特に定められた公式の世界観のようなものはなく、参加者がそれぞれ思い思いの世紀末的イマジネーションを勝手に表現している。世紀末的で、MADであれば、なにをしてもかまわないのだ。
その自由度の高さから、サバゲー界隈はもとより、映画好きやバイク好きやコスプレ界隈など、幅広い層から人が集まってきているのだという。
いつのまにか日は落ち、千葉の山中に暗闇が広がった。これから「缶ラックパーティー」が始まる。
参加者が缶詰を持ち寄り、みんなで一緒に夕飯を食べようという催しだ。
「結局、(普通のサバゲーの)定例会でもご飯は身内としか食べないじゃないですか。僕たちはそれが嫌だったんですよ。せっかく集まったんだから、みんなでフィールドのなかでご飯を食べようよ! そう思って、缶ラックパーティーを始めたんですよ!」
拡声器から、パーティーへの参加を呼びかける運営の声が聞こえてくる。
パーティーの後は焚き火を囲んでの宴が開かれ、戦士たちは翌日の朝5時まで飲み明かすのだ。
世紀末なのに、あたたかい。「MADサバ」という凶暴な字面とは裏腹に、このイベントが愛される理由が理解できた。
【プレゼントのお知らせ】
MADサバ運営・SATOMIC様謹製の“MADサバ スターターセット”をプレゼント!
内容物:
世紀末サバイバルハーネスセット(ホルスター付き)
エルボーパッド・ニーパッドセット
ウェザリング済みキャップ世紀末が初めてでも大丈夫!
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) October 15, 2018
“MADサバ” スターターセット
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