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思いがけず、お手軽リアルタイム戦術ゲーム「アンクラウン」にハマった話

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 唐突で大変恐縮だが、筆者(TAITAI)は、ゲームメディアの編集者になる前/なった直後の15〜20年ほど前に、『Age of Empires』『WarCraft 3』などといった、いわゆるRTS(リアルタイムストラテジー)というジャンルのゲームを相当やり込んだ人間である。

 どのくらいやり込んだかといえば、ゲームプレイの回数でいえば数千、もしかしたら万を超えていたかもというレベルであり、当時、まだ対戦環境が未整備だった中で、日本国内では「国内最強」を自負していた時期があったくらいである。

 世界ランキングでも、『Age of Empires』シリーズではランキング一桁。プレイ人口が桁外れに多かった『WarCraft 3』でも、Battle.netのサーバーでランキング二桁を維持していたほどだ。
 とくに『WarCraft 3』では、当時でもe-Sportsの走りというべき世界大会などがすでにあり、ランキング2桁クラスというのはそのほとんどがプロプレイヤーで、しのぎを削りあう世界。あの時代、日本人でそういうレベルに到達しているプレイヤーは、自分が知る限りでも数えるほどしかいなかったように思う。

 当然、学校にもろくに行かず、会社は……さすがにある程度ちゃんと行ってはいたが、睡眠時間を削りに削って、夜な夜な世界の強豪たちとの激戦を繰り広げていた。いやいや、あの時は若かった。
 というか、元気だったな。要するに何が言いたいかというと、時代が時代なら、自分もプロ選手とかを目指して頑張っていたかもしれないくらい、RTSに青年期を捧げていたという話である。

 しかし。
 時の流れは無情だ。30歳が近くなるにつれ、仕事も忙しくなってプレイ時間は減り、肉体的な反射神経や集中力も維持しづらくなった。時間がない、もう勝てないしという思いを抱きながら、RTSの世界からは徐々に遠ざかっていってしまった。
 ときおり、『Dota 2』『League of Legends』の人気っぷりを横目で見ながらも、遊びたい気持ちを抑え込み、「というか、いまハマったら生活がやべえ!(自分の性格的に)」とプレイすることを避けてきたわけだ。

 そんな筆者が、最近、『アンクラウン』というスマートフォン向けのRTSをプレイしてみたところ、これが思いがけず、結構ハマってしまった。本作には、ライトでありながらも、確かな”本格派の味”がしたからである。

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『アンクラウン』

 なので、せっかくならばと今回、簡単なレビューを書いてみたいと思った次第である。
 ……すいません、前置きが長くなりました。

文/TAITAI


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ランキング上位20位が特別な称号を得られるというイベントの結果。この時点ではランキングトップに。まだまだ若いもんには負けんぞい

簡単操作で「対戦の駆け引き」を楽しめる秀作

 というわけで、さっそく『アンクラウン』の紹介をしていきたい。
 
 本作は、新興デベロッパのネストピが開発を手掛けるスマートフォン向けのリアルタイム戦術ゲーム。最大で200人もの兵士入り乱れるという内容で、お手軽な操作&システムながらも、対戦ゲームとしてはなかなかの”本格”風味という、素人向けなのか玄人向けなのか良くわからない作品である。

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 一戦あたりのプレイ時間は、最大でも4分間。気軽にプレイできる内容ながらも、平野や山,湖など,さまざまな地形を考慮して戦わないといけないため、プレイヤーには適切な判断が求められる。

 ゲームシステム的には、マップ上に点在する「拠点」を取り合う、いわゆる陣取りゲームだ。兵士はマップ上のどこでも自由に動けるというわけではなく、兵士の操作は、あくまで拠点から拠点への移動のみ。
 移動は、スライド操作で他の拠点を指し示すだけで済むため、操作はとても簡単だし、考えるポイントもその分絞られる。

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 ある種、通常のRTSから”駆け引きの部分だけを抽出”したようなゲーム内容になっており、そのあたりが、ライトかつ本格派たるゆえんと言えるだろう。実際、筆者のようなガチガチのRTSプレイヤーでも、十分に楽しめるだけの手応えが、確かにある。

本作の勝敗は「英雄」の扱いにあり

 加えて本作には、通常の兵士の他に「英雄」という存在があり、それらを成長させていく育成要素も内包している。
 英雄とは、さまざまな効果を持つ特別なユニットで、出撃させるには相応のコスト(兵士数を消費する)が、拠点の攻略や偵察、あるいは範囲攻撃が可能な魔法の発動など、英雄の扱いによって戦場の行方が左右される。

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 具体的には、移動速度は遅いが敵拠点に到達しさえすれば守りの兵士数を一気に8割減らす「ヴァンガード」や、前衛の英雄を一定間隔ごとに回復する「クレリック」、高コストかつ体力は低いが威力の高い範囲攻撃持ちの「グラディエイター」などなど。
 さまざまな個性を持つこれらの英雄を使いこなすことが、勝負を鍵を握るわけだ。

 英雄は、プレイヤーの「領地レベル」によって所有できる数が決められており、複数の英雄をカードゲームのデッキを組むような感覚でセットして、戦いに臨む。実際のゲーム中では、手札にある3体の英雄を使い分けながらプレイしていく。

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 3つある枠の英雄のどれかを出撃させると、次の英雄が手札に組み込まれる(カードゲームのような感覚)というわけだ。

 英雄の引きの順番が悪いと、いわゆる事故死みたいなことも起こり得るが、それらも含めて、どんなデッキを編成するのか?が本作の考えどころの一つなのである。

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英雄の編成は、カードゲームの「デッキ」を連想してもらえれば分かりやすい。

 また英雄には、武器や防具などのアイテムを装備させるという概念があり、その装備したアイテムの強さによって、英雄自体のレベル(=能力)が上がるというシステムになっている。武器は、下位なものから高レアなものまでさまざまあり、さらにアイテムは強化することもできるので、このアイテムの強化が、本作の事実上の育成要素となっているのだ。

 アイテムの強化には、(ゲーム内の)多額のお金が必要になるため、どのアイテムを強化するか、あるいはお金を領地の発展(レベルが上がると、英雄の所有数を増やせる)に費やすか? プレイヤーは頭を悩ませることになる。

 ちなみに対戦は、同じレベルのプレイヤーが自動マッチングされるシステムを採用。サービス開始直後こそ、やや不安定な面も否めなかったが、アップデートにより最近はあまり不満を感じることはなくなった。

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英雄は、戦闘に勝利した後に一定確率で発生する「酒場」イベントにてスカウトできる。しかし、ランクが高い英雄ほど仲間になりづらい。スカウトの金額を増やすことで成功率は増やせるが……失敗したときのリスクが大きいので、ほどほどにするのがオススメ
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武器やお金は、ゲーム中の「宝箱」を開けることで入手可能だ。いわゆるルートボックス方式。宝箱は時間をかけることで開けることもできるか、「金貨」を使うことで時短も可能。金貨は貯めていてもそんなに使いみちはないので、宝箱を開けるために使いまくることを推奨する

これからの海外展開&アップデートに期待

 さて、最後に。
 ここまで、いろいろと褒めてきた部分も多いが、本作が「まだまだこれから」なところも否定できないだろう。そもそも、ゲーム内のメニューにある「施設」の項目はまだ未実装だし、細かな不具合やバランス調整に四苦八苦しているところもある。
 何より、本作は小さな会社が作ったインディーゲームということもあって、十分なプロモーションができているとは言い難く、プレイヤー人数も決して多くはない。

 とくに、ゲームバランスがやや”Pay to Win”に寄りがちなところ(『クラッシュ・ロワイヤル』にしても、その傾向はあるので、一概に悪いとは言えないが)や、それでいて対戦をする以外のゲームモードがなく、結果的に初心者の参入を狭めてしまっている点などは、早急に改善が求められると思う。
 対戦ゲームである以上、勝ち負けは存在するし、どうしても「負けてしまうプレイヤーをどう扱うか」という問題がつきまとう。しかし、対戦ゲームであっても、初心者が楽しめないゲームはどこかで行き詰まっていってしまうのはこれまでの歴史を見ても自明。このあたりは、1プレイヤーとしてもなんとかしてほしいと願うばかりである。

 しかし一方で、今後への期待感もある。
 まだアプリの配信自体が日本国内のみで、海外への配信がこれからとのことで、それに向けてのアップデート内容さえしっかりしていれば、プレイヤー数の問題も含めて劇的に改善される可能性もある。開発者自信がDiscordで専用サーバーを立てて、意見を求めたりもしているので、現プレイヤーはそちらに要望を送ってみるのもよいだろう。

 ともあれ。
 お手軽ながらも、本格的な”対戦ゲームの味”を楽しめる本作。筆者のようなかつてのRTSプレイヤーや、あるいはRTSに興味を持ちながらもプレイできてこなかった人は、ぜひ一度プレイしてみてほしい。

 ……ってか、もっとプレイヤーが増えるといいなぁ。

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著者
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電ファミニコゲーマー編集長、およびニコニコニュース編集長。
元々は、ゲーム情報サイト「 4Gamer.net」の副編集長として、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、同サイトの設計、企画立案などサイトの運営全般に携わる。4Gamer時代は、対談企画「 ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」などの人気コーナーを担当。本サイトの方でも、主に「 ゲームの企画書」など、いわゆる読み物系やインタビューものを担当している。
Twitter: @TAITAI999

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