入院したら理想の病院がわかった
そして退院してふたたび『ツーポイントホスピタル』を起動した私は……変わった。こんな病院はダメだ。病院は……快適で、楽しみがあって、気分良く治療ができる場所じゃねえとダメなんだっ! 人の動線をめちゃめちゃにするためだけにクソデカにした総合診察室とかいらねえ! 小さくなれ!
そして患者の渋滞を解消するため診察室を増やし、休憩ローテーションがちゃんと回るように追加の医者を雇い!
スタッフのモチベーションを上げるためにどんどん昇進と昇給をして!
監査組織からお墨付きを得て評価を上げッ! 難病でよその病院から流れてきた患者を完治させる! これが……これが病院じゃい!!!
そして幸福に患者を治し、対価を得る日々に充足感を覚えていたある日……厚生大臣から手紙が届くのだった。そうだった。私の目的は3つ星病院になることなんだったわ……。フッ、すっかり忘れていたよ……。みんなの病気を治すことに必死になりすぎてな……。
見習いどもを育てて感動
プレイしているエリアの病院を3つ星にすると次なるエリアの病院が開放され、新たな要素が解禁されたりする。とくに3つ目のエリア「フロトリング」で開放される「スタッフ研修」の要素はかなり重要っぽい。
「スタッフ研修」は研修室を作ることで行うことができるシステムで、これを用いることで新たなスキルを覚えさせたり、すでに所持してるスキルの性能を上げることができる。例えば精神病の患者は精神医学スキルを持ってる医師じゃないと対応できないんだが、精神医学を最初から持ってる医師はけっこうレアなのでガシガシ研修しないと人手が足りない。
そのほか看護師に注射スキルを学ばせたり、管理人にオバケ退治【※】スキルを学ばせたりしないと確実に詰むので研修にはけっこうなカロリーを費やすことになる。
※本作の患者はほっとくとやがて死ぬ。死んでも別に怒られたりしないが病院内で化けて出てほかの患者やスタッフを脅かす迷惑な存在になるのでオバケ退治スキル持ちの管理人に掃除機で吸ってもらわなければならない。成仏しやがれ!
このスタッフ研修をバリバリ回さなくちゃいけなくて思い出深い病院となったのが4つ目にプレイした「ミットン大学」だ。このエリアでは新たに「研究室」の要素が開放され、研究スタッフを配置することで新たな技術を得ることができるんだがそれ以上に恐ろしいのが……。
大学だから医師と看護師が学生しか雇えないんだよ! ヤツらは全員スキルゼロの無能力者、雇った段階では診察しかできない段階だ。だから治療をさせるためにはガンガン研修室に突っ込んで勉強させなきゃあならない。
もちろん研究室を利用するのには研究スキルを持つ医師がいる! でも雇える医師は全員無能力の学生!
この状況が何を意味するかというと……まず、最初に話したとおりすべての治療のためには「診察」が必要だ。「診察」を行うのは「医師」で、さらに軽い病気だった場合は「薬局」で「看護師」に調剤をさせることで治療することができる。
診察と調剤はペーペーの医学生でもこなせるのでここまでは問題ない。だけど問題はここからで、例えば診察した結果注射が必要な患者とか、精神病の患者が出てきたときに医学生では対応できない!
だから研修室にぶち込んで勉強させなきゃいけないんだがそうなると当然「診察」が行えなくなる。だから新しい「医師」を雇う。診察を行わないと金が稼げないからな。だが当然そいつらも医学生! スキルは無い! だからそいつらも勉強させないと穀潰しだ! だがそんな無能力の医学生にも給料は払わなきゃあならん! さらに「研修」にも金がかかる! 病院内にプロの医者がいないから外部から講師を雇わなきゃあいけないからだ!
金は稼げない! 金はかかる! うわあああどうすんだ!
仕方ないッッッ……! ローンを組むしかないッッ……! これは投資……! 投資だから! 未来への投資ッ! 若者たちが大きくなってジャンジャン稼いでくれる、その未来のための投資!!!
ンギーッ!!!! ギギギギギッ!!! なっ、なんで……! なんでローンを組んでもお金が無いのッッッ!!!
仕方がないのでやっていく……! 多重債務ッッ! なんでこんなことにっ! 大学のガキどもを養うためになんで私がこんな目に会わなきゃならねえんだっ! っていうかこのゲームなんで赤字になってもゲームオーバーにしてくれねえんだっ! 現実の病院経営にはゲームオーバーなんて無いからか。例え自分が素寒貧になっても患者を治療する……それが病院だ! たぶん。
当然トーシロばかりで人手も足りてないし満足に事務スタッフや管理人も雇えない病院はなにからなにまでカツカツで評判もサイアク。でもほかにやることも無いので爪に火を灯しながらコツコツ施設や人員を増やして患者を捌いていくしかねえ。やっていくことしかできない。医者に逃げることは許されねえんだ……。
それでもなんとか……なんとか10年! 潰れずにやっていき……経営を改善し……黒字転換を果たし……患者の評判をコツコツと積み上げ……。
やったよ……あたしゃやったよ。ついに大学病院を3つ星病院にすることができた! いや、このステージはマジでツラかったし感慨もひとしお。ここまでのステージはだいたい3つ星にするまでに3時間程度でなんとかなったけどここは5時間くらいかかったよ…。それだけに思い出深い病院となった。学生のころから知ってるヒヨッコ医師を医師長に昇進させたときはジーンとしたね。大きくなったじゃねえか坊主……!
病院経営、楽しいじゃん
と、つい感情移入しすぎてまじめな病院経営みたいになっちゃったけど基本はこのゲーム、バカな病気をバカな治療法で治す気楽なゲームだ。でもそれでいて経営面はけっこうガチなデータを閲覧できたりして効率を詰めようと思ったらいくらでも詰められそうな深みもあってかなりいい。締め切りがあるから4ステージほど3つ星病院にしたところで中断して記事を書き始めたけどダラダラーッといつまでも遊んでいられるようないい~ゲームだったぜ。
最初は「病院なんか経営したくねぇ~な別に…」と思ってたけど始めると「グアーッ!! 少しでも腕のいい医者を雇ってこい!!! なんとかしろ!!!!」ってかなりムキになってしまったよ……。病院が舞台となっていることで会社や店舗の運営とはまた違った手触りで「どうすれば患者に満足感を得てもらえるのか?」ってところを考えなきゃいけないしそういった面でもおもしろかったね。マシーナリーとも子オススメです。
というわけで『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』はPS4・Nintendo Switchで発売! ぜひ遊んでみてね。
オマケ:こざかしい評価上げテク
と、レビューはこんなところで終わりにしたいけど最後にゲーム中に見つけたこざかしいテクをご紹介します。もしかしたらPC版のころからやり込んでるプレイヤーに見られると鼻で笑われるかもしれんけどおもしろかったので……。
例えば小さめのトイレを作ったとするじゃないですか。便器をふたつ置いて、手洗い場とジェットタオルとゴミ箱を置いて、ってすると大抵部屋のレベルが2止まりなんですよ。別にいいんだけど4くらいにすると病院全体のレベルも強まって金が稼げるので有利なんだよな。でももう床になにかを置くスペースが全然無い!
こんなときに便利なのが「ジャスミン・オデッセイの写真」というアイテム。ほかにもポスターはいろいろあるんだけどこれが初期からある上にやたら魅力度・名声の上昇率が高い。その上省スペースで貼りまくれる。
壁の空きスペースにとにかく貼りまくれ! するとかんたんにレベル4くらいになります。すげえ。同じ写真が何枚も貼ってあるトイレ、イヤすぎるだろ。
このテクは例えばスタッフから「快適なスタッフルームがほしい~」って要望があったときとかに手軽に応用できて便利です。パクっていいよ。
でもできあがった部屋は同じ写真が貼りまくられてて不気味です。以上終わり。さようなら。