自分でさえ知らなかった“エゴ”に気づかされる──学園RPG『モナーク/Monark』は、エゴとの向き合い方を考えさせられる、「思考実験」のようなゲームだった

エゴ ──

[1]
① 認識、意欲、行動などの主体として、他と区別される自分。自己。自我。
② フロイトの用語。感覚の刺激や肉体的要求の知覚と、身体運動との間を調節する心理装置。自己保存の役割を果たす。自我。
③ 自分本位の考え方や態度。また、そういう考え方の人。エゴイスト。エゴイズム。
[2] 〘形動〙 「エゴイスティック」の略。

(精選版 日本国語大辞典より引用)

 ひとは誰しもが自らのエゴを抱えて生きている。エゴとは、「わたし」と「あなた」を最も根本的に分かつもののひとつだ。だからこそ、エゴはもっとも共有が難しいもののひとつでもあるだろう。
 そんなエゴとエゴがぶつかりあってしまったとき、あなたはどうするだろうか? 

 あなたは「お互いに納得するまで話し合う」とか、争いを避けるため「諦めて自分が折れる」と答えるかもしれない。
 しかし、エゴとはそんな選択では到底済ませられないからこそ、エゴと呼ぶのだ。「あちらを立てればこちらが立たぬ」ものがエゴであり、あるいはエゴとは「どうしても譲れない一線」と言い換えてもいいかもしれない。

 このようなエゴを自分の中に見つけたとき、あなたはどう向き合うべきだろうか?
 
 『モナーク/Monark』というゲームは、このような問いをプレイヤーに投げかける。

 「エゴ診断」から始まるこのゲームは、プレイを進めていくうちに、プレイヤー自身でさえも気づくことのなかったエゴをあぶり出していく。しかも、そのエゴは戦闘スタイルやストーリーにも大きく影響を与えていく。
 そんなエゴとエゴがぶつかり合ったときに、どのようなことが起きるのか。『モナーク』は、その結果をシミュレートする「思考実験」のようなゲーム、とも言えるかもしれない。

文/tnhr
編集/実存伊藤誠之介


※この記事は、『モナーク/Monark』をもっと多くの方に遊んでほしいフリューさんと、電ファミニコゲーマー編集部のタイアップ企画です。

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理不尽な世界に放り込まれる『モナーク』

 『モナーク/Monark』(以下、『モナーク』)の舞台は、精神を狂わせる霧によって外界から遮断されてしまった学園だ。
 学園内には「モナーク」と呼ばれる悪魔と契約した7人の契約者が登場し、彼らは己の欲求やエゴを成し遂げるために「権能」と呼ばれる悪魔の力を使う。
 しかしその力を使うたび世界にユガミが生まれ、そのユガミは学園にいる生徒たちに直接的な危害を加える。ゆえに学園はパニック状態に陥っており、見るに耐えない暴力が罷り通っている。

 それに対して記憶を失った主人公は、不慮の事故により、モナークと受動的に契約してしまったという。
 封鎖された学園を脱出するためには、7人の契約者の力を支える「イデア」と呼ばれる結晶を、すべて破壊しなければならない。学園長の神宮ソラに見いだされた主人公は、8人目の契約者として、この理不尽な状況に抗っていく……。

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主人公のモナークはふわふわのウサギ

 登場人物たちが抱える願いやエゴは人それぞれだ。他人に直接害を与えてしまうほど凶悪なものもあれば、逆に他者を救うこともある。それぞれのエゴは存在感が強く、共存していくことが難しい。

 主人公も含めた登場人物たちのエゴが、どのように衝突するのかを体験していくことが、このゲームの物語における重要なポイントになっている。

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主人公=プレイヤーという結びつきを強める診断パート

 『モナーク』では心理テストによるエゴ診断を用いて、主人公が持つ欲望の方向性が決定される。
 この診断はゲームの冒頭だけでなく、物語の重要な節目で何度か繰り返し行われるため、プレイヤーは自分がどのような存在なのか、どのような欲求を持っているのかを常に意識しながら、ゲームを進めていくことになる。

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 エゴ診断の結果から得られた方向性に基づいて、主人公は7種類の属性を持つ「眷属」を獲得できる。この眷属は、プレイヤーとともに戦闘を行う、マネキンのような姿をした悪魔だ。
 プレイヤーのエゴを最も反映した属性の眷属から使用可能になるので、エゴ診断の結果はその後の戦闘スタイルに大きな影響を与える。ちなみにそれぞれの眷属は、外見や声をプレイヤーの好みにカスタマイズできるほか、エゴの強さに比例して装備強化の幅が広がっていく。

 エゴ診断の結果が当てはまっているかどうかはプレイヤーによるかもしれないが、診断テストに臨む際はできるだけ自分の中のエゴを意識して回答するのが、『モナーク』をより楽しむうえで重要になるはずだ。
 もし当てはまらなかったとしても、そのエゴはあなた自身も気づいてなかった、あなたの一部なのかもしれない。

 ちなみに、本作の公式サイトでエゴ診断を行うことができるので、気になる方はあらかじめ診断してみるのもよいだろう。

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 このエゴ診断システムに加え、本作の主人公のセリフは基本的に選択肢となっており、これがまたプレイヤー自身のエゴや欲望を反映させるものとなっている。

 つまり、本作における主人公はまさにプレイヤーの写し鏡なのだ。ゲーム中で主人公の身に降りかかる出来事は、「すべてあなた自身が選び取った運命である」ということを肝に命じておこう。

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霧に包まれた探索パートはホラーゲームさながらの恐怖と緊張感

 主人公たちは7人の契約者を倒すため、学園内を探索していくことになるのだが、学園中を覆う霧は生徒の精神を狂わせる謎の力を持っている。

 探索は慎重に行いたいところだが、霧の中に長く居続けると狂気の度合いを示す「MAD値」が上昇していき、これが100%になると保健室に連れ戻されてしまう。
 また、学園内には霧に狂わされた生徒たちが徘徊しており、彼らにうっかり近づいてしまうと、一気にMAD値が溜まってしまうので、注意が必要だ。

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 霧というものは恐怖に結びつきやすい。実態がなく、ぼんやりとした影だけがゆらゆらと動く。霧自体は掴むことができないし、どこまで深いのかも想像が難しい。

 霧の中での探索パートは、慣れないうちはかなり慎重になってしまうし、慣れてもひとたび油断すればあっという間に保健室送りとなるほど。まるでホラーゲームさながらの緊張感だ。

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「狂気を統べろ」暴走する力をコントロールするためにつながるコンボ

 『モナーク』の戦闘はターン制のコマンドバトルだが、マス目のないマップでキャラクターを動かして、範囲内にいる敵を攻撃できるという戦術シミュレーションのようなシステムだ。

 主人公とその味方である「バディ」の2人に、プレイヤーが自分の好みに応じてカスタマイズさせた「眷属」を加えた、最大6体のキャラクターを操作して、背後からの攻撃や周囲の味方との連携など、味方と敵の位置を考えながら戦闘を有利に運ぼう。

 戦闘では「技能」や「権能」といった強力な能力を使用できるが、本作ではMP(マジックポイント)のようなスキル専用のゲージが存在しない。
 その代わり、技能や権能を使用するごとに、自らのHPを削ったり、MAD値(発狂度)が上昇したりと、強力な攻撃にはつねにリスクが伴う仕組みとなっているのだ。

 そのためか、本作の戦闘は難易度がそこそこ高めに感じられた。カジュアルモードという救済システムはあるものの、気を抜いているとすぐに足元をすくわれてしまうほどだ。

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 MAD値がマックスになると「発狂状態」となり、制御不能となって3ターンほど敵味方問わず攻撃した後に、自滅してしまう。特に主人公は、戦闘で倒れるとゲームオーバーになるため、主人公の発狂はすなわち敗北を意味する。
 ただし、発狂状態ではステータスがかなり上昇するため、状況によっては味方が攻撃されてしまうリスクを承知で、あえて仲間を発狂状態にするといった選択肢もあり得るだろう。

 また発狂度以外に「覚醒度」というパラメータもあり、ダメージを受けるなどして覚醒度がマックスになると「覚醒状態」となり、ステータスが上昇するほか、この状態でしか使えない「覚醒技」が使用できるようになる。

 さらに、主人公だけが使用できる「共感」と呼ばれる権能があるのだが、これを使うと味方のユニットに権能やステータス変化の共有を行うことができる。ここで重要なのは、「発狂」も「覚醒」も共有できる点だ。

 「共感」を使って発狂状態と覚醒状態が重なると「発狂覚醒状態」となり、両方のメリットが得られる上に、発狂状態の最大のデメリットとなっていた制御不能状態を受けうけなくなる。つまり自らの意思で行動できる上に、自滅もなくなるわけだ。

 このように、「狂気を統べる」ことによって状況を有利に運ぶのが、『モナーク』の戦闘の醍醐味となっている。
 ただし共感は、状態異常といったマイナスの変化も共有されてしまうため、状況によっては一気に形成逆転されることもあるので、注意が必要だ。

 ちなみに、契約者との戦闘ではボーカル付きの曲が流れる。とにかくこれが激アツな演出となっているので、ぜひプレイして確かめてみてほしい。

作りこまれた学園生活と分岐していく運命

 本作の登場人物総数は100人を超えるが、どのキャラにもしっかりとした出自があり、みなそれぞれのエゴを抱えて生きていることがわかる。
 しかも、こうした各キャラのプロフィールは学園が抱える問題やゲーム内で登場する謎解きのヒントになっていることもある。

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 さらに、会話によって新たにエゴ診断が発生することも。
 学園内で出会うキャラにはバンバンと声をかけていき、どんな人間なのかを知っていけば、本作はさらに面白く深みを増していくはずだ。

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 冒頭で述べたように、『モナーク』には主人公の味方である「バディ」になってくれる4人のキャラクターがいる。
 4人のうちひとりずつと共に行動して学園を探索し、契約者を倒していくのだが、バディ候補はいずれも強いエゴを持っている人物なので、4人全員と仲良くエンディングを迎えるというわけにはいかない。

 物語が終盤に差し掛かると主人公、そしてプレイヤーは運命の分岐路に立たされる。最終的に誰と共存することを選択するのか。それはゲームプレイを通して自ら判断していくしかない。

 主人公の味方になってくれるはずだった4人のエゴは交差し、お互いに潰し合うのか。自分たちが今まで正義だと思ってやっていたことは、本当に正しいことだったのか。
 実際は自分のエゴのために、他人のエゴを否定し続けただけではないのか。その答えは自分自身の選択を続けてきたプレイヤーにしか分からない。

 ちなみに、私が最初に選択したキャラクターは「駿河台こころ」だ。

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 彼女は「怠惰の契約者」。飛び級で入学した海外の大学を中退し、日本の高校に入り直すという、なかなかにややこしい経歴を持っている。
 図書室に入り浸り、本をとにかくたくさん読む。好きな食べ物は焼きそばパン。「私は安心安全な女」と言い続け、「他人には絶対に迷惑をかけない」というポーズをとり続ける。

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 戦闘スタイルはなかなか派手で、椅子に座って大砲をぶっ放す。彼女の大砲は本作では珍しい遠距離範囲攻撃となっているのだが、はじめのうちは攻撃力が著しく低いため運用が難しい。
 それでも私はこのキャラクターに魅力を感じたため、戦闘でどうにか上手く使う方法を考えていった。

 駿河台こころというキャラクターは「安心安全」をテーマにして行動しているのだが、もちろんそれには深い理由がある。
 駿河台こころはなぜ「怠惰の契約者」なのか。なぜ彼女は自分が他人に危害を加えないことを主張し続けるのか。プレイしていくうちにきっと知りたくなるはずだ。

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 ゲームの中でこうしてキャラクターと対話していると、プレイヤーである自分の中にも、「他者と深く関わりたいという欲望」があることに気づかされる。それもまた、このゲームをプレイするまでは意識することのなかった、自分自身のエゴなのだろう。

 『モナーク/Monark』はNintendo Switch、PlayStation 4、PlayStation 5向けに好評発売中。Steam版は2022年に発売予定だ。
 価格はいずれも税込で通常版がパッケージ・ダウンロードともに8470円、特典付きの限定版は税込10890円となっている。

 このゲームをプレイして、あなたも知らなかった自らのエゴと向き合ってみてはいかがだろうか。

ライター
『プリパラ』、『妖怪ウォッチ』ありがとう。黙々とゲームに没頭する日々。こっそりと同人ゲーム、同人誌を作っています。ネオ昭和ビジュアルノベル『ふりかけ☆スペイシー』よろしくお願いします。
Twitter:@zombie_haruchan
編集
ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a
ライター
過去には『電撃王』『電撃姫』『電撃オンライン』などで、クリエイターインタビューや業界分析記事を担当。また、アニメに関する著作も。現在は電ファミニコゲーマーで企画記事を執筆中。
Twitter:@ito_seinosuke
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