『FF』ナンバリング全作をプレイした男が紐解く『FF14:暁月のフィナーレ』。終わらないものであるMMOで、あえて「終わりを描く」とはどういうことなのか【ネタバレあり】

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 みなさん、『ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ』楽しんでるか──い!?
 旧FF14から数えて約11年。その長い年月を歩み続けてきたFF14もとい光の戦士の物語が一部完結を迎えるということで前代未聞の大盛り上がりを見せている最新の拡張パッケージ!

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 本当はある程度落ち着いてからログインしようと思っていた私もインターネットの大盛り上がりを見ていたらついこの熱狂の渦に混ざりたくなってしまい、12月3日のログイン戦争に出兵! 箱根駅伝の歩道に立っている人の気持ちが今やっと分かったかもしれません。

 押さないでください!
 押さないでください!
 吉田何とかしろよ!
 もう終焉迎えるってレベルじゃえねぞ!!

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 もう初日の人の多さったら尋常ではない! 結構処理能力は高いはずのFF14が表示限界に達し一部のキャラが画面から消えるし、クエスト進行のために話しかけなければならないNPCは人が多すぎて見えねえ!!

 一番ヤバいTonberryサーバーでは最大1万人待ちにまでなっていたとか……。
 なんとログイン待ち時間脅威の30分!!!
 新型iPhoneの発売日か!?

 そんなユーザー数の増加による一時販売停止などのニュースがFF14未プレイの方の耳にもある程度は届いているであろうこの『暁月のフィナーレ』の凄まじさを、今回はお伝えしよう。

文/ジスマロック
編集/実存

 
※注意※

今回の記事は『新生エオルゼア』『蒼天のイシュガルド』『紅蓮のリベレーター』『漆黒のヴィランズ』『暁月のフィナーレ』までのFF14の全てのネタバレが含まれる記事となっており、もし新生~漆黒までを今まさにプレイしていてネタバレが気になる光の戦士の方はここで折り返すことを強くオススメします。私としてもこの物語はできるだけネタを知らずに楽しんでほしい。今暁月プレイ中の方はもっと見ないでください。絶対に絶対に絶対にネタバレを食らうので見ないでください。ここまで忠告して見たらアナタの家の玄関の前で影身具現します。
(記事内に使われているカットシーンは、各コンテンツのプレイ状況によって分岐するシーンもあるため、筆者のプレイ状況によって微妙に違う可能性があります。ご了承ください。)


FF14の「次に繋げるため」のシナリオの手法

 FF14はMMORPG。流石にそんなことは周知の事実だろう。
 であるがゆえに、「MMORPG」という今日も明日も1年後もその世界の中で冒険を続けるジャンルであるがゆえに、FF14は常に「次に繋げる」ということを意識したシナリオを作り上げてきた。

 エオルゼアに進行してきたガレマール帝国軍第XIV軍団を退けて綺麗に終わるのではなく、その後の後処理で内ゲバが起きていく様を描いた新生エオルゼア

 教皇トールダン7世を倒しそこで綺麗に竜詩戦争が完結するのではなく、その後のドラゴン族とイシュガルドの民の和平までを描き、初めて「竜詩戦争の終結」なのだと定義した蒼天のイシュガルド
 
 ゼノス・イェー・ガルヴァス率いるガレマール帝国軍第XII軍団からアラミゴを奪還したところで全てが綺麗に収まるのではなく、その後の各国との関係修復やアラミゴ人とガレマール帝国のガレアン人の確執をもうしつこいほど描いてきた紅蓮のリベレーター

 第一世界に夜を取り戻し、ついに世界ひとつすら救ってしまったがそこで綺麗に終わるはずもなく「光の戦士が元々暮らしていた原初世界にどうやって戻るのか?」という「異世界転生して世界を救ったはいいけど、どうやってここから現実世界に帰還する?」みたいな問題に大真面目に取り組み始める漆黒のヴィランズ

 FF14の各拡張パッケージのシナリオはどれもこれも四者四様の違いを見せてはいるものの、「このシナリオが終わった後にまたいつも通りFF14の世界が存続していくかどうか」に重点を置いているところは全てのシナリオに共通している。

 いくら何でも後処理パートが丁寧すぎて「くどい!とっととメインストーリーを進めろ!」と痺れを切らしてしまうこともあるのだが、この「ラスボスを倒して全部綺麗に元通り!」になるのではなく、ラスボスを倒した後の戦いで傷ついた平民や各国の政治的状況の変化を異様に丁寧に描く手法は他のRPGでは中々味わえないFF14唯一無二の良さと言えるだろう。

 漆黒のヴィランズ内のアライアンスレイド「ヨルハ:ダークアポカリプス」がああいう【※1】終わり方をしたことについて、今年の公式14時間生放送でゲストクリエイターのヨコオタロウ氏は「FF14はMMORPGというジャンルだから、一度クエストをクリアしてそこでストーリーが完結するのではなく、その後の続いていく世界でも少しずつストーリーが続いていく形にした(要約)」と言っていた。

※1「ヨルハ:ダークアポカリプス」のああいう終わり方
FF14のアライアンスレイドは基本的にそのアライアンスレイドのシナリオひとつの中で完結するように作られていたものの、ニーアシリーズとのクロスオーバーコンテンツである「ヨルハ:ダークアポカリプス」においてはアライアンスレイドのシナリオの終了後に、1週間に1度だけ受注できるお使いクエストをこなすことで主人公的な位置づけだった「アノッグ」と「コノッグ」の顛末が徐々に徐々に判明していく特殊な仕様となっている。

 それほどFF14というゲームにおいて「シナリオの終了後に世界が存続するかどうか」は重要なファクターとなっているのだ。

 だがしかし今回の『暁月のフィナーレ』ではFF14のシナリオそのものが一旦完結を迎える! 株式会社スクウェア・エニックス取締役兼開発担当執行役員兼第三開発事業本部本部長兼ファイナルファンタジーXIVプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏曰く、「今回の暁月で新生からやってきた『ハイデリン・ゾディアーク編』は完結を迎えますが、むしろここからどんどんFF14は続いていく」そうなので、暁月はジョジョで言うところのファントムブラッド完結にすぎず、吉Pの脳内にはまだまだ広大なFF14サーガが広がっているのかもしれないが、それにしたって旧版から数えて約11年、新生から数えて約9年あれだけ「世界を続ける」ことを大事にして続けてきたFF14が1度目の「完結」を迎えるというのだから光の戦士達の熱狂は最高潮。

 というか暁月作って『FF16』作ってまだまだFF14続ける気マンマンの吉Pのバイタリティが私は一番怖いです。

 さらにFF14のシナリオが得意としている点をもうひとつ挙げるとするならば「どんな相手とも一度は歩み寄ってみる」というシナリオ全体の武力衝突を避けようとする方針にある。

 FF14の独自の要素として「蛮族」「蛮神」というものが存在する。
 
 蛮神は「蛮族の願いや祈りによって顕現する」システムになっている。つまり、蛮神を打倒するということは相手の願いや祈りそのものを踏みにじることに繋がってしまう。そこでFF14は例えどんな姿形をしていようとも、何とか歩み寄って和解に繋げようとする姿勢を多く見せてきた。いやまあこれはファイナルファンタジーなので結局イフリートともタイタンとも基本戦うハメにはなってしまうのですが……それは仕方ない。

 そして漆黒のヴィランズではこのFF14の世界の成り立ちそのものが「蛮神」によって成り立っていたことが明かされた。

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 これまで倒すべき相手だと思っていた「アシエン」はFF14世界が14の鏡像世界に分割される前……つまり光の戦士よりもずっとずっと前に世界を収めていた古代人だった。そしてその古代人達は自分達の世界を取り戻すべく暗躍していたことが明かされた。
 
 古代、終末に見舞われる世界の中にあっても「生きたい」と願った人々の祈りによって生み出された蛮神「ゾディアーク」。そしてそのゾディアークを倒すべく世界を14に分割した蛮神「ハイデリン」

 最大の敵だと思われていたゾディアークすらも幾度となく繰り返されてきた「蛮神を召喚する異種族との戦い」に帰結する構造の美しさには驚かされる。そしてそのゾディアークとついに決着をつけるのが今回の『暁月のフィナーレ』という訳です。

 暁月の導入はラザハンに立ち寄り「終末の塔」の対策を練るところから始まる。
 漆黒の最終パッチにてエオルゼア全土に出現した終末の塔は強力なエーテル放射によって近くに居る人間を即座にテンパード化(信徒化)させてしまう。まずはこの塔をどうにかして各地の人々を救わなければ話が何も始まらない。

 そこで登場するのが「護魂の霊鱗」

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 ラザハンの錬金術師達の手によって生み出されたこのアイテムは終末の塔の強力なエーテル放射を竜の鱗と錬金術の合わせ技によってガードする優れモノ。

 ナンバリングではFF1とFF3くらいしか明確には使っていなかった「光の戦士」という存在を主人公に話を進める以上、今時「光の戦士の光のパワーで何とかなりました」などというフワッとした理論を振りかざさずに丁寧に作中の出来事に理論を立ててくるのもFF14の良いところです。

 そしてこの「護魂の霊鱗」に使う竜の鱗を供給しているのは「七大天竜」のヴリトラ。新生の頃から設定上は存在していた「七大天竜」の一枠がついにここで初登場!

 FF14の設定の詰め方がいよいよ恐ろしくなってきた。ニーズヘッグ・フレースヴェルグ・ラタトスク・バハムート・ティアマット・ヴリトラ・アジュダヤの7匹揃って七大天竜なのですが、11年かけて未だに最後の「アジュダヤ」は一度も姿を見せていないのがさらに恐ろしい。

 そして終末の塔の問題を解決した光の戦士達が次に向かうのは帝都ガレマルド。
 新生、蒼天、紅蓮……とこちらもアシエンに負けず劣らず長い間エオルゼア同盟と戦い続けてきた帝国なのですが、ついに暁月では帝国のガレアン人との和平を描くところまで来てしまった。

 しかしやはり長年の歴史が積み重ねてきた禍根というものは中々消えるものではない。

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 崩壊した帝都ガレマルドから命からがら逃げ出してきたガレアン人をなんとか保護しようとするものの、エオルゼアの人間に命乞いをするくらいならば自決を選択する者。そんな救いの手を跳ねのけ逃げ出そうとして途中で命を落とす者。

 「何十年かけて積み重なった異種族同士の対立はそう簡単には解決しない」というFF14の真面目さがここでも発揮されまくっている。

 ここからさらに生き残りのガレアンの人々に捕虜とされ極寒の中公園の池に入ったりする寄り道的なクエストが連発されるようになり、流石に私も「暁月、これ大丈夫か……?」と不安になってしまったのですが、むしろこの異様なほど丁寧に異種族との歩み寄りを描く姿勢こそがFF14のシナリオの真面目さを担保している部分でもあり、やはりこの寄り道パートこそFF14の本質なのかもしれない。いやそうか……?

 既に帝都ガレマルドは崩壊しており、もはやエオルゼア同盟と帝国との決着もクソもない。つまりこの序盤のガレアン人との歩み寄りパートこそが11年繰り広げられた帝国との戦いの「戦後処理」でもあるのだと私は思いました。
 FF14が暁月を終えても存続するためには、まず崩壊した帝都ガレマルドと生き残ったガレアン人をどうにかしなければならない。

 普通RPGであればもうちょい前半は華やかに魔晄炉爆破するなりなんなりブッ飛ばしても良さそうなのですが、もう暁月はそんなのお構いなしに「ここまでついてきてくれた光の戦士のみんなはこのレベルの戦後処理には慣れてるよな!」と言わんばかりに重苦しい話を展開してくる。ここの帝都ガレマルドパートは賛否両論あるそうですが、私はFF14らしくて好きです。

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 そしてガレアン人との和平もなんやかんやあって光の戦士はゼノス・イェー・ガルヴァスくんと楽しいディナータイムへ♥

FF4とFFXを「あるモンスター」で繋げる…!?暁月の歴代FFリスペクト要素

 吉P直々に「FF14はFFのテーマパークを目指している」という方針をかかげている通り、FF14はもう歴代ファイナルファンタジーの要素が尋常ではないぐらい多い。

 FF3のラストダンジョンがそのままアライアンスレイドとなりドーガにウネにザンデと懐かしの名前が登場する新生の「クリスタルタワー」
 
 イシュガルドの神殿騎士達が蛮神となり、あのFF7の攻撃エフェクトを完全再現してくる蒼天の「蛮神ナイツ・オブ・ラウンド」

 ついにFF5のラスボスのエクスデスに、(本人ではないが)FF6のラスボスのケフカが登場する上に『チョコボの不思議なダンジョン』まで加わってくる【※】紅蓮の「次元の狭間オメガ」

※「次元の狭間オメガ」に登場するちっちゃいチョコボ「アルファ」は、『チョコボの不思議なダンジョン』に登場するアイテム「カード」を使う。

 あのFF8のEDを何から何まで完全再現したFF14のFFオタクっぷりが極まっている漆黒の「希望の園エデン」

 もはやFF14の歴代FFリスペクト要素を挙げ始めたらマジでキリがない。

 ちなみに私が一番好きな14の歴代リスペクトはモグモグホームのサブ会話で聞けるこちらです。

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 これがどういう意味かというとFF6の仲間キャラにモーグリ族の「モグ」ってやつが居るのですが、そいつのデフォルト装備が「槍」なので「りゅうきしのくつ」というアクセサリーを装備させて通常攻撃をジャンプに変えてしまえば結構強い……というマジでFF6をやってないと分かんない細かすぎるネタなんですよ! もはや細かすぎて伝わらないFFネタ選手権みたいになってますが、こういうちっっっちゃいネタがそこら中に転がってるのがFF14なのです。

 そして今回の暁月でも14の歴代FFリスペクト要素はとどまるところを知らない。

 先程も紹介した「ラザハン」という暁月の新マップなのですが、何かと雰囲気がFFXの幻光河~グアドサラム付近に似ているのです。そしてまだFF14は実はFFX要素をそこまで拾っていない!!

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 さらに暁月開始前から散々公式から「暁月はFF4要素も入れます」と予告されていた通りに暁月にはFF4の要素も多い。
 
 みなさん、ここで質問です。FF4とFFXの共通点って……何だと思います?
 前者は暗黒騎士とパラディンが主人公、後者は南国チックな「スピラ」が舞台。まるで共通点なんかないこの2作。

 正解は……「メーガス三姉妹」です!

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 いやこんなもん誰が思いつくんだよアホ!!!!!
 「あ~~~そうそうFF4と言えばあのデルタアタックのメーガス三姉妹で、他にメーガス三姉妹が目立ってるFFと言えばFFXだよね~~~」ってここ1~2年FFばっかやってた俺でも気付くのにちょっと時間かかったわ!!!!!
 
 お、お前らちょっとFFオタクが行き過ぎておかしくなってないか!?
 FF4とFFXを繋げる時に「メーガス三姉妹」って要素に気付くやつ、居る!?!?

 メーガス三姉妹を引っ張てくる着眼点の凄まじさにちょっとテンションがおかしくなってしまいましたが、他にも暁月のFFX要素はあります。

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 FFXをプレイした方ならば「カオティック・D」のあの衝撃の攻撃演出が強烈に脳裏に焼き付いているであろうFFXのアニマが暁月に登場! FFXのアニマが「シーモアの母」だったのに対して、FF14のアニマは「ガレマールの父」とまで呼ばれたガレマール帝国二代皇帝ヴァリス・ゾス・ガルヴァスが怪物にされてしまった姿となっています。

 「原作要素」を踏襲しつつちゃんとFF14の文脈に乗せてくるのもFF14の歴代リスペクトの良さです。

 アニマがボスとして登場するID「魔導神門 バブイルの塔」ではアニマ以外にも歴代FF要素がガンガンぶっこまれる。

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 FF4プレイしたみなさん……コイツのこと覚えてますか?
 この博士とフランケンシュタインみたいなやつ、実はFF4の終盤に出てた「ルゲイエ」「バルナバ」ってキャラなんですよ……。私も坂口さん【※2】のツイート見るまで思い出せませんでした。

※2「坂口さん」
FFの産みの親こと坂口博信氏が最近FF14を始めた……というのは周知の事実かもしれないが、普通にやっても余裕で半年はかかる新生~漆黒間を暁月リリース前のたった1ヶ月で踏破してしまった異常スピードに光の戦士たちは戦々恐々としている。しかもFF14の歴代ネタに合わせて激レアなスクウェアの資料までちょいちょい出てくるため光の戦士は要チェックだ。

 しかもこの「魔導神門 バブイルの塔」自体がFF4の終盤付近に登場するダンジョンの「バブイルの塔」をまんまモチーフにしている! その最後に待つのがFFXのアニマなんだからもう無茶苦茶!!
 
 暁月の歴代リスペクトはこんなもんじゃまだ終わらない! 漆黒のラストに登場し、大人気キャラ「アサヒ・サス・ブルトゥス」の身体を乗っ取り色んな意味で目立っていた「アシエン・ファダニエル」の正体は実はクリスタルタワーに登場していたあの「アモン」だった!!

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 FF14においては新生アライアンスレイド「シルクスの塔」の3番目のボス、原典のFF3においてはエウレカにボスとしてちょろっとだけ出てくるあの「アモン」【※】がファダニエルの正体だった!!

※補足ではあるが、FF3に登場するエウレカの「アモン」とFF14の「アモン」は同一人物という訳ではない

 多分アモン本人も「えっ!?僕が暁月のボスですか!?」「えっ!?僕のCV松岡禎丞さんですか!?」と驚いていることだろう。
 
 いやそれもそうである。FF14はなにかとFF3に脚光を浴びせてくることに定評があるが、あのシルクスの塔で散々しばき回した「アモン」が暁月のボスとして君臨するのである。マジで誰も予想できない。
 

 そして予想外の角度のFF3要素に困惑したまま光の戦士は月へとぶっ飛んでいく。FF14のことなので、どうせ月に行くにも「宇宙船を作るところからだ!」と鉄腕DASHみたいな真面目さを見せるような気がしていたのですが、意外とあっさり宇宙にぶっ飛ぶ。

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 だがこの「宇宙に行く」という要素自体が恐らく歴代FF要素の一端なのだ!
 今回は明確に「月」と決まっているので、どちらかと言うとFF4要素を回収しているのだが、そもそもファイナルファンタジーシリーズは終盤になると急に宇宙に行きがちだ!!

 過去に遡ればなんとFF1の風のカオス「ティアマット」と戦う浮遊城にて既に光の戦士が宇宙(成層圏…?)にまで行っている。もう初代で大体宇宙に行っちゃってるんだからファイナルファンタジーシリーズの自由さがよく分かるでしょう。

 そしてFF4では魔導船に乗り込みゼロムスとの最終決戦を果たすべく月へ。

 FF5では宇宙に行ってはいないのですが……何かラストダンジョンのエクスデス戦の背景が何か宇宙っぽい! 「いや背景が宇宙っぽいってなんだよ…」と思うかもしれませんが「FF5 宇宙」で検索してみてくださいよ! どう見ても宇宙だろこれは!

 世界観の設定上どうあがいても宇宙に行きようがないFFXすら、ラスボスのブラスカの究極召喚の「真・ジェクトシュート」で宇宙空間から飛来した隕石をキャッチしてジェクトシュートしてくる!

 つまり「FFの終盤」と「宇宙」は切っても切り離せない関係と言っても過言ではないのです。えっ?FF7とFF8は別に終盤でもない時に宇宙に行ってるって?うんうん、それもファイナルファンタジーだね。そんなこと言い出したらFFX-2で宇宙にぶっ飛んでくシンラ君までカウントせにゃあかんでしょうが!!

 そして光の戦士は意外にもあっさりとゾディアークとの最終決戦へ!

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 今回の暁月が「ハイデリン・ゾディアーク編の完結」と事前に予告されている以上、誰がどう考えてもラスボスはゾディアークで最終マップが月なのかと思っていたのですが……まだ折り返し地点でも何でもないのに月に来てゾディアークとの決戦が始まってしまった!!

 しかもゾディアーク戦で暁月メインテーマの「ENDWALKER」の一節が組み込まれている。この「拡張パッケージのメインテーマのメロディが組み込まれた戦闘BGM」というオタクが大好きな演出は大抵ラスボスでしか使われない……はずなのですが、なんと暁月においては中ボスでこれが来てしまう。

 蒼天のイシュガルドメインテーマの「HEAVENSWARD」が組み込まれた「ニーズヘッグ征竜戦」、紅蓮のリベレーターメインテーマの「STORMBLOOD」が組み込まれた「神龍討滅戦」、漆黒のヴィランズメインテーマの「SHADOWBRINGERS」が組み込まれた「ハーデス討滅戦」。どれもこれもラスボス戦にふさわしい名曲なのですが、暁月はついに「メインテーマが流れるのはラスボス戦」という法則すらひっくり返してしまった。

 しかもこの「ゾディアーク」自体がFFTやFF12などのイヴァリース・アライアンスに登場する最後の召喚獣という歴代FF要素。「FF3のアモンとFFTのゾディアークが合体した奴が暁月の中ボスだよ」と言われても、気が狂ったんじゃないかとしか思えない。

 そしてあれだけ引っ張ったのにあっさり倒されてしまうゾディアーク。あれだけ引っ張ったのにゾディアークが倒されてなんか不貞腐れて帰っていくゼノス。暁月はなんと折り返し地点で事実上「倒すべき敵がどっちも居なくなってしまう」という未曽有の事態に見舞われる。

 いやどうすんのこれ!?!?

MMOという世界の中であるからこその、キャラクターの魅力

 FF14と言えば、やはりキャラクターの魅力も触れずにはいられない。新生から数えて約9年、共に戦い続けてきた「暁の血盟」のメンバー。

 ここ1年でFF14を始めた私ですら彼らとはなんだか何年も共に戦い続けてきたような愛着が湧いているので、新生リリースの時からプレイしている人はもっと大変なことになっているのでしょう。

 そして、FF14のキャラクターの魅力はやはりシナリオの面白さや愛嬌の見せ方の上手さなどもあるとは思うのだが、FF14が「MMORPG」というジャンルであるがゆえに発生する愛着もあると私は思っている。

 FF14はMMORPGであるがゆえに、どれだけソロプレイに走ろうとしていても必ずどこかには人がいる。たまたま道ですれ違った顔も本名も知らないゲーム内フレンドと会釈を交わす、マケボの前でギャザクラに励む職人達、Shoutで新しく設立したFCの加入を募集している人もいれば、道端で「死んだふり」エモートをして24時間転がり続ける「死体ロールプレイ」に走る奇人もいる。

 毎日レベルレをこなしたり、SpotifyでFF14の曲を聞いたり、ローソンで開催されていたFF14コラボでファットキャットのクリアファイルを交換してみたり……ゲームの中に本物の人間がいて、他のゲームに比べてより日常生活と密接に結びつくのはMMORPGというジャンルであるからこそ……な気がする。

 そんな特殊な現実との結びつきがあるからこそ、キャラクターに対してもなんだかまるで本当の友人であるかのような、まるでそこに実在しているかのような親愛の感情を抱くことがある。

 蒼天のイシュガルドLv57ID「強硬突入 イシュガルド教皇庁」にて、新生の頃より光の戦士の唯一無二の友として共に戦い続けてきた「オルシュファン」というキャラが光の戦士を庇う形で死んでしまう。

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 あれはちょうど去年の12月~1月ぐらいの頃だったでしょうか。クリスマスイブに久しぶりに会えた友達と遊んだ時も私のFF14の中にはオルシュファン卿がいたし、特になんの予定もないままひとりでクリスマスを過ごしていた時もオルシュファン卿はキャンプ・ドラゴンヘッドにいた。結局21時までレジ打ちをやらされていたクソみたいなバイトの大晦日も、神社にお参りにいって帰り道にクレープを買って食べたお正月も、エオルゼアに行けば変わらずオルシュファン卿は私のPCの中にいたのです。

 しかし2021年1月13日、教皇庁をクリアしたあの日から私のFF14の中からオルシュファン卿は消えてしまった。ただのプログラムがゲーム上から消え去っただけに過ぎないのかもしれませんが、彼と共に過ごした日々は間違いなく私の思い出の中に残り続けているのに、もう私のFF14の中に彼は存在しないのです。

 教皇庁をクリアした日のバイトは酷く落ち込んでままならなかった。帰ってきてからも思い出して泣きそうになった。たかがゲームのNPCが消滅しただけだというのに、まるで本当の大切な友人を失ったかのような喪失感に襲われ続けました。
 
 MMORPGとは、本当に不思議なジャンルです。「仮想空間の中に現実の人間が操作するアバターが多数いる」というだけのゲームならば、他にいくらでも転がっているのに、そこに「RPG」の要素が加わってくるだけでNPCですら本当に生きている人間であるかのような気がしてくる。

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 そして暁月はFF14の中でずっと戦い続けてきた仲間にとっても「フィナーレ」なのです! ゾディアークを倒しても根本的な終末の解決には至らず、むしろゾディアークの死が引き金となり世界に終末がもたらされる。赤く燃える空、降り注ぐ流星、異形の化け物へと転じていく人々。

 人間が次々と獣へ転じていくこの終末の「獣化」現象は、人の思いが恐怖や絶望に支配されたその時の負の思念によって引き起こされる。つまり、誰かひとりが化け物に転じて無辜の人々を食らい、さらにそれを目の当たりにした人間が恐怖に支配され獣に化ける。次々と伝播していく終末の光景、人々の絶望。
 
 だがそんな状況であっても世界の救済をかかげるのが「暁の血盟」!
 新生の頃から一緒に戦い続けてきたアルフィノ、蒼天で共に旅をしたエスティニアン、紅蓮の解放者となり暁の血盟からアラミゴの代表となったリセ、水晶公として時を超え世界を救ったグラハ。彼らと歩んできた日々は決して無駄なんかじゃない!

 暁の血盟に終末の対処を託し、なんと光の戦士は終末の根本的な解決法を求め古代人の時代……つまり1万年以上前にタイムスリップを果たす!

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 それこそが暁月の事前情報で「これは『クロノ・トリガー』の魔法王国ジールではないか?」と言われ続けていた「エルピス」!!

 いや確かに突然過去に遡って空に浮かぶ島に行くところも想像以上にストーリーの鍵を握っているところも間違いなく魔法王国ジールではあるのですが、正直『クロノ・トリガー』がどうとか言ってる場合ではない!!

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 う、うわあああああああああああああああああっ!!!!!
 過去のエメトセルクと過去のヒュトロダエウスだああああああああああ!!!!!!

 光の戦士のみなさまのネタバレ厳守っぷりには定評がありますが、ネタバレ解禁令が出るまでよくこれ黙ってられましたね!?
 
 エメトセルクはもはや説明不要! 「全ファイナルファンタジー総選挙で『全FFキャラ中第5位』の順位を叩き出した男」というエピソードはあまりにも有名。

 そして隣のヒュトロダエウスは、終末によって滅びる前の街並みをエメトセルクが再現した現代のアーモロートにおいて姿だけは登場していたキャラクター。「自分が生きていた時代の街を現代に再現して、その中に当時の親友をコピーした幻影を配置する」なんてことをやっているエメトセルクのヤバさが、エルピス内のふたりのやり取りを見ているとよく分かる。

 てかお前、CV保志総一朗だったんか!?

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 畳みかけるが如く登場する新キャラクター達!
 あの木にぶら下がっているやつはファダニエルの座についていた「ヘルメス」!FF14は「一度死んだ魂も星海に還りまた生まれてくる」という輪廻転生のような世界観となっているため、ヘルメスの生まれ変わりがあのアモンだったという訳だ。

 アモン、ヘルメスのおかげでCV松岡禎丞遺伝子獲得できて良かったな……。

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 可愛いウーパールーパーのような生き物と戯れながらもエルピスの話は進んでいく。美しい自然に広大な空が広がる牧歌的でありながらも幻想的な雰囲気をたたえたエルピスの物語は、これまで帝都ガレマルド→月面→終末と激戦続きだった光の戦士に訪れた休息の時とも言えるだろう。

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 ヒュトロダエウスの口から語られるエメトセルクが十四人委員会に選出された理由、それは「アゼムの無茶苦茶に付き合っていたらエメトセルク自身が助けた人々からの支持を受けるようになった」という物だった。
 世界が14に分割された後に生まれた人間と自分達は別の種族だと言わんばかりに歩み寄りの姿勢すら見せずに一方的に襲い掛かってくることが多かったアシエンの中で、何かと人間に対して歩み寄る姿勢や人間への理解を見せてきたところもエメトセルクの人気の理由のひとつだと私は思っているのですが、もしそれがアゼムやヒュトロダエウスと共に人々を助けて回っている内に培われたものだったとしたら……ああああああああエメトセルク!!!

 しかしそんな幕間の話と同時に暁月の核心に踏み込むストーリーも展開される。ヘルメスとアモンが同じ声優……という時点でプレイ中に薄々察してしまった方もいるかもしれないが、ヘルメスが生み出した創造生物の「メーティオン」によって終末は引き起こされていた。メーティオンが「流星」を意味している時点でもう……ね……。

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 自分達の創造魔法によって生み出された生物が、命が、人間の都合によって消されてしまうことに疑念を抱いていたヘルメスは自らが生み出した惑星外探査機能を備えた創造生物メーティオンを複数宇宙に送り出した。

 そこでヘルメスはメーティオンに「自分達の住んでいるこの惑星以外の生物は『生きる意味、命の理由』をどのように捉えているのか」について、他の星の生物に尋ねるよう命令を下していたのだが……メーティオンが持ち帰ってきたものは争い、荒廃、生きたいと望んでいるものなど誰ひとりとして居ない滅んだ星の顛末だった。

 いやでもこの15番目の「神子を中核とした文化によって栄えていたが神子の暴動によって全滅、最後はメーティオンの目の前で神子が自害」した星はヨコオタロウが創造した惑星だろ!?

 そして滅びゆく星の数々を見てきたメーティオンがアーテリスに下した結論は、予想通り「生命に生きる理由は存在しない」というあまりに残酷な結論だった。

 だがここで頭ごなしに否定せず、一度メーティオンの報告の全てを聞いてから事態に対処しようとするヘルメスの姿勢こそ、FF14が大切にしてきた「歩み寄り」のひとつなのかもしれません。

 ここでメーティオンの結論をヘルメスが否定してしまっては、「人間のエゴによって生み出された生物が人間のエゴでその命を消されることは正しいのか」について悩み続けていたヘルメスのアイデンティティすら崩壊しかねない。

『FF』ナンバリング全作をプレイした男が紐解く『FF14:暁月のフィナーレ』_023

 「世界を崩壊させて自分も死にたい」と願っていたアモンの狂気じみた演技から、生命の意味について真摯に考え続けるヘルメスの優しい演技まで完璧にこなす松岡禎丞氏の演技力も尋常ではない。

 そしてエルピスの冒険はヘルメスが起動した「カイロス」によって「エメトセルクとヒュトロダエウスとヘルメスがエルピスに到着してからこれまでの時間の記憶を消す」という現代の歴史に影響を及ぼさない形で幕を降ろす。タイムパトロールなんか要らんかったんや!

『FF』ナンバリング全作をプレイした男が紐解く『FF14:暁月のフィナーレ』_024

 『私』に託されたものを、投げ出すなよ。」という未来の自分自身の行動まで全て見透かしたかのような言葉を光の戦士に投げかけてここでお別れとなるエメトセルク。
 お前お前お前~~~~~~~!!!!!!!!!

 ヨッ! 全ファイナルファンタジー第5位!!

 もっかいやったら3位ぐらいは行くんじゃないですか?

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
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