『FF』ナンバリング全作をプレイした男が紐解く『FF14:暁月のフィナーレ』。終わらないものであるMMOで、あえて「終わりを描く」とはどういうことなのか【ネタバレあり】

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11年かけて積み上げてきた物の「重み」で殴られる

 滅びゆく星々の憎しみ、悲しみ、怒り、虚無、その全てを一身に受けアーテリスに終末をもたらさんとするメーティオンは遥か星の彼方から目には見えない想いが動かす力「デュナミス」【※3】を負の感情として操作することで終末を引き起こしていた。

※3「デュナミス」
FF14世界において、魔法を発動したりするために消費するエネルギー源が「エーテル」だと定義されていた中、暁月で初登場した目に見えない「想いの力」の概念がこの「デュナミス」。ゲーム内システムにおいて敵に何度か敗北すると「超える力」というステータス補正お助けシステムが発動するのだが、これはデュナミスによるものだと明かされた。また、ラザハンの錬金術師達の間ではデュナミスと同様の想いによって動かされる力の「アーカーシャ」が「天より下りし力」だとも言い伝えられており、これは新生FF14を象徴する楽曲「天より降りし力」にかけたと思われる。

 そんな宇宙の遥か彼方から攻撃を仕掛けてくるラスボスにどう対処するのかというと……………………遠くまで行ける宇宙船を人間の力で作る!
 
 やっぱり鉄腕DASHの精神じゃないか!!!!!

 しかし光の戦士が何年もかけて歩み続けてきたその積み重ね、その旅路は今結実の時を迎える。宇宙船を空の彼方まで飛ばすために必要な「エーテル縮退炉」の開発のため、これまでの旅路で得た仲間たちがオールド・シャーレアンの知神の港に集う!!

 蒼天アライアンスレイド「シャドウ・オブ・マハ」より空賊のレオファードケット・シー! 紅蓮アライアンスレイド「リターン・トゥ・イヴァリース」より劇場艇プリマビスタ!!

 紅蓮クロニクルクエスト「四聖獣奇譚」よりコウジン族のソロバンにテンゼンの愛刀「鳳凰丸」!!! 蒼天レイドダンジョン「機工城アレキサンダー」よりゴブリン族のスローフィクスランドロクス!!!!

 そして紅蓮レイドダンジョン「次元の狭間オメガ」よりアルファオメガを引き連れてガーロンド・アイアンワークス参戦!!!!!

 いやみんな来すぎでしょ!? 本編で1回見たのにまた泣きそうになってきました。

 さらに細かい所を挙げるとするならば漆黒クロニクルクエスト「ウェルリト戦役」よりガイウスも少しだけ力を貸してくれています。これらのクエストは本編との繋がりは多少あるものの、そこまで明確にメインストーリーにキャラが登場することは中々ありませんでした。しかしフィナーレですからね、感謝祭と言わんばかりに全員終結! 光の戦士のこれまで繋いできた、FF14が「次に繋げて」きたシナリオの数々が、ここで繋がる!!

 まだまだ暁月の畳みかけは止まらない! 序盤の「これ大丈夫か……?」という心配などなかったかのようにひたすら生コンという名のFF14を口に流し込まれ続ける!


 星を司る光の意思「ハイデリン」に会うべく、地球の内側にして魂が帰る場所の「星海」への突入を敢行する光の戦士一行。それがこの89ID「星海潜行 アイティオン星晶鏡」

 「魂が還る場所」と先程からしつこく言い続けている通り、この星海の中では既に死んでエーテルに還った人間の魂もゴロゴロうろついている。その中にはもちろん光の戦士に恨みを募らせる過去の敵も居るわけで……。

 リットアティンにリウィア、新生の頃あえなく撃破された帝国軍第XIV軍団の面々が再生怪人として襲い来る!
 しかし光の戦士を憎む魂もあるならば、同時に光の戦士を守るこれまで散って行った仲間の魂だってあるッ!!
 
 第七霊災から世界を護り、その名の通りエオルゼアに「新生」を与えた賢者ルイゾワからパパリモに受け継がれた名杖トゥプシマティ、アシエン撃破の鍵を握る「白聖石」を生み出した賢人ムーンブリダ、ハイデリンの意思を代行する「光の巫女」として己が身を呈して世界を救ったミンフィリア、「氷の巫女」として竜詩戦争終結の一手を担い、今再び忘却の彼方より聖女シヴァとして舞い戻るイゼル

 そして……そして……

 オ、オルシュファンッ!!!!!

 「友の笑みを願った騎士の思いが、銀剣と盾となって現れた!」のメッセージと共に、今再び光の戦士の「友」として、「盾」として現れるオルシュファン卿。

 光の戦士の旅は無駄なんかじゃなかった。これまで散って行った仲間たちはあなたの旅路を、軌跡を、否定したりしない。

 「泣きすぎてゲームが進められない」なんてこと、本当にあるんですね。

 まあ、あまりここに言及しすぎるのも無粋なような気がするのでとっとと次に行きましょう。嘘です。あんまりアイティオン星晶鏡に触れ続けると泣きすぎて書き進められなくなるのでこんなダンジョンとっとと切り上げたいからです。

 開始当初より「FFのテーマパーク」を目指し、もはやサグラダ・ファミリアのごとく歴代FFの全てを吸収し続けてきたFF14。松野泰己氏雨宮慶太氏がゲストクリエイターを務め、事実上のイヴァリース・アライアンスの最新作となった「リターン・トゥ・イヴァリース」「南方ボズヤ戦線」

『FFタクティクス』松野泰己✕『FFXIV』吉田直樹対談──もはやゲームに作家性は不要なのか? 企画者に求められるたったひとつの資質とは?

 ついにあの野村哲也氏「ガイア」などのキャラクターデザインとして参加した「希望の園エデン」、ヨコオタロウ氏・齋藤陽介氏・世界の岡部啓一氏のイツメンが集合した「ヨルハ:ダークアポカリプス」、もはやファイナルファンタジーの枠すら飛び越え、スクウェア・エニックス版大乱闘スマッシュブラザーズじみた様相を呈してきている。

 よく見るとヨルハレイドの中には『ドラッグオンドラグーン』ネタが入っていたり、ボズヤとリターン・トゥ・イヴァリースの中には『タクティクスオウガ』『伝説のオウガバトル』、オマケに『ベイグラントストーリー』の小ネタまで仕込まれている。

 もはやクリエイターが参加してる訳でもない『バハムートラグーン』の小ネタまで…?と言いたいところだが、これ以上はマジでキリがなくなるのでこの辺にしておこう。
 つまりFF14の何年もの積み重ねは歴代FFリスペクトの面においても効いてきている。

 「野村と松野とヨコオが集結したファイナルファンタジー」って文面だけならそんなふざけたゲームある訳が無いと思ってしまいますが、あるんだな! ここにッ!!

 そして星海を進む光の戦士がついに邂逅を果たす蛮神「ハイデリン」ご本人!

 見よ! このバリバリの天野喜孝デザイン!!!
 流石に3D化にあたっての細かいキャラクターデザインを天野氏が担当している訳ではないのであろうが、これは恐らく暁月のフィナーレ発表時のイメージボードに描かれていたハイデリンを天野氏特有の意匠を盛り込んだ上でモデルに起こした「蛮神ハイデリン」と言える!!

 「ハイデリン・ゾディアーク編」と散々言われていたのだからハイデリンと戦うのは必然……と言われたら返す言葉もありませんが、「闇を司る存在を倒したのだから、次に倒すのは光を司る存在」という叛逆の姿勢そのものが実にファイナルファンタジー!!

 そして流れる植松伸夫氏作曲の「Answers」が大胆アレンジされた戦闘BGM!
 「聞いて、感じて、考えて……」。公式LINEスタンプにまでされ光の戦士が腐るほど聞いたこのセリフへの「Your Answer」、エルピスでヴェーネスに投げかけられた「これまでの旅は楽しかったですか?」という問いに対する「Your Answer」。
 今こそ星の意思にあなたの旅の答えを見せる時だ。

 天野氏によって描き起こされた蛮神ハイデリン。
 植松氏によって書き上げられた「Answers」。
 そしてめっちゃFF14にハマっている坂口氏。

 つ、ついに……ついにファイナルファンタジー三闘神【※4】が10年の歴代FF要素の吸収の果てにFF14に揃った!!! いややっぱ最後だけなんかおかしくないですか?

※4「ファイナルファンタジー三闘神」
もはや説明不要かもしれないが、初代ファイナルファンタジーのディレクターを務めシリーズそのものを立ち上げたFFの生みの親こと坂口博信氏、初代から最新作に至るまで音楽とデザインを務めた植松伸夫氏と天野喜孝氏の3人のこと。今勝手に作り出した造語です。

 そしてFF14の「積み重ね」はやはりキャラクターの面でも生きてきている。

 先程のアイティオン星晶鏡にて紹介した「ムーンブリダ」というキャラクター、彼女は「究極幻想 アルテマウェポン破壊作戦」終了後の2.4パッチで対アシエン特攻アイテム「白聖石」の開発を完了したところで即アシエンの手によって始末されてしまった悲しきキャラクター……と言いたいところなのですが、正直新生プレイ当時の私は「いやいくら何でも早すぎるだろ……」と思っていました。

 しかしこのムーンブリダ、本当に後からじわじわじわじわと効いてくる。幼馴染のムーンブリダに幼い頃から振り回されていた「暁の血盟」のウリエンジェは、初期の新生~蒼天の辺りはそもそも人間らしい感情を露わにすることが少なく、幼馴染のムーンブリダが死んだのに本当に悲しんでいるかどうかもよく分かりませんでした。
 マジで初期のウリエンジェって『ダイの大冒険』のミストバーンみたいな薄気味悪いやつポジションでしたよね!?

 漆黒辺りでやっと見えてくるウリエンジェの優しい人間性。迷うリーンに「世界というものは、とても複雑です。誰かに生きてほしいという、ごく単純な願いでさえ、別の誰かを犠牲にしなければ叶わないことがある……。」と犠牲になっていったムーンブリダを想起させるような言葉をかける。

 そして暁月ではウリエンジェがついにムーンブリダの両親との再会を果たしてしまう。ムーンブリダの訃報を手紙で伝えることしか出来なかったウリエンジェが……である。流石に両親も静かな怒りを燃やしているに違いない……。

 そのような事、あるはずもなかった。幼い頃からウリエンジェと共に過ごし、仲間のために命をかけられるムーンブリダの両親がそんな事、するはずもなかった。

 「……君たちがまだ小さかったころ、遊ぶことより学ぶことを愛した君を、冷やかした子がいたね。そのたびにムーンブリダが飛び出していって、喧嘩をした。私たちがいさめても、『ウリエンジェはいい奴なんだ』と、むくれるばかりでね……。」

 「だったら相手を叩くんじゃなくて、あんたがウリエンジェと周りを繋がないとって言ったら、『そうかあ』なんて、腕組みして唸ってさ……。それからは、前よりも強引にあんたを連れ出してみたり、考えてることが分かるようにって、同じ本を読もうとしたり……。当時のあんたにとっちゃいい迷惑だったかもしれないけど、あの子なりにとてもがんばっていたんだよ。」

 「そして君は今、こうして大勢の中にいる。それどころか、絆を結ぶ手助けまでしているね。私たちはそのことが……たまらなく嬉しいんだ。」

 「ムーンブリダが信じた人は、力いっぱい押した背中は、そのあともちゃんと歩き続けてくれていた。うちの自慢の娘の笑顔を、今日はとても近くに感じるよ。ありがとう……ウリエンジェ。

   ウリエンジェとムーンブリダのご両親の会話シーンの一節です。
 新生の序盤も序盤に死んでしまったキャラが暁月の最後まで引っ張られる事自体にまず驚きますが、それどころではないぐらい泣いてしまったシーンなのでもう積み重ねがどうとか正直どうでも良くなってきました。

 ムーンブリダはウリエンジェの背中を信じて押して、人と関わり合うことが苦手だったウリエンジェは今、月の民レポリットとオールド・シャーレアンの人々を繋げる役割を果たしている。それだけで、ただそれだけでムーンブリダが生きた証は燦然と輝いている。

 そして今明かされる「ムーンブリダ」の名の由来。
 古ルガディン語で「月の花嫁」を意味し、「ムーンブリダが生まれた日の満月のように、満ち足りて優しく周りを照らす子になって欲しい」という願いをこめてこの名をつけたらしい。ムーンブリダの放った優しくも温かい月光が、ウリエンジェの、そして人類の進むべき道を照らす。光の戦士は、ついにメーティオンの待つ宇宙の果てへと向けて旅立つ。

シナリオ以外もちゃんと積み重なっている。FF14の技術面の進化

 FF14が積み重ねてきた物はシナリオだけではない。もちろん技術面も日夜着々と進化を続けている。えっ?ぶどうはどんどんローポリ化してるって?きょ、今日(執筆日時:2021年12月21日)のパッチノートでちゃんとぶどう直すって発表されたし……?

 漆黒のヴィランズに登場した妖精郷「イル・メグ」のマップの美しさに驚いたことは、未だに記憶に新しい。私はとんとゲーム開発事情に詳しくないため「な、なんかすげェ……」という漠然とした感想しか抱けないので多分ゲームライターという職業そのものに向いていないのだが、とにかくイル・メグのマップはなんかすげェ。

 美しく咲き乱れる花、透き通った水の表現。FF14は「グループポーズ」という便利機能によって写真撮影の際にフィルターをかけてある程度はウルダハなどの大阪西成区ばりに荒れた街並みでもオシャレな感じに盛れちゃうのだが、なんと上記の写真、無加工です。パネルマジックありません。

 特に漆黒のヴィランズの技術面の進化はめざましかった。臨場感のあるシーンのカット割り、マップにおける光彩の使い方、討滅戦・レイドの演出の進化。
 まさに「FF14.5」が始まってしまったのではないかと錯覚するほどの大躍進。
 暁月でもそう言った技術面の進化は衰えを見せることなく進化し続けている。

 特にエルピスのフィールドはイル・メグに匹敵する美しさ。どうよこの作り込み!

 そして光の戦士が旅の果てに辿り着いた衝撃の最終マップ、その名は「ウルティマ・トゥーレ」

 メーティオンが惑星外探査で幾度となく目にしてきた滅びゆく星々の残骸を集めて形作られたこの宙域はまさしく「星の墓場」。ファイナルファンタジーと言えば宇宙にぶっ飛んでいくことでお馴染みですが、2回も宇宙に行ったのはお前ぐらいじゃないか、FF14よ!?

 宇宙からやって来た侵略者によって同族を根絶やしにされ、ただ緩やかな滅びを待ち続ける七大天竜の生みの親「ミドガルズオルム」の故郷。人間の肉体を捨て知識を極めた果てに「いずれ宇宙は凍り付いて何もかもが無になる」という結論に達し、自殺していくイーア族。自らの魂を機械の身体に移し替え、ドラゴン族の惑星を余裕で滅ぼせるほど武力を極めた果てに「何のために強くなっていたのかすら分からなくなった」という行き止まりに到達した「オメガ」の生まれ故郷。

 滅んだ星々の再現を見せることで、「いずれ世界は行き止まりに至るのだから今ここで滅びを迎えるのが正しい」と、メーティオンは最後に残った優しさで人類に警鐘を鳴らしているのだろう。

 『暁月のフィナーレ』は「メーティオンの引き起こした終末を打倒する物語」であると同時に、「メーティオンを終末という名の絶望から救済する物語」でもあるのだと私は思った。

  1万年以上の時を超えて今アゼムのソウルクリスタルから呼び出されるエメトセルクとヒュトロダエウス。彼らが渡しにきた物は世界を終末に導いたメーティオンへの恨みつらみでも、メーティオンを説得する美辞麗句でもない。

 「花」だった。メーティオンの生みの親ヘルメスは、「いつかこの旅をやり遂げた君に、心から花を贈ろう」と約束していた。世界を滅ぼすほどの壮絶な旅を終えたメーティオンに1万年以上の時を超えヘルメスから贈られたその花の名は「エルピス」

 ギリシャ語で「希望」を意味するその花をもって、終末に抗う人類という「希望」を携えて、今メーティオンの終末を終わらせよう。

 そして解放される暁月最終ID「最終幻想 レムナント」エッ……これ「ラスト」の「レムナント」って……コト!? いや多分ここに来てそれはあんまり関係ありません。いや関係ないこともないのですが……あまり触れないでおきましょう。

 しかもファイナルファンタジーはすぐ「最終幻想」って書いて「ファイナルファンタジー」って読ませようとしたり「究極幻想」って書いて「ファイナルファンタジー」って読ませようとしたりするのであんまりタイトル回収を真に受けてはいけません。

 蔓延する病気によって同族同士での疑心暗鬼が広まり滅びた星。

 「世界連邦」「自由連盟」の終わらない戦争により起動された「ピースキーパー」が「人類はこの世界に不要」と判断し、自らが生み出した技術によって滅びゆく星。

 悲しみや苦しみの感情を自ら切り捨て、何もかもが満たされた果てに生きる歓びを見失い、自ら「終わり」を選択し滅びる星。

 「世界は何をどうやっても滅びるのだから地球にはいち早く終末を迎えさせる」と、ラスボスの動機にしてはやや突飛に思えなくもないメーティオンの考えに説得力を持たせるかのように、光の戦士はメーティオンが目の当たりにしてきた宇宙のありとあらゆる星の終わりを追体験する。

 次々と倒されていく暁の仲間達。
 誰もが諦めたその時……俺達の希望が地球からやってきた!
 あれはアルバートか!? いや違う!? えっじゃあオルシュファン!? 違う!?!?

 ゼノスです。
 
 いやおいおいおいおい!!!

 何かもうそれは色んなことがおかしくなるんよ!!!
 相席食堂だったら千鳥がここで10回はボタン押してるからな!?!?

 FF7で例えると「クラウドが絶体絶命のラスボス戦でドラゴンになったセフィロスが地球から助けにやってきた」ぐらいのヤバい状況です。

 なんやかんや始まってしまう終焉の戦い。光の戦士のストーカー兼無職兼神龍となったゼノス・ヴェトル・ガルヴァスの背に乗りメーティオンとの最終決戦!

 こんな無茶苦茶な状況なのにBGMは「神龍討滅戦+ファイナルファンタジーメインテーマ+ENDWALKER」というまさに総決算にふさわしい名曲だから余計に訳が分からなくなる。

 そしてメーティオンの終末は終わりを迎える。
 いやぁ~長かった暁月の記事もこれでやっと終われますよ! くぅ~疲れましたw

 いやなんで宇宙空間でストーカーと殴り合う流れになってんの!?

 くどい! くどいぞゼノス!!
 宇宙までヒカセンのケツ追いかけてきただけはあるなお前!

 ほ、本当に宇宙空間でストーカーと殴り合ってるッ!!!
 
 なにやってんだアイツら……
 いや、何?このゲーム……

 そんで何お前は満足してんだよ!!!!!!!!!!!!

 一応真面目に補足をしておくと、ゼノスが助けに来たのは必然ではあったのです。
 ゾディアークとの戦いの後、ゼノスは「ただただ世界を滅ぼすだけでは光の戦士はマトモに取り合ってくれない」ということを思い知り、アリゼーからも「人に求めることがあるならば、自分が愉しむだけではなく一緒に愉しめるよう考えるものよ」と忠告された上で立ち去っていたので、何も伏線が無いまま突如援軍として現れた訳ではありませんでした。

 そして、終ぞ周りが執着しているものの価値が分からず、世の中はどれも泥のようで、退屈で、醜く、くだらないものだと捉えていたゼノスも最後の最後は満足気に散っていく。
 
 暁月のフィナーレは、死に場所すら見失ったゼノス・ヴェトル・ガルヴァスにも美しい「終幕」を用意していた。

 ゼノスから最後に投げかけられた「お前はどうだった……この世界に産み落とされ、名を与えられ、生きてきて……。歩いてきて……何を思った……。存分に愉しかったか……?」というプレイヤー自身に向けているとも捉えられる言葉を持って、暁月のフィナーレは締めくくられる。

「MMOが終わる」という節目に対して、FF14が見せた解答

 ……さて、暁月のフィナーレのストーリーを振り返る形で今回の記事は進めてみましたが、みなさまお楽しみいただけたでしょうか? 少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

 ところでみなさま、昔の暦において、「月齢14日目の月」をなんというかご存知でしょうか?

 「小望月(こもちづき)」と言うそうです。15日目に迎える満月、もう少しで満月になりそうな前夜の月を先人はこの名で呼んだそうな。
 
 私の好きな『千年女優』【※5】という作品に、「14日目の月は次があるから良い」というセリフがあります。まさしく今回の『暁月のフィナーレ』も「14日目の小望月」なのだと私は思いました。

※5「千年女優」
2002年に公開され、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を『千と千尋の神隠し』と同時に受賞した今敏監督のアニメ映画。暁月が終わってヒマな方は、是非パンデモニウムのお供にどうぞ。

 満月はその夜を終えてしまえば、また陰り始めてしまう。でも14日目の小望月は、明日の満月に対する希望があるから良い。暁月も同じく、明確な「次」が存在する「終わり」だから良いのです。

 「物語を終わらせるため」に世界を救うのではなく、終末を回避して「物語を続けるため」に世界を救い、一旦のフィナーレを迎える。

 MMORPGであるがゆえに「次に繋げるためのシナリオ」を展開し続けてきたFF14。暁月では次に繋げてきた全ての線が「光の戦士」という点に収斂した。そしてこれからもFF14は続く。今度は別の惑星にでも行くのか、第一世界以外の鏡像世界へと転移するのか、それともまだハイデリンには未知の大陸が存在しているのか……どちらにせよ、今回のフィナーレは「FF14を次に繋げるための終幕」だったのだと言えるでしょう。

 こんなにも幸せなフィナーレはありますか?
 物語に終幕が降ろされる時、それは大抵キャラとの別れやお話の終了を意味します。しかしFF14は「次がある」がゆえに終わりを迎える。これからどんどん広がるFF14の世界に思いを馳せながら迎えるエンディングなんて、そうそう味わえるもんじゃありません。

 FF14、めっちゃ楽しみ!!!!!!

おわりに

 まだ終わらない! めっちゃキリの良いところだったのにまだこの記事は終わらない!
 このくどい感じまで暁月らしさを味わってください。

 私が「暁月のフィナーレ」で最も好きなシーンをひとつ挙げるとすれば、それは「人間の手によって生み出された創造生物が人間のエゴで消されることに悩むヘルメスの悲しみを感じ取ったメーティオンが、周囲の人間の心情を色で映し出すエルピスに光の戦士の不安の色を投影して悲しみを分かち合う」あのシーンです。

 数々の感動シーンが滝のように押し寄せてくる暁月の中では、このシーンはそこまで目立たないシーンかもしれませんが、私はこのシーンでとても救われた気持ちになりました。

 「産まれし者よ聞け、生とはただ美しきものにあらず。生ける者は苦痛を知り、災難を知り、絶望を知る。あらゆる辛苦は降りかかり続ける。焼けた道を行けど褒章はなく、道の傍らにはいつも死が口を開いている。それらはお前を恐れさせ、嘆かせ、苛み、悩ませるだろう。だが、目を閉じてはならぬ。かくのごとき生を見据えよ。お前を打ちのめしている辛苦は、しかし、お前を弱くはしていない。ひとつひとつが焼けた鉄に振り下ろされる鎚に似て、お前を強き剣と成すだろう」とはよく言ったものです。

 正直、私はFF14を始めたのに未だに人と関わり合うことが苦手です。ちゃんと上手く人の顔を見て話せないことが多いし、人と話そうとした瞬間に急に言葉が出なくなってしまうこともあります。来月にはもう成人式を迎えるのに、ちっとも大人になった気がしない。
 
 人は生を受けた瞬間から終わりのない無限の地獄に苛まれ続けるような物とすら思います。生きていて楽しいとか嬉しいとか、そういう感情を抱くことよりもずっとずっと悲しい、苦しい、辛い、死にたい、今すぐ消えてしまいたい、そんな気持ちに苦しみ続けることの方が、私は多いような気がします。

 暁月のフィナーレの終末は、まさにそういった「人間の負の感情」がトリガーになって引き起こされた災害。穿った見方をすれば「人が負の感情を抱くことは良くない」と描かれているようにも見えてしまいますが、このエルピスのシーンは違った。

 人は悲しみや苦しみを分かち合い、それを拠り所にしたっていい。
 私がただ勝手に勘違いしてそういうメッセージを受け取っているだけなのかもしれませんが、私はこのシーンにひどく救われた気持ちになりました。

 暁月のフィナーレのメインライターを担当する石川夏子さんがTwitterに載せていた「夢のあるゲームを作って、誰かに希望を与えられるようになりたい」という小学生の頃の文集の言葉が、私はすごく印象に残っています。

 「FF14のおかげで人生が救われた」なんてしゃらくさいことを言う気にはなれませんが、私はFF14からあまりに多くの物を貰いました。

 どうやってこのお礼をしたらいいのか分からないので、この場を借りて感謝を伝えさせてください。吉田さん、そしてもはや書ききれない大勢のFF14開発スタッフのみなさま、私はこのゲームから沢山の希望を貰いました。本当にありがとうございます。

 これからもFF14をずっとずっと楽しみにしています。少なくとも私が死ぬまでは一生このゲームについていきます。それが、私がこのゲームにできる最大の恩返しです。

 ……あっ、ひとつ言い忘れてたんですけどなんでカーヴ・アンド・スピットとアビサルドレインって共有リキャストタイマーになったんですか?

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
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