スリル満点の爽快パルクールアクションだけではない『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』の魅力。絶え間ない緊張感と思わずのめり込むストーリーがプレイヤーを引きつけ続ける

 ゲームをしている時の「緊張感」が大好きだ。

 瞬きひとつもできないほどの、画面から目を離せない瞬間。高鳴る心臓の鼓動が内側から体を突き破りそうな瞬間。そしてそれらが終わったときの心地よい疲労感を、眼を閉じ、息を吐きながら味わうのがたまらなく好きだ。
 
 そんな刺激ジャンキーな筆者にとって、2月4日(金)に発売される『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』(以下、ダイイングライト2)は最高に快感をもたらし続けてくれる作品だった。スピード感あふれるパルクールアクション、思わず力がこもるほどに激しい近接戦闘、そして何よりも街中に満ち溢れた無数の危険は、プレイヤーに退屈する隙を与えない。

 本作は2015年に発表された『ダイイングライト』の続編であり、ゾンビのはびこる巨大な都市「ザ・シティ」の中で生きる人々と、とある目的のために街の外から訪れた主人公「エイデン」の物語を描く。

 まず明らかにしておくが、ストーリー部分は前作から繋がってはいるものの、舞台やキャラクターは一新されている。つまり、前作をプレイしていない方でも存分に楽しめる、ということだ。

 そして、前作でも特に好評を集めたパルクールの爽快感は健在。よりアクション性を増した近接重視の戦闘や、ときにプレイヤーを葛藤させるほどのストーリーなど、初代『ダイイングライト』を超えた持ち味もたっぷりと生み出されている。

 本稿では、そんな『ダイイングライト2』の各システムを簡単に解説しつつ、本作の「緊張感」あふれる体験を紹介していきたいと思う。初代『ダイイングライト』の経験もふまえたうえでの感想とはなるが、可能な限りシリーズ初プレイの方にもわかりやすいように本作の魅力をお伝えするつもりだ。

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文/久田晴


爽快なパルクールアクションに新システム「免疫力」が加わり生まれたさらなる緊張感

 『ダイイングライト』の魅力といえば、まずは「パルクール」のアクションについて触れないわけにはいかないだろう。常に落下の恐怖がつきまとう中で、スタイリッシュに屋根から屋根へと渡り歩く爽快感は『ダイイングライト2』でも健在だ。
 
 特に夜間の探索ではゾンビが活発になるほか、新システム「免疫力」の存在もあり非常に緊張感が高い。免疫力は暗所での行動が可能な制限時間として表現されており、暗い場所にいるときは画面中央上部のタイマーが減っていき、ゼロになると死亡する。

 夜間は常にタイマーが減少していくので、初代『ダイイングライト』同様の活性化したゾンビの恐怖にくわえ、じりじりと内側から蝕まれていく恐怖も味わえる、というわけだ。

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残り時間が減ると「免疫力低下」と警告される

 感染の進行による死を免れるためには、定期的に「UVライト」が設置されている場所へ訪れなければならない。UVライトは特徴的な紫色の光で表現されており、夜の探索中にはこれらが心と体の拠り所となる。制限時間ギリギリで安全地帯にたどり着いたときの安心感は計り知れない。

 そして同時にこの仕様は、オープンワールド型のゲームにありがちな「拠点解放」の意味を大きく向上してくれた。自ら解放した拠点が、厳しい夜の最中に迎え入れてくれる感触は何ともありがたみを感じるものである。

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ただし、UVライトがあっても人間の敵がいる場合も

 移動に役立つガジェットも、ストーリーの進行に応じて解放されていく。代表的なものは前作から大きく仕様変更がなされた「グラップリングフック」と、新要素である「パラグライダー」だ。

 パラグライダーは高所から飛び降りた際に展開でき、スタミナが続く限りゆっくりと滑空できるガジェットだ。こちらを入手すれば、落下死の危険はかなり遠ざかるうえ、これまで行けなかった場所にも到達できるようになる。

 地面や屋上から噴出している気流に乗れば、高度を上げつつスタミナを回復し、より長く飛び続けられる。また、気流はその場から直に急上昇しつつグライダーを展開できるので、地上からの緊急脱出のような運用も可能、ゾンビに追われている時などに重宝する。

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 「グラップリングフック」は似たようなアイテムが前作でも「引っ掛けフック」として登場していたが、使用感は大きく異なる。前作版が打ち込んだ場所にまっすぐ引き寄せられる移動だったのに対し、今作ではスイングして振り子のように移動するものとなった。

 急速に地面から離れるのは難しくなったが、代わりにクールダウンが消滅。スタミナのみの制限となったので、連続での使用もたやすい。

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影に注目するとどのような動きをしているか分かりやすいかと思う

 前作『ダイイングライト』にも言えることだが、パルクールアクションの操作感は少しクセがある。そもそも一人称視点で激しいアクションを行ううえ、不安定な高所を渡り歩くゲーム性のため、今作で初めてプレイするという方は思ったように動かすのにしばらく苦労するかもしれない。

 しかし慣れてきた後の移動の楽しさは、ほかのオープンワールドでは中々見られない楽しさだ。瞬時にルートを判断し、的確にジャンプやスライディング、グラップリングフックなどのアクションを選択して華麗に走り抜き、眼下のゾンビの群れを置き去りにしていく爽快感はたまらない。

近接攻撃に焦点が当てられ、さらに躍動感を増した戦闘アクション

 『ダイイングライト2』の戦闘は、近接攻撃に焦点が当てられている。前作で登場したようなアサルトライフル、ハンドガン、ショットガンのような銃器類は登場しない。弓やクロスボウ、くわえて投げナイフや火炎瓶のような投擲武器は扱うことができるが、やはり主となるのは武器を用いた近接戦闘だ。

 近接攻撃、特に「パリィ」のアクションが非常に重要なものとなった。パリィ後に態勢を崩した敵を踏み台にしてジャンプ、そのまま別の敵へとダイビングキックを繰り出す、というムーブが人間相手の戦闘では基礎となる。

 これは前作にはなかった要素だが、その躍動感あふれる演出も相まって、うまく決まった時がとても気持ちいい。キックを食らわせた相手もパリィした時と同じようにひるんだ状態になるので、それを踏み台に次の敵へ……といった連続攻撃も可能だ。

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この爽快感がたまらない

 武器は使い捨てにすることが多いが、マップのいたるところに用意してあるのでまず不足することはない。メインストーリー中でも、きちんと最低限の装備は整うようにアイテムが配置されていたような印象だった。

 もちろんショップで購入することもできるし、スロットに強化パーツをはめこみ特殊効果を持たせることも可能だ。プレイヤーランクが上がるごとに、ショップや拾える武器の性能は向上していく。

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 また、装備に関わらず行える「キック」も健在。ただし、前作とは異なりガードしながら攻撃ボタンを押すことで繰り出せる技へと変化した。実戦ではおもに、ガードを固めている人間を崩すのに使うようなイメージだ。

 前作ではスキルを獲得しなければならなかった背後からのステルスキル「テイクダウン」は最初から使えるようになり、眠っているゾンビなどの処理に大いに活躍してくれる。

 突進してくる相手をいなす「グラップル」や、地面に倒れた相手に強力な一撃を与える「ストンプ」などの体術も続投。特にストンプはゾンビ、人間、ボス級にまで効果を発揮する、万能かつ強力なスキルである。

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相手の頭を思いきり踏みつぶす

 総じて『ダイイングライト2』の戦闘は射撃の要素を薄め、格闘に大きく舵を切ったような印象が強い。前作ではアサルトライフルなどの銃がいささか強力すぎたような記憶もあり、ダイナミックかつやりごたえのある近接戦闘に焦点があてられたことは歓迎したい。

 また敵だけが銃を撃ってくるようなこともなく、理不尽さは感じない。弓持ちの人間や遠距離攻撃型のゾンビは総じて体力が低めに設定されているので、主人公持ち前の機動力を生かして接近し、さっさと片付けてしまうのがいい。

 前作からの大きな変更点として、敵やプレイヤーキャラクターに明確なレベルが用意され、初期設定では体力バーなども表示されるようになった。こちらについては賛否あるようだが、少なくともメインストーリーを遊んでいく上では「レベル上げ」のようなプレイは行わずとも充分に楽しめるバランスとなっている。

 くわえて、体力バーの表示、非表示もプレイヤーが自由に選択できる。すべてのステータスを可視化する「RPG」から自分のスタミナなどもふくめて表示しない「イマーシブ」まで3段階の設定が用意されているので、没入感や利便性を考えて好みで調整してほしい。

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画像は「RPG」モード

 戦闘は極端に難しいものではないが、やはり一人称視点で目の前に武器やゾンビが迫ってくるシチュエーションのため、緊張感は十二分にある。敵を陽動するコインや、テイクダウンがゲーム開始直後から使えることもあり、ステルスプレイもやりやすくなった。近接戦闘に比重が傾いたことは間違いないが、プレイヤーが選べる攻略の幅は決して狭くない。 

キャラクターだけでなく、フィールドもプレイにあわせて変化していく成長システム

 プレイヤーキャラクターの成長要素についても触れておこう。まず、基礎ステータスである「HP」と「スタミナ」はフィールド中に隠されていたり、クエストをクリアすることで入手できる「インヒビター」という物資を集めて向上させる。

 インヒビターを3つ集めるとふたつの基礎ステータスのうちのどちらかを一段階ランクアップでき、同時に免疫力も向上する。基礎ステータスの上昇率は中々に高く、特にスタミナは伸ばしていくと移動時の余裕が大きくなるということもあり、成長を感じやすい。メインストーリーで訪れる場所だけでもそれなりの数が用意されているので、無理にサブクエストを遊ばなくてもいい点もありがたかった。

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 ほか、それぞれ対応したアクションを行ったり、クエストクリアで解放していく「戦闘」「パルクール」のふたつのスキルツリーが用意されている。新たな攻撃が可能になったり、よりスピーディーな移動を実現したりと、スキルを得るたびに試してみたくなるようなものが数多くある。

 前作では見た目の変更だけだった服やマスクなども防御力やステータスを持った「防具」へと変化。武器同様にプレイヤーランクが上がるごとにより良い装備品が出現するようになる。ステータスボーナスが多岐にわたるので、プレイスタイルに応じた最適な装備品を集めるようなやり込みプレイも楽しめそうだ。

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装備画面も自キャラクターが映ったりと豪華に

 さらに、回復薬や各種能力を向上させるブースター、投擲武器、さらにはパルクールの項で紹介したグラップリングフックやパラグライダーなどのガジェットは強化が可能で、性能や生産効率などが改善されていく。特に、回復薬は回復量だけでなく使用スピードも向上するので、強化しておくとかなり使いやすいものとなる。

 一部アイテムのアップグレードには特殊な素材が必要となるほか、基礎素材としてゾンビを倒した時に得られる「討伐の証」が相応の数求められる。プレイスタイルにあわせて好みのものから優先して強化していくと快適に戦闘や探索を楽しめるだろう。

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 このように、探索や戦闘を経ることでプレイヤーキャラクターはさまざまな方向から成長していく。だが、それだけでとどまることはない。『ダイイングライト2』ではマップ自体も、プレイヤーの手助けとなる設備が充実していく、という形で強化できるのだ。

 マップ中に点在する給水塔や電力施設など、街のインフラにかかわる施設を解放すると「サバイバー」「ピースキーパー」ふたつの組織の内のどちらかにそれを割り当てることができる。

 解放した施設を彼らに渡すと、陣営に応じた設備がマップ中に配置されるなどの恩恵を受けられる。サバイバー側ではおもに「ジップライン」などの移動補助、ピースキーパー側では「カートラップ」などの戦闘補助となっており、どちらにいくつ渡すかはプレイヤーの選択次第だ。

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 両組織の雰囲気や理念などについては、ぜひストーリーをプレイする中で感じ取っていただきたいが、簡単に説明するとサバイバーは助け合いながらも自由に生きる人々ピースキーパーは秩序を重んじる軍隊的なイメージとなっている。

 彼らはストーリー中でも大きな役割を持つ。かつ、その面子も個性的で魅力的なメンバーが揃っており、施設の解放時にはどちらにつくかで大いに迷わされた。この「選択」という要素はメインストーリーでもたびたび登場し、前作『ダイイングライト』から大きく進化した物語の味わいを演出している。

 もちろんこれ以外にも、ランダムで発生するイベントをふくむ、非常に多くのアクティビティが『ダイイングライト2』には用意されている。安全地域の解放、データや物資の回収など、街中に用意されたコンテンツをすべて楽しむには相当な時間を要することだろう。

 その豊富なコンテンツ量にスリリングな移動の体験があわさり、特に目標を定めずとも街を歩いているだけで楽しい作品に仕上がっている。特にインフラ施設や安全地帯の確保はその報酬が目に見えて大きいこともあり、近くにいくとつい足を向けたくなってしまう。

爽快アクションとプレイヤーを「悩ませる」ストーリーで遊ぶ手が止まらない

 『ダイイングライト2』の最大の魅力は、やはり危険と隣り合わせのパルクールによる「移動」だろう。目的地にたどり着くための手段でしかなかったはずの移動という行為は、たくみな舞台設定とパルクールアクションにより、スリルと爽快感をもたらしてくれるドラマチックな体験になった。

 同時に、プレイヤーキャラクターやマップの育成、解放要素ともかみ合い、あらゆる移動の最中に「ゲームを進めてきた」という達成感を得られる。行けなかったところに行けるようになった、前よりもスムーズにここまで来れた、など、やり込んだ分だけ楽になっていくことが肌で感じられるからだ。そして、こんなに楽になるのならあれも試してみよう、と次の目標が定まるサイクルが産まれてくる。

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 そして、現時点ではあまり触れることはできないが、ストーリー部分は前作『ダイイングライト』から非常に進化していると感じた。キャラクター同士の複雑な人間模様や、彼らの理念、意志にプレイヤーは悩まされ、迷わされ、そして決断を迫られるときが来る。

 出会った人々や主人公の行く末が気になるストーリー、そして戦闘はもちろん移動にいたるまでもが刺激的なプレイ体験。このふたつがあわさり、まさに「止め時が分からない」まま駆け抜けるように遊んでしまった。もちろんすべてのコンテンツを遊びつくしたわけではないので、この先もじっくりと「シティ」を満喫していくつもりだ。

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 冒頭にも書いた通り、前作『ダイイングライト』とのストーリー的な接点は少ないので、今作から遊ぶという人も置いてきぼりにされることはない。ゾンビや残酷な描写、そして一人称視点のゲームに抵抗がない方には、ぜひ遊んでみて欲しい。

 もちろん、前作を楽しんだ方にも強くおすすめしたい。グラフィックやシステムの確かな進化と、しっかりと受け継がれた『ダイイングライト』の遺伝子を感じられることだろう。
 筆者が前作をプレイしたのはもう数年以上前のことであるが、遊んでいる内にパルクールの感触を思い出し、舞台やキャラクターこそ違えど『ダイイングライト』に帰ってきた、という感慨深い体験を得ることができた。

 本作は、高いアクション性と、街中に満ち満ちた緊張感「オープンワールド」というゲーム性と非常にうまく噛み合った作品だ。少しの油断が命取りになる世界だからこそ、自らが強くなり、そこに住む人々の力を借りられるように成長していくことの喜びがより引き立てられる。

 その絶え間ない緊張感、そしてプレイヤーを引き付けて離さない物語を、ぜひひとりでも多くの人に味わっていただきたい。そしてゲームをクリアした暁には、タイトルの「ステイ ヒューマン」をもう一度見つめなおして欲しいと思う。

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ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。
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