まさに「お手本」のようなオープンワールド体験。『Horizon Zero Dawn』の続編『Forbidden West』はとにかく快適に世界に入り込める、超ユーザーフレンドリーな作品だった

 『Horizon Zero Dawn(ホライゾン ゼロ ドーン)』(以下、Zero Dawn)をはじめて「見た」ときの衝撃を覚えている。どこまでも広がるかのような大自然と、そこを闊歩する異様にカッコイイ「機械」たち。それまでに遊んだどのゲームともどこか似つかない独特の世界に魅せられた。
 
 当時PS4をはじめとする最新ハードやゲーム用PCを所持しておらず、かつ「オープンワールド」という形式のゲームの経験も少なかった筆者にとって『Zero Dawn』は、あらゆる意味で未来を感じさせてくれるゲームだったのだ。

 その『Zero Dawn』の発売から5年が経ち、今回『Horizon Forbidden West(ホライゾン フォビドゥン ウェスト)』(以下、Forbidden West)がきたる2月18日に発売される。かつて異端者と呼ばれた主人公「アーロイ」は、前作からおよそ半年後のアメリカ西部にて、さらなる生命の危機に立ち向かう。

 巨大な「機械」たちとの戦い、さらにアグレッシブになったオープンワールドの探索、そして新たな土地で紡がれていく仲間たちとの絆。『Forbidden West』では、それらを高いレベルで組みあわせ進化した『ホライゾン』の体験がプレイヤーを待ち受けている。

 本稿ではそんな『Forbidden West』ゲーム本編のプレイフィールを軸に、作からさらにパワーアップした本作の魅力についてお届けしようと思う。
 なお、ネタバレを避けるため『Forbidden West』のストーリーには極力触れないが、一部『Zero Dawn』のゲームプレイに関わる要素が記事中に現れてしまうことはご容赦願いたい。

 また、記事中の画像は特に表記のない限りPS5の「解像度優先モード」にて撮影したものであることを明記しておく。

文/久田晴


ゲーム中のあらゆる体験の印象を深める、魅力的な世界設定

 まず、強くプレイヤーを惹きつける本作のビジュアル、全体的な雰囲気について触れていきたい。
 もちろん『Zero Dawn』から地続きの物語である以上、本作オリジナルの特徴というわけではない。しかし『ホライゾン』シリーズを語るのであれば、やはり「機械獣」をはじめとする独特のデザインや、この世界に生きる人々の文化を無視するわけにはいかないのだ。
 
 舞台となるのは現在からおよそ1000年が経過したアメリカ大陸。ところどころではビルやハイウェイの名残を見ることができるものの、かつての文明はほぼ風化してしまっている。人々は狩猟や採集といった生活様式で暮らしており、建造物や装束、武器も原始的なイメージが強く、会うNPCもどこか野性的なものを感じさせる。

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村の造形は原始的な神秘性を漂わせる

 反面、あたりをのし歩く「機械」たちは非常にハイテク。白い外装はそれが人工物であることを強く印象付け、黒いフレーム部分に浮き上がるオレンジ色のラインは人工筋肉を連想させる。火を噴き、レーザーを放つ巨躯はまさに人工の怪物でありながら、自然界にも不思議に調和し、プレイヤーを迎え撃つ。

 また、アーロイの身に着けている「フォーカス」のおかげで、ポストアポカリプスの世界でありながら、プレイヤーに与えられる画面情報などは近未来的な表現となっているのも面白い。

 機械をスキャンして弱点や巡回ルートを把握できるのも、オープンワールドのゲームにありがちな「痕跡」を追えるのも、そして離れた場所にいる仲間に連絡を取れるのも、古代文明の技術の粋である、という設定のおかげで自然と受け入れられる。

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シリーズを通したキーアイテム「フォーカス」には今作でもお世話になる

 この「野生」と「ハイテク」のギャップこそが『ホライゾン』シリーズの魅力だ。今を生きている我々からして、はるか過去とはるか未来が同居したような世界
 どこまでも広がるような荒野から、少し脇道に入っていくとサイバーな施設に出会える感覚は、ほかのタイトルではなかなか味わえないものである。

 このユニークな世界こそが、オープンワールドを「歩く」楽しみを生み出していた。もちろんフォトモードも実装されており、気に入った場所でゲームを一時停止し、カメラのアングルやピントにこだわりぬくことができる。

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ふとしたところで見つけた戦闘機の亡骸とツーショット

 くわえて、PS5版のみとはなるが「DualSense」の機能のひとつ「ハプティックフィードバック」機能も、本作のゲームプレイに新鮮な刺激を与える。
 弓や「プルキャスター」、「シールドウィング」などのガジェットの使用時はもちろん、回避や着地のような何気ないアクション、さらには水たまりや草むらといった地形をも反映し、手元の刺激として表現してくれる。

 『Forbidden West』のマップは広大で、すべてを探索するのは容易ではない。しかし、そこに用意されたあらゆるロケーションやオブジェクトは、観察すれば観察するほど本作のメインストーリーの舞台として練り込まれた設定を感じさせてくれる。
 
 キャラクターや部族の名前だけでは覚えられなくとも、歩き、旅をしているうちにプレイヤーは本作の世界に親しみ、愛着を持つようになっていくのだ。

「狩り」の恐怖と興奮を存分に楽しめる対機械戦闘

 『Forbidden West』の戦闘シーンは基本的には『Zero Dawn』と同様の、TPSと近接アクションを織り混ぜたものとなっている。

 そしてとにかく機械たちは硬く、強力だ。『Zero Dawn』の存在を知った時に生まれた「弓であんな強そうなメカに勝てるの?」という疑問は、決して的外れではなかった。
 装甲に矢弾をはじかれてしまえばごくわずかしか耐久力を削ることができず、逆に彼らの攻撃を食らえばあっという間に体力のほとんどを奪われ、無様に地面を転がることになる。

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真正面からぶつかりあうのは得策ではない

 しかし彼らは機械だが、同時に「獣」でもある。膂力や耐久で敵わなくとも、人には人の戦い方があるというものだ。それが本作では「スキャン」を軸に「属性」「罠」といった形で表現されていた。

 まず接敵して最初にすべきことが、フォーカスの機能のひとつである「スキャン」だ。敵の弱点や部位ごとの特性などを分析しつつ、巡回ルートを把握し、その戦闘におけるプランを立てる。

 孤立した敵をステルスキルして数を減らしていくか、敵の巡回ルート上にトラップを設置してかかるのを待つか、爆発するタルなどの環境を活用して一気にたたみかけるか……など、その状況に応じたプランを考えて実行。そして華麗にことが運んだ時の喜びははかりしれない。

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使えそうな環境があるか、調べておくのも重要だ

 そして『Forbidden West』では「炎」「電撃」など『Zero Dawn』にも登場していたものにくわえて「酸」「プラズマ」といった「属性」を運用できる。同じ属性の攻撃を継続して当て続けることで相手を状態異常に追い込み、戦闘をより優位に運べるようになるという仕組みだ。

 もっとも派手に属性効果の恩恵を感じられるのは「連鎖反応」を引き起こしたときだろう。機械の持つ特定の部位に、対応した属性の攻撃をあてることで周囲を巻き込むほどの大爆発を発生させられる。見た目の爽快度も抜群、ダメージも非常に高いものとなるので、積極的に狙っていきたい一撃だ。

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 もちろん機械ごとに相性があるので、最初はスキャンの情報を頼りにプランを組むことになるが、遊んでいる内に機械ごとの特徴や弱点が自然と頭に入ってくる。アーロイが成長していくのと同時に、プレイヤー自身も「西部」での狩りに適応していく。それほどに機械を相手取った戦闘は楽しく、心に残る体験となっている。 

豊富なスキルツリーと武器種が生み出す幅広いプレイスタイル

 戦闘に直接関連する点として、本作に登場するユニークな武装も、簡単にだが紹介しておきたい。一番使用頻度が高かったのは『ホライゾン』の代名詞ともいえる弓。ゲーム中では「狩人の弓」と呼称されるタイプのものだが、そのほかにも面白いものを数多く扱える。初期時点から武器スロットが6つすべて解放されているのも嬉しい。

 まず前作でも登場した「長弓」「戦弓」「ブラストスリング」「キャスター」など。長弓は長距離狙撃、戦弓は近距離の拘束射撃、ブラストスリングは広範囲の属性攻撃、キャスターは拘束や罠の展開と、基本的な役割はそのまま受け継いだ形となっている。

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やはりアーロイには弓がよく似合う

 それらにくわえ、新たに投げ槍「スパイクスローワー」「ボルトブラスター」「シュレッダーガントレット」といった武器種が登場した。いずれもいささかクセがあるが、それぞれ魅力的なアクションを備えている。

 筆者としては「ボルトブラスター」を推したい。弾薬の交換に2秒ほどのリロードを要し、装備中は走ることもできず、さらに回避も遅くなるというデメリットを多く抱えた困った子である。

 その代わり、その高い連射性能の産み出す火力、制圧力は一級品。射程距離もしっかりと備わっており「発射できれば」圧倒的なポテンシャルを発揮してくれる素敵な装備だった。

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ボルトブラスターにはロマンがある

 武器にはそれぞれスキルが用意され、6種類に分かれたスキルツリーの中から好きなものを選択してあげていく。「狩人」のスキルツリーでは「狩人の弓」のスキル、「隠密」のスキルツリーでは「長弓」のスキルといった具合に分かれているので、好みのプレイスタイル、武器種にあわせて成長させていくと良いだろう。

 武器スキルのほかにも基礎ステータスや回復薬の効果上昇など、有用なスキルが多数用意されている。ツリーが多いこともありゲーム開始当初は果てしなくも感じたが、成長スピードは予想よりも早く、やれることはどんどん増えていく印象だった。

 アーロイの成長にプレイヤーがついていけなくなったときには、各所に用意された「競技場」でアクションを練習することもできたりと、アクションゲームが苦手なプレイヤーへのケアも充実。豊富に用意された戦術をぜひ試してみて欲しい、という開発側の意図を感じられる。

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練習場でスキルを指になじませていこう

 さて、スキルの話がでたところで「近接」について少し紹介する必要がある。特に新要素である「レゾネーターブラスト」は、射撃が強力な本作において、近接戦闘の面白みを引き立てる重要な役割を果たしていたからだ。

 スキルを少し解放すると使えるようになるレゾネーターブラストは槍による近接攻撃を重ねていくことでエネルギーを蓄積、たまったら強攻撃で相手に付着させ、その部位を撃ちぬくことで大ダメージを与える、という一連のアクションである。

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エネルギーが付着した部位は画像のように強調される

 基本的に、槍による近接攻撃は属性を持たず火力も極端に高いわけではない。体勢を崩したり装甲をはがしたりと決して無価値ではないのだが、獣に密着しなければならないためリスクが高い。かつ、ロックオン機能がない中で激しく動くので、敵を見失ってしまうパターンもあった。

 が、レゾネーターブラストは「接近して殴る」というシンプルかつハイリスクな行動のリターンと爽快感を、これ以上ないほどに増大してくれた。こちらもスキルではあるが、格闘から飛びずさり空中で弓を構えるようなアクションと組み合わせることで、特に人間相手では非常にスタイリッシュに立ち回ることができる。

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爆破時のエフェクトも派手で気持ちがいい

 『ホライゾン』の戦闘は、あらゆる戦術に可能性を見せてくれる。射撃ですべてかたをつけても良し、煙幕と陽動を活用してスニーキングに徹しても良し、罠を張り巡らして引っかかっていく様を見てほくそ笑むのも良し、真正面から殴り合っても良し。
 もちろんそれらを組み合わせても良い。プレイスキルは求められるが、恐らくどんなやり方でも努力次第でクリアはできるだろう。

 そして、そのプレイスタイルを途中で変更するのも自由だ。メニューを開けば装備はすぐに変更でき、時限的に強力なバフを得る「勇技」も付け替えられる。プレイヤーが「今」やりたいと思った戦い方で遊ばせてくれる、懐の深いアクションシーンはとても魅力的なものだった。

とにかくストレスフリーにデザインされた「誰にでも楽しめる」という強み

 上で挙げた「懐の深さ」は決して戦闘システムに限られた話ではない。『Forbidden West』には数えきれないほどのコンテンツが用意されているが、それらを通して遊んでいくのは非常に快適だ。戦闘、移動、クエスト進行といったおもなゲームプレイが高い水準で組み上げられ、かつユーザーフレンドリーにまとめられている。

 例えば、広大なマップを移動するうえでのファストトラベル。セーブポイントも兼ねる「たき火」はいたるところにあり、たき火からたき火への瞬間移動はリソースを必要としない。
 これのおかげで、さまざまなサブクエストに手を出しやすく、移動のストレスがほとんどない。補給や買い物などもたやすいので、一度の戦闘に全力を使っても困ることが少ない。
 
 戦闘から得られる報酬もよく考えられており、とりあえず倒して漁り、クエストを達成していきさえすれば、自然と基本的なリソースには余裕が生まれてくる。装備を強化したいと思うようになれば、マップから目当ての機械の生息地を探し、近くのたき火までファストトラベルすればすぐにでも狩りをはじめられる。

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戦利品あさりも狩りの楽しみだ

 探索の画面情報も非常に分かりやすく、好印象だった。まず、一切の特別なアクションなく周囲のアイテムを自動で検知、レアリティや種類までふくむ情報を画面に表示してくれるので、取り残しを心配する必要がない。そしてそのサイバーなエフェクトは、自然界の中でしっかりと目立つ。

 クエスト中のルート表示も親切なもので、多くのクエスト中に現れるクライミングや痕跡を辿るようなシチュエーションではフォーカスによる快適なナビ機能がプレイヤーを補助してくれる。

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ボタンひとつでこんなにも分かりやすいガイドラインを表示してくれる

 操作系統も一般的なTPSゲームに準じたものとなっており、同ジャンルの経験のある方ならばすぐにでも慣れることができるだろう。スキルや武器、それに回避、回復、罠などのアイテムなど戦闘中に使用するものは多いが、コントローラの限られたボタン数の中で最大限に扱いやすく作られているように感じられた。

 個人的に評価したいのは、「左手でホールドしながら右手側で操作する」という形式で多くの操作が統一されていた点だ。L2ボタンで構えR2で発射するといった、普遍的な操作の延長線状に「武器ホイールの選択」や「勇技」の発動を落とし込んでくれているので、手元の動きに一貫性が生まれ、直感的に動かしやすい。

 もし難しすぎると感じたならば、その場でゲーム全体の難易度を下げることもできる。プレイスタイルの幅広さとあわさり、「誰にでも」楽しめるという意味ではお手本のような完成度を持っている。

快適なゲームプレイと手に汗握る戦闘が『ホライゾン』の世界へとプレイヤーを引き込む

 『Forbidden West』は言うなれば優等生的なタイトルだ。操作は覚えやすく、システムはユーザーフレンドリー、クエスト中に迷わされることもなく、プレイヤーを快適に遊ばせることに余念がない

 そして、これまでに多くの作品が生み出されてきた「オープンワールド」形式のゲームにおける、さまざまな要素を取り入れた作品でもある。
 ステルス要素のある戦闘やファストトラベル地点の解放、高台からのマップ解析、痕跡調査、クライミング……などなど、同ジャンルを遊んだことのある方ならば、どこかで見覚えがあるようなゲームプレイではないだろうか。

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歩く高台こと、トールネックも続投している

 しかし、『Zero Dawn』から受け継ぎ発展させた本作独自の設定ビジュアル的な魅力、そして巨大な機械を相手取る「狩り」は強い独自性をもって我々を惹きつける。ただ優しいだけではない、プレイヤーを唸らせるような体験もしっかりと兼ね備えているのが本作の長所だろう。

 もちろん、『Zero Dawn』の直接的な続編である以上、可能であれば前作をプレイしてから遊ぶのが望ましいとは思う。『ホライゾン』の世界や主人公アーロイへの理解度、そして愛着という面では、どうしても前作のプレイ経験の有無で差が生まれてしまうからだ。

 ただ、ひとつのゲームとしてのみ見るのならば『Forbidden West』はきっと秀逸かつ、思い出深い体験になる。ストーリーを味わうのも、ひたすら狩りに興じるのも、あるいはいたるところで写真を撮り続けるのも楽しい。そして遊んでいる内にいつしか、この一度は滅びかけた1000年後の世界に愛着を抱いていることだろう。

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ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。
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