人間ドラマ+ロボットシミュレーションRPG『Relayer(リレイヤー)』は歯ごたえのある難度かつテンポが良い、実に気持ちよく遊べるゲームだった

 突然だが、筆者はシミュレーションRPGが好きである。
 ちょっと間違えると全滅しかねないようなマップを、ユニット指示によって無傷で切り抜けたとき……CPUを出し抜いたかのような感覚を得られる瞬間の興奮ときたらたまらない。これこそ、このジャンルの醍醐味だろう。 

 逆に、「強いユニットを適当に突っ込ませて無双する……」みたいなタイプの作品は正直苦手だ。と、そんな風にやや極端な“好き”なので、ストーリーや世界設定などは二の次。バトルが楽しければそれでいいのが筆者である。

 そのようなヒリつくようなバトルを楽しむためには、ストレスにならないテンポの良さも重要だ。些細なロード時間、冗長な演出などは、繰り返しプレイする際のストレスになりかねないので、過度に豪華な演出よりも安定した動作を求めている。

 そんな自分にとって、角川ゲームスの新作シミュレーションRPG『Relayer(リレイヤー)』はうってつけの作品だった。
 最初は「演出とか凝ってる分、テンポは悪そうだなあ……」と思っていたが、いざ遊んでみると歯ごたえのある難度と遊びやすいテンポを兼ね備えており、実に気持ちよく遊ぶことができた。

『Relayer(リレイヤー)』インプレ:歯ごたえのある難度かつテンポが良い_001

 制作陣はシミュレーションRPGというものを相当に研究したうえで本作を作りこんだのだろう。それもそのはず、本作は知る人ぞ知る名作シミュレーションRPG『GOD WARS』を手掛けたチームが開発した作品なのだ。

 というわけで、本記事では2月25日に配信予定の『Relayer(リレイヤー)』体験版のプレイインプレッションをお届けする。

文/浅葉たいが


※本記事はメディア用体験版をもとに制作したもので、製品版とは内容が異なる場合があります。

序盤から歯ごたえ十分。油断するとすぐ仲間が倒れる

 まず、筆者イチオシのポイントとして、本作の“バトルの歯ごたえ”から書いていく。
本作のバトルはクォータービューのマップ上でユニット同士を戦わせるというもの。シミュレーションRPGとしてはお馴染みの仕組みなので、『ファイアーエムブレム』シリーズや、『タクティクスオウガ』などを遊んだ方ならすんなり遊べるだろう。

 また、この手の作品を遊んだことがないという方でも、難解なシステムは少ないので安心してほしい。
 ただ、難解なシステムは少ないとはいえ、シミュレーションRPGとしての硬度はかなりのもの。試しに体験版の難度を”ノーマル”でプレイしてみたのだが、この難度ですら歯ごたえのある戦闘を楽しむことができた。采配をちょっと間違えるとパーティメンバーがバタバタ倒れていくのだ。
 正直、少年少女+ロボットという世界設定の時点で、ゆるふわなゲームバランスを想定していたのだが、序盤から“油断すると全滅する”くらいの雰囲気が漂っている。この塩梅が決して理不尽なものではなく、“考えれば突破できる”くらいなのが実に好感触だ。

 敵の攻撃で受けるダメージはやや高めで、ステージを効率よくクリアするためには、お互いの攻撃範囲を意識しつつ進める必要がある。
 「敵が最大限に移動した際、こちらに攻撃が届くかどうか」、「相手の進軍を釣るような行動で揺さぶりをかけられるか」といったシミュレーションRPGの基本に沿って攻略すれば、活路は見えてくる。そのうえで、ユニット別に用意されたさまざまなスキル(攻撃、弱体、回復など)の性質を理解し、使いこなせば、一本道ではない解法が浮かび上がるのだ。

『Relayer(リレイヤー)』インプレ:歯ごたえのある難度かつテンポが良い_002
適正レベルで進めた場合、ごり押し気味にクリアすることは難しい。敵の動きをコントロールするように動き、なるべくユニットを減らさないように戦おう。

 序盤を終えたあたりで重要になってくるのが、敵からの狙われやすさを示す“ヘイト”という要素の活用だ。

 ヘイトのシステム自体は他のゲームでもちらほら見かけるが、本作ではこれが具体的に示されるため、戦術に活用しやすい。ユニットごとにヘイト値というパラメーターが異なり、戦闘前の準備や、戦闘中の行動によってこの数値が変動する。
 この仕様を活かして、耐久力の高いユニットのヘイト値を高めて、囮のように使う戦術がさまざまな局面で有効だ。逆に、敵に狙われたくないユニットはヘイト値を低めにコントロールして運用するとよさそうだ。

 戦術面だけでなく、育成も濃密なやりこみ要素となっている。本作のユニットは、アサルト、タンク、スナイプ、スカウトという4つのメカタイプに分かれたジョブを習得可能で、初級職からはじまり、中級職、上級職と順に成長が可能。
 ざっくりと4つのメカタイプを説明すると、アサルトは近接攻撃に秀で、タンクは相手の攻撃を受け止める盾役として活躍する。スナイプは遠距離攻撃を得意とし、スカウトはバフやデバフを得意としている。

 このジョブの成長の過程で、さまざまなスキルを習得できるため、ステージが進むにつれて戦術の幅が広がるのだ。

『Relayer(リレイヤー)』インプレ:歯ごたえのある難度かつテンポが良い_003
ジョブの育成とスキルの獲得は、“スターキューブ”という要素に落とし込まれている。戦闘などで得たジョブポイントを使い、任意のスキルを獲得していく。

 また、難度が高くてクリアできないという場合も、序盤で解放される“バトルシミュレーター”を周回すれば、ユニットの育成を進められる。過剰に育成してしまうと歯ごたえがなくなってしまうが、物語を楽しむことに集中したいという方は、先にある程度育成を進めてしまうのもいいだろう。
 また、難度を下げればさらに簡単になるので、この手の作品をはじめて遊ぶという方も安心して手に取れるはずだ。

テンポの良いシミュレーションRPGは面白い

 冒頭にも書いたが、本作の巨大なロボット同士が激突するバトルシーンを見た際、迫力に驚いたと同時に、テンポ面に少し不安があった。意外と本作のバトルシーンは演出が長く、”繰り返し見る”ことを想像するとちょっと冗長ではないかと感じたのだ。

『Relayer(リレイヤー)』インプレ:歯ごたえのある難度かつテンポが良い_004

 しかし、実際にプレイしてみると、バトル中のカットシーンのオン/オフがシステムとしてしっかり用意されていたし、その他のオプションにもゲームテンポを変えられるものが複数あった。

 こうした演出カットなどをフルに活用すると、ゲーム内の表現は味気なくなってしまうが、周回プレイをする場合などには、この機能が間違いなく役立つ。また、完全にカットシーンを完全に飛ばすのではなく、高速化する設定なども用意されているのも嬉しいところだ。

『Relayer(リレイヤー)』インプレ:歯ごたえのある難度かつテンポが良い_005

 ロード時間についても、今回遊ばせてもらった体験版では気にならないレベルだった。特に、バトル中の画面の切り替わりは機敏で、筆者ほどせっかちでなければ、設定変更をせずに遊べるレベルだろう。

ストーリーはプレイしてのお楽しみ

 冒頭でストーリーは二の次と考えていたが、序盤から「どういうこと?」とプレイヤーをひきつけるネタが満載で、ストーリー見たさにバトルを進めるというサイクルにまんまとはまってしまった。アドベンチャーゲーム作りに長けた角川ゲームスらしく、気づけばぐいぐいと作品に引き込まれているのだ。

 本作では、人類が謎の地球外生命体“Relayer(リレイヤー)”と遭遇したのをきっかけに、人類の中に生まれ始めたという“スターチャイルド”たちの戦いが描かれるという。
 主人公であるテラは、GravityLossと呼ばれる重力消失災害に巻き込まれたことで、記憶を失っているが、妹のルナと離ればなれになった瞬間のことは強烈に記憶している。そのルナが人類の敵である“Relayer(リレイヤー)”と共に現れ、攻撃を仕掛けてくるという悲劇が起きる。テラはルナの真意を確かめるため、スターチャイルドとしてルナを追い、リレイヤーに関わっていくことになる。

 以上が序盤で一気に語られる本作の導入部になるが、ここから怒濤のドラマが始まる。テラとルナの関係だけを見ると、エンタメとしては似たようなものもあるが、そこに本作ならではの神話にひっかけた物語などが絡んでくる。
 「これは伏線では?」と思うような要素が次々に登場し、それらはプレイヤーを引きこむ謎として機能している。おそらく、道中でさまざまな真実が明かされていくのだろう。

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主人公のテラ(左)と、離ればなれになってしまった妹のルナ(右)。彼女たちがこの物語のキーマンになるようだ。

 存在感たっぷりのキャラクターたちも本作の魅力のひとつだろう。戦いの気配が近くにある環境の中で、強く生きようとする人物たちの言動にはぐっとくる瞬間もある。また、シビアな戦いの合間に、キャラクター同士の交流や日常パートで描かれる和やかなシーンが絶妙な塩梅で用意されている。

 この緩急あるシナリオ進行がなかなかの心地よさで、ついついやめどきを見失ってしまうことも多かった。本作は一見“ロボゲー”に見えるかもしれないが、キャラクター目当てでプレイする方もきっと満足のいく体験ができるだろう。

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角川ゲームスのシミュレーションRPG、実はすごいのです

 本作を手掛けた角川ゲームスの新規IPには、びっくり箱のような驚きが詰め込まれている。筆者はそういうところが好きで、このメーカーのゲームを積極的に遊んでいる。

 『√Letter ルートレター』というアドベンチャーゲームが持つオンリーワンの雰囲気が好きだ。ダンジョンRPGの『ロストチャイルド』では、濃厚でボリュームのある冒険を楽しませてもらった。島根県を舞台にした『Root Film』を遊んでからは、すっかり島根県のファンになり、一週間くらいかけて舞台探訪をしたこともある。
 これらの作品は正直、尖った部分も多く、万人にウケるものではないのだが、わかる人にはわかる面白さがある。

 では、わかる人にわかるゲームばかり作り続けているメーカーというとそうではなく、同チームが開発した『GOD WARS』は、丁寧に作られ、多くのRPGファンに刺さる傑作だ。同時に、チラリとマニア向けの要素を練りこんだ野心作であり、「こんなとこまでパラメーターつけてるのかよ……」と驚かされたりもした。
 大勢に向けたゲームでありながら、底知れぬ深みも同居するゲームと言えばいいだろうか。あれだけ作りこまれたシミュレーションRPGを作れるチームが手掛ける『Relayer(リレイヤー)』は、きっとまた素晴らしい作品になるだろう。

 今回プレイした範囲で、ゲームの全貌が見えてきたわけではないが、歯ごたえがあり、じっくり遊べるゲームであることは間違いなさそうだ。
 骨太なタクティクスRPGを遊びたいと考えている方は、ぜひ本作をチェックしておこう。

ライター
ゲームを最大限に楽しむ集団「Goziline」主催。ゲーム記事の執筆、イベントの企画などを行う。格闘ゲーム、RPG、ギャルゲー好き。ゲームライターと見せかけて、本業はインテリアデザイン。
Twitter:@asabataiga
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