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【今日は何の日?】『テトリス』が生まれた日(6月6日)。旧ソビエト連邦から世界に広がり、“落ち物パズル”の基礎をつくった名作パズルゲーム

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 6月6日は、ゲーム『テトリス』が誕生した日だ。

 本作の最初のプレイアブルバージョンが完成したのは1984年6月6日のこと。旧ソビエト連邦の科学者であるアレクセイ・パジトノフ氏らが制作したものが源流となる。タイトルの語源はギリシャ語で「4」を意味する「テトラ」(tetra)とパジトノフ氏の好んだスポーツ「テニス」を組みあわせたものだ。

 その後は国境を越えて西側諸国にも広がりを見せ、さまざまなゲーム制作会社にライセンスが供給された。PCやアーケード、家庭用ゲーム機、のちにはスマートフォンなど多彩なプラットフォームにて人気を集める、いわゆる「落ち物」系パズルゲームの代表的な作品となった。

 そのゲーム性は4つの正方形を組み合わせて作られたブロックピース「テトリミノ」が落下してくるため、それらを移動、回転させて積み上げていくというもの。1段がブロックで埋め尽くされるとその段は消滅し得点となり、ブロックが最上段まで積み重なってしまえばゲームオーバー。プレイを重ねると徐々にスピードが上がっていき、冷静な判断や操作が難しくなっていく形式がポピュラーである。

『テトリス』
(画像は『テトリス』公式サイトより)

 日本で『テトリス』が浸透した背景には、1988年に当時のセガ・エンタープライゼスから発売されたアーケード版の人気によるところが大きい。方向キーを下に入力して落下させ、ボタンで回転させるという現代にも受け継がれる基本操作をすでに完成させていた。また、シュールな背景と音楽、独特の重みをもった効果音、最後に登場する謎のサルなども当時のファンに強烈な印象を与えたという。

 その後、アーケード業界では1998年にアリカ制作の『テトリス・ザ・グランドマスター』が稼働を開始。基礎的な部分は1988年の『テトリス』をベースとしたものだが、従来作品の最高速を超えた「20G」を実装したことで人気を集めた作品だ。

 本作はテトリミノの落下位置を表示するシステムを採用しており、この仕様ものちに「ゴーストブロック」の名で広く運用されるものとなった。2005年には後継にあたる『テトリス ザ・グランドマスター3 -Terror Instinct-』が発売。こちらにはテトリミノを保留、交換する「ホールド」機能が実装されている。

セガ発売のアーケード版『テトリス』
(画像は『セガエイジス2500シリーズ テトリス』紹介ページより)

 個人用のゲーム機に向けては、1989年6月14日に任天堂からゲームボーイ版『テトリス』が発売。本作は初めて「対戦モード」を収録した作品で、複数のラインを同時に消すことで相手のフィールドを押し上げることができる、という現代でもおなじみのルールがここで誕生した。発売後には爆発的なヒットを記録し、ゲームボーイ本体の普及にも大きく貢献した一作となっている。

ゲームボーイ版『テトリス』
(画像はゲームボーイ版『テトリス』任天堂公式サイトより)

 その後、2006年4月27日にはニンテンドーDS向けに『テトリスDS』が発売開始。ゲームボーイ版がハードウェアの普及を引っ張った功績を持つことから、新ハードをけん引する目的も兼ねたソフトとして開発がスタートしたという経緯がインタビューで語られている。

 『スーパーマリオ』『ゼルダの伝説』『メトロイド』など、すでに高い知名度を獲得していた任天堂タイトルとゲーム内でコラボレーション。基本的なルールを楽しめる「スタンダード」をはじめ、「ミッション」や「キャッチ」など計6つのモードが実装され、それぞれにモチーフとなるタイトルとBGMが用意されている。

 ニンテンドーDSのゲームシェアリング機能を仕様することで、ソフト1本のみでの対戦プレイを実現。特に「スタンダード」と「ミッション」の2モードは最大10人という大規模な対戦に対応している。ニンテンドーWi-Fiコネクションを通じたオンライン対戦も採用され、対戦成績によって変動するレーティング機能も取り入れられていた。

『テトリスDS』
(画像は『テトリスDS』公式サイトより)

 比較的新しい作品としては、2014年2月6日にパズルゲームの名作『ぷよぷよ』とコラボレーションした『ぷよぷよテトリス』がニンテンドー3DS、Wii U、PS3、PS Vita向けに発売開始。それぞれの基本ルールはそのままに、真剣勝負を繰り広げられる独特のルールが特徴の作品だ。
 
 さらに、テトリミノと「ぷよ」がひとつのフィールドに降り注ぐ「ぷよテトミックス」、時間経過でふたつのゲームが入れ替わる「スワップ」など、コラボレーションを活用したユニークな対戦方式が多数収録された。もちろん『ぷよぷよ』同士、『テトリス』同士での対戦にも対応しており、のちにはPS4やXbox Oneなどの後続ハードでも発売されている。

 2020年12月10日には続編にあたる『ぷよぷよテトリス2』がリリース。3人のキャラクターでチームを組んで戦う「スキルバトル」が新ルールとして実装された。各ゲームのゲームオーバー条件に達してしまっても「HP」が残っていればパズルを継続できたり、キャラクターごとに用意されたスキルを「MP」を消費して使用するなど独自のゲーム性を生んでいる。

 オンライン面でも『ぷよぷよ』と『テトリス』それぞれに限定して対戦できる新たなリーグが実装。そのほか「スキルバトル」のルールを用いて4人で協力して強力なボスキャラクターと戦う「みんなでボス戦」、ひとり用モードのスコアを競う「とことんランキング」など、プレイヤーの好みに応じた幅広い楽しみ方が可能な作品となっている。

『ぷよぷよテトリス2』
(画像はニンテンドーeショップ『ぷよぷよテトリス2』販売ページより)

 このほか『テトリス』の代表的な関連作品としては、対戦に特化した『テトリス武闘外伝』や、巨大な操作レバーが強烈なインパクトを与えるアーケードゲーム『テトリス・デカリス』などが挙げられるだろう。

 近年では、2018年11月9日にPS4向けに発売された『テトリス エフェクト』も注目すべきタイトルだ。『Rez Infinite』『ルミネス』『スペースチャンネル5』を手がけた水口哲也氏率いるエンハンスが開発を担当しており、その華麗なビジュアルやサウンドエフェクトと一時的に時間の進行をスローにする「ゾーン」機能が特徴となる。

 テトリミノを回転させたり、動かすたびに発生するサウンドがゲームの中で連続し、まるでプレイヤー自身が音楽を奏でているかのように感じさせる『テトリス エフェクト』。水口氏の言葉によれば、極度に集中した「ゾーン」の感覚を活かして『テトリス』をこれまでとはまったく違うものに生まれ変わらせることが狙いだったという。

 本作はPS VRにも対応し、数々のゲームアワードにて音楽部門、グラフィックス部門、そしてVR部門での受賞を果たす。大手海外メディアのひとつ「Eurogamer」は、2018年のゲーム・オブ・ザ・イヤーに『テトリス エフェクト』を選出した。

 のちにはマルチプレイヤーモードを実装し『テトリス エフェクト・コネクテッド』へとアップグレード。Nintendo SwitchやXbox One、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games Store)版も発売され、Oculus RiftやHTC ViveなどのVRヘッドセットにも対応した。

『テトリス エフェクト・コネクテッド』
(画像はニンテンドーeショップ『テトリス エフェクト・コネクテッド』販売ページより)

 現代的なオンライン対戦を大きく拡張した作品としては、任天堂から2019年2月14日に発売された『テトリス99』が挙げられる。タイトルの通り同時に99人での対戦に対応しており、各プレイヤーはほかのプレイヤーを打ち負かしてナンバーワン「テト1」になることを目指すという作品だ。

『テトリス99』
(画像はニンテンドーeショップ『テトリス99』販売ページより)

 同年の5月にはCPUを相手に99人対戦を楽しむ「CPUバトル」とひとりで練習する「マラソン」をふくんだ追加コンテンツ第1弾が、9月にはローカル通信で最大8人までが同時にCPUとの99人バトルに参加できる「もちよりバトル」とJoy-Conをおすそ分けしてふたりでバトルロイヤルに挑戦する「シェアバトル」を収録した第2弾が、それぞれ販売されている。

 また、同年の12月には仲間と一緒にチームの勝利を目指す「チームバトル」を追加する無料アップデートも配信。各チームの人数が均等でないという特殊なチーム戦で、狙われている数に応じて攻撃力が増す「カウンター」による強力な反撃が可能な点が特徴となる。

 『テトリス99』は2022年に入ってからも恒例イベント「テト1カップ」を継続して開催しており、『Pokémon LEGENDS アルセウス』『星のカービィ ディスカバリー』などの人気タイトルとのコラボレーションも行われた。イベント報酬として、各タイトルをモチーフとしたスペシャルテーマが配信されている。

 『テトリス』は、そのシンプルながらプレイヤーの思考力と操作精度を試すゲーム性により、ときにはハードウェアの売り上げをも左右するほどの高い人気を獲得してきた。

 テトリス・カンパニーが2022年2月23日(水)に公開したニュースによれば、40周年を迎える2024年に向けてライセンスの新規契約や契約延長を行ったとのこと。世界中で愛されるパズルゲームの、今後の発展にも注目していきたい。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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