そういえば『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』ってどんなゲームなんだろう? 映画やカメオ出演で大人気の「ソニック」の原点を、新生『ソニックオリジンズ』から振り返ってみた

 『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』
 その名を聞いて、頭の中に浮かぶものとはなんだろうか。

ソニック・ザ・ヘッジホッグ

 恐らくは主人公の青いハリネズミ「ソニック」目にも止まらぬ猛スピードで走る姿だと思う。それはソニックというキャラクターに対しても言える。自らの主演作に限らず、外部の出演作のアニメ、映画といったメディアミックス展開の場においても、猛スピードで走り抜ける姿が克明に描かれているからだ。

 そのため、ソニックというキャラクターの個性・特徴というのは、彼の主演作をほとんど遊んだことがない人でも認識、定着しているように思える。
とりわけ昨今は(日本国内においては)2020年上映の実写映画『ソニック・ザ・ムービー』の大ヒットと、続編『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』の上映が決定した話題性も相まって尚更かもしれない。

 しかし、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』というゲーム……ソニックの主演作の特徴に関してはどうだろう。『ソニックアドベンチャー』といった後年および現行の主演作もそうだが、ソニックの猛スピードで走る姿以外については、割とアバウトな印象が強いのではないだろうか。

 それも全ては、海外受けの大きな作品であることが影響しているのかもしれない。現にソニックの人気は、圧倒的といってもいいほど海外に寄っている。それは初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が海外で爆発的な大ヒットを記録したことも大きい。

 日本も決して人気・知名度共に全然という訳ではないし、熱狂的なファンも少なくはない。ただ、最初の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が誕生したのは1991年。当時は前年度に発売された『スーパーファミコン』が勢いを伸ばしつつある時期だったため、『メガドライブ』向けに発売された本作は脚光を浴びにくかったのは否めないだろう。

 とは言え、主人公が猛スピードで走る姿が真っ先に想像されるという、特徴のはっきりしたゲームとして、遊んだことがない人の間でも認識が共有・維持され続けているのは特筆すべきことだ。さらにインディーゲームが台頭するようになった近年は、往年の名作に強い影響を受けたゲームが多数誕生するようになったが、意外に『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に類似した特徴を持つアクションゲームは少ない傾向にある

 特定のアクションに限ってオマージュしたタイトルはある程度存在するが、ほぼソックリなものになるとかなり絞り込まれてくる。それだけ『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』なるゲームには、独自性があるということなのだろう。

『ソニックオリジンズ』タイトル画面

 そんな『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』を始め、シリーズの原点にもなった過去の4作を現行機向けにリマスター・アレンジした新作、『ソニックオリジンズ』が6月23日に発売された。
 今回、電ファミニコゲーマーでは同作の先行プレイの機会を得られたのだが、改めて『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』というアクションゲームの持つ独自性とそれが今なお色褪せずに輝いている理由(わけ)について考えてみることにした。

 ちなみに筆者は『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』は経験済み、残る『ソニックCD』『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3&ナックルズ』は今回の『ソニックオリジンズ』にて初体験となった。

 まさに自らもソニックに対してアバウトな印象を持つ人間なのだが、やればやるほどその個性の”強さ”というものが見えた……ように思う。今回の『ソニックオリジンズ』の特徴や見所、そして気になったところも交えながら以下、綴っていこう。

文/シェループ


文字通り目にも止まらぬ速さを売りにした縦横無尽なアクションゲーム

 そもそも『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』とはどんなゲームか。端的に言えば、横スクロール形式のステージクリア型アクションゲームである。

『ソニックオリジンズ』プレイ画面

 主人公のソニックを動かしながら、「ZONE(ゾーン)」という大枠の中に設けられた「ACT(アクト)」と称されるステージを駆け抜け、ゴールへの到達を目指すというものだ。アクトによっては終盤、ソニックの宿敵「Dr.エッグマン」との戦闘があり、それに限りエッグマンを倒すとクリアになる仕組みとなっている。

 すごく身も蓋もない言い方をするならば、任天堂の『スーパーマリオブラザーズ』とほぼ同じ構成である。ゾーンがマリオで言うところのワールド、アクトがコースというと想像しやすいだろうか。ちなみにアクトの道中には敵も登場し、ソニックの冒険を邪魔してくるが、これを倒すに当たってはスピンしながら体当たりすれば(もしくは、ジャンプして上から踏みつければ)いい。

 続編『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』以降には「スピンダッシュ」なる攻撃も存在するのだが……敵を特定の技で倒せる、という部分もマリオとほぼ一緒というと想像しやすいところだろう。

 2022年現在は共演するほどの関係にあるマリオだが、初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の誕生当時は強力なライバル関係にあった。

 それと同時にソニックは独自の個性も突き詰めていた。
 それが猛スピードで走るという、ハイスピードアクションだ。

『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のハイスピードアクション

 キャラクターが走る動作そのものは、アクションゲームにおいてはそう珍しいものではないし、前述のマリオにもそのようなアクションが存在する。
だが、ソニックは文字通り目にも止まらぬ速さで走る。それこそジェットコースター並、人間離れした速さで走る。そもそもソニックは人間ではないが。

 こうした猛スピードで走るアクションゲームのキャラクターというのは当時どころか、現在の視点で見ても大変珍しいもので、強烈な個性を確立していた。同時にアクトことステージにもこのアクションの強みを活かし、さらには特有の体験を提供する仕掛けとアイディアが盛り込まれた。ジェットコースターという表現がこれ以上なく似合う「360度ループ」はその象徴と言えるだろう。

360度ループ

 だが、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』というアクションゲームの体験と個性を最も際立たせていたのは”縦横無尽さ”にあるように思える。これは続編以降も共通するが、基本的に『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のステージというのは広い

 左右に限らず、上にも下にも自在に移動可能なほど広々としている。
 また、一部例外もあるが、上にも下にもゴールへと繋がるルートが用意されている。1本の決められた道を進めてもいいし、あえてそれに従わず突っ切ってもゴールに辿り着けるよう、全体が設計されている。

上下に広がるステージデザイン

 そして、上にも下にも自在に行き来できるからこそ、思う存分に猛スピードで走れるし、そのようなことをしても許されるという心持ちになれる。

 仮にこれが上下への移動が限定され、道もほぼひとつに絞り込まれた設計になっていれば、猛スピードで走ろうにも迷ったり、慎重になりやすかったかもしれない。行動範囲が限られた道、極端に言えば狭い道を突っ切るのに猛スピードで走ろうとすればその分、仕掛けに引っ掛かる、敵に正面衝突するといった事故に遭う頻度が高まるからだ。

 広々とした作りでも、そのようなミスは付きまとうため、決して易しくなる訳ではない。ただ、広ければ例え猛スピードで走ることへの心理的な抵抗感は薄れるし、そのようなことをしても許されそうという気持ちになれる。

広々とした作りのステージ

 こうしたプレイヤーのやりたいことを存分に開放させてくれる作りを前提にしているからこそ、独自のハイスピードアクションは申し分なく映え、かつ『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』というアクションゲーム固有の体験へと結びついている。

 その意味でも、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が他の横スクロールアクションゲームとはひと際違う存在感を放ち続けるのは、ハイスピードアクションのインパクトに限らず、それを最大限活かす下地が盤石なことにあるのでは、と思えるのである。

 同時にそういった特徴の数々が『メガドライブ』だからこそ実現できた、というのも確実にあるだろう。『メガドライブ』には同じ16ビット機の『スーパーファミコン』より演算処理の面で勝るという強みがあった。
 このため動きや演出の激しいアクションゲームやシューティングゲームとの相性は抜群によかったのだが、それを最も分かりやすく、印象に残る形で伝えて広めたタイトルは紛れもなく、この『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(厳密には初代)だったと言える。

 それは今もなお、ソニックの猛スピードで走る姿が印象に残り、語り継がれていることからも明らかな通り。ゆえに様々な背景と必然性が重なったことによって、ソニックの独自性は確立されたのかもしれない。

集めるだけの存在ではない「リング」と一貫した操作スタイル

 ハイスピードアクション以外にも独自性を際立たせている要素はいくつかある。
 文字通りの意味も含め、ひときわ輝いているのは「リング」だろう。

ステージ中に配置された「リング」

 マリオで言うところの「コイン」……収集アイテムだが、ソニックにおいては「お守り」の機能(役割)とそれに付随する遊びを取り入れた存在に確立されているのが最大の特徴になっている。

 概ねアクションゲームのお約束に則るがごとく、ソニックは敵や罠に一度でも接触・衝突すれば、問答無用でやられてしまう。
 だが「リング」を最低1コだけでも持っていれば、それを防いでくれる。しかも、リングはステージ内のあちこちに散らばっているので、容易に手に入れることが可能。よほど無視しない限りは、身の安全が保障された状態で進めていけるのだ。

「リング」を所持していればミスを防ぐことができる

 とは言え、接触・衝突時には手持ちのリングを全部ばら撒いてしまうのだが。ただ、ばら撒いてしまっても、しばらくはステージ上に転がりながら残り続けるので、全部は難しくても、迅速に動けば最低限の数は回収可能。何より最低でも1コあれば、それだけでお守りの役割を発揮してくれるので、無理して全部を回収しようとしなくてもいい。

 しかし、リングが沢山あれば特別なステージで遊べて、そこにしかないアイテムを手に入れるチャンスが到来するといった明確なメリットもある。なので失わないこと、自分がやられないようにすることも意識する必要がある。

 1コでもあれば安心。沢山あればチャンス到来。失うと大ピンチ。けど、すぐに挽回できるし、1コだけでもあればそれだけで救いになる。
 一般的にもアクションゲームには様々な集めるアイテムが登場するが、こうもただ集める存在に終始させず、別の役割とそこから連想される遊び……落とし物の回収、大事なものを守るといったアイディアを導入しているのも珍しい。

 そうした守りの態勢が取りやすいのもステージを縦横無尽に猛スピードで走り回っていいことの免罪符となり、独特の開放感を際立たせている。細かい部分でも「リング」を回収した時にはとても印象的で気持ちのよい音が鳴る、配置自体が道案内になっているといった収集したくなる魅力を引き立てる作り込みも抜かりない。

リングが道案内の役割も果たす

 こうも積極的に「集める!」と意識させ、行動させる存在として確立されたアイテムが存在しているのも、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の独自性のひとつになっていると言えるだろう。現にソニックの特徴に関して、猛スピードで走る以外のものはと聞かれて、このリングの存在や取った時の音を思い浮かべる人も少なくないのではないだろうか。

 また、これは今回の『ソニックオリジンズ』を遊んでいる中、「そう言えば……」と気づかされたことだが、ソニックは操作のシンプルさにこだわり尽くしている。基本的に十字キー(方向キー)とひとつのボタンで遊べる。他のボタンを使うことはない以前に、『メガドライブ』のオリジナル版に至っては、基本のABCボタン全てがジャンプと設定されている。どこのボタンを押そうとも、ソニックは基本を外さない反応を返してくるのだ。

『ソニックオリジンズ』操作チュートリアル

 これは初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に限らず、続編でも一貫していることであり、結構凄いことだ。新しいアクション、操作キャラクターが追加されたとしても、使うボタンは決して増やさず、初めてシリーズに触れる人であっても楽しめるようにしている。できることが増えれば、使うボタンが増えてしまう増えてしまうのは、アクションゲームだと避けにくいことではある。
 だが、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』は例え続編で新たなアクションが追加されたとしても、「十字キー+ワンボタン」という形式を崩さない。その枠組みの中で広げて、新しい体験や手触りを実現させている。

一貫した操作性で作られる続編シリーズ

 あくまでも『ソニックオリジンズ』に収録された4作に絞った話だが、こうしたシンプルな操作にこだわり、守り通す姿勢もソニックの独自性のひとつと言えるかもしれない。何より、このように設計したことで、後年のゲーム機で復刻されても、特に改めてボタンの配置を設定する必要もなく、そのゲーム機のコントローラに適したスタイルで遊べる。
 なぜなら、全部のボタンに同じアクションが割り振られているからである。

 さすがに『ソニックオリジンズ』は、全部のボタンに同じアクションとはなっていないが(未使用扱いのボタンがある)、ゲーム機が移り変わってコントローラが変化しようとも、それに馴染むスタイルで遊べるのは強みであり、よほど意識しない限りは真似しにくい部分だろう。

『ソニックオリジンズ』プレイ画面2

 こうして個々の特徴を取り上げてみると、どれにも類似例が少ない、独自のルールが設定されている、ひとつの姿勢にこだわり尽くしているのが見えてくる。誕生したゲーム機の性質を活かすのに最適で、なおかつ他では真似するのも難しいであろうハイスピードなアクションを実現した先駆者だったことも然りだ。

 横スクロールアクションは、現在も様々な新作が誕生し続けているが、そんな中でも『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』は作品内で体験できる遊びの独自性を保ち続けており、誕生から30年以上が経った今も色あせていない

 筆者個人が初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』を体験したのは相当前のことで、その時点でも独特の面白さと手ごたえがあったが、今、改めて遊んでみても他に類を見ない特徴と見所がある。さらに今まで遊んだことがなかったシリーズに触れたことで、操作スタイルが一切変わらず進化し続けたことの凄さに気づかされた。

 それだけでも『ソニックオリジンズ』に触れる意義があったと今は思うところである。

旧作の仕様が現代風に改められ、多くの追加要素も足された『ソニックオリジンズ』

 そんな『ソニックオリジンズ』だが、基本的には『メガドライブ』および『メガCD』向けに展開された初期のソニックシリーズ4作をひとつにまとめたコレクションタイトルである。収録されているシリーズ作は以下の通りだ。

◇ソニック・ザ・ヘッジホッグ
◇ソニックCD
◇ソニック・ザ・ヘッジホッグ2
◇ソニック・ザ・ヘッジホッグ3+ナックルズ

『ソニックオリジンズ』モード選択画面

 旧世代機にて発売され、好評を博した懐かしのタイトル数作をひとまとめにし、現行機向けのタイトルとして発売・復刻する試みはここ数年、頻繁に見られるものだ。
 『ソニックオリジンズ』もそれに該当するタイトルのひとつになるが、大きな特徴になっているのが単なる原作の復刻ではないこと。現行機向けのアレンジを加えた、いわゆる”新装版”のゲームモードが収録されている。

 それが「アニバーサリーモード」。現代風にアレンジされた『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズが遊べるというモードだ。

『ソニックオリジンズ』アニバーサリーモード

 具体的には画面サイズを原作の「4:3」から「16:9」へと拡張タイムオーバーと残機制の廃止、チェックポイント通過やステージクリア時の自動セーブ、「スペシャルステージ」のリトライ機能追加といった改良が施されている。

 特に大きいのはタイムオーバーと残機制の廃止だろう。タイムオーバーは時間表示が10分になると、強制的にミスになる(残機「ソニックプレート」がひとつ減る)というもので、初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』以降のシリーズの基本ルールのひとつ。「アニバーサリーモード」ではそれが廃止され、スローテンポな進行でも本編を進めていけるようになった。並行して残機制も廃止されたほか、途中経過がチェックポイント通過のたびにセーブされるので、時間をかけてステージの一部を乗り越えながら進めていくという遊び方、攻略スタイルにも対応している。

スペシャルステージ

 また、「スペシャルステージ」のリトライ機能追加も特筆すべき改良のひとつ。「スペシャルステージ」はリングを50コ以上集めてゴールするなど、特定の条件を達成すると遊べるもの。そして、ここで手に入る「カオスエメラルド」を始めとする特別なアイテムは、よりよいエンディングを迎えるに当たって必ず回収する必要がある
 だが、原作では回収できずスペシャルステージのゴールに到達したり、ミスしてしまうとその時点で終了となり、後からやり直すことができなかった。事実上の一発勝負形式だった訳である。

『ソニックオリジンズ』リトライ画面

 「アニバーサリーモード」では、残機「ソニックプレート」の代わりに導入された「コイン」を1枚消費する形で「スペシャルステージ」のリトライが可能に。それも「カオスエメラルド」などの特別なアイテムを獲得できなかった時に限って、その選択肢が発生する仕組みになった。

『ソニックオリジンズ』コインチュートリアル

 「一発勝負形式はさすがにシビアすぎるだろう」と、色々と苦しめられた当時のプレイヤーにはありがたい改良と言えるだろう。しかも、本編のように無限にリトライ可能ではなく、コインの数次第という残機制に等しい形を取ったことで、原作のシビアさも残している。元々、貴重なアイテムという設定を踏まえると、適度な落としどころと言えるかもしれない。こうしたアレンジが加えられた作りになっていて、基本は原作でありながら、遊び心地は今に近いという不思議な手応えが得られるモードになっている。

 もちろん、原作を忠実に再現した「クラシックモード」も用意されていて、こちらは画面サイズが「4:3」、タイムオーバーと残機制あり、「スペシャルステージ」は1発勝負という元々のルールの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が遊べる。

『ソニックオリジンズ』自動セーブ機能

 ただ、自動セーブ機能は備わっており(※チェックポイント通過時にも保存される)、ある程度とは言え、プレイヤーの好みに沿ったテンポでプレイ可能だ。

 さらにそれぞれのシリーズ作に登場するボスと連戦する「ボスラッシュ」、左右反転されたステージに挑める「ミラーリングモード」、そして新規アニメーションムービーで繋げられたシリーズ4作をストーリーの順番に沿って連続プレイする「ストーリーモード」も用意されている。これらは全て「アニバーサリーモード」の仕様で遊ぶ形の作りとなっている。

『ソニックオリジンズ』ミュージアム

 また、当時の開発資料などのアンロック形式のコンテンツが満載の「ミュージアム」にコイン習得の特典が得られる「ミッション」といったやり込み要素も収録。単にゲーム本編をクリアするだけで終わりとはならないほどにボリュームも拡張されている。

 そして、各シリーズ作を初プレイする時には本作のため、新規に作られたアニメーションムービーも挿入される。ちなみにゲーム起動時にも専用のアニメーションムービーが流れる仕組みだ。

『ソニックオリジンズ』アニメーションムービー1

 以上のような追加要素も盛り沢山で、思わず「ここまでやる……?」と戸惑うほど。旧作の現行機移植タイトルというのを踏まえても相当に気合いの込められた作りで、初めてこのシリーズに触れる人に限らず、原作はほとんど遊びつくした、他の復刻版もプレイしたという経験者でも新鮮な気持ちで楽しめる内容になっている。

 何より「アニバーサリーモード」は各種仕様の現代化により、だいぶ遊びやすくなっている。筆者個人も特に初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』では「カオスエメラルド」の全回収で大変な目に遭った経験があるため(※実際、1発勝負形式というのもあって相当に難しい)、制限こそあれどリトライが可能になった本作の仕様は色々とありがたく感じた。

「カオスエメラルド」

 無限にリトライ可能にしなかったのも、原作のシビアさも多少ながら形で残すというこだわりが見える。また、タイムオーバーが廃止されたことによってスローテンポな進行も許されるようになり、リングの保持もしやすくなった印象だ。
 とは言え、そのような遊び方だとシリーズ特有のハイスピードアクションが楽しめないというデメリットもあるが。

 ただ、意外に慎重な行動を取っても十分な手応えは得られるし、それによって広大なステージに仕込まれた様々なアイディアの数々もよく確かめられるようになっている。ステージの広さにおいては、本作収録タイトルの中ではダントツな『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3&ナックルズ』は地味に見落としがちなところがあるので、あえて速度を落としてみると思わぬ発見があるかもしれない

 実際、探索要素が強化されている(「スペシャルステージ」の入り口が隠し部屋に存在するという形式を採っている)特徴もあるので、なおのことメリットは大きいだろう。

改めて実感する独自性と進化の歴史。そして、オリジンズの気になるあれこれ

 前置きしたように筆者は初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、その続編『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』は経験済みで、残る2作は本作の『ソニックオリジンズ』で初体験になったのだが、後期の作品にかけ、このシリーズは売りのハイスピードアクションと縦横無尽さが際立っていくことを強く感じた。

縦横無尽なハイスピードアクション

 特に『ソニックCD』は過去・現在・未来を駆け抜ける独自のシステムに「スペシャルステージ」における疑似3Dの箱庭空間にも驚きながら、全体的に敵や仕掛けの配置のバランスが程よい。猛スピードで走った後、止まったその場にトゲの罠があったり、敵が待ち受けていたという理不尽に感じやすい場面も少なく(場所によっては存在するが)、存分にハイスピードアクションを楽しめる設計にまとめられていたのが強く印象に残った。この作品は初期のソニックシリーズの中でも屈指の傑作との評価があるのだが、なるほどそれも確かに分かると納得したところだ。

 また、初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』はそのハイスピードアクションに限らず、「スペシャルステージ」の回転表現など技術面および見た目の派手さにも野心的な試みが目立つ作品だった。

『ソニックCD』の疑似3D

 改めて収録されたシリーズ4作を辿ってみると、アクションゲームとしての手応え、独自性に限らず、そうした見ているだけでも楽しいことにもこだわり尽くしていたことにも気付かされた。

 メガドライブでは特に1993年から1994年頃にかけ、技術・演出面で挑戦的な試みをするアクションゲームが出ているが、そのような流れを作った火付け役が『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』だったのなら、もっと真剣に向き合うべきだったかも……と思いもした。インディーゲームの台頭で、多彩な横スクロールアクションゲームが作られるようになった中においても類似例が少なく、その独自性を再認識させられたのも大きいが。

『ソニックオリジンズ』プレイ画面3

 そうしみじみ感じながら「アニバーサリーモード」を中心に遊んだのだが、それでも元は1990年代初期に誕生したアクションゲームでその移植。何の変哲もない地面から剣山が飛び出すのを始め、現在の視点で見るとやや理不尽に感じてしまう所も多い

『ソニックオリジンズ』プレイ画面4

 特に初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』は精密な操作や慎重な行動が試されたりする場面など、売りでもあるハイスピードアクションを楽しめる場面が後半にかけて限定されていく構成は今、改めて体験しても首をかしげるところだ。

 「アニバーサリーモード」でもその辺りにはこれといって変更はなく、チェックポイントも増加している訳ではない。遊ぶに当たっては心の準備が必要だ

『ソニックオリジンズ』ボス戦

 また、「アニバーサリーモード」は「16:9」に画面サイズが拡張されているが、筆者個人の主観としてはあまり広がったことによる恩恵は感じにくかった
 元々の「4:3」を基準にして横に広げているためか、例えば上に何が待ち受けているか見やすくなるという明確な変化が少ない。少し俯瞰的な感じを出してみるとか、そういう調整をしても良かったように思えた。

 そして、今回の先行プレイではあらかじめ、コイン100枚を所持した段階から始められたが(※予約購入特典の「スタートダッシュパック」が適用されている)、普通に稼ぐとなれば「アニバーサリーモード」の残機アップ、「ミッション」の攻略など、やや時間を必要とするところがある。幸い「スペシャルステージ」のリトライでは1枚しか消費せず、繰り返すたび枚数が増えていくようなことはない。ただ、貯め込もうとすると割と手間がかかるのは、(個人差があれど)拒否反応が出る部分かもしれない。

『ソニックオリジンズ』プレイ画面5

 他に残機制の廃止に自動セーブの追加などはあるものの、ニンテンドー3DS向けに発売された『3D ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(および『3D ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』)のようなゲーム進行中の好きなタイミングでのセーブ(いわゆるステートセーブ)は無し、ステージ間で手に入れた「リング」の個数が次のステージにも引き継がれる「リングキープ」がないのも気になるところ。

 そのため、気軽にシリーズを振り返ってみたいという点で見ると、やや厳しい作りではある。とは言え、現代的な仕様のおかげで遊びやすくなっている所は確実にあるほか、本作でしか見られない要素の数々もある。

 また、これまでなかなか現行機への復刻に恵まれていなかったシリーズ作のひとつ『ソニックCD』が遊べることや、拡張版『ソニック&ナックルズ』も含まれた完全版仕様の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』の存在も見逃せない。

『ソニックオリジンズ』アニメーションムービー2

 誕生から30年以上が経過し、名実共に長寿のアクションゲーム作品となっているソニック。その原点たるシリーズ4作をひとまとめにした本作『ソニックオリジンズ』には、30年以上が経っても色褪せないアクションゲームとしての独自性と、他では味わえない圧倒的なスピード感、そして縦横無尽さがある。

 最新のPlayStation 5にXbox Series X|S、Nintendo Switchといった現行のゲーム機、PCに展開される本作を通し、あらためて『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』という横スクロールアクションゲームの独自性と魅力を味わってみてはいかがだろうか。

ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop
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