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愛すべきバカが全員集合したオープンワールドゲーム『セインツロウ』は”快適にバカをする”ために緻密にデザインされている!4時間のプレイで勝利を確信した最高の体験会レビュー

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 みなさんはアメリカのバカはお好きですか?

 僕は好きです。見てると元気が出るので。そんなアメリカのバカ要素がギュッと凝縮されたゲーム『セインツロウ』はご存じでしょうか。

 最初に断っておきますが、今の世の中でバカをやるのは非常に難しいことなのです(昔は何も考えずにバカができてよかったと言いたいわけではなく)。

 たとえばものの数秒のmeme動画であれば、バカで押し切ることができますし、そうあるべきだとは思います。けど、ビデオゲーム、それもオープンワールドのボリュームが満点のAAAタイトルとなってくると話は変わってきます。何十時間もプレイを持たせなければいけないし、シナリオの量も膨大ですからね。

 先日開催されたメディア体験会で『セインツロウ』の冒頭4時間をプレイしたのですが、この作品は緻密に設計されたバカのゲームであることを確信しました。

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 かつては『グランドセフトオート』シリーズに似た作品として登場し、バカ路線へと舵を切ったことによって、独自路線を突き進んできた『セインツロウ』シリーズ。その最新作は、いままでの蓄積がしっかりと生かされた素晴らしいゲームとなっています。

 「バカゲー」と聞いてしまうとすこし警戒したり、ちゃんと作りこまれていないがゆえのバカ要素だと勘違いしてしまう方がいるかもしれませんが、このゲームはとにかくオープンワールドクライムゲームとしてのクオリティが非常に高い上で、バカ要素をしっかりと入れ込んでいます。

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メディア体験会の会場に貼られていた、きな臭い紙

ライター/tnhr


破天荒すぎるセインツロウの世界

 本作『セインツロウ』は世界累計販売本数3000万本を誇るクライムアクションゲーム『セインツロウ』シリーズの最新作。今作は2006年からはじまった同シリーズを刷新するリブート作品であるとの意味を込め、タイトルにナンバーがつけられていないとのこと。

 さまざまなシステムやノリ、おおまかな設定はシリーズの過去作から引き継がれているところもありますが、シナリオはまったく新しく独立したものなので、シリーズを一作もプレイしたことがない方でも入りやすいものとなっています。

 本作の舞台は、アメリカ南西部、つまりカリフォルニア州っぽい場所をモデルにした架空の都市「サント・イレソ」。ここはとにかく破天荒な街で、犯罪やパーティー、銃撃戦にドラッグなどは日常茶飯事です。とにかく治安が悪い。治安を悪くしている多くの原因はプレイヤーなのですが。

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 オープンワールドで表現されたこの街には9つのユニークな雰囲気を放つ地区が登場。メキシコの国境を思わせる土地や海沿い、高層ビルが立ち並ぶ都会などエキサイティングなロケーションに満ちています。

 そして本作は新たなシリーズの幕開けとしてピッタリな「成り上がり」をテーマとして作られています。主人公も今までの作品で描かれた最強マフィアというよりは、非常に若く経験の少ない世代の人たちで、年が近いであろう私は非常に親近感が湧きました。

 そもそも今までに登場してきた組織である「セインツ」はゲームが始まった段階ではまだ設立されていません。アイデンティティや所属、性格、得意分野がまったく違う主人公4人が力を合わせ、サント・イレソで名を上げていくことを目的としています。

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 ぶっちゃけて言うと4時間プレイしただけじゃ『セインツロウ』の要素やシナリオを知り尽くすことはできないし、きっと私は氷山の一角にしか触れていないはずです。しかし、これからのプレイが最高になるであろう約束をこのメディア体験会で確信しました。

最高のバカ主人公「ボス」

 『セインツロウ』シリーズといえばカスタム要素が非常に特徴的です。主人公である「ボス」のキャラクターメイクはもちろん、充実しています。というか充実しすぎていています。

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 公式サイトにも書かれているのですが、この作品においては”身体”が非常に重要です。以下の文章は公式サイトからの引用です。

「身体がなければ大暴れしながら走り回ることもできないし、最高にイケているオシャレもできないし、もちろん犯罪もできない。想像力を働かせれば、大体の体系は作れる。」

 「体系」というのは「体型」の誤字のような気がしますが、とにかく本当に全てを作ることができます。自分に似た姿にするもよし、他の誰かをモデルにするもよし、怪物になるもよし、ということなのです。

 さらにうれしいのは、いつでもこの姿を簡単に変えることができるということです。ちゃっちゃとプレイしたいという方は、適当にキャラメイクをしてゲームを始めてしまえばいいし、プレイ中にあまり気に入らないと思っても困ることはありません。服やアクセサリーの種類もかなり豊富なので、ファッションから身体を考えてみるのもいいかもしれません。

 また、過去にMODとしてファンが制作した「体毛」が今作からはオフィシャルとして登場しているらしく、いかに製作陣が柔軟であるかがわかると思います。詳しくは過去に電ファミが記事にしているのでそちらをご参照ください。

 また、主人公はこれから成り上がっていく若者ではありますが、侮ってはいけません。やっぱり『セインツロウ』の主人公。金欠だからって言ってめちゃくちゃカジュアルに銀行強盗をするし、とにかく喧嘩っ早くてノリが軽い。ベラベラ喋りながら尋問をするし、銃をぶっ放す。

 ゲームプレイはもちろんですが、話のテンポでゲームの流れを作っているため、心地が良いです。

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攻めが気持ちいい奥深い戦闘、ノンストレスなシステム

 銃撃戦の気持ちよさが期待される本作ですが、しっかりと「攻め」が強いゲームになっており快適に戦闘をこなすことができました。

 基本的に「攻め」「守り」どちらが強いゲームかは好みが分かれるところではありますが、多彩な武器と暴力、ハイテンポさに特化しているゲームであったら「攻め」が強い方が面白いゲームになる気がします。

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 たとえば「スキル」の発動に使うゲージは基本的に攻撃をし続けることによって溜まっていきます。つまり、攻めを継続することによって、さらなる強い攻めを誘発することができるようになっているのです。

 そのスキルも『セインツロウ』らしいものになっていて、一番最初に獲得することのできるスキルは、「敵のパンツにグレネードを入れてぶん投げる」という内容となっています。敵が大量に登場し、近距離でも戦わなきゃいけなくなる本作においては、非常に汎用性が高いうえに面白いスキルになりそうです。

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 また、戦闘以外の要素もかなり快適に設計されています。厳密じゃなくてもいいところが、しっかりと厳密じゃなくデフォルメされた動きになっているのです。

 車に乗っている人を殺害するとなぜか車が爆発するのですが、その光景は何度見てもウケます。確かに運転手が死んでしまった車は、他のゲームだとただ減速するだけなので派手さに欠けます。せっかくなら爆発させてしまえみたいに考えてしまうところが『セインツロウ』らしく、そして大きな魅力のひとつにもなっていると思います。

 また、カーチェイスが非常に面白く、サッカーやアメフトのスポーツゲームのタックルようにサイドスワイプによって車両にツッコむことができ、車両を破壊することができます。これまた、デフォルメされた動きが面白く、上手く当てると車が爆発してくれるので気持ちが良いです。

 敵の車を頑張って押して、障害物に突っ込ませたり、爆発物を使って爆発させることはもちろんできますが非常に難しいです。こういうときにサイドスワイプがあるのは非常に便利なのです。

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 車で荷物をけん引するクエストも、荷物の耐久値がないどころか、ぶつけまくっても車から離れることがないので楽にこなすことができます。これに関しては好みが分かれると思いますが、ハイテンションなゲームで急に繊細な動きを求められてしまうとストレスなので、私的には非常に嬉しかったです。

『セインツロウ』の魅力は音楽にもあり

 車社会のアメリカでは、社内で聴くラジオが重要です。そして『クランドセフトオート』、『サイバーパンク2077』『ウォッチドッグス』などをはじめとするオープンワールドゲームでは、ラジオで聴くことのできる音楽が作品の方向性を左右することがあります。

 『セインツロウ』ではLecx Stacystarcrawlerという最近の音楽シーンで活躍するカルフォルニア出身のアーティストの楽曲がラジオで流れます。また、nuclear blastというメタルのレーベルがまるまるひとつのラジオを担当していて、そこのレーベルのメタルが流れまくったりもします。レーベルのファンとしては最高です。

 さらに、Naughty by NatureKRS-OneEric B. & Rakimという80年代からヒップホップのシーンを作っていた人からTrippie Reddという新進気鋭のラッパーまでも。

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 本作のヒップホップに関しては最初のミッションの警察とのカーチェイスが非常に特徴的でした。クライムゲームでは、そのゲームを一気に決定づける要素になると思うのですが、本作ではKRS-Oneの『Sound of da Police』がBGMとして流れます。

 私はこのBGMを聴いた時に「このゲームは信用していい!」と感じました。なぜなら『Sound of da Police』は警察の残虐行為と人種差別を批判する曲だからです。

 たまたま私がヒップヒップとかメタルに詳しいだけで、もちろん他にもたくさんの音楽をラジオで聴くことができます。

 メキシコの伝統的な音楽であるマリアッチだったり、ブラジルのクラブミュージックであるバイレファンキだったり、フューチャーベースにロックにクラシック。きっと気に入るラジオが誰にでもあるはずです。

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充実したサブクエスト、そしてカスタム要素

 ここまでに紹介した要素以外にもさまざまなサブクエストやカスタム要素があります。

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 食べログのようなレビューサイトで低評価にして、ギャングに襲われるミッション。街の歴史を知るためのミッション。さまざまなバカな登場人物と戯れることできるミッションで世界への理解を深めることができます。

 メディア体験会では、「セインツ」の拠点である教会を獲得するまでしかプレイすることができなかったのですが、その教会の内装もかなり自由にカスタマイズすることができるそうです。

 ほかには乗り物はもちろん、セインツのメンバーもカスタマイズすることができるらしく、本当に自分の好みを細部まで調節することのできるゲームになりそうです。詳しくは過去の電ファミの記事とオフィシャルの動画をご参照ください。

 最後に余談なのですが、日本のパブリッシャーであるコチメディアさんが主催した今回のメディア体験会。なんと、このためだけに準備した『セインツロウ』オリジナルクラフトビールハンバーガーがありました。

 仕事しに集まってくるライターにビールを渡すなんて!

 非常に『セインツロウ』らしくて笑ってしまいました。ハンバーガーもビールも非常に美味かったです。もちろんビールは家で飲みましたよ。

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 新しくなった『セインツロウ』は、PS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Epic Games Store)向けに8月23日(火)発売。

 自由にむちゃくちゃをしたい方は絶対にプレイしていただきたい本作。初回限定盤やアマゾン特典付きなどさまざまな形態で予約を受け付けているのでチェックしていただきたい。

 

ライター
『プリパラ』、『妖怪ウォッチ』ありがとう。黙々とゲームに没頭する日々。こっそりと同人ゲーム、同人誌を作っています。ネオ昭和ビジュアルノベル『ふりかけ☆スペイシー』よろしくお願いします。
Twitter:@zombie_haruchan

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