ゲームをしていると作中に出てくる料理がとてもおいしそうに見えて、「食べてみたい」と思ったことはありませんか?
たとえば、食材の質感までもリアルに再現した『ファイナルファンタジーXV』や、「上手に焼けました」の肉焼きフレーズでお馴染みの『モンスターハンター』シリーズ、組み合わせる食材によって多彩にビジュアルが変化する『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』など、ゲームにはおいしそうな料理がたくさん出てきます。
一方で、作中に出てくる料理があまりおいしそうに見えないのに、「食べてみたい」と思ったことはありませんか?
たとえば、2003年に発売されたホラーゲーム『SIREN』に登場する「赤い水」や「羽生蛇蕎麦」とか。もはや字面だけでも不穏な空気が漂っていますが、作中での気味の悪さはピカイチです。
舞台となる羽生蛇村に突如として出現する赤い水。そして、その村の名産である羽生蛇蕎麦はなぜか苺ジャムがトッピングされています。それらは『SIREN』の不気味な世界観をより印象づけると同時に、その「味」が気になっていました。
蕎麦にジャム……? 欧米で肉料理にジャムがついてくるみたいなこと……?
蕎麦なのに……?
そんなことを2003年から思いつづけて19年。現在、ちょうどよく「赤い水」も「羽生蛇蕎麦」も実際に食べられるイベントが開催されています。
本稿では、東京・池袋の屋内型テーマパーク「ナンジャタウン」で開催されている『SIREN』とのコラボイベント「SIREN in NAMJATOWN」で赤い水や羽生蛇蕎麦を実食し、「異界入り」してきた体験レポートをお届けいたします。
取材・撮影・文/柳本マリエ
屍人化する「赤い水」や苺ジャム入りの「羽生蛇蕎麦」を実食
まずは『SIREN』の舞台となる羽生蛇村、そして赤い水と羽生蛇蕎麦について軽くおさらいしておきましょう。
羽生蛇村(はにゅうだむら):
舞台となっている羽生蛇村は、“現世”と“常世”の狭間にある“異界”。赤い水:
異界を覆う赤い水は、常世に通じている水鏡からとめどなくあふれている堕辰子(だたつし)の血。羽生蛇蕎麦:
他には類を見ない、まるで輪ゴムのような弾力と強いコシの麺。特製苺ジャムを乗せて完成。(『SIREN MANIACS サイレン公式完全解析本』および作中アーカイブより引用)
それぞれ不気味です。麺の弾力を輪ゴムにたとえるだけでこんなにも食欲が落ちるなんて。とはいえ百聞は一見に如かず。実際に食べてみましょう。
赤い水
まずは赤い水から。見た目は完全に赤い水です。鉄っぽい味(血の味)だったらどうしよう。いただきます……!
えっ、おいしい!!!
なにこれ。おいしい。本当においしい。ぶどう……? いや、カシスだ! 底のほうにめちゃくちゃ濃厚なカシスシロップが入ってる。
こんなにおいしかったらすぐ屍人になってしまいそうです。シュンカイ殿【※】にも飲ませてあげたい。
※シュンカイ殿:四方田春海(よもだはるみ)という名前の小学生。作中ではノーダメージで異界を逃げ回ったことで赤い水が体内に入らなかったため、現実世界へと生還した唯一の人物。一部のファンからは、春海(はるみ)を音読みした「シュンカイ殿」と敬称で呼ばれている。
赤い水は想像以上のおいしさでした。カシス味のジュースって普段あんまり見かけない気がするので、コンビニとかで売ってほしい。
羽生蛇蕎麦
つづいて羽生蛇蕎麦も食べてみましょう。というか実際に目の前にしたら、苺ジャムだけでなくパイナップルもだいぶ気になる。
しかもこれ、セルフ・ジャム・スタイル。おそらく苺ジャムを入れたくない人への配慮(?)だと思うのですが、別になっているということは、それすなわち自ら投入しなければならないということ。
自分の意志で……蕎麦に……
苺ジャムを……!?
く……っ! 「苺ジャムを入れること」に対して、これほどまでに躊躇したことがあったでしょうか。いや、そもそもそんなシチュエーションに陥ったことがない。
こんな少量のジャムくらいでひよってんじゃねぇよと思うかもしれませんが、自らの意志で苺ジャムを蕎麦に入れるということは、そういうことです。
ここでいったん羽生蛇蕎麦に入ってる食材の確認と苺ジャムとの相性をそれぞれ予想してみましょう。
素材 | 予想 | 見解 |
輪ゴムのような麺 | △ | 麺による |
パイナップル | ◎ | 果物同士なので |
きゅうり | ○ | きゅうりはほぼ水なので |
ゆで卵 | △ | 白身はよくても黄身は危険 |
キムチ | △ | 辛さと甘さで相殺できれば |
ネギ | × | どうあがいても絶望 |
以上が食べる前の予想です。それでは意を決して、苺ジャムを蕎麦に入れてみます。えいやっ。
ナチュラルに、パイナップルときゅうりの間の安全地帯であろう場所に乗せていました。これが人類の危機管理能力。
おそるおそる麺やスープに絡めて、いただきます……!
えっ、なにこれ!!!
麺とジャムが、口の中でちゃんと喧嘩する。噛んでも噛んでも「麺」と「ジャム」。さらに驚くべきことに、きゅうり、ゆで卵、キムチ、ネギのどれをとってもそれぞれが苺ジャムに対して「個」を主張。混ざらないってあるんですね。
といっても苺ジャムと各素材が混ざらないだけであって普通に完食はできました。ただ、もしまた食べる機会があったら確実に苺ジャムは別にして食べますけどね。
ちなみに「輪ゴムのような麺」は、冷麺の麺でした。コシの強さを見事に再現していると思います。
羽生蛇蕎麦は今回のコラボフードの中で1番人気とのこと。これはぜひ多くの人に味わってほしいです。このほかに、月下奇人パフェもいただきました。
赤い水:600円(税込)
羽生蛇蕎麦:1200円(税込)
月下奇人パフェ~マナ字架添え~:980円(税込)
上記のほかにもコラボフードはたくさんあります。また、8月から追加されるメニューもあるので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
屍人とのフォトアトラクションで蘇る「視界ジャック」
イベントはコラボフードだけではありません。
屍人と写真撮影ができる「フォトアトラクション」や、ナンジャタウン園内に隠されたアーカイブを探す「ラリーゲーム」もあります。
フォトアトラクション
フォトアトラクションでは、なんと屍人と一緒に写真を撮ることができます。
屍人を選ぶと視界ジャック【※】が始まり、ナンジャタウン内を徘徊しているであろう複数の屍人の視覚に切り替わります。久しぶりの視界ジャックだったため『SIREN』で遊んでいた当時の感覚が蘇りました。
※視界ジャック:他人の視覚と聴覚を盗用する能力。
このあとは最初に選んだ屍人との撮影タイムに入ります。1回なら撮り直しも可能でした。実際に撮影した写真がこちらです。
屍人を前にこんなリアクションしかできなかった自分が恥ずかしい。せめて、いざというときのために持参していた『SIREN MANIACS サイレン公式完全解析本』でも小脇に挟んで撮ればよかったです。
しかし屍人がリアルで驚きました。
ラリーゲーム
ラリーゲームでは、ナンジャタウン園内に隠されたアーカイブを探します。
このアーカイブ探しは作中での行動を模したもの。作中では『SIREN』の世界観をより深く理解するために全100種類のアーカイブ(隠しアイテム)が各所に散りばめられていました。
受付で購入するラリーセットに印刷されているQRコードをスマホで読み込むとこのような画面が出てきます。このラリーセットは種類が複数あるようで(ランダム配布)、人によって指定されるアーカイブも変わるとのこと。
私は「モーモー牛乳」でした。ナンジャタウン園内は構造が入り組んでいるため、ヒントはあっても探し当てるのはけっこう難しいです。見つけたときはテンションが上がってしまいました。
見つけたアーカイブを撮影して、それを受付で見せると参加賞がもらえます。
BIGアクリルパネルが狙い目!? オリジナルグッズ
最後に「SIREN in NAMJATOWN」のオリジナルグッズを紹介します。
グッズの中でひときわ目立っていたのが「BIGアクリルパネル」(オンライン限定)です。須田恭也、宮田司郎、牧野慶の3種で、価格は25000円(税込)とのこと。
令和になっても人気が衰えない『SIREN』
『SIREN』シリーズは2008年に発売された『SIREN: New Translation』以降、関連作品が発売されていないにも関わらず、いまもなお根強い人気を誇ります。
その根強い人気の理由のひとつに、毎年7月末から8月頭にかけてTwitter上で行われる奇祭「異界入り」が挙げられるのではないでしょうか。ファンの間では夏の風物詩となっているお祭りで、中でも作中で描かれる3日間(8月3日から8月5日)は熱狂的な盛り上がりを見せ、令和になってもトレンド入りするほど。
「SIREN in NAMJATOWN」でのコラボフード「フォーチューンラテ」も作中の3日間に合わせて、8月3日(水)から8月5日(金)は「日付入り」されるとのこと。
異界入りの時期に公式イベントが開催されている機会はなかなかないので、この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。特に、羽生蛇蕎麦で自ら苺ジャムを蕎麦に入れるという体験をたくさんの人に味わってほしいです。
「SIREN in NAMJATOWN」は池袋ナンジャタウンで8月21日(日)まで開催中。
池袋ナンジャタウンで『SIREN』とのコラボイベント「SIREN in NAMJATOWN」が開催中
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) August 3, 2022
開催を祝してオリジナル「トートバッグ」を1名様にプレゼント@denfaminicogame
をフォロー&本ツイートをRTで応募完了
苺ジャム入りの怪奇料理「羽生蛇蕎麦」の味わいが明らかに…!▼https://t.co/C7ZPU6iqNP pic.twitter.com/NM42sb1Uh0
池袋ナンジャタウンで『SIREN』とのコラボイベント「SIREN in NAMJATOWN」が開催中
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) August 3, 2022
開催を祝してオリジナル「おみくじ」を5名様にプレゼント@denfaminicogame
をフォロー&本ツイートをRTで応募完了
苺ジャム入りの怪奇料理「羽生蛇蕎麦」の味わいが明らかに…!▼https://t.co/C7ZPU6iqNP pic.twitter.com/aksEIdIi5b