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令和に蘇ったHD-2Dリメイク『ライブアライブ』が熱すぎる。令和でもあの世で俺にわび続けろ、オルステッドーーーーッ!!!!

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 2022年7月22日……ついにこの日、1994年にスクウェアより発売されたRPG、『ライブアライブ』が28年の時を経て、HD-2Dリメイクとして発売ッ!

 そしてなんとこの日、東京はビックカメラ新宿東口店にて、今作の発売を記念してSFC版のディレクター、リメイク版のプロデューサーを務める時田貴司氏のサイン会も開催されていた!

 ちょうどその日、新宿バルト9で『仮面ライダーリバイス』『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の映画を見ていた私はたまたま、本当にたまたまこのビックカメラ前の縦看板に気が付いた!

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実質的なサイン会……ではあったのですが、一応正確には時田貴司さんが「1日店長」として名刺を渡してくれたりもしました。

 な、なんたる僥倖! いや、ほんとにあの映画にジャッジョ下されていなかったらこのイベントにも気付くことなく終わっていた!

 このイベントは17時~19時の間にビックカメラ新宿東口店の4階にて開催……一応私は万全を期し、15時半には家を出て、ちょうど16時ごろには新宿東口店に着くように行動していた。

 しかしどうしたことだろうか、イベント開始1時間前だというのに、既にビッカメ4階には大勢のファンがさながら最終編のごとく集結しており、私が到着した1時間前には4階からの列の最後尾は3階にまで伸びていた!!

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サイン会が開催された4階のオーディオコーナーも『ライブアライブ』の半ジャック状態となっており、列に並んでいる間もひたすら「MEGALOMANIA」が流れ続けていました。

 そしてイベントが開始される17時ちょうど、なんと4階からの列は「地下2階」にまで伸びていた。ここまで来ると流石に笑ってしまう。別に少なく見積もっていた訳ではないのだが、まさかこれほどの大勢のファンが集結するとは……「地下2階にまで列が伸びるほど大勢のライブアライブファンが発売日に集った」という事実だけで、少し目頭が熱くなります。

 一応私は1時間前に着いていたので、そこそこ早めにサインをいただくことができました。しかし、実際に時田氏を目の前にすると中々に緊張する! 刻一刻と進む列。もはや緊張しすぎて口すら開けないかもしれない。しかし、なんとしてもパッケージには私の名前を書いてもらわなければならない! 家宝にしたいから!!

ワイ「あ、あの、箱に書いてもらう名前、『ジスロマック』でお願いします!」

時田さん「あっ、Twitterで見たことある!」

緊張しすぎてるワイ「あの、絶対レビュー書きます!」

時田さん「オッ、お待ちしております。」

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時田さん、ありがとうございました。

 …………という訳で私は書かなければならない!

 いや、元からレビュー自体は書く気マンマンだったけど、時田さん本人からの命とあれば書かねばならない!!! そうだろ、松ッ!!

文/ジスマロック
編集/実存

※この記事には『ライブアライブ』の中世編まで含めた8つのシナリオのネタバレが、かなり含まれています。これから買おうと思っている方、プレイ中でネタバレを食らいたくない方は、お気をつけください。


あの世で俺にわび続けろ オルステッド────ッ!!!!

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 という訳で早速「中世編」を……えっ、いきなり中世は流石におかしいって?

 それもそう。『ライブアライブ』は幕末・功夫・現代・SF・原始・西部・近未来の7つの時代を巡り、その最後の最後に8つ目のシナリオ、「中世編」が解放される。

 しかし……実は私、SFC版『ライブアライブ』の記事を一度書いたことがあって、その時に中世編を最後に書いたので「今回は全部逆の順番で書こう!」という……ただの私のエゴですね。「同じことを繰り返すくらいなら、死んでしまえ。」……岡本太郎も、そう言っていた。

 まぁそんな能書きはどうでもよくて、今回のリメイク版『ライブアライブ』の最大のウリのひとつ、それが「HD-2D」。『オクトパストラベラー』『トライアングルストラテジー』でお馴染みの緻密なドットと立体的なフィールド表現が両立されたこの手法が、令和に『ライブアライブ』を蘇らせる!

 『オクトパストラベラー』と『トライアングルストラテジー』の2作も過去の名作を意識したり、そのエッセンスを受け継いだりしていましたが、明確な「過去作のHD-2Dリメイク」が発売されて世に出たのは今回が初めてです。

 HD-2Dにて表現された中世編のフィールドはまさに圧巻。画像だけだとイマイチ伝わりづらいかもしれませんが、ルクレチアに降り注ぐ陽光や森に流れる川の水の表現まで大幅進化しており、「マップが進化すればここまで中世の雰囲気が出るのか……」と驚きました。

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 どうです!? 実際に並べてみるとその差は歴然でしょう!?

 私がSFC版の『ライブアライブ』をプレイしたのがちょうど1年近く前だから、よりその進化が鮮明に映っているのもあるかもしれませんが、にしたって……ハードの進化ってすごい。

 さらにもうひとつのウリが、新たに追加された「声優陣」

 中世編の主人公「オルステッド」を中村悠一氏、相棒の「ストレイボウ」を程嶋しづマ氏が担当していたりと……中世編以外もとにかく豪華声優陣が揃っています。最近は主人公よりも悪役とか主人公たちの師匠ポジションが多い中村悠一が直球の勇者をやるなんて、珍しいなぁ~~~!

 特に、私が『ライブアライブ』で一番好きなキャラでもあり、中世編にも登場する「アリシア」の演技がすごい!

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 彼女……まぁ、なんというか、中世編ラストのあまりにも有名な展開のせいもあり、何かと「悪女」だのなんだのと言われたりするのですが、とにかく私は『ライブアライブ』だとアリシア姫が一番好きなのです。

 簡単に言えば中世編は「魔王に連れ去られたアリシア姫を勇者オルステッドが救い出す」という王道RPG……に見せかけて、ルクレチア王殺害の冤罪を着せられ、戦友だと思っていたストレイボウには裏切られ、最後の最後に助け出したかったアリシアすら目の前で自害し、そのまま怒りと憎悪に狂った主人公のオルステッドが「魔王オディオ」……要は『ライブアライブ』のラスボスとなる。

 何度見てもシビれますね、これ。

 もちろん他にも名シーンはたくさんあるけれど、この王道RPGに真っ向から反旗を翻した「アンチRPG」としての展開こそが、今もなお『ライブアライブ』が名作として語り継がれる要因のひとつでもある。

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オルステッドが魔王オディオになる寸前に、もう一度走馬灯のように、トドメを刺すかのように、アリシアとの思い出が駆け巡るあの演出もリメイク版にはしっかり残されている。性格ワリ~~~!!

 そんな「助け出したかった姫が実はストレイボウの方を好きになっていて、散々こっちを罵倒してきて目の前で自害した」なんて展開があったら……まぁそう呼ばれてしまうのも仕方がない。でも私はアリシアが一番好き! だって……だって……もし私がアリシアだったとしたら、きっとストレイボウの方を好きになってしまう!

 常に勇者の傍らで二番手としての立場に甘んじ続け、何をやっても英雄然としていて、何をやっても常に勝者であり続けるオルステッドに憎悪と嫉妬を募らせ続けるストレイボウの方が……私は好き!

 そしてそんなストレイボウに惹かれ、自身の一国の姫としての立場も何もかも投げ捨てて愛に生きたまま、死んだストレイボウの後を追って命を絶つアリシアの直情さも大好き!! 人間は、自分の感情に正直に生きている時が一番美しい!!

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こちら、リメイク版『ライブアライブ』の中世編のクライマックスが撮影禁止区間となっているため、SFC版の画像で代用しています。

 「ストレイボウ…もう何も苦しむことは無いわ…」

 「私が…ずっといっしょにいてあげる!」

 RPG史に残る伝説のシーン(?)ですが、実はここ、今回のリメイク版『ライブアライブ』でアリシアにボイスがついたことによって実質的に新たな描写が加えられたシーンだと、私は感じています。

 この自害シーンの前後にある、「あなたには……負ける者の悲しみなどわからないのよッ!!」というアリシアのセリフからして、てっきり「ずっといっしょにいてあげるッ!!!」というような、感情的で、直情的で、ちょっとヒステリックな言い方なのかと思っていました。

 しかし実際のところ、リメイク版では「ずっと……いっしょにいてあげる……!」という、かなりしっとりとした言い方だったのです。この蠱惑的な言い方ひとつで、よりアリシアのファム・ファタールっぷりが高まっている。ここのアリシア役の荒川美穂氏の演技が本当に背徳的で最高なので、アリシアファンの方は必聴です。

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 ちなみに今回私は「俺もアリシアに人生を踏みにじられたい」というその一心で、主人公を自分の名前にしてプレイしました。私の「アリシアに人生を踏みにじられたい」欲は十二分に満たされたので、最高の中世編でした。

 アリシアに人生をめちゃくちゃにされたい方、ぜひ実名プレイをオススメします。

何い~?そ、そんなに死にてえかぁッ!!

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 続いては「西部編」の紹介に移りましょう。西部編の主人公にして最強のガンマン「サンダウン・キッド」の声優を務めるのは大塚明夫氏、そのライバルにして賞金稼ぎの「マッドドッグ」の声優を務めるのが古川登志夫氏……こちらもドンピシャのキャスティング。西部開拓時代を描く西部編に合わせ、渋くて熱い雰囲気に仕上がっております。

 ここで紹介したいのがリメイク版の「遊びやすくなったUI」

 SFC版の『ライブアライブ』が発売されたのは28年前。元々他のRPGと比べてもかなり遊びやすい部類の作品ではあったのですが……それでも28年前となると、やっぱりどうしても遊びにくさを感じる部分も出てくる。今回のリメイクはそこにもかなり手が加えられており、より遊びやすい仕上がりになっています。

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 西部編は無法者の集団「クレイジーバンチ」から街を守るために、街の保安官やバーのマスターと協力するシナリオ。クレイジーバンチがやってくる朝……「鐘が8回鳴るまで」の間にさまざまなワナを集めて、襲撃に備える。

 この「時間制限」との戦いによるハラハラ感が西部編の面白いところ。なんと今回のリメイクでは「鐘が鳴った回数」が画面の左上に表示されることによって、今の経過時間が把握しやすくなっています。マッドドッグの「〇回目の鐘だな……」というセリフだけで今の経過時間を把握しなければならないSFC版の緊張感もアレはアレで悪くないものでしたが、この仕様はかなりありがたい。

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本当に細かい部分ですが、「キィ……キィ……」と音を立てる酒場の扉もHD-2Dで完全再現されています。

 そんな時間との戦いの内に集めたワナは、街の住人に設置を託すことでその真価を発揮する。火炎瓶にダイナマイトに馬のフン……この時間内にどれだけ多くの罠を張り巡らせることができるかによって、ラスボス戦の「O・ディオ」との戦いで優位に立てるか否かが決まります。

 街の住民はそれぞれ得意なワナが微妙に違っており、たとえば勝気なアニーは「フライパン」を投げさせると強かったり、保安官の息子のビリーには「パチンコ」を持たせると良かったり……。

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 SFC版ではこの「どの住人にどの武器を持たせればいいのか」という部分もセリフなどから推測しなければならなかったのですが、リメイク版ではちゃんとマッドが「強い女にゃフライパンってね……」みたいなヒントを表示してくれています。これ、一番ありがたい!

 とにかく遊びやすく進化している西部編。まずはここから「令和にリメイクされたライブアライブの遊びやすさ」を体感するのも、中々楽しいかもしれません。

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 続いては「原始編」。原始の時代、人間の間に言葉など存在しなかった……ということで、なんと最低限のシステムメッセージしか「文字」が表示されない原始編。

 キャラクターの身振り手振りやアイコンだけでストーリーが進行する原始編唯一無二の面白さは、リメイク版でも変わらず残されています。しかも、リメイク版で吹き出しに登場するキャラクターのアイコンはなんとSFC版のちょっと等身の低いドットがそのまま使用されている! 細かい!

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 そして私がリメイク版の原始編でもっとも衝撃的だったのが……いや、まず先にこの前提を説明しなければならない。今回のリメイク版『ライブアライブ』を購入されたみなさまは、「最終編含め9つのシナリオ全てに杉田智和氏が出演している」ということにお気付きになっただろうか?

 一応発売前に公式から発表されていたので私は知っていたのですが……炎魔忍軍のハヤテ、キャプテンスクウェア、酒場のマスター……あまねく時代に杉田智和氏が演じているキャラが偏在しています。全ての時代に存在している辺り、杉田一族はオディオと同格なのかもしれません。

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それぞれの時代で全て違う雰囲気のキャラを演じているので、改めて杉田氏の演技の幅広さにも気付かされます。個人的には西部編のマスターが好き。

 そしてみなさま、原始編で杉田氏が演じているキャラは……誰だと思います?

 マンモス? 族長? ざきの股間についてるトカゲ?

 いいえ、「全てのモブ原始人」です。

 他のシナリオに比べてもかなり登場人物が少ない原始編。自分の村にいる仲間の原始人も、装備の合成をしてくれるショップの店員も、敵地の戦闘員も、全てこのモブ原始人が担当しています。つまり、原始編は「基本的にどこに行っても四方八方から杉田原始人の声が聞こえる」というすごい状況になっています。

 ちなみに私は1時間番組だった頃からアニゲラリスナーだったので、一発でモブ原始人が杉田氏だとわかりました。どういうイキリ? たとえ原始人になっても、私が杉田氏の声を聞き間違えることなどない。

 「全てのシナリオに杉田智和氏が出演している」と聞いて、「原始編のモブ原始人全部を杉田氏がやっているに違いない」と想像できた人間は、果たしているのでしょうか?

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Youtubeより

 余談ですが、杉田智和氏のYoutubeチャンネル「AGRSチャンネル」にて、今回のリメイク版『ライブアライブ』の発売を記念した先行試遊の模様と、杉田氏×時田氏の対談も公開されています。

 「一体どのような基準でリメイク版のキャスティングが行われたのか?」など、声優とプロデューサーの視点から今回のリメイクの舞台裏について語られており、純粋に面白い動画に仕上がっています。普通にオススメです。ぜひ。

この俺の怒りがッ! てめぇをブッつぶす!!

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 さぁ、お待たせしました、「現代編」です。当時の格闘ゲームの流行に乗っかりまくったこのシナリオは、「相手の技を一度受けることによって技をラーニングする」という形で格闘技をRPGに落とし込んでいます。

 力が……力が欲しいか……
 力が欲しいのならくれてやろう!!

『ARMS』

 現代編の主人公「高原日勝」の声優は関智一氏、そしてみんな大好き森部のジジイこと「森部生士」の声優は秋元羊介氏が担当…………っておおい! これがやりたかっただけやろ!!!

 しかも、対戦画面も現代の格闘ゲームっぽくなっています。

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後ろにでっかく「M O R I B E」って書かれてるだけで面白いの、ズルくないですか?

 皆川亮二×Gガン×格ゲーって……あーもうめちゃくちゃだよ!!!
 
 現代編は「RPGはどれだけ自由にやってもいいんだ」ということを、その身をもって証明してくれています。

 しかし、この現代編もリメイクで大きく変わった部分があります。それが「弱点」と「耐性」が表示されたことによる戦闘の駆け引きの変化

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画面左下に表示されているのが「弱点」と「耐性」。

 リメイク版で明確に表示された敵の「弱点」「耐性」。もはや説明不要かもしれませんが、弱点を突ける属性の技で攻撃すればダメージが増加するし、その逆もまた然り。

 『ライブアライブ』の戦闘は原作の時点で十分面白かったのですが、SFC版は弱点や耐性が表示されておらず、とりあえず純粋に火力の高い技だけを連打して、それで片がついてしまうことがあったりなかったり……。そのため、どれだけ沢山の技を覚えていたとしても実際に使うのはひとつふたつで、それ以外の技はエフェクトすらよく知らない……なんてことも。

 特に現代編はその傾向が強く、森部のジジイから習得できる「骨法」……攻撃しつつ敵に大量のデバフを付与する「通打」と、敵の攻撃範囲外から一方的に相手を蹴り続ける「あびせげり」の2つの技だけでおよそ全ての敵を完封してしまえるのはあまりにも有名。

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一応説明すると、「浴びせ蹴り」には「敵の向きを変える」という副次効果が備わっているため、高原が浴びせ蹴りを撃って、敵の向きが変わって、敵が自分の方向を正面に戻している間にまた高原にターンが回ってきて、高原が浴びせ蹴りを撃って、高原が浴びせ蹴りを撃って、高原が浴びせ蹴りを撃って…………

 そのため、少なくとも私は現代編で「通打」と「浴びせ蹴り」以外の技をほとんど使いませんでした。しかし、今作で敵それぞれの弱点が表示されたことによって、風属性の「アロハリテ」などにも活躍の機会が回ってきた! つまり……

 森部のじーさんの足技。
 森部のじーさんの飛び技。
 森部のじーさんの関節技。
 森部のじーさんの力。
 森部のじーさんのパワー。
 そして森部のじーさんの奥義が!

 ……なんてことは令和には起こりづらくなっているんですね!

 その他にもナムキャットから習得できる多段ヒット技の「パンチャマキック」が全段ヒットすれば意外な火力の高さを見せたり、とにかく骨法以外を習得する意味がちゃんとある!

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 ……とか言いつつ、リメイク版でも浴びせ蹴りハメをやろうと思えばゴリゴリにハメられます。令和でもオディ・オブライトは余裕で完封できます。いや、別にこれは悪い意味ではなくてですね!

 リメイク版『ライブアライブ』はこういう残していいバランスの悪さと、今の時代に合わせて改修した方がいい仕様の取捨選択がちゃんとしてるんです! みんな、なんだかんだ骨法が蚊も殺せぬほど弱体化してたら悲しいでしょう!?

 というかオディ・オブライト、お前の身体のデカさが対人特化技の多い現代編の対戦環境において不利すぎるのに非がないとは言わせんぞ。ハメられる方が悪い

 そしてやはり現代編最大の見せ場、オディ・オブライトとの最終決戦の前の高原のセリフも関智一氏が演じることで、その熱さが倍以上に膨れ上がっている! もうここをフルボイスでやれた時点で、令和に『ライブアライブ』をリメイクした意味はあると思います。

 冷静に考えてみると、何でこのシーンってこんな熱いんでしょうね?
 
 現代編は『ライブアライブ』でも屈指の短いシナリオ。どれだけのんびり遊んでも、大体30分あればクリアしてしまう。そもそも、現代編自体にそこまで深いシナリオがある訳でもない。7人の格闘家と一言二言交わしながら戦って、最後にオディ・オブライトと戦う。本当にほぼそれだけのシンプルなシナリオ。

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何気に最後の河原の水の表現もHD-2Dしてます。

 なのに……めちゃくちゃ熱い。別に森部のじーさんとの修行の日々があったわけでもないし、ジャッキー・イヤウケアとハワイでロコモコを食べた記憶がある訳でもない。

 それなのに……あの7人がオディ・オブライトに倒されて、メガロマニアが流れ始めると、途端にこっちも「この俺の怒りがッ!てめぇをブッつぶす!!」という気持ちにさせられる。なんとも不思議なシナリオである。

 まさに「格闘家は言葉ではなく、拳で語り合う」を体現したゲーム……なのかもしれない。

今は、この味が最高だな。

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 続いては「SF編」。なんとこのシナリオ、全くと言っていいほど戦闘が無い。実質的には、宇宙船の中で起きるSFホラーADVのおまけにRPGがくっついてくるようなシナリオ。このゲーム、今見ても尖りすぎでは……?

 パイロットの「カーク」は井上和彦氏完全にジェリド・メサ、オペレーターの「レイチェル」は甲斐田裕子氏……と、こちらも豪華声優陣がこれから始まる地獄の宇宙の旅に彩りを添えてくれる。ちょっと全体的に演技の方向性が洋画っぽいのも見どころ。

 喋らない主人公のキューブに代わり、狂言回しのようなポジションを務め、キューブの生みの親でもある「カトゥー」は石田彰氏が担当。いや、カトゥーってこんな裏切りそうな感じだったっけ?

 カトゥー自身は実直で、優しくて、仲間想いの青年なのですが……石田彰氏が演じているからなのか、謎の怪しさを放っている!

 実際、SF編の終盤でカトゥーが「全部お前がやったんじゃないのか!?」と疑いの目を向けられるシーンがあるのですが、プレイヤー目線からもそんなわけがないだろうと断じることができたSFC版からは一転、声優が石田彰氏になっているリメイク版ではカトゥーの裏切りに一考の余地が生まれています

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 そんなSF編も西部編同様、「UIの進化による遊びやすさ」を存分に味わえるシナリオとなっています。何度も何度も同じことを書いていてトートロジストもいいところですが、SFC版の『ライブアライブ』は28年前のRPG。そのため、ストーリーの進行上やや説明不足なところがあります。

 具体的には「ここに行け!」と明確な指示は下されないままフィールドに放り投げられたり、どのアクションを起こせばストーリーが進むのか全く示されなかったり……ただ、この時代のRPGにはよくあることなので、決してそれ自体が悪いわけではないと思います。

 でもやっぱり、ユーザーフレンドリーなゲームに慣れきってしまった今遊ぶと、「これは……どこに行けばいいんや?」と前後不覚に陥ります。

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「SFC版のあの時代の手探りの感じがいいんじゃないか!」と思う方のために、しっかりレーダーを非表示にすることもできます。気が利いてるぜ。

 そんな中、新たに実装されたのがこの「レーダー」

 画像を見れば大体分かるように、ミニマップが常に画面の右下に表示され続け、これから進むべき目的地はオレンジ色で表示されています。大半のストーリーの進行はSFC版から変わっていないため、何の説明もされていなくともすぐさま目的地まで直行できるので、ちょっとズルをしているような背徳感すら徐々に湧いてきます。

 実際、このレーダー機能が今回のリメイクで一番役に立った新機能と言っても過言ではない。特にこのSF編は戦闘がほとんどない分、キューブを操作して宇宙船の船内のあちこちを走り回る必要があるので、このレーダー機能が最も役に立ったシナリオでもありました。いや、レーダー機能なしのSF編とかもう正直考えられません。

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 しかもコギトエルゴスム号の船内マップも完備されている!

 こんな……こんなことされたらSF編が簡単になっちゃうじゃないか!

 実際、SF編はSFC版に比べると相当遊びやすくなっています。

 何気に私はSF編が一番好きなシナリオなのですが、戦闘がない分、船内のあっちゃこっちゃをかけずり回り、「あれ?ここって医務室じゃないんだっけ……?」と宇宙船の部屋の間取りの把握に脳内リソースを割いたり、「あれ?オペレーターの部屋って3階だっけ?1階だっけ……?」と何度も何度もエレベーターを乗り降りしたり、とにかくSF編はめんどくさ……色々な意味で心を削られる場面がいくつもあります。

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本当に細かい部分ですが、OD-10がその本性を現した後はロード中に表示されるTIPSすらOD-10に乗っ取られているのがかなり好きな演出です。

 しかしそんなSF編もリメイク版のUIでかなり遊びやすく、テンポよく楽しむことができるようになっています。私が数ある『ライブアライブ』のシナリオの中でSF編が最も好きな理由、それがクライマックスの「キャプテンスクウェアからOD-10の電脳空間へと突撃する」あのシーン。

 この意外な攻略法からのラストバトルへの突入。ここ大一番の戦闘。たった一度きり、最高のシチュエーションで流れ始める「MEGALOMANIA」。どこを切り取ってもブチ上がる要素しかない名場面ですが、私が最も好きなのは、ダース伍長のこのセリフ。

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 「なめるなよ……人間はな……人殺しの道具を作っているばかりじゃないんだぞ……!!」

 コギトエルゴスム号の中で起こる人間同士の不和、諍い、醜い争いを見続けていたメインコンピューターのOD-10は人間に愛想を尽かし、船のクルーたちを「この船の航海には邪魔な存在」と粛清し続ける。

 そんな人間によって生み出され、人間を粛正するAIに対して、「人間が生み出した娯楽」のひとつでもあるテレビゲーム、キャプテンスクウェアから戦いを挑む。この「娯楽賛歌」、ひいては「テレビゲーム賛歌」とでも言える人間に絶望した人工知能への挑戦状。これこそ私が一番好きな部分。

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 少し話がそれるのですが、『ブルーアーカイブ』の「ゲーム開発部編」というシナリオにおいても、SF編の終盤と似たような、「テレビゲーム賛歌」に近しいメッセージ性が語られています。

 もちろんアプローチ自体は全くと言っていいほど違うものだし、ほとんど私が勝手に脳内で類似性を見出しているだけなのですが、とにかく私は「ゲームのシナリオ」そのものが放つ、「ゲームはとっても素敵なもの」というメッセージに弱い。

 これでそのゲーム自体がつまらなかったら、「いや、まず自分のとこのゲームを面白くしてから言えや……」と思ってしまいますが、何より『ライブアライブ』は面白いゲームなのです。むしろ、『ライブアライブ』こそ、このゲームこそ、「人間が作った、人を楽しい気持ちにさせるもの」のひとつに数えられる娯楽なのだと、私は思います。

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ライター
転生したらスポンジだった件
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