このゲームは恐らく移植されないだろう。なぜなら移植されても別のゲームになってしまうからだ!それほどの独自性を持つ意欲作『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』が描いた”WiiUならでは”の遊びとは

 2022年2月16日。任天堂よりニンテンドー3DSシリーズ、WiiUのオンラインストア「ニンテンドーeショップ」のサービス終了が告知された。その後の続報によれば、2023年3月28日の午前8時59分に完全終了するとのこと。

 これに向け、段階的にサービスを終了させていくスケジュールも発表されている。直近ではニンテンドー3DSシリーズ、WiiU本体経由の残高追加(ニンテンドープリペイド番号の登録)が2022年8月30日の午後1時半をもって終了した。

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2022年8月22日現在、セール中のWiiUダウンロードソフト(画像はキャンペーン・セール情報|任天堂より)

 そしてサービス終了に併せ、それぞれで販売中のダウンロード専用タイトルの多くが新規に購入不能になることが示唆されている。そのため、発表以降には多くのメーカーが自社タイトルの格安セールを相次いで実施。駆け込み需要が高まりつつある状況だ。

 ただ、中にはNintendo Switchを始め、他の現行ゲーム機への移植が実施されている。そのため、サービス終了の影響を受けないタイトルもある。特にWiiUで販売中のダウンロード専用タイトルには、Nintendo Switchに限らず、PlayStation 4Xbox OnePC(Steam)などでも販売されているものが目立つ傾向にある。
 そして今後も一部、専用タイトルで移植の動きが生じる可能性も否定できない。そのことから、WiiUのダウンロード専用タイトルの駆け込み需要というのは、比較的穏やかな調子のまま終わるかもしれない。

 だが、筆者は言いたい。ひとつだけ、明らかに移植されずに終わる重要なタイトルがあることを。Nintendo Switchに限らず、他のゲーム機に移植される可能性も低く、仮に移植が実現しても別のゲームに変わりかねない1本があることを。

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 そのゲームの名は『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』(ユーエクスプロー スペースアドベンチャー)。

 いったいなぜ、このゲームはそのように言い切れるのか。それは本作が数少ない、WiiUゲームパッドを前提に設計されたゲームであるからだ。

 「ニンテンドーeショップ」のサービス終了が刻一刻と迫る今こそ、このWiiUゲームパッドという特殊なデバイス特有の”遊び”の実現に挑んだこのゲームの魅力を綴り、ここに記録しておきたい。

文/シェループ


小型宇宙船を操縦し、救難信号の送信を目指す2Dアクション

 『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』が発売されたのは2015年の11月18日のこと。原題は『Affordable Space Adventures』で、海外では4月9日に先行して発売されている。

 2015年と言えば、WiiUの人気を底上げさせる起爆剤となった『スプラトゥーン』『スーパーマリオメーカー』の2大タイトルが発売された年。また、同年11月には「Nintendo Direct 2015.11.13」も放送されている。

 この放送では、任天堂が日本語ローカライズを担当する新たなWiiUのダウンロード専用タイトルが発表された。『Tiny Thief』『ソード アンド ソルジャーズ』『ソード アンド ソルジャーズII』『Year Walk 最後の啓示』の4作品である。この内、『Tiny Thief』と『Year Walk 最後の啓示』の2作は、放送当日より配信が開始されている。

 『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』は、それら2作とほぼ同じ時期に発売された。ただ、放送では全く取り上げられなかったこともあり、結果的にはその影に隠れる形で登場した格好である。
 そのため、本作の発売に気づかなかった人も少なくないかもしれない。

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 そんな『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』は横スクロール形式のステージクリア型アクションゲームである。作中の舞台となるのは宇宙旅行が一般化した遥か未来。主人公ことプレイヤーは旅行会社「ユーエクスプロー社」主催による、未知の惑星「スペクタクロン」を巡るツアーへと参加する。

 ツアーには主人公以外にも複数の旅行者たちが参加しており、それぞれに専用の小型宇宙船「スモールクラフト」が提供。各々がこの宇宙船を操縦し、ガイドに沿ってスペクタクロンの各地を巡る、というのがツアーの概要だった。

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 ところが、そんなスモールクラフト全機をスペクタクロンの地表へと送り届ける着陸船が大気圏突入間もなく、嵐に巻き込まれてしまう。それにより着陸船はコントロールを失い、地表に激突して大破。積載されていたスモールクラフトもその反動でスペクタクロンの地へと放り出され、各々が孤立してしまう。
 かくして参加者のひとりたるプレイヤーは、着陸船墜落時にどこかへ不時着したとされる「救援ポッド」の発見と、そこからの救難信号の送信を目指し、謎に満ちたスペクタクロンの地の探索へと挑む。

 以上がオープニングにて語られるストーリーのあらましとなる。
 基本的にはプレイヤーが単独で冒険を繰り広げていく形。360度自由に移動可能な自機スモールクラフトを操縦しながら、様々な障害が設けられたステージの攻略に挑む。各ステージの攻略条件は非常に単純。ゴールに当たる出口へと到達するだけだ。ステージクリア型を称するなりの分かりやすいルールとなっている。

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 ただし、戦闘要素はない。スモールクラフトは宇宙旅行を前提に設計された宇宙船というのもあってか、武器が搭載されていない。あっても「照明弾」ぐらいで、障害物を破壊するほどの威力はない。辛うじてスイッチを動作させる力を持つ程度。これでありながら、道中には「異星人の遺物」なる、こちらへの害をなす事実上の敵も現れる。当然、前述の都合もあって倒すのは不可能だ。

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 よって気付かれないよう、隙を見計らって潜り抜け、やり過ごすことになる。この基本戦術の通り、本作はステルス重視のゲームデザインになっている。それも人間ではなく、宇宙船を操縦し、気づかれないように行動していく。そんな一風変わった展開が繰り広げられるゲームに仕上げられているのである。

 これこそが本作最大の特徴……ではない。
 そもそも、この段階でなら設定の特殊なステルスゲームでしかない。アクションゲーム的にもステージクリア形式という点で、ありがちさは否めないだろう。

 そこに強烈な個性と唯一性を与えているのが、スモールクラフトの操作システム全般である。
 結論から言えば、WiiUゲームパッドというデバイスを前提に設計されている

パッドとテレビ画面を交互に見つつ難関を乗り越える独自の体験

 前述にて「照明弾」を取り上げたが、スモールクラフトに備わっている機能はそれだけではない。「燃料」「電気」の2種類のエンジン、それに付随した「安定装置」「減速装置」「スラスター」といったデバイス群。そして、目前の障害物の危険度を可視化する「スキャナーライト」、陸地への着陸時に必要な「着陸機能」といった様々なものが搭載されている。

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 そして、これら一連の機能はすべてWiiUゲームパッドのディスプレイ上に「コントロールパネル」として表示。該当する機能のパネルを直接タッチして起動させたり、停止させたりできるのだ。一部の機能はボタン操作でも動かせるが、逆に未対応なものも複数。それらを動かすに当たってはWiiUゲームパッドに視点を移す必要がある。

 そのため、状況によってはテレビとWiiUゲームパッドの双方に目を向けながらステージを進んでいかなくてはならない。まさにWiiUゲームパッドという特殊なデバイスだからこそ可能にした、「非対称プレイ」を体験できるシステムに仕上げられているのだ。

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 2つの画面に目を向けながら遊ぶWiiUのゲームと言うと、本体同時発売タイトルのひとつ『Zombie U』(ゾンビU)を思い浮かべた人も少なくないかもしれない。また、様々な装置を動かし、機体を操縦するスタイルにも、Xboxタイトルの『鉄騎』が脳裏をよぎる。

 本作はそれら2作の遊びを内包したゲームと言っても過言ではないものになっている。ステルス重視の点で全くの別物だが、遊び方と操作周りには極めて近い。同時にこれはまさしく、WiiUの遊びだとの確信も得られる、唯一無二の面白さが凝縮されているのだ。

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 特にその面白さを象徴するのがステージ攻略、「異星人の遺物」に対処する場面である。前述の通り、この敵に対しては気付かれずにやり過ごすことが基本的な対処法となる。そのことから、死角が生じた瞬間に行動することを想像するだろう。だが、この敵には極めて厄介な特徴がある。様々な熱源に感知するセンサーを周囲に展開しているのである。

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 センサーは「スキャナーライト」で敵をスキャンすると可視化される。センサーの範囲外にいれば敵は何もしてこないが、入ってしまうと迎撃プログラムが起動。文字通り百発百中のレーザー攻撃がスモールクラフトに向けて照射され、あっという間にスクラップにされてしまうのだ。

 そのため、やり過ごす際にはセンサーの範囲内に入らないよう、慎重に操縦する必要がある。だが、世の中そんなに甘くあらず。ある程度、ゲームが進むとセンサーの範囲内に入らないと出口にたどり着けない場面が出てくる。
 「つまり攻撃前に急いで潜り抜けろということか!」と思うかもしれないが、一連の攻撃は数秒の内に実施される。時間を止める特殊能力でもなければ、到底できたものではない。ついでに言えば、そんな能力はスモールクラフトに搭載されていない

 よって、飛び込むしかないのである。だが、ある工夫を凝らすことで迎撃プログラムの起動を防ぐことができる。それはセンサーの熱源。「音」「熱」「電気」の3種類があり、スモールクラフトの各種機能はそのいずれかを動力としている。なので、その熱源に関係する機能を止めたり、出力値を下げて弱めればセンサーの作動を防げるのである。

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 例として、上記画像のオレンジで点滅している部分がセンサーの熱源に当たる。
 そして、メーター上におけるオレンジ色の部分が危険域。ここにメーターの針が入ったままの状態でセンサーに飛び込めば、敵が問答無用で攻撃を繰り出してくる。

 この針を危険域から出すために……

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 その元になっている機能を切ったり、出力値を下げるなりして対応するのである。これで針が危険域外にあれば、例えセンサーの中に入っても攻撃される心配はない。

 逆に少しでも機能を復活させたり、出力値を上げれば問答無用で攻撃が行われる。そんな万が一が生じないよう、切り抜けるまでの間はテレビもパッドも交互に確認し続けなければならないのだ。

 これこそが本作の面白さの真髄。WiiUゲームパッドだからこそのスリルと達成感を味わえるのである。また、宇宙船本体とコントロールパネルの2つの動きを確かめ続けることから、プレイヤー自身が宇宙船を操縦しているという錯覚も覚えやすい。実際、敵の攻撃を受けて宇宙船が大破した時にはコントロールパネルが残像になってしまう演出も凝らされているので、殊更感じてしまうはずだ。

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 さらにスモールクラフトの機能は最初からすべて使える訳ではない。ゲームの進行に応じて段階的に解禁されていく仕組みとなっている。このプレイヤーに少しずつ操作と機能に慣れてもらうことを想定した構成も見事で、ステージ攻略が単調になりにくい。難易度もそれを前提に調整されていて、後半にかけて挑戦的なステルスを相次いで出してくる流れも理にかなっている。何より、すべての機能が解禁された後の展開に関しては、誇張抜きにWiiUゲームパッドの本気というものを見せつけられる

 そこにストーリーを違和感なく絡めているのも必見だ。
 徐々に復活していくスモールクラフトと同時に、プレイヤーこと主人公はどうなってしまうのか?無事、スペクタクロンから脱出できるのか?救難信号を送るためのポッドを発見できるのか?そもそも、スモールクラフトは最後まで持ち堪えるのか?きっと最後までその展開から目が離せなくなってしまうだろう。

感情を逆なでするストーリー展開と、今となっては体験不可能なイベント

 ストーリーに関しては、まだまだ見所がある。

 ひとつはプロモーションムービーを主体とした構成。基本的にステージ攻略中に会話イベントはほぼ発生しない。細かい舞台設定や現在置かれている状況は、一定数のステージをクリアした後に挿入される件のムービーで語られていくようになっている。

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 プロモーションの通り、その内容は今回のツアーを企画した宇宙旅行会社「ユーエクスプロー社」がスペクタクロンがどんな場所で、どのような観光スポットがあるかといった魅力を語ったものである。また、ゲームが進むと「ユーエクスプロー社」の危機管理に対する指針、社風についても紹介される。

 これがとてもいい意味でプレイヤーの神経を逆なでする。なぜなら、プレイヤーの置かれている境遇と「ユーエクスプロー社」が説明する内容が激しく矛盾しているからである。

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 こちらは命の危機に瀕しながら「救援ポッド」を探し回っているのに、会社は「スペクタクロンは安全で幻想的な惑星です!」、「事故発生件数はゼロですので安全です!」と主張。まさに「お前は何を言ってるんだ」である。
 なのに、会社は現場を把握しようともしない。見向きもしない。そして、こちらをバカにするかのようなプロモーションムービーを流し続ける。

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 その流れで万が一、事故があった時にも会社側に専属のオペレーターがいるとも紹介される……のだが。詳しくは言わないが、本作をプレイした約8割のプレイヤーは、このオペレーターこと「アレックス」相当な怒りを抱くだろう。実際に筆者はそうなった(そして、その怒りが後述の画像において……)。
 というか、この上に載せた画像を見るだけでも拳を握ってしまう。

 このようなプレイヤーの感情に訴えかける仕掛けが豊富で、非常に印象に残りやすいストーリーになっている。一連のムービーも日本語吹き替えによるフルボイスで語られるに加え、日本語翻訳もあえて文法的に外した表現を含めるなど、印象深さを際立てる工夫も多い。そして、これらを経た末にたどり着くエンディングも大変面白く、WiiUならではのイベントが用意されたものになっている。

 その内容は実際に見てのお楽しみ……としたかったのだが。残念ながら2022年現在、そのイベントは体験できなくなってしまっている。
 そのため、どんなものだったのか、ネタバレして紹介したい。

 任天堂のSNS「Miiverse」(ミーバース)と連携したイベントなのである。

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 実はこのイベントで、手書きのメッセージを送ることになるのだ。
 この送ったメッセージは「Miiverse」の『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』の専用コミュニティへと送られ、WEB上から閲覧すれば、他のプレイヤーがどんなメッセージを送ったのかを確かめられるようにもなっていた。(※ゲーム中にも他のプレイヤーが送ったメッセージが表示される場面がある)

 ここまでの解説で少し不思議に感じたかもしれない。なぜ複数の旅行者が参加して巻き込まれたはずなのに、プレイヤーの目的に彼らの救助が掲げられていないのか?答えは明白である。他の旅行者というのは、本作を遊んでいる別のプレイヤーだからだ!

 そのプレイヤーたち、旅行者の辿った証が「Miiverse」に集約されるシステムが本作には備わっていたのだ。そのため、ゲームを最後までクリアした後には自然と「Miiverse」の専用ページへと足を運び、メッセージを確かめたくなってしまう魅力があったのである。

 残念ながら、サービス終了と同時に専用ページは閉鎖。2022年現在は閲覧できなくなっている。当然、手書きメッセージをゲーム側から送ることも、送られたメッセージをゲーム中で確認するのも不可能である。

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海外の有志が作った「Miiverse」のアーカイブページ「Archiverse」では、当時の記録を閲覧できる。ちなみに筆者が当時、ゲーム側から送ったメッセージはこちら。

 サービス終了前なら、「真相はゲーム本編で確かめよう!」と書くところなのだが、このような状況になった今ではそれも難しい。よって、結末の詳細は避けつつも、このWiiUならではの仕掛けに関して紹介するに至った。

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 これもまた、本作がいかに他のゲーム機への移植が難しいかを象徴する要素のひとつになっている。一応、Nintendo Switchの『スプラトゥーン2』のように手書きのメッセージを表示する専用のコミュニティ機能の例もあるため、実現不可能と言うほどではないかもしれない。ただ、本作の場合は他のプレイヤーがどんなメッセージを送ったのかを確かめる面白さもあったため、完全再現のハードルは高いだろう。その意味でも、本当に2022年現在、体験できなくなってしまったことが惜しまれる。

 同時に「Miiverse」まで活かそうとした開発チームの独創性には、今なお驚かされるばかりだ。

もし、WiiUならではのゲームをお探しであればこれは必携品だ

そんな本作『U-EXPLORE SPACE ADVENTURES』はデンマークのKnapNok Games(現:NapNok Games)、そしてスウェーデンの個人開発者NifflasことNicklas Nygren(ニクラス・ニグレン)氏の共作によって生まれた。

 KnapNok Gamesは本作以外にも『わいわい!みんなでチャレンジ』なるダウンロード専用ソフトを発売していて、こちらでもWiiUゲームパッドを異様な形で使ったことで発売当時、一部のプレイヤーから注目を集めた。

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『わいわい!みんなでチャレンジ』より、その驚くべき使い方の一例。

 Nifflas氏も『クニットアンダーグラウンド』なる作家性の強い探索型アクションアドベンチャーゲームをWiiU向けに発売している。

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『クニットアンダーグラウンド』

 この作品はPC(Steam)でも販売中だが、日本語に対応しているのはWiiU版だけとなっている。その意味では、こちらも「ニンテンドーeショップ」のサービス終了前に押さえておく価値のあるタイトルと言ってもいいだろう。

 こういった独創的なタイトルを生み出した開発スタジオと開発者が手を組んで、こんなWiiUならではのゲームが誕生した。それには深い興味を感じさせると同時に、過去作での試みを思えば必然だったと言えるかもしれない。

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 際立った特徴を重点的に紹介してきたが、他にも30以上もの個性豊かなステージ、未知の惑星特有の雰囲気を見事に表現したグラフィック、1人プレイ時とは全く異なる攻略が楽しめる3人参加可能なローカル同時プレイといった見所がある。

 また、人を選ぶ部分も多い。特に全編ステルスに徹するため、この手のジャンルが苦手な人にはとことん合わないだろう。戦術もやり過ごすことが中心で、相手を倒すようなアクションは楽しめない。ゆえにその手のステルスゲームに馴染みのある人なら、モヤモヤしてしまうかもしれない。何より、WiiUゲームパッドをフル活用するということは、裏返せば煩わしさと慌ただしさも相応ということである。これを違和感なく受け入れられるか否かも、本作を楽しめるか否かに当たって大きな分かれ道になるだろう。

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 難点に該当するものでもステージ開始前のロード時間が長い、終盤ステージの難易度曲線がブレ気味(難しいステージの挿入タイミングが奇妙)といったものもある。また、本編に登場する仕掛けには物理演算が働くのだが、これが怪しい挙動を見せるのにも気にかかる部分だ。

 そのような所もあるため、全てが全て極上の出来という訳ではない。ただ、WiiUゲームパッドの特性を活かしたゲームデザインと秀逸なステージ構成、そして感情を(いい意味で)逆なでするストーリーのインパクトは唯一無二だ。現在は楽しめないが、「Miiverse」を活かしたイベントも特筆すべきものがある。

 最初に言及したように、本作は任天堂が日本語ローカライズを担当した、2つのWiiUのダウンロード専用タイトルとほぼ同じ時期に発売された。しかし、それらが紹介された「Nintendo Direct」でも紹介されることはなかった。
 筆者個人としては未だ不思議に思う。なぜ、本作は任天堂の目に留まらなかったのだろう、と。これほどWiiUゲームパッドを活かした作品なのに、あまり陽が当たらず世に出てしまったのは本当に惜しい。

 そして、このゲームが2023年の3月を最後に販売を終えてしまうのが何よりも残念だ。

 まだ完全なサービス終了まで時間はある。また、これは本作に限った話ではないが、8月30日の残高追加終了以降も、3DSとWiiUで用いられている『ニンテンドーネットワークID』を現在の『ニンテンドーアカウント』へと移行させれば、任天堂の公式WEBサイトの紹介ページ経由からの購入は可能だ。(詳しい手順はこちらを参照いただきたい)

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 既にWiiU自体は現役を退いたゲーム機のため、手放した人も少なくないだろう。だが、まだWiiUが手元にあって、本作を遊んだことがないのであれば、ぜひサービス終了の日を迎える前に購入して、その唯一無二の遊びを体験いただきたいところだ。本稿でも触れた『Zombie U』のように独自要素を削って復活する可能性も無くはない。しかし正直なところ、そのようなアレンジをすれば、名前が同じだけの別のゲームになるのは明らかだ。

 繰り返しになるが、まだ時間はある。
 ぜひ、機会があればこのWiiUならではの力作に触れてみて欲しい。
 そして、そのような作品が存在したことを記憶に留めていただければと思う。

 事故率0%、生還率100%。
 ユーエクスプロー社による安心安全の宇宙旅行に旅立とう! 

ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop
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