【今日は何の日?】『AIR』が生まれた日(9月8日)。『Kanon』に続く第2作として発売され「Keyといえば泣きゲー」のイメージを不動にした恋愛アドベンチャーゲーム

 9月8日は『AIR』が発売された日だ。

 Windows PC向けに『AIR』が発売されたのは2000年9月8日。本作はKey制作の恋愛アドベンチャーゲームの2作目で、主なスタッフとしては脚本と一部楽曲を手がけた麻枝准氏を中心に、原画イラストの樋上いたる氏、音楽の折戸伸治氏と戸越まごめ氏らが挙げられる。

 Keyは1作目の『Kanon』「泣きゲー」と呼ばれ、高い評価を得ていたが、『AIR』はその評価をさらに高めて「Keyといえば泣きゲー」のブランドイメージを不動にすることになった作品だ。

 本作はメインシナリオがDREAM編SUMMER編AIR編の3部で構成されている。

 DREAM編はオーソドックスな恋愛アドベンチャー形式で、選択肢によってルートが分岐し、3人のヒロインのそれぞれのシナリオを楽しむことができる。

『AIR』遠野美凪
(画像は『AIR』Nintendo Switch版公式サイトより)

 次のSUMMER編はルート分岐がなく、一本道のビジュアルノベルとなっている。時系列としてはDREAM編の1000年前の話にあたり、DREAM編でほのめかされていた不幸な出来事の原点が描かれている。

 最後のAIR編は、別の視点からDREAM編を見つめ直す構成となっている。AIR編はDREAM編の少し前の時点からシナリオが始まり、ゲームクリアを迎える時期もDREAM編のエンディングより後になっている。

 内容にはSUMMER編で描かれた1000年前の物語が織り込まれており、プレイヤーはDREAM編とSUMMER編をプレイすることで、最後に『AIR』という作品の全容を見届けることができるようになっている。

 AIR編ではプレイヤーは物語に介入できず、基本的に傍観者の立ち位置を取ることになるのだが、そこで描かれる登場人物たちの飾ることのない思いや絆は大きな感動を呼んだ。

『AIR』神尾観鈴
(画像はYouTube「Nintendo Switch用ソフト『AIR』オープニングムービー」より)

 『AIR』で印象に残るのはシナリオだけではない。「夏」を描いたビジュアルの美しさ音楽の情感も、プレイヤーの心に効果的な余韻を残している。

 特に音楽の力はすさまじく、耳にしただけで目頭を押さえずにはいられないプレイヤーを生み出したほど。代表的な例としては、とあるキャラクターがAIR編で口にする「もうゴールしてもいいよね」という台詞の背景で流れるBGM「青空」などが挙げられるだろう。

 ……ところで、このセリフは汎用性が高すぎるため、原作を知らずに使用しているゲーマーもいるのではないだろうか。

『AIR』霧島佳乃
(画像は『AIR』Nintendo Switch版公式サイトより)

 本作は2005年にアニメの劇場版とTVシリーズが制作された。劇場版は出崎統監督のもと東映アニメーションが制作しており、TVシリーズは京都アニメーションが制作している。

テレビアニメ版『AIR』
(画像はAmazon Prime Video『AIR』より)

 本作はドリームキャスト、PlayStation2といった据え置き機だけでなく、PSP、PS Vitaといった携帯機にも移植され、iOS、Android向けにもリリースされている。

 2021年にはNintendo Switchにも移植されており、PS Vita版のみに収録されていた外伝小説「初空の章」のビジュアルノベル版も移植されている。本作の追加要素をまだ経験していないプレイヤーは、Nintendo Switch版で再び「夏はどこまでも続いてゆく」を体験してみてはいかがだろうか。

『AIR』Nintendo Switch版
(画像は『AIR』Nintendo Switch版公式サイトより)

 記事執筆時点で、本作でメインシナリオライターを務めた麻枝准氏の最新タイトルは、Wright Flyer Studiosと共同開発の『ヘブンバーンズレッド』となっている。メインイラストレーターは『アトリエ』シリーズなどのキャラクターデザイナーとして知られるゆーげん氏だ。

ヘブンバーンズレッド
(画像は『ヘブンバーンズレッド』公式サイトより)

 『ヘブンバーンズレッド』はiOS、Android向けのタイトルで、現在はSteamにも対応しており、PCから高解像度で楽しむこともできるようになっている。
 ジャンルはRPGで、テキストアドベンチャーのストーリーパート、3Dキャラを操作する探索パート、ターンバトルの戦闘パートで構成されている。

 CEDEC2022では『ヘブンバーンズレッド』を題材にした講演が複数あり、現在の形に至った経緯が開発スタッフらによって語られている。いずれも非常に丁寧な作り込みがうかがえる内容だ。

 『ヘブンバーンズレッド』は遊び心地が非常に洗練されており、従来のテキストアドベンチャーを超える作り込みによって、臨場感のあるプレイ体験ができるタイトルとなっている。
 筆者のような一身上の都合(※)がなければ、キャッチコピーの「最上の、切なさを。」がいざなう物語をぜひ体験してみてはいかがだろうか。

※『ヘブンバーンズレッド』は、ほとんどの登場キャラクターが女流プロ雀士の名前を元ネタにしている。ゲームのキャラクターと実在の人物に関連はないが、筆者は元ネタの人物をリアルに知っている(なんなら同卓して麻雀を打ったことがある)ので、雑念が入り込みすぎて精神がもたず、想定外の切ない体験をすることになってしまった。この記事を最後まで読んだ方にはぜひ別の種類の「切なさ」を体験していただきたい。

ライター
『討鬼伝』シリーズを3000時間やり込んでいる元麻雀プロ。家を出て5メートルで職務質問されたことがある。中世ヨーロッパ風ファンタジーが好きで『ファイナルファンタジータクティクス』が最も好きだが、三国志など古代~近世の東洋も好き。好きな武将は細川政元。
Twitter:@natsukawa77tem
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