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『ゼノブレイド3』のためにゼノシリーズ全部やったけどそんなことよりキャラが可愛すぎる……というキャラへの愛を全て詰め込んでいたら35000字を超えてしまったレビュー

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 突然だが……私は中目黒近辺を利用することが多い。

 そんな中目黒の民にはお馴染みの、駅から3分とかからず辿り着ける「ココカラファイン中目黒店」。私も生活用品を買い足す時にちょいちょいここを利用する。2階にプチ100均もあって便利。

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 待って! 待ってください!! 『ゼノブレイド3』の記事が読みたくて開いたらココカラファイン中目黒店の話が始まったからってまだ閉じないでください!! ちゃんとゲームの話に繋がります!!!

 こちらのココカラファイン中目黒店が1階に置かれているビルは「中目黒第一GSビル」と言って、「ゼノブレイド」シリーズの開発を行っている株式会社モノリスソフトもこのビルの中に入っているのです!

 なので、私はここのココカラファインを利用する度に「この上で今ゼノブレイド3作ってんのかなぁ……」という謎の感慨に浸りながらトイレットペーパーを買ったりティッシュペーパーを買ったりほろよいを買ったりしていました。

 そして、筆者は今回の『ゼノブレイド3』に向け、4月から『ゼノギアス』『ゼノサーガ』『ゼノブレイドクロス』などのゼノシリーズをプレイし続け、一応「一通り遊んだ」状態でゼノブレ3に臨んでいます。いや、だからなんだって話なんですが……。

 徒歩圏内にモノリス本社があるせいで、いつ本社から日本刀を持った刺客が送られてきて玄関先で俳句を詠み始めるかわかったもんじゃなかったのですが、無事7月の『ゼノブレイド3』発売に間に合いました。ただ、あんまりこの記事にゼノシリーズの総括とか期待しないでくださいね!

 とにかく……始まりなんだよぉぉっ

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文/ジスマロック
編集/実存

※この記事には『ゼノブレイド3』の「クリアまで(ヒーロークエスト・覚醒クエスト含め)」のネタバレがガッツリ含まれています。クリア後の要素には触れていません。クリア前の方は本当にお気をつけください。クリア前の人はできれば見ない方がいいかと思います。もうはてなブックマークに「ネタバレ多すぎ」とか書かれても私は責任取れません。よろしくお願いいたします


息が合ってきた証拠だ。そうだろ?タイオン

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発売前にJR渋谷駅に掲載されていた広告です。ここよ、続けて渋谷アーツを!

 まずは『ゼノブレイド3』の「世界観」について触れていきましょう。もはや今作で「最も重要」と言っても過言ではないかもしれないその世界観。

  「生きるために戦い、戦うために生きる」

 上のコロニー渋谷の広告にも書かれてる今作のキャッチコピーですが、まさにこの言葉通りの世界観がお出しされます。

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 今作の舞台となる世界、「アイオニオン」。そこでは「ケヴェス」「アグヌス」という2つの巨大な軍事国家が終わりのない戦いを繰り広げていた。2つの国家の国民は、生を受けたその時から兵士として戦争に駆り出されることが決められている。

 そしてこの兵士たちの寿命は約10年。10年間戦い続け、女王の前で「成人の儀」を受け、消滅することによってその天寿を全うするのが最大の栄誉とされている。

 だが、この「成人の儀」を受けられるものは数少ない。多くの兵士は10年間を生き延びることもないまま、戦場で命を落とす。そしてこの命を落とした兵士を笛の旋律によって弔うのが、「おくりびと」と呼ばれる者。

 ケヴェスのおくりびとにして主人公の「ノア」。アグヌスのおくりびとの「ミオ」。奪い合い、潰し合い、殺し合う2つの国家のおくりびとが出会う時、世界の運命は動き始める━━━━━。

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 ……はい。今作の世界観ですが、いかがでしょう。簡単に言えば「基本的に10年しか生きられないし、その10年は大体命がけの戦場に駆り出されるし、頑張って10年生き残ったら成人の儀で消滅」という世界です。

 ……酷い世界だろ ここは!!

 10年しか生きられないって……2000年に生まれたら大体クウガからディケイドまでしか平成ライダー見れないってことですからね。頑張って生き延びてもWかオーズの放送中に成人の儀で消滅します。え、エグゼイド見れないとかマジ?

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 そしてこの地獄のエンドレスバトルが繰り広げられている「アイオニオン」のもう一つの特徴、それこそが「『ゼノブレイド』『ゼノブレイド2』の世界が合体(?)している」という点。

 「機神」と「巨神」という2柱の神の上に「機神界」と「巨神界」という大地が広がり、人間が暮らしている『ゼノブレイド』。雲海の上に「巨神獣<アルス>」と呼ばれる巨大な生物が漂っており、その生物の背中の上に王国や国家が築かれている『ゼノブレイド2』。

 我々人間の視座から見た時、気が遠くなるほど壮大で遠大で広大な世界観も魅力の「ゼノブレイド」シリーズですが、『ゼノブレイド3』はその2つの前作が合体したような世界となっています。

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公式サイトにも載っている「インヴィディアの巨神獣に機神の大剣が突き刺さっている」このメインビジュアルが今作の世界観の象徴としてとても分かりやすいです。『ゼノブレイド3』公式サイトより

 『ゼノブレイド』に登場した「機神」の剣がそのまま大地に突き刺さっていたり、『ゼノブレイド2』の「インヴィディア烈王国」の巨神獣が胴体が吹っ飛んだ状態で大地に座礁していたり、過去作をプレイしていればいるほど「これは……!?」と気付ける要素がアイオニオンのあちこちに散りばめられています。

 そして相争う2つの国家、「ケヴェス」「アグヌス」も1と2が合体しているのです。主人公のノアと、その仲間のユーニとランツが所属する「ケヴェス」はどちらかと言うと『ゼノブレイド』の世界。

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 今作は兵士たちの生活圏及び基地でもある「コロニー」があちこちに点在しており、そのコロニーには必ず巨大な「鉄巨神」が置かれています。この鉄巨神は生活の要だったり戦場での切り札になったりするのですが、ノアたちが属するケヴェスの鉄巨神はモロ『ゼノブレイド』の「機神兵」。

 さらに『ゼノブレイド』に登場した頭に羽根が生えている種族「ハイエンター」や、「機神界人<マシーナ>」のような灰色の肌の種族もケヴェスに属しており、まさに「ゼノブレイド陣営と言った感じ。

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 一方アグヌスは『ゼノブレイド2』に登場した「イーラ」を想起させるような和の意匠が建造物や軍服に盛り込まれています。

 アグヌス陣営から主人公チームに加わるミオは「ニア」のようなケモミミが生えていたり、武器も見るからにジャガースクラッチしそうな双月輪を使っていたり、いかにもブレイドみたいなコアクリスタルが胸に埋め込まれていたり、とにかく「ゼノブレイド2陣営」と言っても過言ではない仕上がり。

 エッ、10年しかない兵士の命を使って「ゼノブレイド1とゼノブレイド2の代理戦争」が行われてるってコト……!?

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 しかし、あながちそれが冗談とも言えないのが「ケヴェス」と「アグヌス」の両陣営のトップに立つ、2人の「女王」。この女王、どこからどう見ても「メリア」と「ニア」なのである。

 しかもこの2人、どちらも負けヒロ……いや、一足遅かっ……いやいや、メインヒロインに競り勝てなかっ………もうどう頑張ってもオブラートに包めねえ!

 ニンテンドーダイレクトで初めて情報が解禁された時には「主人公に選ばれなかった怒りで戦争を繰り広げているのでは?」とあらぬ疑いをかけられていたりいなかったりもしました。嘘だよな……?

こっちに来やがれ!!

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 そしてここからは『ゼノブレイド3』の進化したシステムの解説に移りましょう!

 「急に世界観から戦闘システムの話になったな……」と思っているそこのアナタ、ご安心ください。実はこの戦闘システムも2つの前作の要素が組み込まれています。

 『ゼノブレイド3』の戦闘はこれまでと大きく変わらず、アーツを駆使して戦うバトル。

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 だがしかし! なんとノアたちが属する「ケヴェス」は『ゼノブレイド』と同じ「時間経過によってアーツが回復する」仕様となっており、一方ミオたちの「アグヌス」は『ゼノブレイド2』と同じ「オートアタックのヒットによってアーツが回復する」仕様になっている!!

 まぁ要は「バトルのシステムもゼノブレイド1の方とゼノブレイド2の方に分けられている」ということです。私はこれ、初めて見た時かなりテンション上がりました。

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 さらに『ゼノブレイド』の「敵に対し、崩し→転倒→気絶のコンボを繋げて戦いを有利に運ぶ」あのシステムと、『ゼノブレイド2』の「ブレイク→ダウン→ライジング→スマッシュ……の順でコンボを繋げて大ダメージを狙う」あのシステムも見事に融合を果たしており、今作では「ブレイク→ダウンのルートまでは共通で、そこからスタン→バーストに繋げるゼノブレ1方式かライジング→スマッシュに繋げるゼノブレ2方式かを選択可能」というシステムになっている!

 さらにさらに今作から新登場した「融合アーツ」もこれまたすごい。

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別クラスを使うと衣装もそのクラスに合わせて変わるのも結構好きです。完全に彼シャツやんけ。

 『ゼノブレイド3』はノア・ランツ・ユーニ・ミオ・セナ・タイオンの6人のプレイアブルキャラクターの「クラス」を自由に変更できる。つまり、本来であればタンクロールの「疾風士」のミオを、ノアのクラスの「ソードファイター」に変更してアタッカーとして運用することも可能!

 この際、ミオが元から使っていた「疾風士のアーツ」をソードファイターでも使用可能になる。このシステムこそが先ほどの「融合アーツ」【※1】

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  右側に配置されているアーツが現在使用しているクラスのアーツ。左側に配置されているアーツがミオが習得している疾風士の「ワイドスラッシュ」。ここでZRを押し「融合」を行うことで、左右最上段の「グラウンドビート+ワイドスラッシュ」を同時に放つ「融合アーツによる攻撃」が発動する!

 長々と説明しましたが、まぁ要はこの「ケヴェスとアグヌスの技を融合して放つ」融合アーツのシステムこそが、『ゼノブレイド3』の「ゼノブレイド1とゼノブレイド2の世界が融合している」という世界観をそのまま表しているのですよ! これすごくないですか!? 世界観がそのまま戦闘システムにも反映されてるの、すごくない!?!?

 何かRPG戦闘システムフェチの私だけが鼻息を荒くしている気がしてきましたが、とにかく「ゲームのシナリオ上での設定をそのまま戦闘システムにも盛り込む」ことをここまで徹底してやった上で、それを「2つの前作のシステムを合体させる」という形で見せているのだから、真面目に考えても結構すごいことをやっている気がします。

※1「融合アーツの仕様」
実は融合アーツは「ケヴェスに属するキャラのクラスを使っている時は、アグヌスのクラスのアーツのみを融合対象として使用できる」という仕様となっています。その逆もまた然り。ソードファイター(ケヴェス)+疾風士(アグヌス)は可能でも、破砕士(アグヌス)+疾風士(アグヌス)の組み合わせは不可能なのです。もうどうやっても1と2を合体させるしかない。

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 そして今作の目玉のシステムがこの「インタリンク」。なんやかんやあって「ウロボロス」という特異な存在になってしまったノアたちは、「合体」という名の「インタリンク」を行うことでウロボロス形態へと変化する!

 ちなみに長くウロボロスに変身し続けると何か身体からピコンピコン音が鳴ります。ついにゼノはロボットアニメからウルトラマンへと戦場を移しました。ヴェルトール先輩、イドの力、お借りします!

 よくよく考えてみればこれも「ケヴェスとアグヌスの融合」ですね。戦闘中でもこのウロボロス形態は使用可能となっているため、強力無比なウルトラ形態としても、死にそうな時の緊急シールドとしても使えるので見た目に反して意外と小回りが利く。

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 しかもこのウロボロス形態、ちょっと過去のゼノシリーズのキャラクターを想起させるような要素もいくつか盛り込まれていて、上記のいかにも超武技光掌を放ちそうな「ノア+ミオ」のウロボロス形態だけでなく、主導権がミオ側に移った「ミオ+ノア」のウロボロス形態はちょっとKOS-MOS ver.3みたいな感じなんですよね……。

 ただまぁ、ハッキリ「過去作要素入れてます」とは明言してないので、ただの私の妄言である可能性も考慮してください。あっ、そうそう。KOS-MOSと言えば、CHOCOお父様の新刊の「KOS-MOS FIX」って買いました?

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   『ゼノブレイド3』でもウロボロスのデザインを担当しているCHOCOお父様の美麗なイラストや各verのKOS-MOSのデザイン意図、奈須きのこ氏・武内崇氏・Saitom氏を筆頭にした超豪華メンバーの寄稿、もうこれモノリス公式かよと言わんばかりの高橋哲哉氏登場コーナー……まさに「KOS-MOS生誕20周年」にふさわしい素敵なアンソロジーです。

 こちらの「KOS-MOS FIX」、各種通販サイトでの販売も行われているので気になった方はぜひお買い求めを。私は夏コミであの炎天下の中1時間半ぐらい並んで買いましたが、それを加味しても大満足の内容です。並んで良かった。

 …………えっ? 何? 「ただ新刊買えた自慢したいだけ」? 「ここまでのメチャクチャ長い戦闘システムの話は全部KOS-MOS FIXの話をしたいがための前振りだったのか」?

 ……ハッハッハ、ハハハハハハ! ハハハハハハハハハハハ!!!

 X-BUSTER!!!!!!!!!!!

おいノア!ランツがもっと強い敵と戦いたいってよ!

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 すみません、誤魔化すために読者の皆様に向かってX-BUSTERを撃ってしまいました。生き返ってください。

 ここからは「ゼノブレイド3のキャラの可愛さ」に触れていきましょう。おそらくこのゲームをプレイした方の大半は、「キャラが可愛い」と思っていることでしょう……というくらい、『ゼノブレイド3』はキャラがかわいい。

 「基本的に人間は10年しか生きられない」というアイオニオンの原則は前述の通り。なので……みんな高校生くらいに見えても実は10歳未満なんですね。こんなデカくてもみんな人間社会に換算すると小3~小4くらい。

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 だからこんなに大人びているミオも「日記をつけること」が趣味だったりするし、およそ10歳未満とは思えぬ発育のユーニも「四葉のクローバーを集めるのが好き」という、もはやサンリオのキャラみたいな趣味を持っています。

 特に『ゼノブレイド3』の主人公たちはこれまでのシリーズと比べても、「限りなく等身大の少年少女たちが旅をしている」という側面が強調されていると思います。『ゼノブレイド』も『ゼノブレイド2』も話の中心にはもちろん少年少女が居たけれど、頼りになる大人が居たり、まだ少年なのに精神が英雄的すぎたりと……今作ほど「学生ノリ」のようなものは感じませんでした。レックスさん、あの歳で成熟しすぎや。

 たとえば……みんなでキャンプしながらご飯作ったり、あっつい砂漠の中を歩き続けてようやく見つけたオアシスにみんなで飛び込んでみたり、とにかく『ゼノブレイド3』は「同じ学校だけど別々の部活、別々のクラスだった6人が急に集められて旅をしている」ようなこの空気感がめっちゃ楽しいし、とても愛おしいのです。

 個人的にこの「世界を救う大冒険なんだけど、ちょっと学生っぽいノリだから親しみが湧いてキャラがみんな好きになってしまう」というアプローチはかなり『FF15』に近いのでは……?と思ったりもしています。

 みんなでキャンプしたり、魚釣ったり、砂浜でダッシュしたり……そういう楽しい思い出を作る過程で、このゲームをプレイしている私自身が彼らのもうひとりの仲間のような気がしてくる。彼らと作った思い出が、旅の終着点で「最も大切なもの」に昇華される。『ゼノブレイド3』も同じく、彼ら(彼女ら)のことが好きになればなるほど、「あぁ、この楽しい時間がずっと続けばいいのにな」と思ってしまう。

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ゼノブレイド3でも集合写真を撮る機能、欲しかったですね。アイオニオンにプロンプト呼びませんか?

 ウロボロスのみんなには……現代に転生して学校に通って欲しい。ノアとランツとタイオンが放課後3人でスタバ行ってる一方、ミオとセナとユーニは3人で焼き肉行ってて欲しい。ノアとランツとタイオンでスマブラやった時に、タイオンが何食わぬ顔でホムヒカを選んで「ち、違う!これは“性能的”に理にかなっているからだ」と訳の分からん言い訳を垂れ流して欲しい。ミオとセナとユーニでサイゼ行った時に注文しすぎて会計がとんでもない額になって欲しい…………

 すみません。私の脳内にある都立ゼノブレイド3学園の妄想を垂れ流してしまいました。こんな四六時中学パロのことを考えてしまうくらい、主人公6人が可愛いということです。

 しかし、その一方で彼らもこの異常極まりないアイオニオンに生を受けた人間。その出自もかなり特殊で、そもそも「ケヴェスとアグヌスの兵士は生殖によって生まれてくるのではなく、女王のゆりかご(という名の培養カプセル)から生まれてくる」といういかにもゼノっぽいシステムから生まれてきます。

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 つまり、主人公たち6人……だけでなく、ケヴェスとアグヌスの兵士たちは性行為をしたことがないどころか、そもそも「生殖の概念がない」のです。ピュアとかそういうんじゃなくて、大前提として性行為をする必要がないから、生殖の概念自体がない。

 それを象徴するのがゲーム最序盤のノアたちの混浴シーン。戦いを終えて帰ってきたノアたち。当然戦いの傷や返り血を洗い流すべくお風呂に入るのですが……生殖の概念がないので男女関係なくお風呂に入っている。アイオニオンではこれが常識なので、特にツッコミも何も入らない。

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 ま……まぁ確かに前作の『ゼノブレイド2』が何かあればすぐに乳尻太もも亀頭みたいなことを口走る少年の心を忘れないゲームだったので(※個人の感想です)、その反動で『ゼノブレイド3』はピュアな感じなのかもしれません。ちゃんとお色気シーンが世界観の説明に繋がってますね。

 そして「女王のゆりかご」に並ぶもうひとつの重要な要素が「命の火時計」。これは「兵士たちの生命維持装置」のようなもので、何もしなければ火時計の針が進んで行って死んでしまう代わりに、敵の兵士の命を奪うことでこの命の火時計は満たされ、延命することができます。生きるために戦い、戦うために生きる。

 ……酷い世界だろ ここは!!

 そしてノアたちはウロボロスとなることで「命の火時計」から解放されるのですが、先ほどの混浴シーンと対比する形で象徴的なのがこのお着替えシーン。さっきまで別に混浴してても何も気にしてなかったけど、ロボロスになって何かちょっと女子の前で着替えることにドキドキして陰に隠れる男子…………萌えアニメ???

 本人たちはまだ自覚していませんが、このウロボロス化前の混浴シーンとウロボロス化後のお着替えシーンで、「ウロボロスになる=本来の人間的な機能を取り戻す」ということが示唆されていると言えなくもないのかもしれません。あともうここの時点でタイオンが面白い。

 こんな感じで、『ゼノブレイド3』はかなり真剣に「生殖の概念がない世界」を描いています。ここからはそんな世界で生きる6人のウロボロスに触れていきましょう。あっ、この辺からさらに私の独断と偏見が強くなってきます。

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 我らが主人公のノアさん。彼、ゼノブレイドの主人公にしてはすごく落ち着いてる。ゼノブレイドの主人公と言えば「そこだあああああああ!!!!!!!」とか「ダブルスピンエ────ッジ!!!!!」とかやたら声がデカいことでお馴染みなんですが……結構冷静沈着。

 割となんでも完璧にこなせてしまうタイプで、激しく悩んだりせずにその場の意見を適切に汲み取った上で決断を下して周りを動かすのが上手い。英雄的というよりかは、民の上に立つ王っぽい。アキレウスよりかはオデュッセウス。学校に通ってたら多分生徒会長。

 あと素面でカッコいいことを言う。たま~~~に天然になってるけど、基本的に社交的で人の意志を汲み取るのが得意。同級生にノアさんが居たら狂ってしまうかもしれない。ノアさんとゲーセン行って「へぇ、意外と詳しいんだな(笑)」とか言われたら……どうしよう……

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 このように、ノアさんは男性の私から見ても、とても魅力のある人だと感じます。えっ? 「このように」が別に繋がってない? 言ったでしょう、ここからは私の独断と偏見が強いと!

 ただ、真剣に考えてもノアさんは「人としての魅力」がかなり高いタイプだと思います。誰とでも分け隔てなく接するし、親身になって話を聞いてくれるし、相手の想いを尊重する姿勢を見せてくれるこの「真摯さ」は誰でも魅力を感じてしまうであろう素敵な御仁です。

 何気に考え方が文系っぽいところもあり、ちょいちょい詩的な表現を用いるのもノアさんの個人的に好きなところ。

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「目を瞑ったところで世界はなくならないよ。あの月は、光は、何故存在している?」

「人が死滅したとしても、月の光は、変わらず大地を照らし続けるんだ。
 でも​━━━その光に、意味を見出すのは俺たちだ。今日の光は蒼いね、とか。いつもより暖かいね、とか。」

「それと一緒で、世界に意味を見出すことも、変えることも、俺たち自身が持ちえた特権なんだ」

 「月の満ち欠けや月光の移ろいに様々な感情を抱くように、どのように世界を感じるか、この世界をどのように捉えるかは人間に与えられた特権だ」と、語るノアさん。大丈夫? これランツとか付いてきてる?

 周りを引っ張るリーダータイプでありながら、物事を繊細に受け止める感性が豊かなところもある。むしろ、この繊細さがあるからこそ周囲の意志を汲み取るのが得意なのかもしれません。ノアさん、抱いてくれ……

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 そしてそんなノアさんのお相手でもある「ミオ」。最初に見た時は「めっちゃニアに似てるな~」と思いましたが、改めて実機の画面でまじまじと見ると、ニアよりも少し大人びていて彼女はちゃんと彼女自身の魅力があります。

 彼女もノアと同じくみんなを引っ張るリーダータイプで、前述のように日記が趣味だったり、残り僅かな自分の寿命について周りが気を遣いすぎることのないよう気丈に振る舞う姿も印象的。しかし、やはり個人的に彼女のイメージとして強いのがその「イケメン」なところ。彼女、なんというか魂がイケメン。精神が男前。ノアが「静のイケメン」だとしたら、ミオは「動のイケメン」。

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 「今ここにある命、君だけに背負わせはしない」

 何度倒しても兵士の命を吸収して回復するメビウス相手に「命の火時計」自体を破壊することで一矢報いようとする場面。ただ、「命の火時計を破壊する」ということは「直接周囲の兵士の命を奪うことに繋がるかもしれない」と悩むノアに向けたセリフ。

 惚れてまうやろ~~~~~~~!!!!!
 (執政官(チャン・カ)ワイ)

 ノアは割と理屈っぽく物事を考えるので、ここぞの即断即決を決めなければいけない場面で少し手を止めてしまうこともあるのですが、そんな時はミオがその直感と行動力でバシッと決めてくれます。魂が……魂がカッコいいんすよ……。

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流石に本文に入れると文量が爆発しかねないので割愛しましたが、「誰もが心の奥に抱く秘密。忘れられない過去の記憶、辛い出来事。今は想像することしかできないけれど、少しでもいい。自分のことのように寄り添えたらと思う」と、ミオの心情が綴られる章ごとの日記コーナーも好きです。

 最年長かつメインクラスがタンクロールだったこともあり、「いざという時、先頭に立って誰かを守る」ことにかけて彼女の右に出る者は居ないかもしれません。

 ノアとミオはすごく「中性的な魅力のある人物」だと感じます。元より「人間」が持ちうる心の優しさや美しさ、強さや芯のようなものをしっかりと持っているからこそ、ありのままのプリミティブな魅力がある……そんな素敵なキャラクターだと思います。

 流石に私も「寿命が10年」の文面だけではイマイチピンと来ていませんでしたが、ゲームを進めれば進めるほど「この2人があと3ヶ月で死別しなければならない」ことがとても辛くなりました。やっぱつれぇわ……

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 続いて紹介するのはユーニ! 待たせたなぁ、オイ!?

 もうね、別に統計取った訳じゃないけど多分このゲームクリアした人でユーニのこと好きじゃないなんて人は5%切ってるんじゃないでしょうか? 彼女の魅力はやはり……

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 おおおお……

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 お、おおおおおおお………… 

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 ウルトラマン…………デッカ────────!!!!!

 ……ではなく、その「ユーニ兄貴」と言われたりもしているらしい良い意味で豪快な性格がユーニの魅力。もちろんデカいのも魅力だと思います。

 口調も「おいノア!ランツがもっと強い敵と戦いたいってよ!」とか「待たせたなぁ、オイ!?」とか「いっっっってぇぇぇぇ~~~っ!!!」みたいに荒っぽい感じだし、宝箱は蹴っ飛ばして開けるし、平然とヤンキー座りするし……良い意味でチームのムードメーカー的存在です。ペルソナに居たらアルカナは戦車だと思います。

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 こんな感じなのだからきっとクラスもメリケンサックとか釘打棒(クギバ)を使うアタッカーなのだろう……と思うかもしれませんが、なんとそのクラスは「メディックガンナー」。ヒーラーです。

 先ほどの「四つ葉のクローバーを探すのが趣味」もそうでしたが、ユーニはこの「ギャップ」が面白いキャラクターなのです。しかも何気に教本の内容をしっかり覚えているくらいには博識。ヤンキーみたいな感じなのに四つ葉のクローバーを探すのが趣味で割と勉強ができてメインクラスはヒーラー……もうキャラ設計があざとい!

 しかも、彼女は彼女なりにちゃんと周りに気を配っており、ミオの寿命について触れかけてしまった時にはちゃんと訂正したり、メインクラスがヒーラーであるからこその優しさも垣間見えます。いや、垣間見えるというか、もしかしたらこの6人の中で一番優しいまであるかもしれません。

 この「優しさ」の描写自体が「ユーニは何故ヒーラーなのか?」ということの説明にも繋がっており、ユーニもユーニなりに仲間のことをちゃんとよく見ているのが伝わってきます。仲間のことを信頼し、助け合わなければヒーラーは務まりません。割と本気で「ゼノブレイド3ナイスデザイン賞」のひとりだと思います。

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 ……はい、お待たせしました。みんな大好きタイオンです。『ゼノブレイド3』を未プレイでこの記事を見ている人が一体何人居るのかはわかりませんが、おそらくこのキャラは現時点でキャラクター人気投票をやったら第1位を狙いかねないキャラです。

 「え?この褐色メガネが?」「流石にちょっとノアとミオに比べると地味なのでは?」と思う方も多いでしょう。ええ、そうでしょうそうでしょう。私も最序盤は特に気にも留めていませんでしたよ。

 それもその通り、そもそも最初はノアたちのケヴェスと敵対する「アグヌス」側として登場し、何かとツンツンした態度でタイオンはちょっぴり印象が悪いまである。

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 しかし、物語を進めれば進めるほど、過度に理屈っぽかったり周囲と反対の意見を提示するその姿勢は「仲間やミオを案じるからこそ」ということが分かってくる。こちらもユーニと同じくクラスはヒーラー。ヒーラーを務めているからこそ仲間のことをよく見ているし、周りに気を配るからこそ厳しいことも言う。

 ユーニとタイオンは直情的なタイプと論理的なタイプで全くの正反対に見えますが、私は「聡明で優しいからこそ、本人なりに気を配っていて思いやりのある」根っこの部分は同じように感じました。ノアでもミオでもランツでもセナでもなく、この2人だからこそヒーラーができる。

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 さらにゲームを進めるとタイオンの過去も明かされる。まだタイオンが今よりも少し子供だった頃、自分自身の作戦ミスで同じ部隊の大切な仲間だった「ナミ」を失っていた過去が……。

 タイオンが非常に慎重な性格なのはこの時のことがあるからだろうし、ミオを守るために周囲の反感を買おうとも一番安全な策を取ろうとするし、それはミオだけでなく仲間を失わないためでもあるし……タイオン、お前……お前……ッ!!

 前述の通りちょっと「学生ノリ」的なところが強いこのパーティーの作戦面をビシッと締めるのがタイオンの役目。何なら貢献度で言えば「裏リーダーと呼んでも差し支えない司令塔っぷり。ノアとの「大将と参謀」とでも言えるまとめ役同士の絡みも中々に美味しい。

 そしてみんなと打ち解け始め、段々いじられキャラが加速してくるタイオン。ちょっと前に『ゼノブレイド3』をやっている人同士で話す機会があったのですが、「このゲームで一番あざといのってやっぱタイオンだよね」という認識は完全に一致したので、やっぱそうなんだと思います。

 『ゼノブレイド3』は「相談」のとこから見れるこの「雑談」がめっちゃ面白いです。モノリスさん、エキスパンションパスに「ウロボロス6人のめっちゃどうでもいい雑談50本追加パック」とか入れませんか?

 この他にも「料理が下手」という謎の萌えキャラ属性も乗っかってくるので、一部の間では「タイオンはゼノブレイド3のヒカリ【※2】なのでは?」という説すら上がっているとかなんとか……

※2「ゼノブレイド3のヒカリ」
前作『ゼノブレイド2』に登場し、『スマブラSP』にも参戦していることでお馴染みのホムラのもうひとつの姿のヒカリ。「ちょっとツンデレっぽい」「料理が下手」「割とイジられる」ところまでタイオンと完全に一致している。……タイオンはメインヒロインなのでは?

 タイオンが面白いシーンは掘れば掘るほど出てくるのですが、特にお気に入りなのはシティーのこのシーン。未プレイの人は異様に荒ぶるタイオンが「これ何してんの?」と気になるでしょう。そうでしょうそうでしょう、気になるでしょう! なんと『ゼノブレイド3』を買うと、これが何なのか分かります。

 そしてユーニとタイオンも、ノアとミオ同様インタリンクの相手同士なので絡みが多い。ヤンキーっぽいユーニ、生徒会というよりかは風紀委員みたいな感じのタイオン、そのふたりの絡みはもうお察しというか……お前ら漫画かよ、と。お前ら深夜のラブコメアニメかよ、と。

『ゼノブレイド3』のキャラへの愛を全て詰め込んだ結果35000字を超えてしまったレビュー_054

 もう何か隙あらばイチャイチャしてるし、もう何か隙あらばユーニがタイオンの後方彼氏面してるし、もう何か隙あらばユーニがカッコいいこと言ってタイオンが赤面しながら慌てふためいているし……お前らもうジャンプラに行け! 『正反対な君と僕』と戦ってこい!!

 「ヤンキーと真面目な子が絡んで良い感じのマリアージュが発生してる」……この例えるならサイモンとガーファンクル、ウッチャンに対するナンチャン、高森朝雄の原作に対するちばてつやの『あしたのジョー』のような組み合わせ、多分もうありとありゆるところで行われているコンボだとは思うのですが、個人的には『十三機兵防衛圏』の鷹宮と網口を思い出しました。

 「鷹宮と網口」にピンと来た方、ぜひ『ゼノブレイド3』をお買い求めください。濃厚なヤンキー×真面目成分を摂取できます。マジでユーニとタイオンは一生イチャついてるので一生やってろ。

『ゼノブレイド3』のキャラへの愛を全て詰め込んだ結果35000字を超えてしまったレビュー_055

 そしておそらくランツとセナ推しの方は、「おい、ランツとセナは?」「ライターだろ、書けよ(おくりびとだろ、おくれよ)」と思っていることでしょう。ええ、ええ、わかりますとも。

 ただ、私のランツとセナの一番好きなシーンは本当に最後の最後のエンディングなので、流石にまだここでエンディングの内容にガッツリ触れてしまうのは……少しはばかられるというか……

 でも、エンディングで一番泣かされたのはセナとランツです。これだけは本当に伝えたかった。

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ライター
転生したらスポンジだった件
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