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【今日は何の日?】『ダークソウル』が発売された日(9月22日)。『デモンズソウル』に続く「ソウル」系の源流、シームレスなフィールドや「篝火」システムを採用

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 9月22日は初代『ダークソウル』が発売された日だ。

 PS3向けに『ダークソウル』が発売されたのは2011年9月22日のこと。基本的には高難度の3DアクションRPGとしてデザインされており、何度もデスを積み重ねながら攻略を進めていくバランスとなっている。そのためか「死にゲー」と呼称されることも多い。

 いわゆるダークファンタジー風の世界をベースとしており、プレイヤーはひとりの「不死人」として数々の強敵と対峙していく。多くを語り過ぎないストーリーも魅力のひとつであり、ユーザーがNPCとの会話や謎めいたカットシーンなどから物語を考察する動きもしばしば見られた。

『ダークソウル』スクリーンショット1
(画像はフロム・ソフトウェア『ダークソウル』公式ページより)

 スタミナ制を採用したアクションのため、つねにプレイヤー側が攻撃し続けることは難しく、敵の攻撃の隙をうかがってダメージを与えていく戦術が基礎となる。高難度と評される通り、総じてエネミーのHPや攻撃力は高く設定されているうえ、無鉄砲に突進すると敵の集団に襲われる配置などもあわさり、緊張感の高いゲームプレイが楽しめる。

 また、死亡時にはレベルアップなどに用いる「ソウル」を死亡地点にドロップ。回収できないまま次の死を迎えてしまうと、先にドロップしていた分のソウルは完全にロストしてしまう。自キャラクターのHPや回復アイテムのリソースをかえりみたうえで、前に進むか、撤退するかを常に選び続けるような戦略性も持ち味のひとつだ。

『ダークソウル』スクリーンショット2
(画像はフロム・ソフトウェア『ダークソウル』公式ページより)

 オンライン要素も搭載しており、協力プレイや敵対プレイといった直接的なオンラインマルチプレイが可能。またゲーム中の特定のNPCとは「誓約」を結ぶことができ、一部の誓約では特殊なシチュエーションでマルチプレイを楽しむことができる。

 装備やプレイスタイルでロールプレイをしたり、ひとりでは勝てそうにないボス戦で協力者を募ったり、低いレベルで対人戦に特化したビルドを研究したりと、さまざまな遊び方を生み出した。

 そのほかにも他のプレイヤーの姿が一瞬見える「幻影」、死に様の様子を見ることができる「血痕」、地面にコメントを残す「メッセージ」などの機能を有している。特にメッセージは攻略の助けになるものから、思わず笑ってしまうような秀逸なもの、読んだ人間を騙すようなものまで集まり、暗く厳しい旅路の中で他のプレイヤーとのつながりを感じさせる要素となっている。

 テキストチャットやボイスチャットといった直接的なコミュニケーション要素は採用されていないが、エモートやアクションである程度の意思疎通を取ることはできる。総じてオンライン要素は、それ自体がメインコンテンツとならないよう調整されたうえで、シリーズ特有のプレイヤー同士の交流を育んだと言えるだろう。
 

『ダークソウル』スクリーンショット3
(画像はフロム・ソフトウェア『ダークソウル』公式ページより)

 本作はシステム面において、2009年に発売され一躍人気を集めた『デモンズソウル』の仕様を強く受け継いでいる。そのためか、ストーリー上の明確なつながりこそ無いものの、同作とは「ソウル」シリーズとしてまとめて語られることも多い。

 なお『デモンズソウル』と『ダークソウル』の関係性については、両作でディレクターを務め、フロム・ソフトウェアの現代表取締役でもある宮崎英高氏が「4Gamer」へのインタビューにて「当初私がDemon’sSouls 2を作りたくなかったと言えば、嘘になります。でも、色々とあってそうはならなかった、ということです」とコメントしている。(参考:4Gamer

 反面、シームレスにつながるフィールドや、リソースとHPの回復が行える「篝火」システムなどの『ダークソウル』ならではの要素も見られる。のちのシリーズ作品はもちろん、『ブラッドボーン』『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』、そして『エルデンリング』への影響も随所に感じられるゲームデザインとなっている。

『エルデンリング』スクリーンショット
(画像はフロム・ソフトウェア『エルデンリング』公式ページより)

 その『デモンズソウル』の好評もあってか、本作は発売後に大きなヒットを記録し、追加ダウンロードコンテンツとして「ARTORIAS OF THE ABYSS」が発売。その後の2012年10月25日には同コンテンツを収録した完全版こと『DARK SOULS with ARTORIAS OF THE ABYSS EDITION』が発売された。

 くわえて直接的な続編『ダークソウル2』『ダークソウル3』が生まれ、記事執筆時点では3作品からなる『ダークソウル』シリーズの原点ともなった。本作自体も2018年にNintendo SwitchやPS4、Xbox One、PC(Steam)向けにHDリマスター化マルチプレイの拡張が行われ『ダークソウル リマスタード』として販売されている。

『ダークソウル with ARTORIAS OF THE ABYSS EDITION』スクリーンショット
(画像はフロム・ソフトウェア『DARK SOULS with ARTORIAS OF THE ABYSS EDITION』公式ページより)

 総じて『ダークソウル』は『デモンズソウル』と並び、いわゆる「ソウルライク」ゲームのブームを作り上げた立役者のような作品と言えるだろう。

 そういった功績は世界的にも高く評価されており、2021年11月には、世界最大級のゲームアワード「ゴールデン・ジョイスティック・アワード」にて「史上最高のゲーム賞」こと「Ultimate Game of All Time」を受賞。『DOOM』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』などに僅差で勝り、みごと世界的な快挙を達成した。

 そのほか、フロム・ソフトウェア公式ページの受賞歴には「PlayStation Awards2011 ユーザーズチョイス賞」、「第17回AMDアワード 優秀賞」、「日本ゲーム大賞2012 年間作品部門 優秀賞」、「第16回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門 審査員会推薦作品受賞」といった受賞歴が記録されている。

 『ダークソウル』シリーズについては、宮崎英高氏は2017年に行われた「ファミ通」のインタビューにて『ダークソウル3』のダウンロードコンテンツ第2弾「THE RINGED CITY」をもって「現状はこれ以降の展開は予定していません」と明言している。(参考:ファミ通

 だが、初代『ダークソウル』からなる3作品のエッセンスが『ブラッドボーン』や『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』、『エルデンリング』といった他のフロム・ソフトウェア作品へ受け継がれていることは間違いないだろう。

 特に2022年2月25日に発売された『エルデンリング』は、『ダークソウル』シリーズとは一線を画す広大なフィールドを特色とし、同年の3月末次点で出荷本数が1340万本を記録する多大な成功を収めた。記事執筆時点ですでに「日本ゲーム大賞2022」で大賞に選出され、宮崎英高氏が経済産業大臣賞を受賞するといった輝かしい功績を成し遂げている。

 シリーズとしてはいったん終了している『ダークソウル』ではあるが、フロム・ソフトウェアのみならず、ゲーム業界に本作が与えた影響は計り知れない。

 権威あるアワードにて「史上最高のゲーム賞」にも選ばれた『ダークソウル』は、この先も長きにわたって語り継がれる作品となるだろう。宮崎英高氏とフロム・ソフトウェアが手がける今後のタイトルにも注目していきたいところだ。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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