KADOKAWAは5月12日(木)、2022年3月期の連結決算を発表した。
そちらの情報によれば、当連結会計年度における業績は売上高2212億800万円(前年同期比5.4%増)、営業利益185億1900万円(同35.9%増)、経常利益202億1300万円(同40.7%増)、当期純利益140億7800万円(同46.9%増)と大幅な増益を記録したとのことである。
ゲーム事業においてはフロム・ソフトウェアの新作『エルデンリング』が、2022年3月末までで累計出荷本数は1340万本を突破する記録的なヒットとなり、増収増益に大きく貢献した。一方、旧作のリピート販売や共同、受託開発事業は前期からの反動で減収になったという。
結果としてゲーム事業における売上高は194億9000万円(前年同期比17.2%増)、セグメント利益52億円(同89.5%増)となった。
Webサービス事業では、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員は2022年3月末で140万人となり、2021年3月末からは減少。しかし、生放送番組や動画にアイテムを贈る「ギフト」機能や広告などが伸長し、収益源を多様化しつつ業績の安定化が進んでいるとのことだ。
イベント面では「Animelo Summer Live 2021」や「The VOCALOID Collection ~2021 Autumn~」を開催し、こちらも売上に貢献。その結果、当事業の売上高は213億4200万円(前年同期比3.0%減)、セグメント利益は20億1300万円(同3.9%減)となった。
映像事業にあっては『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』、『盾の勇者の成り上がり』といったアニメーション作品や、映画『ヤクザと家族 The Family』、『ファーストラヴ』などの実写映像作品の配信収入が伸長。一方で、人気タイトルが権利許諾収入や海外売上の伸長をけん引した前期からは減益となった。
当事業の売上高は331億1200万円(前年同期比5.7%増)、セグメント利益は13億4100万円(同41.0%減)を記録している。
出版事業では海外事業の高成長、権利許諾収入の伸長が収益に貢献。また、直木三十五賞を受賞した『テスカトリポカ』、『黒牢城』をはじめとする書籍の販売も順調であるとのこと。電子書籍や電子雑誌では、異世界ジャンルのコミックなどが好調であり、かつ自社ストアにあたる「BOOK☆WALKER」のユーザー数の増加、海外向け売り上げの伸長もあり、全体を通して好調に推移した。
結果として、売上高は1329億7200万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益173億7000万円(同35.3%増)と大幅な増益を達成した。
その他事業として、教育事業においては通信制高校「N高等学校」、「S高等学校」の生徒数が順調に増加しており、教育コンテンツの提供を行うドワンゴも収益に貢献。IP体験施設にあっては、角川武蔵野ミュージアムやアニメホテル、イベントホールを展開するところざわサクラタウンが前期に新規開業し、増収に寄与したという。
当事業では、売上高222億8300万円(前年同期比27.6%増)、セグメント損失は41億8400万円(前年同期は営業損失44億9100万円)となっている。
今後については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も徐々に回復傾向にあり、コンテンツ需要の世界的な高まりにくわえ、コンテンツを中心に他者とつながる楽しみ方も広まってきていると分析。IP創出と海外展開を強化し、グローバル・メディアミックスを推進する姿勢を表明した。
ゲーム事業では、スマートフォンゲームのメディアミックスによる収益力の向上を図る構えだ。またPCや家庭用ゲーム機の作品にあっては、シリーズタイトルや受託開発を引き続き行いつつ、『エルデンリング』の記録的大ヒットによるブランド力や開発力の高さを活用し、次なる大型タイトルへ注力していく姿勢を示している。
Webサービス事業では、「ニコニコ」が強みとする複数ジャンルに資源を集中投下し、熱量の高いコミュニティを作り上げることに注力していくという。2022年4月には、日本最大級のユーザー参加型イベント「ニコニコ超会議」を3年ぶりにリアルとネットのハイブリッドで開催。こうした大型イベントを年2回に増やし、ユーザーの一体感と満足度を上げるとともに連動するネット投稿イベントを増加させ、参加機会の拡大を目指すようだ。
これらを踏まえ、2023年3月期は売上高2381億円、営業利益178億円、経常利益177億円、当期純利益124億円、EBITDA233億円を見込む。詳細については、KADOKAWA公式サイトの「IR・投資家情報」ページも参照されたい。