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『デッドスペース』開発者の新作ホラゲー『カリストプロトコル』が面白いし怖いしでヤバい!!試遊してみて感じたヤバいポイント8選

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 名作SFホラー『Dead Space』(デッドスペース)の開発スタッフであるグレン・スコフィールド氏が手掛ける新作SFホラーゲーム『The Callisto Protocol』(カリストプロトコル)が2022年12月2日に発売されます。

 今回電ファミでは、本作のパブリッシャーであるKRAFTONさんにお呼ばれし、韓国・ソウルでの先行試遊会に参加させていただくことができました。

『The Callisto Protocol』インプレ:「面白い・怖い・グロい」の三拍子がそろった、最高にクールでヤバいゲーム_001
試遊会場に設置された巨大パネル

 前置きはここまでにしておいて、結論を先に述べましょう。
 このゲーム、めっちゃ面白いしめっちゃ怖いしでヤバいです。
 ホラーゲームが好きな人、筆者を含め『Dead Space』が好きな人には間違いなくオススメできる仕上がりになっております。

 試遊時間は70分と限られたものでしたが、それでも数々の「ヤバいポイント」がたくさん見つかりました。というわけで、本稿では筆者が『カリストプロトコル』を遊んで感じた8のヤバいポイントをお伝えしたいと思います。
 また、記事末では本作の開発者であるグレン・スコフィールド氏へのショートインタビューも掲載。こちらも合わせてご覧ください。

文/実存

【お知らせ】

 本作はPS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)にて国内発売を予定していましたが、PC版を含む全プラットフォームにおいて、日本国内での発売中止が発表されました。

 発売中止の理由としては、CEROレーティングを取得することができなかったため。レーティングを取得するためにゲーム内容を変更しても、プレイヤーが期待する体験を得られないとの判断がなされたとのことです。
 このため、日本で本作を予約された方には返金の対応がなされる予定です。なお、海外で発売されるものについては、日本語が収録されているとのことです。

 筆者自身もこの件に関して本稿を執筆後に知ったため、大変残念でなりません。
 しかしながら本作が大変面白いゲームであることに間違いはなく、個人的にもオススメしたい作品です。
 上述のとおり、海外版にも日本語が収録されているとのことなので、本作が気になる方はぜひ海外版を入手してプレイいただきたく思います。


ヤバいポイントその1:敵がま〜じでカタい!

 本作の舞台は2320年の未来。「死の月」と呼ばれる衛星カリスト(Callisto)にあるブラックアイアン刑務所は、ある日突然囚人たちが「バイオ・パージ」と呼ばれるクリーチャーに変化し、大混乱に。
 プレイヤーは囚人であるジェイコブ・リー(演:ジョシュ・デアメル)を操り、クリーチャーと対峙しながら、この星を管理するユナイテッド・ジュピター社の恐ろしい秘密に迫っていきます。

 というわけで主人公はハンドガンと警備用のスタンバトンを片手に、ブラックアイアン刑務所を探索していくのですが……
 今作の主な敵となる「バイオ・パージ」、こいつがま〜じでカタい!!

 銃の弾薬は貴重なので、基本的に近接用のスタンバトンで殴っていくことになるのですが、普通のザコ敵でも殴る→殴る→殴るのコンボを2〜3回は決めないと倒せません。
 しかも今回の主人公は『デッドスペース』のアイザックのようなスーパーエンジニアではなく、ただの貨物船のパイロット。なので1回コンボを決めたら勢いを失ってしまうので、一度体勢を立て直し、敵のスキを狙って殴りかかる必要があります。

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▲こんなふうに頭をふっ飛ばしても余裕で襲いかかってきます。

 つまり、基本的に「ゴリ押しが通用しない」設計になっているんです。

 その代わり、敵の攻撃に合わせてLスティックを左や右に倒すことで、敵の攻撃を華麗に躱すことができる「ドッジ」機能があります。慣れるまではなかなか難しいのですが、うまくドッジできれば一瞬バレット・タイムが発動するため、そこで追撃を入れることが可能。

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▲このタイミングでLスティックを入力してドッジしよう

 つまり、本作は「恐ろしいクリーチャーとゼロ距離で殴り合うのが基本」です。ヤバいデザインですね。

ヤバいポイントその2:弾薬がま〜〜じで少ない!!

 本作はそういうデザインなので、当然の権利のように弾薬がま〜〜じで少ないです。
 そのため、遠距離からハンドガンだけで敵を倒そうとするとあっという間に弾が尽きてしまいます。
 入手手段も限られており、基本的にはマップに落ちているものを拾うか、敵を踏み潰したときにランダムでドロップするかのふたつのみ。ドロップには回復薬や後述する「GRP」(グリップ)の補充薬、お金なんかも含まれるので、安定して手に入りません。

 ということで、銃の主な使い道は「近接戦闘での追撃」になります。スタンバトンで敵を殴っていると、敵が体勢を崩した際に丸いマーカーが出てきます。そのタイミングで素早くL2→R2と入力すれば敵の急所をハンドガンで追撃し、さらに大きなダメージを与えることができます。

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▲このマーカーが出たら追撃可能

 こうすることで、弾薬を節約しながら敵を効率よく倒すことができるわけですね。

 

 できねえよ!!!!

 大きな声を出してしまいました。すみません。頭ではわかっているんです。でも、クリーチャーはマジで怖いし、いざ殴り合っているとめっちゃ焦っちゃうんです。
 とくに敵が複数出てくるポイントはマジでヤバいです。1体だけでも死闘なのに、それが複数向かってきてるともうテンパりまくります。
 「ヤベえ死ぬ!!撃て撃て!!カチカチ」「あっ……」という感じで何回死んだことか。

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▲無慈悲な弾切れ。

ヤバいポイントその3:回復がま〜〜〜じで遅い!!!

 「弾薬が少ない」ということでだいたいおわかりかと思いますが、もちろん回復薬の数も限られています。
 しかも、回復薬を使うのがま〜〜〜じで遅いです。 体感で5秒ぐらいはかかります。なのでもちろん、敵との戦闘中に体力がピンチになっても回復薬を使う暇はありません。

 それどころか、いったん退いて安全なところで回復を入れたらいつの間にか敵に追いつかれて、殴られるぐらいです(これは筆者のプレイが下手くそだったせいも多分にありますが)。

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▲なお、敵を倒した際に得られる回復は量が少ない代わりに一瞬で回復されます。

 とはいえ、この回復行動の遅さが本作の戦闘にかなりの緊迫感を与えていることは間違いないでしょう。
 回復薬を使うたび、「こんな危険なところで一息ついてんじゃないよ!」という気分になるのも間違いないのですが……。

ヤバいポイントその4:敵がめっちゃかしこい!

 ここまででも本作の敵の強さがかなり伝わったかと思いますが、それにくわえて本作の敵はめっちゃかしこいです。

 まず、敵は自分の攻撃をしっかり見てきます。適当にブンブンとスタンバトンを振り回していると普通に避けられ、殴られてしまいます。

 そのうえ、複数体出てくるときもいやらしい行動を仕掛けてきます。こちらとしては1体ずつ各個撃破したいのに、突然組みかかってきて後方にいるもうひとりの敵と挟み撃ちにしようとしてきたり。あるいは、目の前の敵と戦っているときに、遠方の敵が口からゲロのようなものを飛ばして支援攻撃をしてきたり。

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▲敵が2人いるだけでだいたいピンチになります。

 『デッドスペース』のときは、慌てず騒がず落ち着いて、敵の足を撃って切断すればだいたいの危機を凌ぐことが可能でした。
 しかし本作では敵がカタいため、足に3〜5発は撃ち込まないとダウンさせることができません。しかも敵をダウンさせて上半身だけになっても、普通にそこそこの速さでずるずると迫ってきます。また上半身だけになっても普通に攻撃を仕掛けてくるので、普通に死にます。

 『デッドスペース』の初期武器「プラズマカッター」がこれほど恋しくなるとは思いませんでした。

ヤバいポイントその5:しかもモタモタしてると触手が出てきて大ピンチになる!!

 そして極めつけは、敵を倒すのにモタモタしていると、敵の胸から触手が出てきて、更に強力なクリーチャーに変異してしまうという「ミューテーション」システム。

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▲触手が出てきちゃった

 敵と戦っていて触手が飛び出してくると、まあ〜〜これが焦ります。触手が出てきてしまっても、落ち着いて触手を撃つか、殴って殺し切るかすれば問題ないのですが……。先ほども述べたように、頭ではわかっていてもいざその状況に直面すると、もうパニック不可避です。

 このシステムがあるため、このゲームでは敵を「殺し切る」ことがたいへん大事です。敵を倒して、踏み潰して、アイテムをドロップするところまで確認しないと、まったく安心できません。

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▲触手が出てきて変異した敵。つよい。

 ゲームシステム的には「スピーディーかつスマートに各個撃破」が理想なんですが、なかなかそううまくはいかない。
 強く賢く恐ろしい敵、少ない弾薬と回復薬、そしてこのミューテーション。『カリストプロトコル』はこうしたさまざまな要素が複合的に絡まり合い、プレイヤーをつねに焦らせ、冷静な判断をぐらつかせるようなニクいデザインとなっています。

ヤバいポイントその6:開発の人のプレイがめっちゃうまい!

 というわけで、筆者は70分間の試遊会のうち、おそらく30分ぐらいは4人組の敵が出てくる廊下で無残にも死に続けました。
 その有様を見かねたのか、「お見せしたいシーンがある」とのことで開発の方にプレイを代わってもらい、当該のシーンまで進んでいただきました。

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 いやこの人、めっちゃ走るやん……!

 暗闇にビクビクしながら常にハンドガンを構え、じりじりと進んでいた筆者とはうってかわって、サクサクとブラックアイアン刑務所を走り抜けていきます。いやまあ、開発の方なんだから当然なんですけども。
 というかL1ボタンで走れることをこのときに初めて知りました。そもそも「走る」という概念が頭からすっぽり抜けていました。

 そして当然行く手を阻むクリーチャーたち。開発の方は、慣れた手つきでGRP(グリップ)で敵をひきつけ、すかさず殴り、そのままハンドガンで追撃を入れていきます。

 いやこの人、めっちゃうまいやん……!

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▲華麗な追撃

 彼はグリップ→殴り→ハンドガンの3連コンボをさくっと2回決め、敵をガンガン処理していきます。なるほど、グリップはこう使えばいいのか……!

 GRP(グリップ)は重力を操作できる機能です。マップにおちているオブジェクトを引きつけて敵に向かって投げつけることができるほか、敵そのものを引きつけて、マップに点在するプロペラやローラーなどの危険な機械に投げつけることで即死を狙うこともできます。

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▲グリップでつかんで……
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▲壁から飛び出しているトゲトゲに投げつけて磔の刑に処するの図

 こう書くとかなり強力なのですが、投げつけるものは可燃物でなければ効果は薄く、またいつでも危険な機械がそばにあるわけでもなかったため、筆者には有効な使い方がよくわからなかったのです。

 しかし、開発の方の超絶プレイを見てやっと、グリップの強さが理解できました。グリップの強力さは、「環境やオブジェクトを利用する」よりも、とりあえず敵をグリップすれば「一時的に無力化できる」というところにあります。
 グリップで掴んだ敵は投げつけるのではなく、その場で離して、そのスキにすかさず殴る。そうすれば、周りに利用できるものがない場所でも効果的にダメージを稼ぐことができます。

 試遊会ではあまりその強さを活かせませんでしたが、グリップをうまく使えるかどうかはかなり生死を分けることになりそうです。

ヤバいポイントその7:“死に様”のバリエーションが多すぎて笑えてくる!

 『デッドスペース』ファンにはおなじみですが、やたらとバリエーションが豊富かつグロテスクな“死に様”は今作でも健在です。そのへんのザコ敵に殺されるだけでもいくつものパターンがあり、「今度はどういう死に方になるんだろう?」という好奇心さえ湧いてきます。

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 今回はお見せできる素材の関係上、画像でお伝えすることができないのが大変残念なのですが、試遊会で筆者が確認できたシチュエーションを以下に挙げておきます。

・頭からパックリ!
・押し倒されて目潰し!
・首が180度回転しちゃった!
・なんかいつのまにか右腕がもげてた!
・無防備なアゴを狩るアッパーカット→アゴどころか顔面がふっとんだ!
・スプラッシュマウンテン中に突如現れる回転プロペラで胴ごとまっぷたつ!

 このようにだいたいの死に方が無惨です。最初こそ、そのあまりのグロさに目をそむけたくなりますが、何度も死に続けているとだんだんとそのダイナミックな死に様に変な笑いが込み上げてくるのもポイントです。

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▲敵に掴まれても簡単なQTEに成功すれば凌げます。失敗したらどうなるかはだいたい想像がつきますね。

ヤバいポイントその8:意思を感じるUIデザインが美しすぎる!

 最後にお伝えするヤバいポイントは、個人的に最も好きなポイントです。『デッドスペース』でおなじみの、「必要な情報は体力だけだろ?」と言わんばかりに徹底的に切り詰められたUIデザインはまさしく「美しい」の一言。

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▲首の後にある緑色のバーが体力表示です。

 今作ではさらにそのデザインは進化し、より洗練されたように感じました。ヘルス表示のみならず、アイテム取得や鍵を開ける際に出てくる表示もミニマムかつスマートに表示され、プレイヤーは否が応でもゲーム世界に没入してしまいます。

 しかも本作では、『デッドスペース』のときには最後の手段として残されていたナビゲート機能(床にラインが走り、行き先を教えてくる)すら、削除されているというのです。つまり、『カリストプロトコル』は「プレイヤーを迷わせない」よりも、「プレイヤーを迷わせてでも、探索させる」方向に舵を切っているということです。

 しかしながら、実際にプレイしてみると「思ったよりも迷わなかった」というのが、これまたすごいのです。マップは迷路というほどには入り組んでおらず、とはいえ一本道というにほどには単純でもない。
 ほどよい複雑さで、迷いそうになっても周りをよく見れば「こっちのほうに行けそうだな?」という発見がある。この導線設計もまた、「美しい」と言わざるを得ない出来栄えでした。

 それにくわえ、サウンドデザインもまた優れています。クリーチャーが突然飛び出してくるポイントでは「ドヒャン!」みたいな音が鳴るんですが、これがまた怖い。そのため、「ここ、絶対なんか出るよ〜〜」と危険を感じとってしまうようなポイントでも、実際にクリーチャーが出てきたらしっかりと「怖い」と感じてしまうのです。

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▲絶対なんか出るよ〜〜
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▲ですよね〜〜〜

 試遊会では薄暗い部屋でヘッドホンを装着してプレイしたのですが、その環境もあいまってさらに没入感が増幅されたところはあると思います。ぜひ読者のみなさまも、部屋を暗くしてヘッドフォンでプレイしてみていただきたいと思います。

「面白い・怖い・グロい」の三拍子がそろった、最高にクールでヤバいゲーム

 さて、ここまで『カリストプロトコル』のヤバさをお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。筆者は今回の記事を書くにあたり、試遊後に書きなぐったメモを見たのですが、「ヤバい」という言葉が大量に並んでおり、語彙力を完全に喪失していました。

 そんな筆者が改めて本作についてお伝えできることがあるとすれば、この『カリストプロトコル』は「面白い・怖い・グロい」の三拍子がそろった、最高にクールでヤバいゲームだということです。

 それでは最後に、『カリストプロトコル』の開発者であるStriking Distance Studiosのグレン・スコフィールド氏へのメールインタビューをお届けしてレポートを締めくくりたいと思います。


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グレン・スコフィールド氏

──今回の試遊会で使える武器はハンドガンと近接武器のみでしたが、製品版では全部でどれくらいの武器が登場しますか? また、どういったバリエーションがありますか?

グレン氏:
 デモでは、射撃戦用のピストルと近接戦闘用のスタンバトンが紹介されました。 本作にはさまざまな銃が登場しますが、本当の意味でバラエティに富んでいるのは、「3Dプリンターを使ってプレイヤーが武器をどのようにカスタマイズするか」という点でしょう。
 プレイヤーは、ゲームを進めていくうちに、それぞれの武器の新しい動きや使い方をアンロックすることができます。

──今回の試遊会で最も驚いたのは、敵の強さと賢さでした。かなりの歯ごたえのある戦闘が楽しめたのですが、一方でこんな疑問も湧きました。今作は敵が強いぶん、プレイヤーが操作に慣れていないと何度も死んでは同じ場面を繰り返すことになります。
 そうすると、当初プレイヤーが感じていた「恐怖」はだんだんと薄れていってしまうのではないか?ということです。こうした戦闘の面白さと恐怖へのバランスは、どのようにデザインしているのでしょうか?

グレン氏:
 いい質問ですね。 このゲームは間違いなくチャレンジングに設計されています(希望者にはイージーモードも提供します)。 とはいえ、我々の戦闘システムはかなり深く、過去のサバイバルホラーゲームから進化しています。

 もしプレイヤーが成功したいのであれば、射撃、近接戦闘、ブロック、回避、そして最も重要な重力兵器であるGRPなど、持っているすべてのツールを使用する必要があります。 GPRは「グリップ」と呼ばれ、敵やオブジェクトを拾って世界中に投げ飛ばすことができます。 弾薬が足りないときは敵を掴んで近づけ、スタンバトンで殴る。
  また、モンスターに囲まれている場合は、モンスターを掴んで部屋の向こう側に投げて時間を稼ぎ、巨大な扇風機を見つけて投げ込めば即死させることができます。

 敵との遭遇は、プレイヤーが解決しなければならないちょっとしたパズルのようなものだと考えています。 どうすれば勝てるか試行錯誤しながら、難しい戦いを制したときに、満足感や達成感を味わってもらえればと思います。

──今回試遊したチャプター、また公開されているゲームプレイトレーラーでは、『Uncharted』シリーズや『The Last of Us』シリーズといった一級のアクションゲームたちから、いい意味での「いいとこどり」をしているような印象を受けました(たとえば下水道を滑り落ちるシークエンス、スニーキングしながら敵にバックスタブをしかけるシーンなど)。
 『The Callisto Protocol』において、ほかにもインスピレーションや影響を受けた作品はありますか?また、その作品のどういった部分を評価していますか?

 

グレン氏:
 私は過去10年間「Call of Duty」に携わってきましたので、ホラーも好きですが、大作アクションゲームについても多少は知っています。 とはいえ、「The Callisto Protocol」は、何よりもまずホラーゲームです。 私は「バイオハザード」や「サイレントヒル」の大ファンなので、これらのゲームから私のスタイルに大きな影響を受けています。

 でも、最近はホラー映画をたくさん見て、最もインスピレーションを受けるようになりました。最近の傾向としては、とにかく残酷なんです。 そんなゲームを作りたかったんです。プレイヤーには、コントローラーを強く握りしめ、一戦一戦が生き残るために本当に戦っているように感じてほしいです。

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──『Dead Space』シリーズと同じく、今作でも徹底的に没入感を高めるよう設計されたUIには感銘を受けました。アイテムやインタラクト可能なオブジェクトの表示方法も、より洗練された印象を受けます。
 しかも、『Dead Space』では最後の救済措置として残されていたナビゲート機能も本作では存在しないとお聞きし、とても驚きました。「プレイヤーを迷わせない」よりも、「プレイヤーを迷わせてでも、探索させる」ことに重きを置いた、その理由をお聞きしたいです。

グレン氏:
 お褒めの言葉ありがとうございます。 ホラーゲームのデザインで最も重要なことのひとつは、プレイヤーに没入感を与えることです。 プレイヤーがゲームに没入していなければ、恐怖を与えることは難しい。 可能な限り没入感を高めることが、私のスタイルの大きな部分を占めています。

 ゲーム中にマップやナビゲーションシステムを追加しなかった理由のひとつは、没入感を壊してしまうと思ったからです。 もし、あなたがブラックアイアン刑務所の囚人だったら、どこに行けばいいのか地図がないでしょう。
 照明や色彩、オーディオ、デザインなど、環境に導かれるように工夫しました。時にそれは微細なもので、ゲーム的に目立つことなく役に立っています。 また、プレイヤーは時々正しい道を見つけるために探し回る必要がありますが、それもまた、ブラックアイアン刑務所からの脱出の経験(そして挑戦!)の一部です。

──ありがとうございました。(了)

デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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