何か物事を考えるにあたって、「主観」と「客観」の2つの視点から見ることがとても重要だと思う。自分の独断と偏見を大いに含んだ一人称視点から物事を考える「主観」、一旦自分の感情などを捨て去って、極めて一般的かつ公平な第3者の視点から物事を考える「客観」。
この2つの視点を持っておくことは日常生活における様々なシチュエーションに対応できると思う。
たとえば、食事についてもこれは言える。自分の主観では毎日3食お寿司を食べたいと思うけれど、客観的に見ればそれは栄養バランスが偏り、健康を害する可能性がある。この2つの視点から導き出される結論は、「お寿司を食べに行くのもいいけど、どこかで野菜も取るべき」ということ。
人間は野性的な本能だけで生きることはできない。ある程度本能に従って自分の心を満たしつつ、理性を持って物事を大局的に俯瞰して優勢に進めるべきである。私は最近、この「客観」で物事を考えることがどんどん増えてきているような気がする。
たとえば、私は「しいたけ」が好きではない。あのもにょもにょした気色の悪い食感と舌触り、噛めば噛むほどクセの強い茸汁が溢れ出してくる嫌なジューシーさ……あまり食べ物に好き嫌いがある方ではないけど、しいたけだけはあまり好きになれない。
……が、客観的に見ればしいたけはお吸い物や茶碗蒸しなどにおいて風味や香りを増幅させる良いアクセントになる。栄養価においてもガンの予防などに効果があるようで、食材としてはとても優秀。つまり、主観の私はしいたけを嫌っているけれど、客観の私はしいたけは食べた方が良いものだと認識している。
このバランス感覚を常日頃から持っておくのが、とても大事なのではないか……最近、よくそう思う。
……え? 何の話してんのかって? あ、ああ……そうでした、実はこの記事、『Mount & Blade II: Bannerlord』という最近発売されたアクションストラテジーRPGの記事なんです。
めちゃめちゃ正直に言ってしまえば、私はこのゲームの仕事が来た時に「(あ、あまり興味がない……)」と思いました。パッとトレーラーを開いた時に目に飛び込んでくるのは、屈強でヒゲがもさもさの和田義盛みたいな男たち。
別にストラテジーやシミュレーションに興味がないわけではない。私は『伝説のオウガバトル』も結構好きだし、「スーパーロボット大戦」シリーズや「ファイアーエムブレム」シリーズもよく遊ぶ。でも……これは、あんまり惹かれない……もっと見目麗しい男女や屈強なロボットが出てきて欲しい……案件なのにこんなことを書いてもいいんだろうか……………
が、ここで先ほどの「主観」と「客観」の話になってくる。
私の主観ではこのゲームにあまり興味を持てていないけど、客観的に見れば普通に面白そうなゲームなのではないか? 何より、やりもしないまま「別に……」と断定することは、果たして正しいと言えるのか? バンジージャンプを飛びもしないまま「バンジージャンプは嫌」と思うことは何かの機会を損失しているのではないか? どんなに知らないものだとしても、一度触ってみなければ、一度歩み寄ってみなければ、理解のしようもないではないか!?
そして私はこのゲームをインストールした。やりたくないものでもやってみなければわからない。何より、始める前から何かを突き放してしまうのがとても残酷なことな気がした。「何事も経験」とは手垢の付きまくった言葉ではあるけど、こればっかりは本当に正しいと思う。1回やる、ダメだったら次からダメでいい。良かったらちゃんと「良い」と認めるべき。
こういう無駄に悩まない考え方ができるのも、「主観」と「客観」を両方持つ利点だと思う…………
はい! すいません!!
ちゃんと『Mount & Blade II: Bannerlord』の話をします!!!
※この記事は『Mount & Blade II: Bannerlord』の魅力をもっと知ってもらいたいPLAIONさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
濃い!
毛がすごい!!!
『Mount & Blade II: Bannerlord』はアクションストラテジーRPG。主人公を操作してこのゲームの舞台となっているカルラディア大陸を駆け回りましょう。まず最初にキャラクリから!
特に体毛がすごい!!!
私が普段やっているゲームは美男美女に囲まれる物が多いので、こういう感じのキャラを作るのも新鮮ですね。このキャラクリで、主人公の生い立ちや得意分野を決めることもできます。たとえば弓を扱うのが得意な狩人的ビルドや、あまり戦闘には向かないものの商売が得意な商人ビルドなど、プレイヤーによってプレイスタイルも十人十色。
ちなみに私は力のみに振りました。
子供の頃は腕っぷしの強い脳筋!
生い立ちも鍛冶屋の息子!!
これまでの成功体験は略奪者の制圧!!!
力……力だ……この世を支配するのは力。愛も、金も、知識も、圧倒的な暴力の前では何の価値もない。何の救いにもならない。この世界に教えてやる……力こそが人民の心をひとつにまとめ上げるたったひとつのやり方であることを…………。
そして兄のノジョンに導かれて、様々な操作方法などのレクチャーを受けます。槍を使った騎馬戦やクロスボウを使った射撃訓練など、武器の使い方はここで一通り学べるので安心。
というか全般的に操作のクセが強いのでチュートリアルはちゃんと受けましょう。ちゃんとチュートリアルを受けないと武器の使い方もままならないまま戦場に出る羽目になります。経験者の言葉です。
どれだけ斬りつけても文句ひとつ漏らさない優秀な剣術師範を相手にした後は、ついにこのカルラディア大陸に降り立ちましょう! 楽しみだなぁ!
何したらいいんすか?
何したらいいんすか?
いや、チュートリアルは始まっているんですが……特に案内とかないからまず村の首長が見当たらない! ひたすら村の畑の上を馬で歩いて荒らすことくらいしかできない………あ、ああ! そうか! まず村人に何をすればいいか尋ねればいいんだ! 私ってば天才ね!【※1】
※1「チュートリアルは何をしたらいいの?」
私の目が節穴すぎてこのような書き方をしていますが、「進行に困った際はL1ボタンで案内を表示できる」という旨はチュートリアルの一番最初に表示されるようです。こういう細かい操作は私が全て見逃していただけでちゃんと丁寧にゲーム内に表示されるようなのでよく見ておきましょう。
嘘やろ?
「システム」やん。いやたまたまこの農民がそうなだけかもしれない。きっとこの世界のどこかには血の通っている人間のひとりやふたり……
イジメられてる?
これが『Mount & Blade II: Bannerlord』の……洗礼?
ドアは固く閉ざされていて、民家に入ることもできない。とりあえず民家の扉に向かってキックやパンチを繰り出すことはできたので、八つ当たりに民家を殴ったり蹴ったりしてみましたが……いやそれどころではない! 「村の長が見当たらなかったので僕にはこれ無理でした★」なんて……編集氏にどう言い訳してくれようか!?
そ、そうだ! 兄のノジョン! チュートリアルをしてくれた兄のノジョンが居たではないか! 兄ちゃん、助けてくれよ! ふがいない弟をさぁ!
こんッ…………裏切りモンがァッ!!!
もう兄は何の役にも立たないので、私は「インターネット」という名の本当の兄弟に頼ることにしました。あまりにも無様な「Mount & Blade II: Bannerlord 攻略」の検索履歴。でもみなさん、困った時にはちゃんと調べましょう。「わからない」で終わってしまうよりは全然良いです。
どうやら真の兄弟インターネットによるとPS4、PS5版は「L1ボタン」【※1】を押すことでフィールドのどこにクエストなどが発生しているかの案内が出るとのこと。とてもやさしいですね。『Mount & Blade II: Bannerlord』は素晴らしいゲームです。
※1「案内の出し方」
今回私がプレイしたのはPS5だったのでこの表記をしていますが、キーボードの場合はAltキー、Xbox版の場合はLBボタンで案内が出るようです。
み、見えた! 私にもUIが見える!!
確かに操作などのクセは強いですが、少し慣れてしまえばそこまで不自由なくゲームは進行できます。あんまりどころかほとんどこの手のゲームを遊ばない私が言うのだから間違いありません。
暴力!
そして村の首長との話も終わり、我々は襲撃者と戦うことに。アクションストラテジーRPGと先ほどから何度も書いている通り、今作のバトルはアクションとリアルタイムストラテジーが融合しています。
ズラッと並んだ味方の騎兵に指示を出し、自らも槍を持って突撃ッ!
お前ら行けッ! 俺の手を煩わせるなよッ!!
あ、ちょっと待って何か孤立してめっちゃ襲われてる!!!
助けて! 誰でも良いから助けて!! お前ら俺を助けろッ!!
……と言った感じで、愚直に味方を突撃させるとみんな明後日の方向に飛んで行って自分は孤立してしまいます。この辺をしっかり制御するのもストラテジーの醍醐味と言えるかもしれません。
ちなみに突撃した味方はとんぼ返りでこっちに戻ってくるので、「孤立無援で苦戦してたら横から急に馬が突っ込んできて相手を轢き殺す」という事故みたいな絵面をたくさん見ることができて最高です。しかも相手は歩兵なのにこっちは騎馬部隊で一方的に轢いてるのも中々残酷。
もちろんゲームを進めれば敵もしっかり強くはなってくるのですが、この「物量で一方的に蹂躙してる感」がたまりません。暴力って最高……。
そして勝利すると味方が「ウォ────ッ!!!」「アアアア──────ッ!!!!」みたいな景気の良い雄叫びを挙げてくれるのでそこも楽しい。なんか……段々わかってきましたね……このゲームの楽しさが……。
いや、正しい形で理解できているのかはわかりませんが、全員で突っ込んで敵を蹂躙する! 勝利!! ウォォォ──────ッ!!! ……楽しい! 古来より人間のDNAに刻み込まれている「戦いの喜び」の遺伝子を刺激されている感じがする!! これは果たして正しい楽しみ方なのでしょうか!?
ま、まぁゲームの楽しみ方は自由とも言うので、間違っては……いないでしょう! 本当か!?
しかし、改めてこうしてマップ全域を見てみるとこの領土全てに手が届き、それぞれの村や街にドラマやバトルがあるのかと思うとこのゲームの凄まじさがわかってきたような気がします。各地域にさまざまな地形や文化があり、多数の国家や勢力が入り乱れる『Mount & Blade II: Bannerlord』。それら全てに自由に干渉することもできるので、どの地域をどう支配するのかもプレイヤーの自由!
最初はあまり乗り気ではなかったのですが、徐々に徐々にこのゲームの面白さが掴めてきたような感じもします。
物量!
襲撃者を蹴散らした後は物語の発端でもある誘拐事件の首謀者の根城、「ラダゴスの隠れ家」へと殴り込みをかける! ここでは騎兵は使えず、直接歩兵として真正面から乗り込む!!
一部隊を率いて夜道を行軍しているこの感じ、これはこれでかなりワクワクします。
ちなみにこのラダゴスの隠れ家は基本的に敵がひとりずつしか配置されていないため、「ひとりの敵に対して10人以上で囲んで殴りかかる」とかいうもうどっちが略奪者なのかわからないような戦法を繰り出せます。さすがに私もこのプレイは良心の呵責がすごい! あまりに物量の暴力が過ぎる!!
そしてボスのラダゴス戦。ここではラダゴス本人から直接1対1の決闘を申し込まれます。流行ってますからね、決闘。勝敗は武器の性能のみで決まらず、略奪者の技のみで決まらず、ただ、結果のみが真実!
という訳で決闘は無視して囲んで殴ります!!!
奴隷商人に騎士道なんてモンが存在すると思ってんじゃねェ──ーッ!!!
あとはもう……野となれ山となれと言った感じにリンチが発生してバトル終了。仲間たちの景気の良い雄叫び! ウォォォ──────ッ!!! ……あれ? 楽しくね?
実際、序盤では「囲んで叩く楽しさ」というこのゲームのトロの部分をかなり体験することができます……が、ある程度ゲームを進めるとこれほど上手くは行かなくなってきます。
そもそもチュートリアルで使用できる味方兵士はやたら強めに設定されており、チュートリアル終了後に適当に兵士を雇用すると今度は自分が囲んで叩かれる番になってしまいます。ここからが本当のストラテジー力(ちから)の見せどころ。
しかし、中々取っ掛かりが難しいような気もするこの手のジャンルでここまで楽しい「蹂躙」をさせてくれたのがありがたいとも感じます。ここからの『Mount & Blade II: Bannerlord』は村を焼き討ちにするような悪行プレイに興じることもできれば、自分でクランを設立して大陸の覇者を目指すこともできる。
まさに無限の選択肢が与えられている今作。そもそも一口に「蹂躙」と言っても前線に出て直接攻撃する私のような脳筋スタイルも、軍師として後方から部隊を支援することも可能。戦いを挑む相手も自由なので、今回のように小さな部隊を数で圧倒することもできるし、大勢の護衛を連れた王や諸侯に少数部隊で挑むこともできる。まさにプレイスタイルも無限!
ただ真正面から「囲んで殴る」だけでなく、さまざまな囲んで殴る方法があるワケですね……(???)
今回は主に騎馬戦を紹介しましたが、剣、斧、槍、投擲武器など様々な武器を駆使して戦えるのも今作の魅力のひとつ。クロスボウや弓のような遠距離から攻撃できる武器を使えば、ダメージを受けずに一方的に攻撃することも可能。実は今作には「マルチプレイ」も存在しており、この豊富な武器を使って部隊を率いない真っ向からの対人戦を楽しむこともできます!
しかし、ゲームを進めるとただ蹂躙を繰り返すだけではなく自らの部隊の管理や食料の調達までも一手に担わなければならないため、囲んで叩く「アクション」だけでなく「ストラテジー」の面もより色濃く出てきます。
今回の記事ではアクション面にかなりフィーチャーしましたが、ゴリゴリに濃いストラテジーを楽しみたい方にもモチロンおすすめですし、私のような少しカジュアル目に遊びたい人もお手軽に蹂躙できる楽しさを味わえます。敵や操作キャラクターの強さなど、各種難易度設定も細かく用意されているので、そこは個人の好みに合わせて調整してみてくださいませ。
とにかく結論としては当初の印象よりも楽しめました。やはり何事もやってみなければわかりません。もしかしたらここからストラテジージャンルにハマってしまうかもしれない『Mount & Blade II: Bannerlord』はPlayStation 5、Xbox Series X|S、PlayStation 4、Xbox One、Steamなどの各種プラットフォームで好評発売中! ぜひ楽しんでみてくださいね!