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【今日は何の日?】『幻想水滸伝II』が発売された日(12月17日)。108人の仲間、本拠地、戦争といった特徴的な要素を『幻想水滸伝』から継承した人気シリーズ第2弾

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 12月17日は『幻想水滸伝II』が発売された日だ。

 シリーズの原点に位置する初代『幻想水滸伝』は1995年12月15日に初代プレイステーション向けにコナミから発売されたRPG。タイトルにも用いられている中国の長編小説『水滸伝』をモチーフに、ゲームオリジナルのファンタジー風のストーリーを織り交ぜた独特の世界設定が特徴である。

 モチーフ元である『水滸伝』と同様に、108人もの仲間が登場する大規模なストーリーを描く。武将をはじめ商人、大工、発明家、宿屋の主人、ばくち打ちなど、仲間の顔ぶれは非常に多岐にわたり、それぞれが自らの能力を活かして活躍する。中には直接戦闘に参加しないメンバーもいるものの、その圧倒的なボリュームは「戦記物」の雰囲気を際立たせた。

 物語の大筋は荒んでしまった帝国の圧政に対抗するため、持つものに絶大な力を与えるという真の紋章「ソウルイーター」を親友から受け継いだ主人公が解放軍を率いて戦うといったもの。当時主流であった「世界を救う」類の物語ではない点も、本作の異色さを生み出している要因のひとつだろう。家族や仲間との絆を描いた感動的なストーリーは高い評価を獲得してきた。

 戦闘には通常戦闘以外に大軍同士がぶつかりあう大規模な「戦争」と文字通りの「一騎打ち」が存在し、ストーリー展開にあわせた特殊なバトルは演出の役目も果たす。自軍の勢力を強化していく「本拠地」などとあわせ、物語の壮大さを形作る上で欠かせないシステムとなっている。

 本作の「紋章」や「108人の仲間」といった要素はのちのシリーズ作品にも受け継がれていった。まさに『幻想水滸伝』というシリーズを象徴するキーワードのような概念と言えるだろう。

『幻想水滸伝』
(画像は『幻想水滸伝』コナミ公式サイトより)

 シリーズ2作品目の『幻想水滸伝II』は1998年に初代プレイステーション向けに発売された。前作で好評を博した「紋章」や「108人の仲間」はもちろん、本拠地、戦争などのシステムをさらに進化させた作品である。初代『幻想水滸伝』から3年後を舞台とした直接的な続編で、主人公をふくむ3人の幼なじみが大きな運命の渦に翻弄される様を描いた。

 初代『幻想水滸伝』からデータの引継ぎに対応しており、一部の登場キャラクターのレベルにボーナスが加算されたり、会話の内容に変わるといった要素がある。キャラクターごとに細やかな心理描写がなされたストーリーは多くのファンの感動を呼び、本作もまた『幻想水滸伝』シリーズを代表する一作と言える位置に立っている。

『幻想水滸伝II』
(画像は『幻想水滸伝II』コナミ公式サイトより)

 初代『幻想水滸伝』と『幻想水滸伝II』は、2011年に『幻想水滸伝I&II ベストセレクション』のタイトルでPSP向けにセットで移植が行われている。さらに「東京ゲームショウ 2022」では『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』のタイトルで両作品のHDリマスター版の発売が発表された。

 リマスター版では最新のエフェクトを用いたドットアニメーションと光や雲のグラフィックで画面の臨場感がアップ。炎の揺れ、煙のくすぶり、木の葉や虫の動きなどリアルな空気感を演出している。画面効果なども一新され、原作の印象深いシーンはより一層美しく蘇るそうだ。

 初代『幻想水滸伝』については、オリジナル版でキャラクターデザインを手がけた河野純子氏がリマスター版に向けて全キャラクターを新たに描き直している。くわえてセリフログ、オートバトル、倍速バトルなどといった便利機能も搭載するようだ。『幻想水滸伝I&II ベストセレクション』はNintendo Switch、PS4、Xbox One、PC(Steam)向けに2023年の発売を予定している。

 ナンバリングタイトルの3作品目『幻想水滸伝III』は2002年、PS2向けに発売された。3人の主人公の視点をそれぞれ選び、ひとつの出来事を多面的な視点から見ることができる「トリニティサイトシステム」を採用している。もちろん。本作においても時代に選ばれし“宿星”をもった108人が登場する。

 グラフィックには3Dポリゴンが用いられ、戦闘システムもエリア内で自由に動き回る形へと変化した。また戦闘メンバーは2人1組の「バディ」として操れるため、『幻想水滸伝』シリーズならではの豊富なキャラクターたちを組みあわせる楽しみも生まれている。

『幻想水滸伝III』
(画像は『幻想水滸伝III』コナミ公式サイトより)

 続く『幻想水滸伝IV』は2004年にPS2向けに発売。時系列上ではシリーズ中でも古い時代を舞台にした作品で、キャッチコピーにも「108人の待つ海へ」とあるように海や航海といった要素が強い。クリアしたセーブデータを継承し、繰り返しプレイする周回制を採り入れている。

 また『幻想水滸伝IV』と同時期を舞台にした外伝作品のシミュレーションRPG『Rhapsodia』が2005年に発売されており、両作品の間ではデータの引継ぎにも対応していた。

『幻想水滸伝IV』
(画像は『幻想水滸伝IV』コナミ公式サイトより)

 ナンバリング第5作『幻想水滸伝V』は2006年にPS2向けにリリースされた。『幻想水滸伝IV』と同様に周回制を採用。初代『幻想水滸伝』の少し前にあたる時代を舞台とし、同作にも登場したキャラクターの一部が再登場した。『幻想水滸伝』シリーズナンバリングタイトルとしては、記事執筆時点では最終作にあたる。

『幻想水滸伝V』
(画像は『幻想水滸伝V』コナミ公式サイトより)

 この後、2008年にニンテンドーDS向けに『幻想水滸伝ティアクライス』、2012年にPSP向けに『幻想水滸伝 紡がれし百年の時』といった作品が発売されている。そして2023年には『幻想水滸伝I&II ベストセレクション』の発売が控えていることは前述した通りだ。

『幻想水滸伝 紡がれし百年の時』
(画像は『幻想水滸伝 紡がれし百年の時』コナミ公式サイトより)

 『幻想水滸伝』シリーズのおもな展開は以上となるが、そのクリエイターたちが集結して制作している新たなタイトルとして『百英雄伝』の存在が挙げられる。本作は『幻想水滸伝』のディレクターやシナリオライターを務めた村山吉隆氏が代表者を務めるRabbit&Bear Studios株式会社が制作しており、『幻想水滸伝』でキャラクターデザインを手がけた河野純子氏らが開発に参加していることで大きな注目を集めてきた。
 
 2020年の7月末から実施されたクラウドファンディングでは約4億8000万円以上を調達する大きな成功をおさめ、すでに先行してスピンオフ作品にあたる『百英雄伝 Rising』が発売された。『百英雄伝 Rising』に登場するキャラクターの一部や、プレイヤーが命名した「特産品」や「主人公3名の武器」の名前は『百英雄伝』本編にも登場するという。

 本編『百英雄伝』の映像もすでにいくつか公開されており、2Dグラフィックで描かれたキャラクターが3Dで表現された街を動き回ったり、バトルを繰り広げたりといった姿が確認できる。昔懐かしいJRPGの雰囲気を想起させつつ、現代的なアプローチでリッチに作り込まれたゲームとなることがうかがえる内容だ。また『百英雄伝』のタイトルの通り、100人以上の仲間キャラクターが登場することも明らかにされている。

 『幻想水滸伝I&II ベストセレクション』も『百英雄伝』もそれぞれSNS上などでは大きな話題を集めており、『幻想水滸伝』というタイトルが現在もなお多くのファンの間で愛され続けていることが見て取れる。まずは発売が決定しているリマスター版から、同シリーズのさらなる展開にも注目していきたいところだ。

編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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