カプコンが1月20日(金)にPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、Windows版の発売を予定している『モンスターハンタ-ライズ』。本作は2004年に第一作がPS2向けに発売された『モンスターハンターシリーズ』の最新作だ。
本作はもともと2021年3月にNintendo Switch向けに発売されており、この度大きくプラットフォームの幅が広がることとなる。すでに他プラットフォームで発売済みの作品ではあるが、本記事では追加された新要素を交えて改めてプレイレポートをお届けしよう。
新たなに対応したPS5で『モンスターハンター ライズ』をプレイすることで、本作のアクションがシリーズの魅力である「ウェイト感」を崩すことなく、一見すると相反する要素である「アクロバティックな機動力」を加算したという達成を改めて感じさせられた。
シリーズの魅力を引き継ぎつつ更新した『モンスターハンター ライズ』だが、PS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、Windows版では画面の質感を変化させる「フィルター機能」、便利なボイスチャット機能を全機種で搭載。PS5の「アダプティブトリガー」への対応やPS5とXbox Series X|Sでの4K解像度60fpsへの対応、PS5、Xbox Series X|S、Windowsでの3Dオーディオへの対応などの機能も用意され、一味違う狩猟体験が楽しめる新展開となっている。
記事の後半では「フィルター機能」と「アダプティブトリガー」の検証も収録。PS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、Windows版発売に備えて本記事で『モンスターライズ』とその新機能をおさらいして頂ければ幸いだ。
『モンスターハンターライズ』
まず、本作の概要をおさらいしておこう。
『モンスターハンターライズ』は和風の世界設定が押し出された「カムラの里」を拠点に、大型のモンスターを狩るハンターとして活躍するアクションゲームだ。和風な世界設定にちなんで妖怪をモチーフにした新モンスターやギミックが多数盛り込まれており、物語は暴走したモンスター達が人里を襲撃する「百竜夜行」に主人公が対処する様が描かれる。
ゲームプレイは従来のとおりクエストごとに狩猟用のシームレスなマップに趣き、太刀やボウガンといった14種の武器からひとつを携えて「指定された大型モンスターの討伐」などの目標を達成する形式を採用。物語にならって進行していく「里クエスト」やマルチプレイに対応し、クエストをこなす度に強力なモンスターと相まみえる集会所のクエストを攻略することが目的となる。
本作には攻防や回避、フィールドの移動手段として活用できる新要素「翔蟲(かけりむし)」が追加されている。「翔蟲」は空中に打ち込める万能なグラップリングフックとして活用できるため、戦闘中の回避や急接近のほか複数回使用して高い崖を無理やり駆け上がることもできる。これにより『モンスターハンターライズ』で味わえる狩猟と冒険はシリーズで最もアクロバティックなものと言えよう。
それに伴い各武器に「翔蟲」を活用した新たな攻撃「鉄蟲糸技」が用意される。「鉄蟲糸技」は強力な攻撃のほかカウンターや見切り、抜刀中の移動などが用意され、戦闘中のコンボや攻撃手段が拡張されている。さらに本作では「翔蟲」を活用して一定時間大型モンスターを操る「操竜」が使用でき、狙ったモンスターを壁に充てて弱らせたり、大型モンスターを操って他の大型モンスターを攻撃することもできる。これらにより、戦闘におけるアプローチや立ち回りや戦術は実に多彩だ。
本作ではオトモアイルーにくわえて新たなサポートキャラクター「オトモガルク」が登場しハンターを助けてくれる。「オトモガルク」はオトモアイルーのように共闘してくれるほか、ハンターを背に乗せることも可能。オトモガルクに登場すればスタミナを消費せずに移動したり、素早く移動しながらアイテムを使用できるため「翔蟲」と同じく移動と戦闘の双方で強力な戦力となる。
従来はオトモアイルーにより「猫派」に最適な作品となっていたが、オトモガルクが実装されることで「犬派」の魂も『モンスターハンターライズ』へ導かれることとなる。耳の種類や尻尾の形状、毛並みや経路を選択でき、オーソドックスな犬種であれば近似するビジュアルを再現可能だ。
筆者は亡き愛犬であったラブラドールレトリーバーを軽い気持ちで再現したが、想像以上に心にグっと来るものがあった。
このほかに、本作では大量のモンスターを迎え撃ち、砦を守る新クエスト「百竜夜行」も用意されている。本モードはタワーディフェンスのような防衛線が展開され、断続的に襲い来る“大型モンスターの群れ”を迎え撃つこととなる。
ゲームプレイは開始から100秒前後の準備時間で砦に自動および手動のバリスタや速射砲、地雷のように機能する竹爆弾などを設置し、バリケードから登場するモンスターを多彩な設備を駆使して倒していく。
モンスターはプレイヤーを優先して攻撃する「強襲」や遠距離攻撃型の「射撃」、関門を率先して壊す「破壊」タイプが存在し、中には大型モンスターが更に巨大化したヌシモンスターも登場。カムラの里の仲間である「ヒノエ&ミノト」らとの共闘やおなじみの強力な兵器「撃龍槍」や「破龍砲」も用意され、普段とは異なる忙しい戦闘を楽しめるコンテンツとなっている。
「撃龍槍」という点においてはラオシャンロンやジエンモ―ラン戦を想起させるが、狩猟ではなく防衛戦となることで、アクションゲームと同時にシミュレーションゲームを遊ぶように忙しい。パワーアップしたお祭り感を存分に味わえるだろう。
シリーズのウェイト感とパルクールアクションが融合した『モンハンライズ』独自の戦闘
『モンスターハンター』シリーズの初期作品といえば、納刀や抜刀、攻撃のタイミングがシビアなウェイト重めの戦闘だが、2013年に3DS向けに発売された『モンスターハンター4』にて段差を活用したジャンプ攻撃が実装されたことを皮切りに、徐々にアクロバティックな要素を拡張してきた。
本作はこの傾向を如実に取り入れ、拡張する要素として移動および攻防に活用できる新要素「翔蟲(かけりむし)」を搭載。前述のとおり機動力と戦闘時の手段が格段に向上している。
「翔蟲」と共に納刀時の機動力を向上させるオトモガルクが実装され、あわせて収録されるフィールドは起伏が豊かな造形となっていることからも「大幅な機動力の向上」は本作のテーマのひとつと言えるだろう。
「翔蟲」に関しては「鉄蟲糸技」として「ライトボウガン」の抜刀中に即座に回避を行ったり、「太刀」で納刀し回避しなければならないタイミングでカウンター攻撃を行ったりと、うまく活用すれば不利な状況を1アクションで回避し、同時に大ダメージのチャンスを生み出せる。
上記のような新アクションにより、戦闘時にプレイヤーが切り出せる選択肢は格段に増えたが、『モンスターハンター』ならではの戦闘の“重さ”やシビアさが薄れてしまうのではないか、という疑問が生じる方もいるだろう。正直に言えば、筆者も「翔蟲」を最初に使用した印象は「別ゲーになってしまうのではないか?」と一抹の不安を覚えたふしは否めない。
しかしながら、実際にプレイすれば気を抜いた「ガチャプレイ的な入力」は通用せず、やや高難度なクエストではあっけなく力尽きることもしばしば。ウェイトの重いアクションゲームらしく「攻撃や回避の緻密な判断」を伴った戦闘と、その緊張感を充分に味わえた。
これは、翔虫を活用するスキルは最大3つの「翔蟲ゲージ」を消費し、ゲージのクールタイムが直前に使用したスキルによって変動するという調整や、距離が離れたオトモガルクを呼び出す際のタイムラグが設けられることで実現していると推測される。
アクロバティックな動きを取り入れつつも明確にゲームバランスの調整を施すことで、結果として壮大なマップを駆けまわり、縦横無尽にモンスター移動する爽快感と、重いアクションの歯ごたえを同時に楽しめるハンティングアクションゲームに仕上がっていると言えるだろう。
とくに、「ながらくモンスターハンターを遊んでいない」という方は、対応プラットフォームが拡張するこのタイミングで今一度『モンスターハンター』の世界に足を踏み入れることを強くオススメしたい。ルーツにあるプレイフィールと共に展開される進化した機動力の快楽性は、過去の記憶を呼び起こしつつもシリーズの進化をダイナミックに感じさせてくれるはずだ。
また、筆者は本作の「アクロバティックかつウェイト感のある戦闘」をメインビジュアルを飾るモンスター「マガイマガド」との戦闘において強く実感した。なぜなら、シンプルな攻撃力に加えて弾幕攻撃や素早くトリッキーな動きで敵を翻弄する動きを兼ね備えており、乱雑に「翔蟲」を使用していれば即殺のコンボ等ですぐにハンターが力尽きてしまうからだ。
「翔蟲」による受け身やオトモガルクに搭乗した回避、ここぞというタイミングでの「鉄蟲糸技」や「操竜」による大ダメージ。これらを正しく使用し、実際にその手で打ち倒して欲しい。シビレ罠で捕獲した場合は、マジで可愛い寝顔を拝めることだろう。
「和風と妖怪」の世界をさらに趣深く味わえる機能「各種フィルター」
本作の魅力であり、特徴として「和と妖怪」のモチーフが挙げられる。新モンスターはどことなく“元ネタ”を連想させるデザインが感じられるデザインが多く、フィールドで遭遇した際には際立った彼らのキャラクター性が感じられるだろう。
2021年の9月30日に実施された「カプコン オンラインプログラム モンスターハンター スポットライト – TGS2021オンライン」ではモンスターやモンスターの登場シーンにおけるモチーフが明言されており、新モンスターであるアケノシルムが「から傘おばけ」、ヨツミワドウが「河童」であると語られている。番組では既存のモンスターのムービーシーンのモチーフも語られており、本作の作風が生み出されるバックグラウンドが伺える。
この度発売されるPS4、PS5、Xbox Series X|S、Xbox One、Windows版の『モンスターハンターライズ』にはビジュアルを大きく変化させる機能「各種フィルター」が用意されている。
フィルターはモノクロ、セピア、和風、戦国風、classicフィルターというラインナップで、実際に使用したところ「和風と妖怪」をモチーフに据えた作風をより色濃く感じることができた。
和風モードは画面の彩度がやや抑えられ、和紙のようなテクスチャを携えたフィルターが加算されるもので戦国風は画面の赤、黒、黄色以外がモノクロで描画される。classicフィルターは陰影が強調され、立体感が誇張されるフィルターになっている。
新たに発売したコンシューマ版は4K解像度60fpsでプレイでき、対応モニターを使用することで1080p120fpsで狩猟体験を楽しめる。そのため、通常モードでは高精細なグラフィックでモンスターやフィールドが鮮明に描かれることとなる。
いっぽうで、モノクロフィルターを使用すれば当然ながら色彩が排され、セピアフィルターは画面にフィルムの傷を再現したノイズが描かれることで普段と違った雰囲気でプレイできる。フィルターはノスタルジックな質感を与えるものが多く、「和風と妖怪」という本作のメインテーマが持つ「時代を遡ったイメージ」を視覚的に味わうことができるだろう。
また、モノクロモードとセピアモードにはシネマモードが用意されており、シネマモードを選択することで高域の音が抑制され、有機的なザラつきを携えた「古い映画の録音風」のサウンドでゲームを楽しめる。古風な雰囲気にドップリ漬かりたい人にオススメの機能だ。
フィルターのほか、新機能としてはPS5版のみアダプティブトリガーに対応している。本作では盾を構えるアクションとボウガンでの射撃などR2ボタンに割り振られた動作にアダプティブトリガーが設定されており、入力の際に各動作を再現した反発感が感じられる。
ちょっとした動作ではあるが、戦闘において使用する際は手先から臨場感を演出し、ハンターとしての狩猟体験への没入を後押ししてくれるだろう。
このほかに、ボイスチャット機能を全機種で搭載し、専用機材を使用すれば3Dオーディオで立体的な音響でプレイすることができる。Windows版はさらにウルトラワイドディスプレイの対応とキーボード&マウス操作、そしてグラフィックスオプションによる最適化も可能だ。
新たなプラットフォームで『モンスターハンターライズ』をプレイして改めて感じたことは、シリーズの魅力を更新せんとする挑戦の姿勢だ。「翔蟲」とオトモガルクによって与えられた縦横無尽な機動力とシリーズが培ってきた歯ごたえのある狩猟。妖怪というモチーフを基にした個性豊かな新モンスターたち。新規要素と従来の魅力が融合した本作の体験は、シリーズが途絶えず、もうじき19周年を迎えることを充分すぎるほど納得させるものだろう。
特に現行のコンシューマ機でプレイすれば、ハイスペックなゲーミングPCを所持していなくとも本作の魅力を確実に持て余すことなく堪能できるはずだ。
新たな物語やクエストランクの「マスターランク」や、新規のフィールド、モンスター、アクションが追加される大型拡張コンテンツ『モンスターハンターライズ:サンブレイク』もPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S向けに2023年春に発売を予定している。
普段ゲームをプレイしているプラットフォームに本作が丁度対応した方、しばらく『モンスターハンター』シリーズから離れていた方は、ぜひ本作をプレイしてみてはいかがだろうか。
『モンスターハンタ-ライズ』のPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、Windows版は1月20日に発売予定だ。