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『オーバーウォッチ 2』新サポート「ライフウィーバー」は強そう? ヤバそう? 『OW』界に新たな風を吹き込むかもしれない彼の魅力を、先行プレイの感触から語ってみる

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 『オーバーウォッチ 2』もちろん楽しんでますよね!! ね!!!

 期待の新ヒーロー「ライフウィーバー」が発表されてアルティメット大盛り上がりの『オーバーウォッチ』界。以前のインタビューレポートでは彼の性能を「激ムズ」「クセ強」などと表現した筆者ですが、ありがたいことに先行プレイの権利もいただけたので実際に触ってきました。

 結論から言いますと、ライフウィーバーは「恐らく激ムズだけど、めちゃめちゃ新しくて面白い」ヒーローです。現状では彼にしかできないことも多く、本格的に『オーバーウォッチ』のゲーム性に新たな風を吹き込んでくれるんじゃないか……? と個人的にはかなり注目しています。

 ライフウィーバーの何が新しいのかと言えば、まずは「味方を強制的に動かす」ことが可能な点です。彼を象徴するアビリティ“ライフグリップ”は指定した味方を自分のもとまで引き寄せるといったもの。即効性があるうえに引っ張っている間は無敵も付与するという、かなり強力な性能を持ちます。

 一方で、発表時からSNS上では「難しそう」「野良の目が厳しそう」「トロール【※】されそう」など、プレイヤーからの不安と心配の声も数多くみられました。正直、その気持ちは筆者も分かります。故意でないにせよ、HP満タンでナノブースト付きで意気揚々とダイブしていったウィンストンとか間違えて引っ張り戻しちゃったら罪悪感がヤバそう。

※トロール:意図的な迷惑行為

 とはいえ、やっぱり新ヒーローは使ってみたい。そういったプレイヤーの方のために、そしてライフウィーバーの名誉のために、本稿では先行プレイを通じて見えてきた彼の性能を紐解いていきたいと思います。

 なお、記事中の性能はすべて先行プレイ段階のものであり、正式リリースや今後のアップデートにて変更される可能性があります。

文/久田晴

ライフウィーバー

ロール:サポート
本名:ニラン・プルクサマニー
年齢:29歳
代名詞(ジェンダー):彼(男性)
出生地:タイ、チェンマイ
声優(英語版):Phuwin Tangsakyuen

メイン攻撃 – ヒーリング・ブロッサム:長押しでチャージし、離すとターゲットの味方を回復する
サブ攻撃 – ソーン・ボレー:拡散する投射物を高速で発射する
ペタル・プラットフォーム:乗ると高く跳び上がることのできる足場を投げる。敵・味方問わず、最初に誰かが踏むと起動する
若返りの風:進んでいる方向にダッシュして自身のライフを少し回復する
ライフグリップ:味方1人を引き寄せる。引き寄せられている間、味方は敵の攻撃から守られる
パッシブ – 散華の形見:倒れると形見を残し、最初に拾った味方か敵を回復する
アルティメット – 命の樹:味方を回復する樹を植える。回復は最初に即座に適用され、その後一定間隔で回復効果が繰り返される

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文字通り味方を「救い出せる」ライフグリップが要のヒーロー

 まずなんといっても、ライフウィーバーの目玉アビリティは上でも触れた“ライフグリップ”です。味方ひとりを自分の位置まで引き寄せるといった効果で、引き寄せている間は対象の味方を無敵にするため、発動さえできてしまえばほぼ確実に救い出せるという非常に強力なアビリティとなっています。

 “ライフグリップ”があれば、メイの“アイス・ウォール”に分断されたタンクも、敵陣の奥深くに飛び込みすぎて帰ってこれなさそうな仲間も、ロードホッグに引っ張られた味方も助け出せます。また“グラビトン・サージ”や“グラビティ・フラックス”といった強力な拘束系アルティメットにも対抗でき、ひとり限定ではあるものの救出が可能です。

 強力であるぶんクールタイムも20秒と長く、これの使いどころがチームにおけるライフウィーバーの存在価値を決めるといっても過言ではないでしょう。また射線が通っている味方にしか発動できないので、ライフウィーバー自身の位置取りが大切なのはもちろん、味方にライフウィーバーがいるときも射線を意識しておくことが重要となります。

 また、引っ張られる対象からすると強制的に位置を動かされるため「もうちょっとでキルできたのに」、「“プライマル・レイジ”が溜まってたから放置で良かったのに」など歯がゆく感じるシーンも現れると思われます。総じて、コミュニケーションととっさの状況判断が大いに問われるスキルと見て間違いないと感じました。

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“グラビトン・サージ”からの脱出もできます

 次に重要度が高そうなのが“ペタル・プラットフォーム”。こちらは自分・味方・敵を問わず誰かが上に乗ると起動する足場のようなもので、上昇後しばらくは維持されるため、簡易的に「高所を作り出す」イメージを抱いていただけると分かりやすいと思います。

 基本的にFPSでは高所≒強いポジションと認識されがちですが、『オーバーウォッチ 2』の場合は特にその傾向が顕著です。というのも、各ヒーローごとに射程距離が極端に変わるため、一部のヒーローは高台にいる相手を攻撃することさえ叶わない場合も少なくありません。

 “ペタル・プラットフォーム”の耐久値は400あり、一部のアルティメット以外では瞬時に破壊されてしまうことはなさそうです。ダメージではソルジャー76やキャスディ、サポートではアナなど、ヒットスキャン【※】の武器を持ちながら縦の移動力に乏しいヒーローを補助するのにも活躍してくれるでしょう。

※ヒットスキャン:射撃と同時に着弾する弾の判定。いわゆる「偏差射撃」を必要としない攻撃のことをさします。

 もちろんシンメトラの“テレポーター”や、メイの“アイス・ウォール”のように高所へ味方を運ぶことにも活用できます。また投げた時点でクールタイムのカウントは始まるため、体感の回転率はさほど悪くないといった印象でした。“ライフグリップ”とあわせて、やはり「味方を動かす」能力に長けているのがライフウィーバー最大の特徴だと感じました。

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プラットフォームはアッシュのアルティメット“ボブ”にも反応します

 ただし“ペタル・プラットフォーム”について言えば、敵のダメージに襲われた際の自衛手段としても輝く機会がありそうです。特にトレーサーなど垂直方向への移動力に乏しいフランカーであれば、プラットフォームの上に逃げるだけでも大きく被弾を減らせる可能性があります。

 いずれにせよ「味方を動かす」都合上、意思疎通がほかのサポートヒーロー以上に必要となることは間違いないでしょう。いわゆる“野良”でのプレイでは難易度が跳ね上がるヒーローであると同時に、綿密にコミュニケーションが取れるチームであれば相当なポテンシャルを秘めているのでは? と感じた次第です。

切り替え機能が良い感じに歯がゆいメイン・サブや、物理的な妨害にも使えるウルト

 メイン攻撃をすっ飛ばしていきなり注目アビリティの性能から紹介してしまいましたが、本項ではメイン攻撃、サブ攻撃をはじめとするその他の部分に触れていきたいと思います。

 まずメイン攻撃“ヒーリング・ブロッサム”は約3秒間で最大65までチャージし、発射すると狙った味方ヒーローのもとまで自動で飛んでいく回復弾です。相手の盾の裏にいる味方にも投げることはできますが、盾にブロックされてしまった場合は回復にはなりません。

 正直なところ回復量は物足りなく感じる場面が多いですが、射程が長く、細かいエイムを必要としないというメリットがあります。また継続的なヒール量は少ないものの、瞬間的にまとまった数値の回復ができるというのは魅力的。特に、回復しにくい遠距離のダメージなどを優先して狙っていくと効果的に思えました。

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 サブ攻撃“ソーン・ボレー”はヘッドショット判定もあり、近距離であればそれなりの火力を叩き出すポテンシャルを持っています。フルオートで連射が可能なうえ、そこそこの弾速で飛ぶため使用感は素直で使いやすく、少し引いた位置からヒットボックスの大きいタンクを狙うなどすれば悪くない嫌がらせの手段になるでしょう。

 一方、ゼニヤッタやキリコのような瞬間火力は出せないので単体でキルを取るのは難しそうな印象でした。とはいえヒール量が少ない以上、アルティメットの回転率を上げるには要所でダメージを与えていく必要があるかもしれません。

 ただしメイン・サブは切り替え式なので、同時に使うことはできません。しかもメインはチャージ式で即効性に欠けるため、どちらを使うかの選択には高い状況判断能力が求められます。いずれも決して悪くない、しかしものすごく強いわけでもないという絶妙な性能をしているだけに、プレイヤーの判断力が問われるバランスとなっています。

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 このほかライフウィーバーは、個人用の逃げスキルに相当する“若返りの風”と、パッシブの“散華の形見”を持っています。

 “若返りの風”は約5m、トレーサーの“ブリンク”よりは少し短い距離をダッシュするアビリティです。同時に25の即時回復を得られるため、相手のダメージやタンクに狙われた際の逃げに使うとみて間違いなさそうです。クールタイムも5秒と短めなので、リスポーンからの復帰のショートカットにも活躍できると思いました。

 またトレーサーほどの飛距離はありませんが、高台から高台へジャンプするのにも使えます。“ペタル・プラットフォーム”と組み合わせて、有利な位置取りをするのに役立ってくれるでしょう。

 パッシブ“散華の形見”は、自分がデスしたときに味方であれば250、敵であれば75回復するアイテムをドロップするというもの。残された相方サポートが拾えれば延命の役にもたちますが、相手のフランカーに回収されると都合の良いヒールパックのような存在になってしまうリスクも抱えた性能となっています。

 デス位置を完璧にコントロールするのは難しいですが、なるべく味方の近くで倒れるように心がけたいところ。また、味方にライフウィーバーがいる場合は“散華の形見”が落ちることを覚えておくと活用できる機会もあるかもしれません。

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 そしてヒーローを語る上で外せないアルティメットは“命の樹”。物理的に当たり判定のある樹を指定地点に植え、範囲内の味方に継続的なヒールを与えるといったものとなっています。アルティメットボタンを押してすぐ植えるわけではなく、エイムして設置地点を選ぶ猶予があるので狙ったところに設置しやすいのもポイントです。

 シンプルに全体の生存力を向上させるもので、ゼニヤッタの“心頭滅却”(通称:虹彩)ほどの圧倒的な回復力はありませんが、効果中もライフウィーバーが通常通り動けるといったメリットを持っています。自身も攻撃に参加したり、上述の“ライフグリップ”や“ペタル・プラットフォーム”で支援に回るなど、安定した回復を供給しながら自由に立ち回れるのは便利そうでした。

 また“命の樹”は物理的に判定を持つため、敵・味方ともに遮蔽物として利用できます。かなり大きいオブジェクトなので敵の退路をふさいだり、D.Vaの“自爆”を受け止めてもらったりとさまざまな運用ができるでしょう。

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プラットフォームに乗せても地面の味方を回復できるくらいの範囲があるようでした

回復力は控えめながら、勝敗を左右する「ワンピック」を阻止できるという魅力

 主たる能力をご紹介したところで「じゃあ実戦ではどう動けばいいの?」「どんな構成で活躍できるの?」という少し実戦的なお話をしていきたいと思います。

 ただし、ひとつ先んじてお伝えしておきたいのはこのライフウィーバーというヒーロー、めちゃめちゃ難しそうということです。エイムどうこうというよりも位置取りやアビリティのクールタイム管理、状況判断の能力が大いに試されるような感触を抱きました。そのため、ここからの筆者の意見はあくまで先行プレイ時点での参考程度にお考え下さい。

 そのうえでまず、ライフウィーバーの回復能力は決して高くありません。アルティメットの“命の樹”を除けば味方を回復できるのはメイン攻撃のみで、そのメインもそれほど回復量が多いとは言えない性能に調整されています。

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ヒールだけでは味方を救えない場合も多いヒーローです

 では何が強みか? と言えば最初に挙げられるのは“ライフグリップ”による味方のデスの阻止、そして「場を仕切りなおせる」という点です。従来の『オーバーウォッチ 2』にこれほど自由に味方を動かせるアビリティはほぼなく、「ヒールしても追いつかない」「孤立してしまって援護ができない」場合は諦めざるをえませんでした。

 例えば、直近に追加されたサポートヒーロー・キリコで「ヤバそうな味方のもとにテレポートしてとりあえず鈴を投げる」ようなプレイの経験がある方は多いのではないでしょうか。確かにこれで救える命もありましたが、キリコもろともやられてしまうシチュエーションも少なくなかったと思います。

 しかし似たような状況下でも、ライフウィーバーはキリコよりもはるかに安全に救助を行えます。むしろ相手チームがアビリティを複数使ってくれれば、クールタイムの面から見て総合的に有利になっている可能性まであると言えるでしょう。

 特にタンクがひとりになり、チーム人数が5人へと減少した『オーバーウォッチ 2』では、ワンピック(敵ヒーローひとりを先んじてキルすること)がウェーブの勝敗を分けると言っても過言ではありません。その重要なひとりを、誰よりも安全に、かつ簡単に救出できるのがライフウィーバーの最大の強みだと感じました。

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自分はできるだけ安全かつ射線を通せる位置に残り、突出した味方をカバーしていきたい

 継続的な回復量は少なめ、しかし要所でひとりを救う能力は高い。こうした特性を見るに、相方のサポートはアナやバティストなど安定してヒール量の多いヒーローが好ましいと思います。特にアナについては、アナの弱点である機動力の低さ、高所への移動に時間がかかる点を少なからず“ペタル・プラットフォーム”でカバーできる点も魅力です。

 また、量こそ多くはないものの遠距離へのヒールが容易にできること、いざとなれば“ライフグリップ”で救出ができることを考えるとダイブ系のタンク、ダメージとの相性はかなり良さそうでした。

 ドゥームフィストの“ロケット・パンチ”や“サイズミック・スラム”、ゲンジの“風切り”など、移動と攻撃を兼ね備えるアビリティを使い切ってしまっても、ライフウィーバーが待機していれば、彼らを安全に自陣へ戻すことができます。

 一方で総合的な回復量はどうしても控えめになるため、交戦しだい手早く数的有利を取る必要が生まれてくると予想されます。トータルで言えば、ほかのサポート以上に「ライフウィーバーが味方にいる」ということをチーム全体が意識し、立ち回りや戦略を考える必要が生まれてくるヒーローだと思います。

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 ライフウィーバー本人の視点では、とにかく常に“ライフグリップ”を意識して、味方との射線を通せるように動くことが重要になるかと思われます。

 同時に“ペタル・プラットフォーム”を自分が高所に行くために使うか、味方ヒーローを持ち上げるのに使うか、あるいはフランカーから逃げるために残しておくかなど、両チームの構成も見つつアビリティを運用していく必要がありそうです。
 エイムの技量よりも周囲を見る力が問われる、ある意味では非常に『オーバーウォッチ』の「サポート」らしいヒーローにデザインされていると感じました。

めちゃめちゃ難しそう! でも「こいつで活躍したい」と思えるサポートヒーロー

 以前のインタビューでも筆者は「激ムズの予感がする」とライフウィーバーの性能を表現しましたが、先行プレイを経てもその感想は今のところ変わっていません。ただし同時に『オーバーウォッチ 2』の戦略に新たな風を吹き入れる可能性も大いに秘めていると思います。

 「強制的に味方を動かす」という行為には、多くの方が発表時から指摘しているようにチームの動きを妨害してしまうリスクがあります。また“ペタル・プラットフォーム”や“散華の形見”は敵チームも利用できる以上、プレイヤーの意図に関わらず利敵行為となってしまう恐れがあるのは事実でしょう。

 筆者自身も『オーバーウォッチ』時代からそれなりに遊んできたプレイヤーのひとりとして、不安を覚える部分がないとは言えません。

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 しかしながら、ライフウィーバーが従来の『オーバーウォッチ』、そして『オーバーウォッチ 2』になかった戦い方を生み出してくれることもまた事実ではあると思っています。これまでのヒーローでは助けられなかった味方を救える、筆者はそのポテンシャルに何よりも心を惹かれました。

 なので筆者にとってライフウィーバーは「難しそうだな」と思うと同時に、「こいつで活躍してやりたい」と思わせるヒーローです。競技シーンや上級者同士のマッチでの彼の活躍も見てみたいですし、筆者の力量では見えてこない部分も本実装の後には解明されていくでしょう。何より『オーバーウォッチ 2』の環境がどう変化するのかが楽しみすぎる。

 ライフウィーバーは4月12日(水)に幕を開ける『オーバーウォッチ 2』のシーズン4にて登場します。彼の性能やバックボーンについては、ぜひ以下のインタビュー記事もご一読ください。

編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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