9月15日(金)、ポリフォニー・デジタルが開発するドライビングシミュレーターゲームの実話をもとにしたハリウッド映画『グランツーリスモ』が全国の映画館にて公開される。
本作はゲームのトッププレイヤーから実際のプロレースドライバーを養成すべく、日産・プレイステーションと共同で2008年から2016年にかけて展開されたプロジェクト「GTアカデミー」へ挑み、2012年にプロレースドライバーとなったヤン・マーデンボロー選手の逸話をSF映画『第9地区』で知られるニール・ブロムカンプ監督の手で映像化した作品だ。
映画『グランツーリスモ』の公開日が9月15日に決定。ゲームのトッププレイヤーが本物のレーサーになっていく実話を『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督が映像化
ゲームの映画化はこれまでにも数多く展開されてきたが、制作にあたっての再現度や原作を遊んだことのない映画ファンとの評価の食い違いなど、課題となる点が存在した。しかし、近年では2019年の映画『名探偵ピカチュウ』や2022年に公開された『アンチャーテッド』、『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』など、名シーンの再現や独自の展開を進めつつ、原作を遊んでいない映画ファンからも一定の評価を得られる作品が登場してきている。
そこで今回は、映画『グランツーリスモ』と同様に人気ゲームを原作にした映画を3つほど紹介したいと思う。どの作品も一定の評価を獲得しているため、もう観たことのある人もいるとは思うが、もしよければゲームや映画の「好き」を語るアテにでもしていただければ幸いだ。
文/ヨシムネ
ゲーム好きでなくても名前ぐらいは知っている?全世界のアニメ作品で史上2位の興行成績を成し遂げた『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
はじめに紹介するのは、4月28日(金)の公開から約3ヶ月弱にわたってロングラン上映中の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。日本が誇るキャラクターコンテンツのひとつ「スーパーマリオ」シリーズで知られる任天堂と、映画『ミニオンズ』や『SING/シング』などの作品を手がけてきたイルミネーションのタッグでゲームシリーズの世界を再現したタイトルだ。全世界での興行成績は12億8800万ドルに達しており、全世界でヒットを記録したディズニー作品『アナと雪の女王』を超えてアニメ作品史上2位の偉業を成し遂げている。
劇中ではニューヨークで働く配管工としてマリオとルイージが登場。謎の土管を通じて迷い込んだ魔法の世界で離ればなれとなってしまった兄弟が絆の力で世界の危機に立ち向かっていく。ピーチ姫やキノピオ、クッパ、ドンキーコングらゲームシリーズでおなじみのキャラクターが登場するほか、自ら困難に立ち向かおうとするピーチ姫の姿をはじめ、キャラクターの新たな一面を引き出している点は本作における大きな魅力のひとつだ。
電ファミニコゲーマーでは1万5000字にもおよぶボリュームで作品の魅力を書きつづったレビュー記事に加えて、「スーパーマリオ」シリーズの“生みの親”として知られる任天堂代表取締役フェローの宮本茂氏に「直接訊いてみた」インタビュー記事が公開されている。
どちらも作品のネタバレを含む内容となっているので、興味があればぜひ実際に映画を観た体験と重ね合わせて楽しんでみてほしい。
ミラ・ジョヴォヴィッチは異世界転移でも無双しました。ハンターとの格闘シーンや巨大なモンスターの迫力がすごい『モンスターハンター』
お次に紹介するのは、シリーズ累計で6500万本を売り上げるカプコンのハンティングアクションゲームを実写化したハリウッド版『モンスターハンター』。同じくカプコンの人気作であるサバイバルホラーゲーム『バイオハザード』の映画シリーズで知られるミラ・ジョヴォヴィッチさんとポール・W・Sアンダーソン監督のタッグによる作品である。劇中ではジョヴォヴィッチさん扮する女性隊長「アルテミス」率いる国際連合軍が砂漠で突如発生した砂嵐に巻き込まれ、近代兵器が通用しないモンスターらが生息する異世界へと迷い込んでしまう。
本作では『ワイルド・スピード SKY MISSION』などのアクション作品で知られる俳優のトニー・ジャーが異世界の「ハンター」として登場。「ディアブロス」や「リオレウス」をはじめとする巨大なモンスターとの戦いを現実世界の人間の視点から描いている。空想生物に対して近代兵器がどこまで立ち向かえるかワクワクしてしまうとともに、劇中でははじめて遭遇したハンターとアルテミスによる長尺の格闘シーンも展開されるため、原作ゲームを知らない人もアクション映画のひとつとして楽しめる点が魅力のひとつだ。
また、劇中ではモンスターの初登場シーンやおなじみの“肉焼きなど、ゲーム内シーンの再現も要所に散りばめられている。実際に出会ってしまったら明らかに勝ち目がなさそうに見えるモンスターに対し、勇敢に立ち向かっていくアルテミスの姿には「そうはならんやろ…」と思いつつも熱くなれるだろう。
なお、本作には“カプコン作品”ならではの要素としてヘリコプターも登場する。コアなゲームファンの方はおそらく悲惨な展開を予感してしまうかもしれないが、実際にどうなるかはぜひ自分の目で確かめてみてほしい。
徹底的な「キモ怖さ」、この街にはあります。救いのない陰鬱さが観る者の心にまとわりつく『サイレントヒル』
最後に紹介するのはコナミから発売されたホラーアドベンチャーゲームシリーズをもとに、ゲームシリーズの音楽を担当していた山岡晃氏が製作総指揮を手がけた映画『サイレントヒル』だ。劇中では『ネバーランド』や『マンイーター』などの出演作で知られるラダ・ミッチェルさんが懸命に夢遊病の娘を救おうとする母親「ローズ」の役を演じており、持続的に不安を煽る物語のなか、ミステリー要素を交えた重厚なドラマが好奇心をかきたてる作品となっている。
夢遊病に苦しむ娘「シャロン」が決まって口にするうめき声からとある街「サイレントヒル」を探り当てたローズは、娘を救うための手がかりを求めてシャロンとともに街へと向かう。しかし、サイレントヒルはかつて起きた火災により、人の出入りが許されないゴーストタウンと化していた。ローズの様子を不審に感じた警官を振り切り、街へ踏み入ろうとしたローズは突如として車の前に現れた少女をかわそうとして事故に見舞われる。
奇妙なサイレンの音が鳴り響くなか、ローズは車内からいなくなったシャロンを見つけ出すために灰が降り注ぐ街をさまよい歩き、得体の知れない恐怖を次々と体験していく。街全体を包み込む灰や原作のゲームシリーズに登場した「パペットナース」や「レッドピラミッドシング」などの不気味なクリーチャーはCGによって生み出されており、陰鬱な作品の雰囲気を忠実に再現している。
なお、本作については2013年に続編『サイレントヒル: リベレーション3D』も公開されている。続編では主人公が18歳を迎えたシャロンに変わり、残された因果を断ち切るため再びサイレントヒルへと足を運ぶ物語が展開されるため、あわせて鑑賞すると映画シリーズの世界設定をより深く楽しめる。
今回紹介した3本の映画のうち、『モンスターハンター』と『サイレントヒル』についてはAmazonプライム・ビデオをはじめとする映像サービスで配信・レンタルが展開されているため、まだ観たことのないものがあれば一度は観ておくとよいだろう。
そして、9月15日(金)には新たに映画『グランツーリスモ』も公開される。作中では「GTアカデミー」の発足者である「ダニー」役でオーランド・ブルームが出演するほか、アカデミーの指導役であるジャック役には『ブラック・ウィドウ』や『ストレンジャー・シングス』シリーズで知られるデヴィッド・ハーバーが登場。主人公のヤン役は『ミッドサマー』への出演で第一歩を踏み出したアーチー・マデクウィが務める。劇中では実際にレースに参加しているかのような時速320キロの世界を擬似的に体感できるという。
さらに、同作の製作を手がけるPlayStation ProductionsはすでにU-NEXTでドラマ版『The Last of Us』を配信しているほか、水面下では日本発の作品である重力アクション・アドベンチャーゲーム『GRAVITY DAZE』の映画化を含むPlayStation作品の映像化プロジェクトが進められている。今後新たに続報や新規で伝えられるゲームの映像化にも注目しておきたいところだ。