いきなりですが、みなさんは「人狼ゲーム」で遊んだことはありますでしょうか?
村人陣営と人狼陣営に別れ、村人たちの中に紛れ込んだ人狼を、協力して見つけ出すゲームです。基本的なルールはシンプルながらとても奥が深く、いわゆる「正体隠匿系ゲーム」の元祖として愛されています。人狼ゲームを遊んだことがなくても、派生ゲームや似たルールの正体隠匿系ゲームなら遊んだことがある方も多いでしょう。
しかし一方で、人狼系のゲームは必要な人数が集まらなかったり、1試合にかかる時間が長かったりして、サッと遊ぶのはなかなか難しいことも多いです。実際、筆者も友人との都合が合わず、最近はほとんど人狼系ゲームは遊べていません。
だけどこの「人が集まらない」「試合時間が長い」の条件を満たした人狼ゲームがあったら最高じゃありません?
ありました!
その名も『ギシンアンキ ~二人用人狼』(以下、ギシンアンキ)!
実際に遊んでみると「1試合が超短い」「ふたりで遊べる」という人狼系ゲームの理想の詰め合わせみたいなゲームになっていて、筆者はほとんどのSteam実績を解除するまでドハマりしました。
というわけで、お手軽人狼ゲームである『ギシンアンキ』をさまざまな友人と遊んできたので魅力をとことん紹介していきます。
※この記事は『ギシンアンキ ~二人用人狼』の魅力をもっと知ってもらいたいネストピさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
2人対戦で、お互いに相手が「人間」か「人狼」かを推理して見極めるゲーム
『ギシンアンキ』は舞台化もされた人気インディーボードゲーム『疑心暗鬼の小屋』をデジタル化した人狼ゲームです。原作の特徴としてプレイ人数が“ふたり”で済みます。なおかつ、1試合の試合時間が“3分”です。この手軽さが受け、舞台化もされるほどのヒットになりました。
『ギシンアンキ』はこの原作の面白さはそのままに、デジタルゲームに落とし込んだ作品となっています。
まず本作のゲームルールを簡単に説明すると、2人対戦でお互いに相手が「人間」か「人狼」かを推理して見極める流れとなります。
ただし、普通の人狼ゲームとは違い、判断材料となる情報がかなり限られています。そのため、基本的には3分の制限時間内に議論を交わし、その会話を材料に相手の役職を判断していきます。
ただし、一点本作が原作と異なっているルールが「ラウンド制」になっているという点です。本作では、3分程度の1試合を5ラウンド繰り返し、最終的に残っていた“魂”(勝利ポイント)が多いプレイヤーが勝利となります。
このように、基本的にゲームルールはわりとシンプル&簡潔になっていますが、本作にはリピートして遊びたくなる中毒性や人狼プレイヤーが求めていたものがふんだんに詰まっています。詳しくはのちほど解説しますが、ひとまずゲームルールを見ていきましょう。
『ギシンアンキ』ってどんなゲーム?
まず、本作のゲームルールを簡単に説明すると、ランダムに選ばれた役職カードと情報カードをもとに制限時間内に相手の持っている役職カードを見抜き、制限時間が0になった時に互いの役職に対した決断をくだし勝敗が決まる流れとなります。
ゲームモードとしては、相手との協力と対戦が入り交じる「疑心暗鬼モード」、そして協力なしのガチな推理バトルが楽しめる「決闘モード」のふたつで展開されます。互いに多少ルールが異なりますが、本稿では基本的なゲームモードである疑心暗鬼モードのルールをメインに紹介していきます。
本作には人間陣営と人狼陣営のふたつの陣営があります。人間陣営には「生存者」と「人間不信」のふたつの役職カード。人狼陣営には「人狼」の役職カードがあり、これらのカードが決まった枚数入れられた8枚のカードの中からゲーム開始時、ランダムに1枚ずつ両プレイヤーに配られます。ここで配られたカードがその人の役職となります。
お互いに役職が決まると余った6枚の山札が残ります。このカードのことを「情報カード」と呼びます。情報カードはスタート時に役職カードと同時に1枚もらうことができ、プレイヤーはこれら2枚のカード情報から残りの山札に残っているであろう各役職カードの残り枚数や、会話で知りえた情報から相手の役職を推理していきます。
また、さらに情報を得る手段として「情報トークン」があります。プレイヤーらはそれぞれ2個のトークンを初めから所有しており、情報トークンを使用することで、残りの山札から一枚カードを引くか相手のカードを一枚要求することができます。この要求については拒否することもでき、相手が嘘をついているかを見極める重要な手掛かりとなります。
しかし、役職「人間不信」になってしまうとこの情報カードの要求を「拒否」することができません。そのため、山札の中のカードと会話内で知りえた情報のみで相手の役職を推理することになります。
こうして情報カードから相手のカードを推理し、制限時間が無くなると「決断カード」を選ぶことになります。人間陣営の場合“留まる”か“立ち去る”のカードからどちらかを選択し、人狼の場合は“喰らう”か“見逃す”のカードから相手の役職に基づいた選択をしなくてはいけません。
具体的には、ふたりとも人間陣営だった場合共に“留まる”を選択できれば互いに勝利となります。逆にひとりでも“立ち去る”を選んでしまった場合、小屋の外にいる人狼に見つかり、ふたりとも食い殺されてしまいます。
どちらかが人狼だった場合は、人狼が“留まる”と宣言した人間を“喰らう”事ができれば勝利となります。しかし、人間が“立ち去る”かまたは人狼が“見逃す”と宣言すれば、人間が勝ってしまいます。
ふたりとも人狼だった場合は互いに“見逃す”を選択することで、小屋の外にいる獲物を捕まえて互いに勝利となります。どちらか片方でも“喰らう”を選択してしまうと、共食いとなり全滅してしまいます。
こうして試合を計5ラウンドプレイし、最終的な勝利ポイントを競うのが基本のルールとなります。ポイントはスタート時10点持っており、負けると減点、勝てば数値をそのまま維持できます。そして、最終的に多くのポイントを残していたプレイヤーが勝利となります。
追加役職「幽霊」を入れてプレイするのがオススメ
基本的なルールはここまで説明したとおりです。
ただし『ギシンアンキ』の「疑心暗鬼モード」ではラウンド制になったことで、原作のルールのままだと「抜け道」が存在してしまっています。
具体的に言えば、お互い人間陣営だった場合、どちらの決断カードを選んだとしても「お互いが負けて一緒にポイントが減るか」「お互いが勝って一緒にポイントを維持するか」の2択で勝利ポイントに変動はありません。
人間陣営の場合“立ち去る”を選び続ければ、相手が人狼陣営だと逃げ切って勝利できるし、相手が人間陣営だったとしても“立ち去る”を選んでしまえば、負けはしますが互いのポイントに変動はありません。 つまり、自分が人間陣営である場合、“立ち去る”を選び続けることで議論関係なしに勝ててしまうのです。
この「抜け道」の対策として、本作ではオリジナル追加役職「幽霊」を1枚だけ追加することができます。「幽霊」は人狼陣営にも人間陣営にも属さない唯一無二の役職です。
決断の際には“留まる”しか選択をすることができず、勝利するためには相手プレイヤーが人間の場合“立ち去る”、人狼の場合“喰らう”を選択させれば勝利となります。そのため、人間陣営が“立ち去る”を選んだ際、デメリットを生み出すことができるのです。
さらにこの点については、「決闘モード」を選ぶことで上記の問題を解消するとともに、よりガチなバトルを楽しむことができるようになっています。決闘モードでは疑心暗鬼モードと違い、互いに決断カードを合わせる必要がありません。つまり、自分が“正しい選択をしたか”という事だけが重視されます。
なので両プレイヤーが人間陣営だった場合、疑心暗鬼モードのように“立ち去る”を選択したところで、相手プレイヤーだけが勝ってしまいます。そして、最終的に一定数ポイントを集めたプレイヤーが勝利となります。
「決闘モード」では協力要素は一切含まれないため、疑心暗鬼モードよりもさらに白熱した推理が楽しめるでしょう。
また、ほかにも原作からあった追加役職「愚者」も両モードで1枚だけ追加することができます。これらの追加役職は1ゲームのうちどちらかひとつしか入れることができません。
「愚者」は人間陣営の役職です。本役職は持っている情報カードが2枚になった際に、自身の役職を公開し山札から1枚引きます。そして、引いたカードが新たな役職となります。勝利条件は「愚者」のままだった場合は人間と同様の勝利条件が適用。カードを交換し役職が変わった際はその役職の勝利条件となります。
ちなみに公式でも「幽霊」を入れてのプレイを推奨しているので、下記レビューでは幽霊をデッキに含めた疑心暗鬼モードでゲームをプレイしています。さて、一通りゲームの説明をしたところで、早速本作の魅力を紹介していきます!
はっっや!そして、超きもちいい!『ギシンアンキ』の“中毒性”の秘訣
まず、本作を遊んで思ったことは「中毒性」が非常に高いです…….!
1試合が3分・5ラウンドで大体15分で終わるゲーム性なためテンポ感が早く、試合終了後には何か物足りなさを感じます。「もう1試合だけやるか!」と。そして、気づけばまたロビーを作成して試合を開始しているのです。そして1試合終えると、「……もう1試合だけ!」といった具合です。
実は試合時間は3分設けられていますが、実際3分の時間をフルに使って議論をすることはほとんどありません。カードから得られる情報は序盤で出尽くすため、ゲームに慣れていくうちに大体1分〜1分30秒あたりで相手の役職に察しがつきます。
そこからは、相手の声色やニュアンスから対戦相手の役職を推察していくことになるのですが、正直この会話で得られる情報は少ないです。そのため、大体2分ぐらいで決断の時間へと進むことが多くなります。
そうなると、さらに1試合の時間が短くなります。要は10分〜15分ぐらいのゲームプレイで満足できるか?と言われたら、まだまだ物足りない、遊びたりないと感じるんです。1試合も短いですし、まだまだ遊びたくなっちゃいます。
だけどこのいい意味での「物足りない感覚」……言い換えれば、「もっと遊びたい!」と思ってしまう感覚ってどこか別のゲームで体験した覚えがあるんですよ。
そう。“リズムゲーム”です。筆者は『Muse Dash』や『DEEMO -Reborn-』等のリズムゲームをよく遊ぶのですが、1曲自体が2~3分と短めなのでいい意味での「物足りなさ」を感じます。そして、気づけば30分、1時間と時間が経過していることがよくあります。『ギシンアンキ』で得られるゲーム体験も、この時間を忘れて遊ぶ感覚に似ている気がします。
そして、なによりルールが簡単なのに白熱とした議論を繰り広げられる点においても、本作は「すごい」の一言です。
例えば自分の役職が「生存者」の際、相手の役職を聞くと同じく「生存者」と応え、情報カードに何を引いたのか聞くと「人狼」と応えたとしましょう。このままだったら、正直に自分の役職を共有して一緒に“留まる”を選択すれば勝利できるのですが、情報カードを要求してみると、「人狼」とされていたそのカードは「人間不信」でした。ここで、自分は相手が嘘をついたのが分かります。
こうなってくると、相手の役職は「人狼」か「幽霊」かの二択になるのですが、相手が「人狼」だった場合は「立ち去る」で勝利できます。しかし、逆に相手が「幽霊」だった場合は立ち去ると負けてしまいます。
そのため、勝つには会話内から正しい役職を導き出さないといけないのですが、正直この状態から相手の役職を確定させるのはとても難しいです。それこそ自身のトークスキルが試されます。だけどそんな状態から相手の役職を確定させ、勝ったとしたらどうでしょう。超気持ち良いと思いませんか?
実際、この推理が当たって勝てるとめちゃくちゃ気持ちいいです。リズムゲームに例えるなら、初見AP(All Perfect)を取ったときと同じような感覚です。
しかもこのゲーム、何が良いかってこの「推理をドンピシャで当てた超気持ちいい瞬間」が何度も味わえることなんです。通常の人狼ゲームだと短くても1試合20〜30分ぐらいの時間のうち、多くても1〜2回しか味わえません。しかし、『ギシンアンキ』ならこの気持ちの良い瞬間が1試合約15分の5ラウンドのうち、何度も味わえるんですよ。最高じゃありません?
最後に
このように、『ギシンアンキ』は人狼ゲームの面白さや中毒性の高さはそのままに、いわば人狼ゲームの「トロ」の部分を存分に味わえるゲームとなっています。それこそ冒頭でも紹介した通り、人狼ゲームを遊びたいけど「人が集まらない」「試合時間を確保できない」という方には本作がピッタリでしょう。
実際、筆者は身内7名の方と一緒に本作を遊びましたがやはり、大作ゲームをダウンロードする待ち時間や隙間時間などで手軽に人狼ゲームが遊べる点が一番好評な印象でした。
『ギシンアンキ ~二人用人狼』はPC(Steam)にて税込500円で販売中。本作はそのゲーム性ゆえ、ランダムマッチは存在しません。プレイする友人は別途必要となりますので、その点だけご注意ください。人狼をやりたいけど、時間がないそこのあなた。ぜひ友達を誘って本作をプレイしてみてはいかがでしょうか。