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怖いの大嫌い、でも『デッドスペース』で遊びたい!リメイクでさらに怖くなった“世界最恐ホラーゲーム”で、ちょっと恐怖に向き合おう

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 みなさん『デッドスペース』って知っていますか?

 私にとっては、今回記事にするまで遊んだこともプレイ風景も見たことのない未知のゲームでした。ただ知っていたのは「タイトル名」と「滅茶苦茶にグロくて滅茶苦茶に怖いゲーム」ということだけ。
 2023年1月28日にエレクトロニック・アーツからリリースされたリメイク版『デッドスペース』も、「元々怖い奴もっと怖くしてどうすんねん!!遊べないやん!!」と思っていました。

 そして、みなさん“ホラー”は好きですか?私は無理です遊べません。

 ~完~

 ……と終わらせるのは流石にマズいので、どれだけホラーゲームが苦手かを知ってもらうために挫折リストを用意しましたのでご覧ください。(筆者は「怖いの苦手なのに面白半分で挑んで後悔する」タイプです。)

『零 ~濡鴉ノ巫女~』
 ジャパニーズ幽霊ベリーベリー怖い(理由いる……?)
『The Last of Us』
 感染した隣人が窓を叩いてくるシーンでホームメニューに戻る
『バイオハザード HDリマスター』
 最初のゾンビでビビッて大声を出す
『バイオハザード7 レジデント イービル』
 旧館の虫
『ALIEN: ISOLATION』
 エイリアンが出てくる前に怖くてやめる
『Half-Life: Alyx』
 クラブヘッドの裏側で泣く
『バイオショック』
 空気感がもうダメ
『The Outlast Trials(ベータ版)』
 チュートリアルが怖すぎて本編が遊べない

 いかがでしたか?

 この世にもヒドいホラーゲーム歴を見たら、なぜ私が『デッドスペース』のリメイク版を遊ぶことができたのか気になってくるはずです。

 えぇ、私自身が一番クリアできたことに驚いているのですから。というわけで、今回はSteamのハロウィンセール「Steam絶叫フェス:ザ・リベンジ」の対象商品にもなっているリメイク版『デッドスペース』に挑戦します。

文/Squ

この記事について

 本稿を執筆するにあたり、筆者はリメイク版『デッドスペース』を最初から最後までプレイしています。

 この記事をきっかけに本作をプレイしたくなる「ホラーが苦手」な読者の方への配慮も含めて極端にストーリーの内容を記載することはありませんが、執筆の都合上触れている可能性もあるのでご注意ください。また、この記事における「恐怖」は筆者の基準によるものです。

わたし、ここで船を降りてもいいですか?

 『デッドスペース』といえば、今までのホラーゲームにありがちなヘッドショットのアンチテーゼとも言える「部位切断【※】」という概念や、ゲームシステム的なUIを極限まで排除して実現された没入感などから、国内外で人気を博している作品です。

※本作に敵として登場する「ネクロモーフ」は脳という概念を持っていないため、一般的なゲームのように頭を撃つだけで倒すことができない。そのため攻撃手段として利用してくる四肢を破壊することで攻撃を止めることが最善手となっている。

 実を言うと本稿の序盤で私が認識していた、「滅茶苦茶にグロくて、滅茶苦茶に怖い」という認識はほとんど間違っていませんでした。というのも、『デッドスペース』を起動するとこのような注意書きが表示されるのです。

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 ゲームを入手した直後からプレイヤーの期待を裏切らないこの注意書きの量に圧巻されました。恐ろしく入念に、潔く「私たちは人が不安になるゲームを作っています」と言い切れるのはある意味素晴らしいことだと思います。本当に。

 とはいうものの、飴と鞭のようなところが少し面白いのがこの『デッドスペース』というゲーム。アクセシビリティ設定には、今まで筆者が遊んだゲームにはないものが存在しているのです。

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 この「コンテンツ警告の表示」機能は、ゲーム中でのムービーシーンや音声ログといったプレイヤーに対して心理的ダメージを与える部分について事前に警告を出してくれるという大変便利な機能で、筆者が「これなら遊べるかもしれない!」と思った大きな要素です。

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実際にコンテンツ警告が表示されている様子。筆者は遊ぶまで「怖いところ全部教えてくれる機能」だと思っていた。

 画像では「自傷行為の描写」となっていますが、ものによっては「医療ミス」「心理操作」「暴力的な死亡描写」といった直接的なのか間接的なのかよくわからなくなるくらい細かく警告してくれるので、すごい親切だなーと感動……。

 ただこの「警告文」という概念、物理的・精神的にグロいところは教えてくれるのですが、怖いところは教えてくれないのです……なんでや!!!!(※ホラーゲームなので何も問題はありません。)

 ビビッていたので割と序盤から機能を有効化していたものの、これに気づいたときには既に物語の舞台となる採掘艦「USG Ishimura(以下、石村)」に囚われていたので、主人公・アイザックくんとともに最愛のニコールさんを探す旅に出ることに。
 ただし、この時点で船に関する情報は一切ありません。ただひとつわかるのは、バケモノだらけの宇宙船で逃げ場がないという事実のみでした。

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(画像は『Dead Space』Steamストアページより)

イージスVIIと石村の謎

 ゲーム開始時にプレイヤーに与えられている情報はごくわずか、わかる情報はこの程度です。

・惑星イージスVIIにいる「石村」という船から救難信号
・「石村」には、主人公の彼女がいる
・主人公は修理屋さん

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 これらの情報は石村に向かう船の中で開示され、プレイヤーはこれから踏み入れる地獄に向かって一歩一歩、着実に近づいていくことになります。緊張感や恐怖心とともに徐々に物語の中に意識が取り込まれていきます

 『Half-Life』『バイオショック』などの“名作”と言われているシューター系作品では、冒頭部分が似たようなシーケンスで構成されていますよね。私は勝手に「ディズニーランドのアトラクションの乗った直後の移動っぽいやつ」と呼んでいますが、もしかすると強制移動の乗物からスタートする演出には没入感を高める効果があるのかもしれません。

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 ……目的の船に乗り込んだ瞬間からフルスロットルッ!!!!

 操作可能になってから5分、息を吐くように人が死んでいきます。プレイヤー側はなすすべがなく、ただ同僚が死にゆく様を眺めるしかない苦痛を味わいます。

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 味わっていると敵が!!逃げろ~!

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 逃げろ!

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 逃げろ~~~!

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 何とかエレベーターに乗り込みまs

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 ですよね~~~~~!!!(初日はここで怖くてやめました。)

けっきょく石村大冒険

 今まで数多くのホラーゲームを投げ出してきた私にとって、このゲームを本当にクリアできるのか?という問題は、記事を書くためとはいえ不安な要素のひとつでした。

 自信がないままプレイを始めたのですが、それなりに早いタイミングでその考えは過去のモノになったのです。

 右スティックを押し込むと目的地までの道筋が表示され、なんならマップにも表示されます。地図上に点が出るだけではまともに移動できない筆者にとって、この機能はものすごく助けになりました。

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スティック押し込みで出せるウェイポイント機能。カーナビ的な役割だが、完全に世界観の一部になっており雰囲気が崩れない

 “迷う”ことに対するストレスを感じることなくストーリーに集中できたので太鼓判を押したいのですが、逆に世界観に集中しすぎて戦闘や急なホラー要素に対する脳の反応が明らかに遅れているのを感じました。

 ビビりにビビって残段数0でも撃とうとしたり、敵は敵で構わず挟み撃ちなどをしてくるので難易度ノーマルでも死にまくり……!完全に開発側の術中にハマっている気がする……!

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エイムアシストがあるとはいえ、暗いので見えるのは懐中電灯の範囲だけ。エイムがブレッブレになる

 とにもかくにも、ゲームとしての便利さを実現するために、作品を作るうえで一番気にしているだろう没入感を犠牲にしていないのがすごいんです。ホラーが少しでも苦手な人なら、私と同じ体験ができること間違いなしでしょう。

どギツいのに遊びやすい?水と油な「恐怖」と「物語」

 このゲームを遊んでいて特に興味深かったのが、ホラー要素がストーリーを語るための手段として存在しているように感じなかったことです。

 確かにこのゲームは怖い、それは紛れもない事実です。しかし、話の流れを追う上で(ストーリーのエグさはともかくとしても)恐怖が場を支配していることは多くありませんでした。

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 もちろんカットシーンも含めて、グロテスクな表現の量はギネス級なのでプレイする人次第では怖いのかもしれません。
 ただ、少なくとも私自身はストーリー自体に怖さを感じませんでしたし、ストーリーから見えてくるキャラクターごとの人間性や、プレイヤーの裏の裏までかこうとする野心的な内容に驚かされました。素直に「なるほどね」と感心の声が出てしまったのです。

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(画像は『Dead Space』Steamストアページより)

 さらに言ってしまえば、戦闘ですら「恐怖」と切り離されていると考えることもできます。

 こちらは「Brute」というネクロモーフ。物語の中盤を少し超えたころ、「狭いところで戦え!」という雑な『メイド・イン・ワリオ』のようなプレイングが求められるタイミングがあるのですが……。

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物語がある程度進むと出現する「Brute」とよばれるネクロモーフ。初遭遇はより広いフィールドなため、初見で無理難題を課されることはない

 「狭い場所」ではあるものの必要十分の戦闘物資は周辺に転がっており、敵の動きをスローにできる「Stasis(ステイシス)」にいたっては戦闘開始前に入手可能。それなりの距離から襲ってくるので武器を構える余裕は大分ある……など至れり尽くせりです。

 Brute以外のネクロモーフとの戦闘においても似た特徴があります。本作に登場するネクロモーフたちは、おおよその欲しい弾をドロップしてくれますし、多少のランダム性はあれど、ダクトの音をはじめとした“予兆”や特徴的な見た目、明確な弱点などが存在しているのです。

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筆者の愛用武器は安心感が桁違いな「リッパー」というノコギリ。物理こそパワーとはこのことか?

 「大体黄色いとこが弱点」という事実に気づけば敵自体は脅威ではありません。友人曰く「殺せるものは怖くない」とのことで、クリアした今思うとあながち間違いではないのかと思います。

するってぇと、何かい?このゲームは怖くねぇんかい?

 怖いです。とても怖いです。めちゃくちゃ怖いです。

 ただ、このゲームにおける恐怖は「ストーリー」でも「急に出てくる敵」でも「ギリギリな戦闘」でもないのです。「石村」という船そのものが怖いのです。

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(画像は『Dead Space』Steamストアページより)

 このゲームのストーリーが大きく進行するのは中盤以降となっていて、当面の間はアイザックの探すニコールの存在も大きく描かれることなく、ただただ先に進むためのミッションをこなします。

 記事冒頭でもお話しした、最初に与えられる情報を再度確認してみましょう。

・惑星イージスVIIにいる「石村」という船から救難信号
・「石村」には、主人公の彼女がいる
・主人公は修理屋

 つまるところ、物語が大きく進行するまでは「エイリアン蔓延ってる船を直して彼女探して帰る」ことしかわからないまま、真っ暗で陰湿な空気が漂う船内を歩き回ることを強制されます。

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(画像は『Dead Space』Steamストアページより)

 この状況下における石村の船内は「電気の消えたガラス戸越しの廊下」「階段上から見える電気の消えた1階」「真っ暗なデスク下」のようなもので、歩くという行為自体に嫌悪感と恐怖心がのしかかってくるのです。

キライでも、キライだから楽しめる

 筆者は、このゲームにおいての一番の恐怖は“わからない”ことであると考えており、それに勝る恐怖はないと思っています。
 そしてその恐怖心には、道中で見つかるクルーが残した文書や音声・映像を頼りに「石村」という船について知り、“わかる”ようになることで打ち勝つことができました。

 最後にみなさんに伝えたいのは、このゲームはホラーゲームが苦手なほどディープに楽しめるのではないかということです。

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(画像は『Dead Space』Steamストアページより)

 筆者の周りにはホラー好きの友人が多く、当時日本向けに発売されていなかったにもかかわらず『デッドスペース』のプレイヤーが多くいました。
 そして、ホラーが苦手な私からの純粋な「怖い」というプレイ報告に対して数人から、「そこまで恐怖を感じられるのがうらやましい」といった趣旨の発言が飛び出していたのです。

 ストーリーを知れば「石村」を歩け、ゲームを知ればネクロモーフと戦うおおよその検討がつく。それでも想像力豊かな私たち人間は、開発側が用意していない恐怖までをも想定して歩くことでしょう。
 物語の全貌が明らかになるにつれてだんだんと恐怖心が薄れていく中、よりディープでコアな恐怖体験を味わえるのは、ホラーが苦手なユーザーなのかもしれません。

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(画像は『Dead Space』Steamストアページより)

 私は今回の『デッドスペース』への挑戦を通じて、ホラーゲームの肝である「恐怖」という概念の魅力を知り、ほかの作品にも挑戦してみたいと思うようになりました。
 この記事を読んでいるかもしれないホラーを苦手とする読者にとって、『デッドスペース』というゲームがホラーゲームで遊ぶきっかけになってくれることを祈っています。

 恐怖はエンドクレジットを見るその時まで、我々のそばにいるのです。

 そんなホラーゲームが苦手な人ほど遊んでほしい『デッドスペース』のリメイク版はPC(EAアプリ、Steam、Epic Games Store)向けに発売中となっています。

 また、11月3日午前2時までSteamで開催中のハロウィンセール「Steam絶叫フェス:ザ・リベンジ」の対象商品にもなっており、期間中は40%オフの5220円(税込)で購入することが可能です。
 そして、おかしなことにリメイク版『デッドスペース』と2011年発売『デッドスペース2』、2013年発売『デッドスペース3』のセット商品も5220円(税込)で販売中です。

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2作目・3作目が実質無料(画像は『Dead Space』Steamストアページより)

 グロテスクな表現があるとはいえ、警告を表示できるといった機能類の存在が心強く、よりストーリーに触れやすくなっているはずです。是非「USG Ishimura」に隠された謎に挑戦してみてください。

ライター
最近ゲーム業界にサメ映画ブームが来ている気が・・・え? 『スター・ウォーズ』のゲームが出すぎて手が回らない毎日。1日36時間欲しい。

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