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ミニチュアゲームとして知られる『ウォーハンマー 40,000』を舞台にしたシリーズ初のコンピューターRPG『ローグトレーダー』をひと足お先に遊んでみた。小説を読むように登場人物たちとの会話を楽しみながらゲームの世界に入り込める濃厚な仕上がりに

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 Owlcat Gamesより、12月7日に発売されるゲーム『Warhammer 40,000: Rogue Trader』(以下、ローグトレーダー)。その先行ハンズオンイベントが、11月17日に東京・秋葉原にある「Warhammer Store&Cafe Tokyo」で開催された。本作はミニチュアゲームとして知られる『ウォーハンマー 40,000』の世界を舞台にした、シリーズ初のコンピューターRPGだ。

 ゲームの中でプレイヤーが演じることになるのは、皇帝の命を受けた私掠船の王朝の末裔「ローグトレーダー」である。物語の中では、仲間たちと共に危険と謎に満ちた未開の地であるコロンス・エクスバンスを探索していくことになる。

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 『ウォーハンマー 40,000』という、世界中に多くのファンを持つボードゲームとコンピューターゲームとの相性の良さは、現代まで続くRPGの歴史を振り返ってみれば一目瞭然だ。その伝統的なスタイルを継承しつつ、ひとりでも楽しむことができるというのが本作の最大の魅力かもしれない。

 今回のハンズオンでは、本作を2時間ほどプレイすることができた。音声は英語で日本語字幕が付けられていたが、この段階ではまだ機械翻訳に近いものだという。もちろん製品版ではさらにブラッシュアップされたテキストでゲームが楽しめるようになる予定だが、それでも十分すぎるほどの魅力を感じとることができた。

 こちらの記事では、発売に先駆けて『ローグトレーダー』を実際に遊んでみて分かった特徴と魅力について、ご紹介していく。

執筆/高島おしゃむ


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今回のイベントの会場となったWarhammer Store&Cafe Tokyo。オリジナルの『ウォーハンマー 40,000』は、遊ぶだけではなくミニチュアを専用塗料のシタデルカラーで塗るなど作る楽しみもあるが、そうしたキットの販売も行われている。
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ゲーム自体はノートPCを使ったプレイだったが、かなり快適に遊ぶことができた。

ステータスのみならずバックグランドも含めて自分のキャラクターを作りあげることができる

 この『ローグトレーダー』のジャンルはRPGとなっているが、筆者を含めてオリジナルのボードゲームを遊んだことがない人も多いかもしれない。そのため、今回のゲームが具体的にどのような感じになっているのか先に触れておこう。基本的な流れとしては、何かしらの会話シーンが挟まり、マップ上を移動するとイベントが発生。そこでドラマチックで派手なカットシーンを見ることができるほか、あるいは戦闘を繰り返していきながらゲームを進めていくといった感じになっている。

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プレイ中はやや派手なカットシーンもいくつか間に挟まれるが、シームレスにゲームを楽しむことができる作りになっている。

 最初に驚かされたのは、思っていた以上にテキスト量が多めであったところだ。会話の途中でいくつか選択肢を選んでいくことになるのだが、それによっても物語が変化していくところも本作の醍醐味となっている。

 時間に迫られながらプレイするアクションゲームとは異なり、本作ではじっくりとプレイすることができる「大人向け仕様の作品」になっているという印象だ。そのため、小説を読むように登場人物たちとの会話を楽しみながら、ゲームの世界観に入り込んでいくことができる作りになっているのである。

 ゲームのバックに流れているBGMは、壮大な雰囲気を持っているがSFチックなサウンドである。それが自然に耳に流れてくることで冒険心を煽ってくれている。

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会話でどの選択肢を選ぶのかということも重要だ。

 今回の先行ハンズオンでプレイ出来たのはメインストーリーだ。それに加えて、製品ではその他のストーリーモードも用意されている。ゲームの難易度はストーリーからアンフェアまでの5段階用されており、それに加えてカスタムも選択可能だ。

 今回は一般的なノーマルを選んだが、少なくとも2時間のプレイ中にゲームオーバーになってしまうといったことにはならず、それほど難しいというわけでもなかった。より歯ごたえのある戦闘を楽しみたいという人は、高い難易度で挑戦してみるのもいいだろう。

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 難易度を選んだ後、プレイヤーが最初にやることになるのは自身が操るキャラクターのメイキングだ。あらかじめプリセットされているものから選ぶこともできるが、自分だけのローグトレーダーを生み出すことも可能である。

 このキャラクターメイキングでは、肖像から容姿、ヘア、タトゥー、インプラント、ボイスなどを組み合わせてオリジナルのキャラクターを作りあげていくことができる。また、故郷や出生などのバックグランドなどもいくつか用意されており、それぞれの項目によっても異なるボーナスポイントがもらえる仕組みになっているのだ。

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 キャラクターメイキングのなかでも特徴的なのが「ドクトリン」と呼ばれる要素だ。これは簡単にいうと、キャラクターがどのように成長していくのかといったものである。いずれも自分のスタイルに合いそうなものを選ぶのがいいだろう。ひと通り選び終わったらスキルポイントを各項目に割り振っていく。最後にキャラクターの名前を決めたら、準備完了である。

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キャラクターが成長していく道筋であるドクトリンも選ぶことができる。
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今回プレイした範囲内では、船の中のみで物語が進行していった。そのゲームの舞台となるヴォイドシップのスタイルも好きなものの中から選ぶことができる。

適切なアナウンスが表示されマニュアルいらずの親切設計

 キャラクターメイキング後にゲームがスタートすると、船の中から物語は始まる。少なくとも今回遊んだ範囲内では、すべてこの船の中で物語が進行していった。「船」とひと言でいっても宇宙船なのだが、どちらかというと見た目は中世の教会のような雰囲気になっており、SFというよりもファンタジックな印象だ。

 ゲーム序盤はチュートリアル的な内容になっており、プレイヤーが迷いにくいようにアナウンスが表示される。どこまでがチュートリアルなのか明確な区切りはないのだが、初めて出くわすような要素がある場合は、こうしたアナウンスが表示されるようになっており、なかなか親切な作りである。

 会話は左下に表示され、その右側に表示されているウインドウのなかから適切なコメントを選んでストーリーを進めていくといったオーソドックスなスタイルだ。表示されるテキストの中で、太字でハイライト表示されているものについてはカーソルを上に合わせることで内容をチェックすることもできる。

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ハイライトされたテキストは、カーソルを合わせることで内容を確認することができる。
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必要な情報は、その都度アナウンスしてくれるのでマニュアルなどを読まずともプレイできる。

 クエストが更新されると、「日誌」にも記録される。ここで、現在のクエストの目標を確認することも可能だ。ちなみに最初の会話が終わると自由に移動できるようになるのだが、とくにナビゲーションが表示されるわけではないため、最初は少し戸惑ってしまった。ほとんどの場合、移動範囲は限られているので迷ったときは動き回ってみるのもいいだろう。

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「日誌」を開くことで、クエストの目標を確認することができる。

 ゲームプレイ中はやや斜め上から見たトップビューのような表示になっているが、これはカメラ位置が固定されているというわけではなく自由に回転させて見渡すこともできる。場所によっては物陰に隠れて見えにくいときもあるので、そうしたときに活用するといいだろう。

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 本作では、会話や戦闘などほかマップ上に配置されたインタラクティブなオブジェクトに触れることがキーになってゲームが進むことがある。これらはついつい見落としてしまいがちなのだが、PCでプレイする場合はTABキーを長押しすることで、操作可能なオブジェクトを表示することができる。また、Mキーを押すことでマップも表示することも可能だ。このマップ内にも戦利品などアイテムの場所などが表示されるので、これらも合わせて活用していくといいだろう。

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丸いアイコンが表示されている場所が、何かしらのインタラクティブなオブジェクトがあることを表している。必ずしも何かアクションができるというわけではなく、中にはインフォメーションが表示されるだけのものも含まれている。
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今居る場所のマップもいつでも表示可能だ。

 マップの探索はギミックなどもいくつか用意されており、非常に楽しい。ゲームの舞台となるヴォイドシップ自体はいくつかのパーツで構成されており、ゲーム序盤は行ける範囲も限られている。こちらはストーリーを進めていくことで、どんどん移動範囲可能な範囲が広がっていく。そのときに船の移動ポイントも表示されるのだが、それがどんどん増えていくといった感じだ。

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ヴォイドシップは、このようにいくつかの区画にわかれている。

戦闘はオーソドックスなターン制シミュレーションバトル

 本作の戦闘は、いわゆるオーソドックスなスタイルのターン制シミュレーションバトルである。大きく分けてふたつのフェーズにわかれており、最初の戦術フェーズでは、キャラクターの配置を決めることができる。画面に表示されている「戦闘開始」の文字を選ぶとバトルの開始だ。画面左側に次に行動するキャラクターのリストが表示されており、一番下に来たキャラクターから行動を開始していくという流れである。

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戦術フェーズでは、できる限り自キャラが有利になるように配置していこう。
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画面左のリストの順番にキャラクターが行動していく。

 ヘクスマップのようなものはないが、キャラクターが移動できる範囲は緑色の枠で表示される。各キャラクターには移動ポイント(MP)が設定されており、1MPにつき1セル分移動が可能だ。ただし、対角線上に移動する場合はセルごとに2MP消費してしまう。移動ポイント自体は、ターン毎に最大値まで回復する。

 それぞれのキャラクターのターンでは、移動以外にも攻撃の種類やアビリティなどが選べる。近距離攻撃の場合は、敵のキャラクターに近づいてから武器を選択していく。遠隔攻撃の場合であっても、ある程度距離が近くないと攻撃することができないので注意が必要だ。

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移動可能な範囲は、このように緑色の枠で表示される。
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攻撃する敵を選ぶだけでは行動してくれない。画面下のキャラクターポートレートがある左側の枠から、攻撃する種類を選択する必要がある。

 戦闘中は、自分のキャラクターが敵からの攻撃をさけるためにカバーすることが可能だ。カバーできるポイントは、マップ上にドクロ付きのシールドなどで表示されている。より優位に戦闘をすすめていくためには、こうしたギミックも最大限活用していく必要があるのだ。

 ひとつユニークな点は、通常のシミュレーションゲームでは敵キャラクターがミスを犯すことは少ないのだが、本作では敵同士で相打ちしてしまうということも発生する。それに影響しているのが、バーストショットやエリア攻撃だ。これらは敵のみならず味方も傷つけてしまう可能性があるため、あらかじめ効果範囲をチェックしておいたほうがいいだろう。

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ドクロマークが付いたシールドに移動することで、敵からの攻撃をカバーすることができる。
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攻撃時には味方を巻き込まないように注意する必要がある。

冒険を続けていくうちに仲間が増えていく

 戦闘を繰り返していくうちに、キャラクター自身のレベルも上がっていく。レベルアップが可能になったときは画面上部に表示されているアイコンに上矢印のマークが付く。このときにスキルが選べるのだが、サムズアップが付けられているものはそのキャラクターの特性に合ったものであることを表しているのだ。必ずしもそれを選ぶ必要はないのだが、自分が必要だと思うスキルを選んでいくといいだろう。

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レベルアップ時には新たなスキルを選ぶことができる。

 また、より良い武器などを入手したときは、それらを装備していくこともできる。新たなアイテムはマップ上から入手できるほか、倒した敵の死体を漁ることで入手できる場合もある。レベルアップと合わせて、キャラクターがどんどん強化されていくのも、こうしたRPGならではの楽しみ方だ。

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入手したアイテムで装備を強化していくこともできる。

 ゲームを始めたばかりの頃は、最初に作ったキャラクターひとりだけだったが、物語が進んで行くにつれて一緒に旅する仲間たちが増えていく。敵とのバトルもより壮大になっていくが、個性的なキャラクターたちが操れるのはかなり楽しい。ちなみに新しい仲間が加わると、どんなの力を持っているのかもアナウンスも表示してくれる。とくにそれが戦闘のときは、情報としてかなり役に立つ。

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 というわけで、わずか2時間ほどのプレイではあったが、それでもこれだけ多くの情報を入手することができるぐらい濃厚な仕上がりとなっている。ゲームとしてはテーブルトークRPGやボードゲームの流れを組んだものになっており、そうした作品が好きならば『ウォーハンマー 40,000』自体を知らなくても楽しめることは間違いなしだ

 テキスト量もそこそこあるため、じっくりと物語を楽しみながら遊びたいという人にもオススメである。これから年末に掛けて遊ぶゲームを探しているという人は、ぜひ本作も検討してみてはいかがだろうか?

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ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。

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