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『ベルばら』が宝塚を救う、『うたプリ』が完成させた消費の連動、『タイバニ』コラボグッズでサイトがサーバー落ち──。「女性ファン」による消費を当事者の目線で70年分振り返る【IMART 2023】

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11月24日(金)〜11月26日(日)の期間、基調講演・セッション・交流会などを通してマンガ・アニメ業界の知見を共有する「IMART 2023」が開催された。

その中のひとつ、「アニメ・マンガ女性ファンとビジネスの歴史」では、タイトル通り「女性ファン」にフォーカスしたさまざまな話題が飛び出した。

『ベルばら』が宝塚を救う、『うたプリ』が完成させた消費の連動、『タイバニ』コラボグッズでサイトがサーバー落ち──などなど、幅広いトピックを通して70年分の歴史を振り返り、時代ごとの女性ファンによる消費について登壇者自ら経験を交えながら紹介した。

セッションが終了するごとに、それぞれのトピックについて意見交換をしたほか、最後には全員で「女性の消費」、「女性ファンとは」のふたつのテーマでディスカッション。「女性ファン」であるからこその共感にあふれた、本セッションのレポートをお届けする。

文/anymo


『ベルばら』が宝塚を立て直す。女性の価値観・女性ファンが社会を動かす時代

最初に登壇したのは漫画研究家であり、明治大学国際日本学部教授の藤本 由香里氏。

藤本氏は、日本ほど女性向けコンテンツが発達している国はないのに、「マンガ・アニメの<女性ファン>」という言い方自体に、「主なコンテンツは男性向け」という暗黙の前提が含まれてはいないか?」という問題提起から始め、自身も愛する「マンガ」にフォーカスして女性ファンの動きを年代ごとに振り返ることでその存在を再確認した。

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マンガの女性ファンを追っていくにあたって、女性向けに作られた「少女マンガ」と「女性マンガ」の読者をそれぞれ見ていく。

当たり前のことだが、1970年代に男性ファンによって少女マンガが<発見>される以前から、「少女マンガ」読者としての女性マンガファンは存在していた。

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少女マンガファンの大きな動きとして、『ベルサイユのばら』が宝塚歌劇の演目として上演されたことを挙げた。観客合計140万人、1976年まで計560回上演というブームを巻き起こして、当時テレビに押されていた宝塚を救った本公演は、宝塚歌劇団の代名詞となった。

藤本氏はこの出来事を「(少女マンガの)女性ファンの存在が名のある大企業を立て直した」という象徴的な出来事であり、「女性の価値観・女性ファンが社会を動かす」時代の始まりであるとした。

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また、女性向けビジネスの特徴として「女性向けグッズはひとつひとつは少額だが、重なると大きな金額になる」モデルだという。

その特徴的なエピソードとして、自身も愛する作品である『ベルサイユのばら』の40周年記念展にて大量のグッズを購入するあまり、レシートが1枚の長さの限度を超えてしまい、2枚目に突入してしまったそうだ。

また、伊勢丹とセーラームーンのコラボでは、キャラではなくモチーフをデザインに用いた「大人かわいい」というコンセプトのグッズが登場した。

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続いて、「少年マンガ」と「青年マンガ」の女性ファンについても追っていく。

これらを愛好する女性ファンは以前からふつうに存在していたものの、1980年代後半の『キャプテン翼』ブームの中で少年マンガのキャラクターをカップリングする「やおい」文化が生まれる。これがその後の商業「BL」に繋がっていった。

また、カップリングが誕生したことで、ふたりを揃える「カップル売り」によってグッズが2倍売れやすくなる、と藤本氏は指摘する。

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さらに、1980年代後半、カセットJUNEが登場、同誌によって「イケボ」文化が生まれる。「耳で聞く」というリアリティが女性を驚かせ、今日までのBLCDやシチュエーションCDなどの展開につながっているという。

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これらは一つが爆発的に売れるわけではなく、細く長く売れることが特徴だ。「イケボ」文化の耳で聴くリアリティは乙女ゲームにも影響を及ぼしており、やはり乙女ゲームでも声優は大きなポイントとなっている。

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藤本氏は最後に、2009年に発行された『Frau』2009年9月号で特集された「女子マンガ」特集を紹介した。男性誌で活躍する女性作家を例として挙げながら、この頃から女性向け、男性向けのクロスオーバーが顕著になったという。

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セッションの最後にはこれらのことから、最初の問題提起に対して「女性ファンはどこにでもいる」、「女性ファンに注目してほしいし、尊重してほしい」と締めくくった。

女性ファンは円盤を買わない?アニメにおける「消費者としての女性ファン」の移り変わり

続いて登壇したのは、続いて登壇したのは、本セッションのモデレーター・アニメ文化ジャーナリストの渡辺由美子氏。90年代、2000年代、2010年代の3つに分け、それぞれのマネタイズ方法とその年代に女性ファンがどのようにアニメを消費していたのかを解説し、アニメ雑誌『アニメージュ』の元ライターでもあり、アニメ業界に精通する同氏の視点から見た「消費者としての女性ファン」について語った。

まず前提知識として、アニメのマネタイズ方法には「広告収入方式」「製作委員会方式」のふたつがある。前者は子ども中心、後者はアニメファンをターゲットにしており、それぞれ収益の挙げ方が異なる。

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この年代の女性ファンは原作コミックやドラマCDなどを多く購入するものの、1990年代のアニメにおいてもっとも大きな収入である映像ソフトや、スポンサーである玩具会社のプラモデルなどは購入しなかったため、女性アニメファンはメイン顧客になりにくかったという背景があった。

『新世紀エヴァンゲリオン』で確立したという「製作委員会方式」の顧客はアニメファンではあるものの、やはり映像ソフトを購入する人数が少ない女性ファンはメイン顧客になりにくい。

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なぜ、女性ファンは主な収益源である映像ソフト購入に至らなかったのだろうか。これに関して渡辺氏は「高画質への欲求の低さ」と「女性の消費は『キャラクターの心理』に向かう」のふたつを挙げた。

当時映像ソフトは1話1万円という高価格であったうえ、再生機器の普及率は低かった。さらに、キャラクターの心理描写を求める女性層は、映像ソフトではなく原作書籍やキャラソン、ドラマCDなどをアニメに描かれない部分の補完として多く購入していたのだ。

また、1990年代初頭には少女マンガなどを原作にした女性向けOVAが制作されたが、少女マンガファンの一部は原作の描線が美しいと感じており、それとは異なるシンプルなアニメの作画を受け入れにくいと感じていた。

映像ソフトの買い控えに加え、1990年代の女性ファンは原作コミックやドラマCD等を多く購入するものの、スポンサーである玩具会社のプラモデルなどは購入しにくかったことから、この年代では女性アニメファンは業界からメイン顧客になりにくいと認識されていた。

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しかし、この年代に例外的に女性が映像ソフトを購入したケースとして『銀河英雄伝説』が存在する。田中芳樹氏のSF小説『銀河英雄伝説』を原作に、1988年にアニメが放送された本作はメーカーが映像ソフトを直接通販することで1話2500円という低価格を実現。さらに毎週1話ずつ発売することで購入の敷居を下げ、女性ファンにもリーチを広げた。

このように1990年代には女性ファンは「映像ソフトを購入しない」という傾向からメイン顧客にはならなかったものの、2000年代には流れが変わっていく。

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2000年3月に家庭用ゲーム機でありながらもDVD再生機能を持つPlayStation 2が発売された。同機がファミリー層や女性層にも普及し、媒体がDVDになったことで4話分収録されて6000円と映像ソフトの価格が手に取りやすくなった。

さらに、1990年代に若年層であったアニメファンが購買力のある20代に成長したこともあり、女性ファンも映像ソフトを購入するようになったのだ。

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アニメ業界が女性もメイン顧客になり得ることを意識し始めたことで少女マンガやBLを原作としたアニメが増加し、2005年には女性を意識したアニメ枠「ノイタミナ」が開設される。

さらに2002年〜2004年にかけて『ときめきメモリアル GS』『テニスの王子様』ミュージカルが上演されるなど女性向けコンテンツが成長する。

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2010年台に突入し、さらに女性ファンを可視化した作品は増加していく。渡辺氏は中でも『Free!』『うたの☆プリンスさまっ♪』(以下、『うたプリ』)の2作品にフォーカスして女性の消費と作品の特徴を紹介した。

『Free!』は、少年マンガ的な成長物語と、女性ファンの求める心理描写の両方を兼ね備えていたことにくわえて、美少女ではなく男性キャラに作画リソースが割かれたことが特徴だ。

このことについて渡辺氏は、アフレコ以外は内製かつ、自社で原作レーベルを展開する「京都アニメーション」だからこその特徴であると分析した。また、アニメ『けいおん!』の山田尚子監督などを例に挙げ、同社は社内体制の充実によって女性監督の活躍が早かったという背景もあると語った。

続いて、『うたプリ』では作中の男性アイドルとそれを演じる声優によるステージを特徴として指摘。ゲーム、ステージ、キャラソンCD、グッズ物販という消費の連動を完成させたと評した。

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『うたプリ』が完成させたゲーム、ステージ、キャラソンCD、グッズ物販といったものにくわえて、消費の連動は年代が進むごとに多様化していく。2010年代後半には発声やペンライトで映画を楽しむ「応援上映」や、作品にゆかりのある物品を展示する「作品展示」なども登場した。

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最後に渡辺氏はこれまでの歴史を振り返ってのふたつの女性の消費傾向を挙げた。

一つ目は「インフラ整備」。「女性の口コミはどんな消費構造でも大事」であり、女性ファンはSNSでの口コミなど新たなファンを増やす布教活動が盛んであることから、「みんながやっているプラットフォーム」が重要となるのである。

二つ目は「キャラの依代としての声優」。女性ファンは男性声優に若さを求めないことから作品の長期継続が可能なほか、ライブやゲームに触れるきっかけとなる存在でもあるのだ。

作品を長く応援しファンコミュニティを育てる存在でもある女性ファンの獲得には、キャラクターとの繋がりを感じさせる「場」と、仲間ができる「場」のふたつが必要であると締めくくった。

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令和は女性の消費が大前提。多様化していく推し活

ライターの青柳美帆子氏は「平成・令和の女性ファン」にフォーカス。最初に「女性ファン」のいらすとやの素材を提示し、これにはうちわを掲げて応援する様子が描かれているものの、ファン活動に内包されるものは多岐に渡り、この素材通りではない、という点からセッションを始めた。

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同じIPのファンでもファン活動はそれぞれ異なる。作品のテーマとなるスポーツの観戦や同人活動も含まれているし、グッズを集めて作る「痛バ」やSNS、展示もすべてファン活動のひとつである。

また、これらのファン活動によるお金の流れは必ずしもIPホルダーに向いているわけではなく、モチーフとなった文化に流れていくこともある

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インターネット利用率のグラフを見ると、2001年以降急激に上昇傾向にある。インターネットの普及によって雑誌の文通やリアルなつながりに頼ることなく、女性ファンがお互いを発見・観測することができるように変わっていったのだ。

また、X(旧Twitter)の日々変わっていく状況についても触れた。現状「みんながいる」プラットフォームはX以外にないものの、今後の動きによってはファン活動を認知していく場所は変わるかもしれない。

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▲(画像は総務省|令和4年版 情報通信白書|総論より)

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実在の企業ロゴが作中に登場することもありコラボ商品が続々登場、発売するとサーバーが落ちるほどの人気を博した『TIGER & BUNNY』など、ファン活動を引き起こす作品は数多く存在する。

『テニスの王子様』は舞台やCDなどによるメディアミックスを展開、聖地巡礼が流行した『Free!』、ファンを前提にした企画展なども開催される『刀剣乱舞』、女性向けアプリを牽引する『あんさんぶるスターズ!!』、ファンの投票が物語に影響を与える『ヒプノシスマイク』といった実例を紹介した。

なぜ、女性ファンによる消費は平成にグッと伸びたのだろうか。

その答えとして、青柳氏は「若年勤労単身世帯の男女別1か月平均日収入及び実質増減」のグラフを見ながら、女性の収入が伸びたことが、コンテンツへの支出に繋がったのだろうと推測している。

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▲(画像は統計局ホームページ/2 若年勤労単身世帯の家計収支の状況より)

最後に、コンテンツがどのくらい支出を喚び起こしているのかを推定した博報堂の「コンテンツファン消費行動調査2023」のランキングも紹介。

このランキングではSixTONESやKing & Princeなどの男性アイドルグループが多くランクイン。「女性の買い渋り」を懸念する必要がないほどに、令和は女性の支出が大前提としてコンテンツが存在しているというのだ。

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▲(画像はコンテンツビジネスラボ「リーチ力・支出喚起力ランキング」を発表 ~「コンテンツファン消費行動調査2023」より~ |ニュースリリース|博報堂 HAKUHODO Inc.より)

最後に、3人はそれぞれのセッションを踏まえて、「女性の消費」、「女性ファンとは」のふたつのテーマについてディスカッション。より実体験に迫ったリアルな意見が交わされた。その一部を紹介していこう。

Q:どんなところで消費していますか?

藤本氏:
めちゃめちゃグッズを買っている。DVDやブルーレイもボックスだったら買う。愛はあるからお金は使いたいけど、ビジュアルはとても大切。好きなキャラだからなんでもいいわけではない。『タイバニ』虎徹の焼酎やバニーのワインも購入したし、『仮面ライダー』ショッカーの世界征服ワインセットも購入した。知ってる作品で、デザインが良ければ購入を検討する。

青柳氏:
グッズはあまり買わない方、「部屋が狭い」という物理的な制約もある。
その中でも買ってたのは、既存の生活雑貨と置き換えられるお皿やマグカップ、Tシャツといったもの。アクスタや缶バッジは買わないが、そこでしか手に入らない情報や特典などの価値があるDVD・ブルーレイボックスは買う。ゲームアプリに課金はしているが、ガチャはかさばらないから回しやすいという感覚もある。

渡辺氏:
『KING OF PRISM(キンプリ)』の応援上映にハマり、公式ペンライトなどを購入。「応援上映」という行動とそのためのペンライトで消費が結びついているので、自分にとっては生活用品のひとつとしてカウントしている。アクスタなら、写真撮るとこまで含めて「行動消費」と言えるのではないか

Q:女性ファンとは?

藤本氏:
女性ファンは昔からいる。お金が使える女性ファンはここ20年で増えてきて、だからこそ注目されている。同時に女性ファンは愛が深く、デザインを重視するので、水準の高いものを作ってくれれば購入する。

青柳氏:
もともといた女性ファンが発見されたのはお金を使ったから、というのは前提だが「お金使わなきゃファンじゃない」というわけではないし、口コミでもIPに影響を与えている。経済活動をベースに自分の愛をジャッジしてしまう若いファンがいるのは、他の人を発見できる代わりに比較もしてしまう現代のファン活動の暗黒面と言える。

渡辺氏:
「比較とか煽りにならずに楽しくできるように」というのが若い消費者に言いたい。自身も「トレーディングは1回に3つまで」というルールを自分に課しており、大人になってからだと分別のついたお金の使い方ができる。
女性の楽しい気持ちを振りまく力、勝手に友達に布教するという行動はIPに影響を与えている。いずれは〈女性ファン〉という区切りじゃないセッションもしたい。

まとめ

「女性ファン」当事者としての目線から歴史を振り返った本セッション。登壇者それぞれの端々に滲む作品への愛は、「女性ファンは愛が深い」という言葉をまさに裏付けていた

本セッションを含む「IMART 2023」は12月上旬にアーカイブを配信予定とのこと。AIやマンガ賞、アニメ制作と家事育児など多岐に渡るトピックでマンガ・アニメ業界の知見が共有されている。なお、アーカイブ視聴用チケットは配信次第、発売予定となっている。チケットに関する最新情報は、IMART公式Xをチェックしてほしい。

ライター
ベヨネッタとロリポップチェーンソーでゲームに目覚めました。 3D酔いと戦いつつゲームをする傍ら、学生をしています。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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