一切経験のない対戦ゲームにはじめてに触れたとき、「そもそも何を学べば良いのか」「どこを楽しむゲームなのか」が分からず、つまづいた経験はないだろうか。
もちろん、最初の一歩を踏み出す時に「ゲームを遊ぶ強い動機」があったり「効率の良い強くなり方」を教えてくれる知人が居れば上記の問題は発生しない。また、昨今では実況者およびプロゲーマーによるチュートリアルコンテンツがかなり充実しており、座学を学びやすい環境はかなり整いつつある。
それでも、一度ゲーム画面から離れて“勉強”をするのはやっぱり面倒だ。初心者であれば尚更「ひとまずゲームを遊んでみたい」はずだ。
バンダイナムコエンターテインメントが手掛ける格闘ゲームシリーズの最新作『鉄拳8』は、そんな初心者こそが遭遇する「序盤のクソデカい壁」を全力で取り払い、多くのプレイヤーたちのワガママに答えてくれる作品となっている。
このたび、『鉄拳8』のシングルプレイ向けのコンテンツをひと足先にプレイする機会を得た。本記事では『鉄拳8』がいかに「初心者号泣モンのありがたい新要素」を搭載しているのかをお届けする。
このたびの体験会ではストーリーモード、『鉄拳』初心者の主人公の物語を描く「アーケードクエスト」、「Super Ghost Battle」と「リプレイ機能」を体験させて頂いた。これらの要素を順番に楽しむことで、「鉄拳のキャラもルールも知らない」プレイヤーも自然と「ランクマッチに潜り高みを目指す格ゲーマー」へ変貌することとなるだろう。
なぜならストーリーモードとキャラクターエピソードで世界観とキャラクター、そして壮快感という「スタートダッシュのモチベーション」を与え、「アーケードクエスト」により効率よく基本的な「戦い方」と「強くなる喜び」を伝授されるからだ。
そして「AIゴースト」や進化した「リプレイ機能」を使いながらランクマッチなどを楽しめば、オンライン対戦を楽しみながらスムーズに「強くなる」ことができる。
つまるところ、真なる初心者から対戦を楽しむ丁寧な導線を作品に組み込んでいる点が、『鉄拳8』の優れたポイントのひとつである。
本稿の末尾には、シリーズのゲームディレクター兼開発プロデューサーを務める池田幸平氏と、マーケティングを担当する安田イースポーツ氏へのグル-プインタビューも掲載。如何にして超絶親切な初心者救済コンテンツが開発されたのか、そして30周年を迎える『鉄拳』シリーズが見据える今後の展望も語って頂いたため、先行プレイのレポートとあわせて楽しんでいただければ幸いだ。
取材・文/りつこ
ハリウッド映画バリ大迫力&進化したグラフィック。とりあえずキモち良くなれる「スペシャルスタイル」で『鉄拳』らしい“壮快感”を味わえるストーリーモード
『鉄拳8』は1994年に稼働を開始したアーケードゲーム『鉄拳』を原点とする3D格闘ゲームシリーズの最新作。リアル調のビジュアルと右手、左手、右足、左足の四肢に対応した4ボタンの操作がシリーズの特徴であり、今作では「Aggressive(アグレッシブ)」をキーワードに攻撃的に進化した爽快感のある戦闘が楽しめる作品となっている。
いっぽう、「何やら長く続いてるらしいが、どこから入って行けば良いのやら」と困惑しているプレイヤーにこそ最初にプレイして頂きたいのが、今作のストーリーモードだ。
本モードを開始してまず目を引くのは、フォトリアルなビジュアルとハリウッド映画のように進化したダイナミックな表現である。
ストーリーモードは『鉄拳7』後の世界で、三島 一八との戦いを風間 仁を主人公として描くものとなっており、状況にあわせて戦闘が開幕する。
ここにおいてムービーシーンと戦闘シーンはテンポよく切り変わる仕様で、同時にアンリアルエンジン5を駆使したビジュアルはシネマティックなシーンとのギャップが少ない。
これらの仕様により、映像作品のような没入感を持ったまま戦闘を楽しめる設計になっている。すでに『鉄拳』シリーズに馴染みのあるプレイヤーも視覚的な進化を大いに楽しめるため、抜群のツカみとなっているだろう。
また、ストーリーモードにおいては簡単にキャラクターを操作できる「スペシャルスタイル」が用意されている点もポイントだ。本システムを活用すれば、たとえ基本的な操作を知らずともボタン連打で『鉄拳』シリーズの花である空中コンボを出すことができる。
さらに、ボタンによってキャラクターの強みとなる「得意技」、相手の攻撃を受け止めた上で怯まずにダメージを与えられる「パワークラッシュ」、立ち状態の敵に有利な「下段攻撃」、そして本作の「ヒートシステム」を発動する基点となる「ヒートバースト」が割り振られ、初見でもワンボタンで“それらしい動き”を容易に行える。
何より、ゲームをはじめた段階で「上手く身動きが取れずもがき苦しむ」ような状況は苦痛でしかない。そんな状況を取り払ってくれる「スペシャルスタイル」の存在は初心者にとってデカすぎる利益をもたらす機能である。
そして、本システムは“簡単にゲームを遊べる”というメリットだけでなく、初心者にとっては『鉄拳8』の戦闘において「どのような選択肢が存在するのか」を知ることができ、同時に「プレイアブルキャラクターがどんな攻撃を出来るのか」を抽象的にでも知れるだろう。
このたびの試遊ではプレイしていないものの、『鉄拳8』には32キャラクターのストーリーを楽しめる「キャラエピソード」モードが存在し、ここにおいても「スペシャルスタイル」を使用できる。
なので、ストーリーモードにて『鉄拳8』の全体的な雰囲気が掴めたのならば、「キャラエピソード」で気になったキャラクターのエピソードをプレイし、「スペシャルスタイル」で戦闘スタイルを確認。そうして気に入ったキャラクターを「最初の持ちキャラ」にする、という導線で初心者ははじめの一歩を踏み出すことが可能だ。
関連して、「スペシャルスタイル」は中級者の方が“よく知らないキャラクター”の性能を確認する際にも便利であるはずだ。戦闘中にワンボタンで「スペシャルスタイル」のオンオフを切り替えられるため気軽に活用しよう。
なお、開発陣としては「スペシャルスタイル」は『ストリートファイター6』におけるモダンタイプのような位置づけの機能ではなく、初心者が第一歩を踏み出す機能であると捉えている
プレイした感触としては、実際に「補助輪」のような役割を持って作品に導入されている印象であり、そもそも他の2D格闘ゲームに見られる“複雑なコマンド入力”ではなく、4ボタンのシステムが重要な『鉄拳』シリーズにとっては最適な機能であると感じた。
そして、本セクションにて最後に伝えたいのは、『鉄拳8』の“打撃音”はとにかくキモチ良いということだ。
音が良い、すなわち攻撃することそのものがプレイヤーに快楽を与える。極めてプリミティブに感じるかも知れないが、「音の気持ち良さ」は「スペシャルスタイル」と相まって、初心者でも「戦闘の爽快感」を即座に味わうことを可能としている。
これらの要素により「格ゲーってなんだか難しそう…」というハードルを感じる必要は『鉄拳8』において感じる必要はなくなっている。「なんとなく遊んでみようかな」と、気軽な気持ちで門を叩き、一歩踏み出せば「ストーリーモード」と「スペシャルスタイル」が、あなたを温かく迎え入れてくれるに違いない。
初心者は「アーケードクエスト」をマジで遊んでくれ!経験者の友人みたいな合理性&丁寧さで基礎を教えてくれて圧倒的感謝
ストーリーモードで『鉄拳8』が持つ世界観や戦闘の爽快感をなんとなく掴み、「キャラクターエピソード」で最初の持ちキャラを選んだ暁には、「アーケードクエスト」でいよいよ“対戦”の楽しさに触れていこう。
「アーケードクエスト」は『鉄拳8』をプレイし始めた主人公としてゲームセンターを渡り歩き、勝ち進むことで大規模大会に出場する“強豪”となる物語を描くストーリーベースの新モードだ。
プレイヤーは自身の分身となるアバターを作成し、対戦の基礎知識や実践的なテクニックを学びながらストーリーに沿って勝ち進んでいくこととなる。対戦の際のキャラクターは32キャラのうち任意のキャラクターを使用できるため、「ストーリーモード」や見た目の好みで興味を持ったキャラクターを使うと良いだろう。
本作の見どころは、まるで格ゲーマーの友達が『鉄拳8』を教えてくれるかのように少しずつ、そして効率よく「戦い方」を教えてくれる点だ。
まず本モードでは、上段、中段、下段の存在や左右のパンチといった基本的な概念から説明されるが、徹底して「1つのチュートリアルでひとつずつ」丁寧に試しながら学べる設計になっており、「序盤から色々叩きこまれて困る」ような思いを一切感じることが無かった。
さらに、本モードにおいては戦闘中にキャラクターにマッチした「オススメの技」を3つほど表示してくれるのだが、この機能も初心者(筆者)にとっては非常に有難いと感じた。
格ゲー初心者である筆者が『鉄拳7』に初めて触れた際、「どの技から覚えれば良いのか分からない」ことや「技ごとの役割」が良くわからず困惑した覚えがある。この状況は「グー・チョキ・パー」を知らずにジャンケンをさせられるようなものであり、対戦の醍醐味や駆け引きを産む“ゲーム性”から断絶され、結果として初心者に退屈さとストレスを与えることとなる。
そこで、本モードでは「初心者でも使いやすい」と同時に「キャラクターの強みになる技」を画面に表示することで、「対戦に必要な最低限の技」を遊びながら身に付けられる設計になっている。
「最低限必要な技」をひとまず身につけることで、高度ではなくても練度に応じた駆け引きが開始し、自らの意思と思考で勝利を掴もうとする「対戦している実感」を初心者なりに感じることができるのだ。
さらに「アーケードクエスト」の序盤で教えられる技の中には『鉄拳』シリーズの華「空中コンボ」の起点となる“浮かせ技”と対戦をアグレッシブに変化させる新技「ヒートスマッシュ」を組みあわせたコンボも収録されている。
これらの仕様により、「アーケードクエスト」では知識がゼロの初心者にとって『鉄拳8』らしい「戦い方」を最速で習得できるコンテンツになっているはずだ。
対戦ゲームにおける“最初の座学”が面倒で苦手な筆者としては、忖度なしで開発陣への感謝が止まらない。また、願いがひとつだけ叶うのなら、筆者はこの世の全ての対戦ゲームに「アーケードクエスト」に該当するコンテンツが実装されることを願いたい。
ちなみに、アーケードモードのシナリオに関しては仲間と共に地元のゲーセンで腕を磨き、地元を制覇すれば遠征し、遠方のゲーセンにも訪れて腕を磨くことが中心となっている。作中には初狩りに勤しむ害悪プレイヤーなども登場し、デフォルメされた「かつてのゲーセン文化」を味わえる点も大きな魅力だ。
腕を磨きながら文化としての「格ゲー」を描く物語を味わえば、いよいよ「ランクマッチ」で更なる高みを目指していこう。
シンギュラリティ到来。初心者こそ楽しめる?自分の分身「AI ゴーストバトル」で弱点をあぶり出そう
「対戦ゲーム」の上達において、ただ強い行動や技を覚えるだけでなく、自身の悪い癖だったり、弱点を学ぶ必要がある。そこで、自分自身を客観的に分析すべく登場した新機能が「Super Ghost Battle」だ。
「Super Ghost Battle」はプレイヤーの行動を学習した「ゴーストAI」と対戦ができる機能だ。
「ゴーストAI」との対決を初めて開始する際には意思がないような「棒立ち」だか、試合の後半から徐々に動き出し、正にプレイヤーが行った行動を学習していく。
2〜3戦を終えると自分の基本的な行動に関しては一通り学習する。そのため、自身の分身であるクローンが誕生し、みるみるうちに成長していくSFのような体験を味わえる。なので、「学習」に興味がなくとも「AI技術の面白い活用」の実例としても楽しめるはずだ。
何より、本機能をガチの初心者が利用することで、かなり早い段階から「自分の限界」を突き付けられることとなる。なぜなら「ガチ初心者」は試合中に使える手札が明確に限られており、「ゴーストAI」が自分の少ない手札を全てコピーしてくるからだ。
実際に、上段からはじまるコンボと投げしか分からなった筆者は「ゴーストAI」による「丁寧なガード」と「投げぬけ」をされることで、見事に困り果てるかたちとなった。このことで、下段から攻めるアプローチや、確定反撃を覚える必要があると気付くことができた。
こういった筆者の体験のように、初心者こそ手札が少ないため同キャラで「Super Ghost Battle」をプレイすることで、自身が身に付けるべき技や技術をあぶり出すことが出来るため、ぜひ「アーケードクエスト」からゲームの基礎知識を勉強し始めた方は触れて頂きたい。
また、ゴーストAIは、自分以外のプレイヤーが作り出した「AIゴースト」をダウンロードして戦うことも出来る。
なので、プロゲーマーの動きを学習したAIゴーストと戦って動きを学んだり、「対策したいキャラクター」が得意なプレイヤーのAIゴーストと戦って対策をする、といった利用も出来そうだ。
「あの時、こうしてれば“勝てたかも”」を「勝てました」に確定させる。試合の“別の可能性”へ身をプレイヤーの手で確定させるリプレイ機能。確定反撃も教えてくれて心底有難
また、本作のリプレイ機能に関してはすでに発表されているものの、実際に触れて改めて利便性を痛感したため紹介させて頂きたい。
リプレイ機能とは、自身が行った対戦を改めて観賞する機能として、これまでもさまざまな格闘ゲームに収録されてきた。
従来では「対戦の映像」を情報と共に確認するコンテンツだったが、『鉄拳8』は一味違う。なぜなら、「リプレイの再生中」からシームレスにキャラクターを操作し、任意の場面を「やり直す」ことができるからだ。
さらに、本モードにおいてはフレームの情報を確認できるのは勿論のこと、「より打点の高いコンボ」や「確定反撃」をできた場面、「投げ抜け」を失敗していた場面を教えてくれる機能も用意されている。
リプレイの再生中には「改善点」のみをチェックしやすくなっており、「改善点」がある場面で「あり得たはずの行動」を実際に行うことができるだけでなく、「改善点」で行うべき行動をその場で反復練習することが可能だ。
従来では「改善点」をリプレイ機能で見つけ出した暁には、一度メインメニューに戻り「トレーニングモード」に入りなおす必要があったが、本モードではシームレスに練習へ移行できる。
なにより、確定反撃に関しては攻略サイトおよび映像で確認したり、手探りでフレームを確認する必要があったが、そういった「座学」の工程をすっ飛ばして新たな知識を身に付けられる。
いわば本作のリプレイ機能は「強くなるために必要な面倒くさいこと」が産むストレスを緩和するひたすらに便利なシステムとなっている。対戦の基本を理解できたプレイヤーは、「リプレイ機能」を駆使して「より強い行動」を着々と身につけよう。
このように、本作では「ストーリーモード」と「キャラエピソード」でなんとなくのルールや雰囲気「気持ちよさ」を知り、「アーケードクエスト」で基礎を身に付け、慣れてきたところで「AIゴーストバトル」や「リプレイ機能」を駆使することで「本当に何も知らない初心者」から「ゴリゴリの『鉄拳8』沼に浸かる対戦ジャンキー」に自然と進化していくことが可能だ。
格闘ゲームおよび“対戦ゲーム”にハードルを感じるプレイヤーにとって、この仕様は控えめに言っても「革命」である。『鉄拳8』に興味があるのなら、もう遊ばない理由は無いだろう。
30周年を迎える今後の展望も。『鉄拳8』池田幸平氏、安田イースポーツ氏インタビュー
──本日はよろしくお願いいたします。本作より導入された「リプレイを見ながらプラクティスに導入できる」システムが印象的でした。このシステムはどのような切っ掛けで導入されたのでしょうか
池田幸平氏(以下、池田氏):
実は僕は前職で週刊ファミ通さんで働かせて頂いていて、格闘ゲームの攻略DVDのディレクションと編集をしていました。
やはり自分も格ゲープレイヤーなので、対戦した後に「どこが悪かったのかな」とすぐに確認したいと思っていたんです。リプレイを見直して改善できるのは攻撃で言えばコンボ、防御で言えば確定反撃があると思うんです。
でも、リプレイからわざわざプラクティスを開くのは面倒くさい。なので、リプレイを見て、その場で検証し改善ができる機能を入れてあげたいと思いました。なので「攻略映像を見ながらその場で練習しているような感覚をプレイヤーに与えたい」という考えが「リプレイからシームレスに練習できる」システムの発想元になっています。
──試遊にてスペシャルスタイルでプレイさせて頂いたのですが、リプレイ機能で表示されるアドバイスはアーケードスタイルになっています。スペシャルスタイルだと確定反撃はできないのでしょうか。
池田氏:
最近になってスペシャルスタイルの機能を拡張し、スペシャルスタイルでは「後ろ」と「□(四角)」を押すことで「ワン・ツー」が出せます。なので、スペシャルスタイルにおいても確定反撃はできる設計になっています。
リプレイ機能に関しては、かなり『鉄拳』に慣れていて、駆け引きを楽しむような中上級者向けの機能として用意させて頂きました。
また、アーケードスタイルには存在していても、スペシャルスタイルには存在しない技もあるんです。なので、「スペシャルスタイルのアドバイスを表示してほしい」という要望が多ければ対応を検討したいと考えています。
安田イースポーツ氏(以下、安田氏):
私は恐らくニーズはあんまりないんじゃないかと思っていて、なぜなら「スペシャルスタイル」は競技シーンのトップまで昇り詰めることができる『ストリートファイター6』の「モダンタイプ」とは異なる趣向で用意したシステムだからです。
そもそも『鉄拳』にはいわゆる“昇竜拳コマンド”などの難しい入力は存在しないので、「スペシャルスタイル」はあくまでも初心者の方など、お客さんが『鉄拳』の魅力を味わいやすくするための機能として制作してます。
──なるほど。『鉄拳』シリーズはそもそも4ボタン形式で根本的な操作商法が違いますね。
池田氏:
そういった意味では、このたびプレイして頂いた「アーケードクエスト」も「アイテムが貰える」点によりスペシャルスタイルで楽しめますが「アーケードモード」向けのモードです。
1から「アーケードモード」の練習をしたい方がプレイすることで、対戦の上達ができるという設計にしていますね。
──本日スペシャルスタイルを使用させていただいたときに、「同じ△(三角)ボタンの入力」でも距離によって変化しました。この変更はユーザーからの要望を受けて新たに実装された機能なんでしょうか。
池田氏:
実は「ストーリーモード」における「スペシャルスタイル」はより特殊な仕様になっていて、距離などに応じて技が変化するようになっているんです。アクションゲームのように、気軽に楽しく遊べるような調整として、普段のバトルとは少し違う仕様になっています。
距離に応じて技が自動で変化する「スペシャルスタイル」が楽しいという要望が多ければ更に機能を拡張することを検討したいです。しかし、あまり拡張しすぎると「出したい技が出せない」ような状況を作ってしまうため、この点においてはさじ加減が必要です。
最初に「スペシャルスタイル」を提供した際には、技をかなり絞っていました。しかし、結果として「楽しいけどすぐに飽きてしまう」という意見や、「『鉄拳』らしい駆け引きをもう少し楽しみたい」、「もう少しだけ色々な技を出したい」という意見が多かったんです。なので、現在のバランスに落ち着いています。
安田氏:
7月のCNTは旧バージョンのスペシャルスタイルだったのですが、先日開催されたCBTでは新しいバージョンになっています。さらに、このたび遊んでいただいたバージョンでは「技の抜き差し」といった調整を施しています。
なので、ストーリーモードの場合は「スペシャルスペシャルスタイル」ですね(笑)
一同:
(笑)。
──本作には各キャラクターの物語が楽しめる「キャラクターエピソード」モードが存在しますが、こちらでも「スペシャルスタイル」は用意されているのでしょうか?
池田氏:
「キャラクターエピソード」でも「スペシャルスタイル」が使用可能です。
安田氏:
僕らが考えている流れとしては、最初に「ストーリーモード」をプレイしていただいて、なんとなくバトルに慣れてきたところで32キャラ分の物語が楽しめる「キャラクターエピソード」で対戦で使っていくキャラクターを選んで頂きたいと思っています。なので、最初は「キャラクターが好き」という動機から『鉄拳8』に入って頂ければ良いかなと思っています。
池田氏:
そこから「アーケードクエスト」で好きなキャラを使用して上手くなっていく。という道筋を辿って頂けると嬉しいです。
──このたびは「ストーリーモード」のチャプター4までをプレイさせて頂きましたが、本モードでは基本的に「風間仁」を使用してプレイするかたちとなるのでしょうか。
池田氏:
「風間仁」以外を使う場面も用意しています。ただ、主人公なので「風間仁」を使用する場面は多いですね。
安田氏:
『鉄拳7』では仁は寝ていて全然登場していなくて、最後だけ出てきて「自分の父親を殺す」と言って終わるストーリーになっていました。
なので『鉄拳8』では「風間仁と三島一八の戦い」をメインに描いていて、その中で色々なキャラクターを描いています。
──なるほど。
安田氏:
具体的にはチャプター5で色々なキャラクターを使えるようになります。
池田氏:
これまでの『鉄拳』シリーズでは「アイアンフィストトーナメント」があまり描かれていませんでした。その点、今作では三島一八が冒頭で宣言しているため、アイアンフィストトーナメントに参加するさまざまなキャラクターとして遊べるかたちとなっています。
この場面のためにも「スペシャルスタイル」を用意しました。
──今作から『鉄拳』シリーズに触れたとき、「三島高等専門学校」や「オーガ」といった固有名詞を補完する「用語集」といったコンテンツは実装されるのでしょうか。
池田氏:
用語集は用意していないのですが、ギャラリーモードの中に『鉄拳』から『鉄拳7』までのストーリーを紹介するダイジェストムービーが収録されていて、この映像はストーリーモードの冒頭でも視聴できます。
なので、初めて遊ぶ方でもダイジェストムービーを視聴すれば、なんとなくでも『鉄拳8』のストーリーが楽しめると思います。
安田氏:
用語集は実際、欲しいですかね?
──やはり、パッと「三島高専」と出てきたときに、もしかしたら「あると良いかなぁ」くらいには思いました(笑)
池田氏:
なるべく固有名詞が分からなくても楽しめるようには作っています。ただ、そう言った要素はゲーム外で我々が提供するコンテンツでもカバーしていくことができるかもしれません。
安田氏:
30周年なので、用語集作りましょうか(笑)
一同:
(笑)。
安田氏:
というのも『初代』から『7』までのストーリーが原田の頭の中には存在しているものの、ちゃんと全てがテキスト化されていた訳ではありませんでした。なので、今回『鉄拳8』のストーリーを作るにあたって、改めてこれまでのシナリオをまとめ直したんです。
お話を聞いて、そういった資料をユーザー向けに公開しても良いかもしれないと思いました。
池田氏:
やはりシリーズの蓄積が膨大で、原田もうろ覚えだったりするんですよ。
もうひとりストーリー担当がちゃんと居るのですが、そのふたりがあまり「覚えてない要素」を自分たちが聞かれて困惑することもありました(笑)
安田氏:
『鉄拳8』は16言語に翻訳していて、やはり固有名詞の翻訳は今後も使用することから丁寧に翻訳する必要があるんです。つまるところ固有名詞そのものに手間が掛かっているので、せかっくならゲーム外のコンテンツでカバーした方が良いかもしれないですね。
──やはり『鉄拳』シリーズに触れたり、長編アニメ『鉄拳 ブラッド・ベンジェンス』を見ていれば分かるものの、初見だと難しいように思います。
池田氏:
そうですね。『鉄拳 ブラッド・ベンジェンス』も見てほしいですが、固有名詞に関しては「確かにな」と気づきを得ることができました。ありがとうございます。
──ストーリーモードは全体でどれくらいのボリュームになるのでしょうか
池田氏:
『鉄拳7』のストーリーモードに比べて1.5倍くらいのボリュームです。32人分のキャラクターエピソードも用意しておりますので、物語全体の充実度はかなり高いです。
安田氏:
自信を持ってハッキリ言えることとして、『鉄拳8』ではシングルプレイモードだけでもかなり充実したボリュームがあります。その点を担保することが開発の目標のひとつだからこそ、このたび「シングルプレイ」に特化した試遊の機会を設けさせて頂きました。
──また、「ストーリーモード」では、バトルの内容によって物語に変化が発生しますか
池田氏:
「ストーリーモード」では選択肢が出てくる場面など、状況によって相手の行動が変わる演出を用意しています。具体的な演出においては、プレイヤーの選択肢において台詞やキャラクター同士の掛け合いが変化する仕様となっています。
基本的には1本道ではあるのですが、その後のバトルの内容に影響するようなギミックも用意しています。
池田氏:
また、「ストーリーモード」ではプレイヤーの体力が削られた状態で開始する戦闘も存在しますが、それは没入感を高めるための仕様です。
たとえばのムービーシーンでプレイアブルキャラクターが攻撃を受けたのに、直後の戦闘では「体力ゲージが満タン」でゲームが開始すると違和感がありますよね。そういった映像と戦闘の間で没入感が途切れてしまわないような設計をしています。
安田氏:
今回はチャプター4が終了した時点でプレイを止めて頂きましたが、チャプター5が終わると、しれっとスムーズにチャプター5が終わったと思うんです。つまるところ、辞め時があまりないように作りました。
バトルの内容によって物語に変化を及ぼすか否かにおいては、「もしかしたらそういった演出もあるかもしれない」というコメントに留めさせて頂きます。記事としては、「ご自身でプレイして確かめてみましょう」という記述でお願いします(笑)
──ストーリーモードではアンリアルエンジン5を駆使したシネマティックな映像が印象的でした。この要素はキャラクターエピソードでも楽しめるのでしょうか
池田氏:
これまでの『鉄拳』シリーズでは、用意されたストーリーモードをクリアすると、ご褒美として使用キャラクターのエンディングムービーが見れる仕様になっていました。
『鉄拳8』ではキャラクターや『鉄拳』の世界観、キャラクターごとの関係性を好きになってほしいという思いがあります。そのなかでキャラクターエピソードでは使用キャラクターに関係のある他のキャラクターが登場したり、設定や物語を伝える掛け合い台詞を話したりすることで、使用キャラクターの魅力に迫ることができるコンテンツになっています。
なので、今回からはプリレンダーの映像よりは、キャラクターの設定や魅力を紹介し、「キャラクターを好きになってもらう」ことに重きを置きました。
安田氏:
キャラクターエピソードには「ストーリーモードのアレが上手く行ってたら…」といたIF設定もあるんです。なので、ストーリーモードをやり込んで頂くと“ニヤリ”とする要素を楽しめると思います。
池田氏:
実際にキャラクターを操作することで好きになることもあると思うので、バトルと映像の両方で構成するかたちになりました。
「キャラクターの設定や関係性を描く」ことはキャラクターエピソード以外でも力を入れていて、特定の組み合わせで発生する戦闘前の「因縁演出」や「レイジアーツ後の特殊演出」なども用意しています。なので、メインストーリー以外の個々の演出にもぜひ注目していただきたいです。
安田氏:
今回「キャラクターエピソード」の試遊を実施しませんでしたが、それはプレイしていただくと完全にネタバレになってしまうからなんです。なので「プレイしていただきたいけど、悩ましい…」というかたちです(笑)
スクリーンショットは「東京ゲームショウ」で開催したトークライブの時に少しだけお見せしていて「これってどういう状況?」という内容になっていたと思います。ネタバレは“なんとか避けたい”ですが、今後キャラクターエピソードに関する情報もお伝えしたいと考えています。
──新キャラクターの麗奈は「躰道(たいどう)」を扱い、ビクターはカランビットナイフを取り入れたキャラクターになっています。キャラクターを作る際には、格闘技業界のトレンドを取り入れているのでしょうか。
池田氏:
『鉄拳』シリーズでは昔からテコンドーのモーションアクターをファン スイル先生に担当して頂いたり、「キング」のモーションをプロレスラーである鈴木みのるさんに担当して頂いたりと、本格的な格闘技の専門家にキャラクターのモーションアクターをずっと担当して頂いています。
今回麗奈は「躰道(たいどう)」を扱うキャラクターになっていますが、それは「躰道(たいどう)」のアクロバティックな要素や体のしなやかな動きがキャラクターにマッチしているから採用させて頂きました。
なので、キャラクターが扱う格闘技において、トレンドはあまり意識していないですね。実在する格闘技をベースにしつつ、『鉄拳8』のキャラクターにあわせて独自に落とし込んでいくという「シリーズの伝統」にあわせて格闘技を選択したかたちになります。
安田氏:
「1000年前に存在した格闘技」といった格闘技に関してはモーションキャプチャーが取れないので、結果として『鉄拳』には登場させられないんです。「流行っているから作れた」というよりは、逆説的に「存在するから作れた」と言えますね。
──『鉄拳8』では従来以上に銃や刀といった武器を使用するキャラクターが増えています。その理由や切っ掛けを教えて頂きたいです。
池田氏:
『鉄拳』シリーズが長く続き登場キャラクターが増えることで、どうしても技や性能が似てしまい、それぞれの個性が薄れてしまったんです。ですが、本来は個々のファイターが特徴を持っているべきだと考えています。
そこでシリーズの過去作を見直していくと「ロウ」はヌンチャクを持っていたり、「ニーナ」に至っては『デス バイ ディグリーズ 鉄拳:ニーナ ウイリアムズ』で拳銃を持っているので、そういった歴代シリーズでの特徴や個性として「武器」があった方が面白いと判断しました。
武器以外においても、たとえば「キング」の投げ技を増やしたりと個性を尖らせて「キャラクターをリビルドする」ような取組みを本作では行っています。
安田氏:
今作より導入された「ヒート」システムを使用するとキャラクターの強みが強化されるように、個性的な要素を活かしてアグレッシブに戦ってもらうことが作品のポイントです。
──試遊させて頂いたときに、背景にグレイマンがいたりと、ステージに散りばめられた遊び心が印象的でした
池田氏:
宇宙人のようなキャラクターは「グレイ」という名前で、『鉄拳6』あたりから背景のアーティストが勝手に配置して誕生しました。
グレイが登場する「ペルーステージ」はペルーにナスカの地上絵があることや、『鉄拳6』にちなんだステージであることから、今回は正式に背景アーティストにお願いをして「キャトルミューテーション」で動物が連れ去られる要素などをくわえて頂きました。
他のステージにも細々とイースターエッグ的な要素を用意していて、それによりステージの魅力もより伝わると良いなと思っています。
──遊び心と言えば、本作のキャラクターカスタマイズ機能もユニークな衣装が用意されていたり、各パーツの角度などを調整できたりと「遊び心」を詰め込み過ぎているような魅力を感じました。
池田氏:
キャラクターカスタマイズ機能は「当たり判定が見え辛くならない」範囲にカスタマイズ機能を調整しています。なので、ゲーム内のカスタマイズ機能を使用しているのであれば、競技シーンやランクマッチをはじめとするオンライン対戦、ゴーストバトルなど、さまざまなモードとシチュエーションで利用して頂けます。
やはりキャラクターのカスタマイズ機能は『鉄拳』シリーズの特徴でもあるので、『鉄拳8』ほどの自由度でキャラクターの衣装をカスタマイズできる格闘ゲームは他にないんじゃないかなと思います。
安田氏:
『鉄拳8』では靴がカスタマイズできたり、各コスチュームの色を変えられるなど、とにかくこだわりの機能です。ローンチの段階では用意していませんが、発売後もカスタマイズ機能を更に拡張する予定です。
──「Super Ghost Battle」をプレイさせて頂いた際に、自分のゴーストが「最初に覚えたあまり強くないコンボ」を使用し続けていた点が気になりました。そういった行動をゴーストが「忘れる」ことはあるのでしょうか
池田氏:
ゴースト1体が使用できる容量には限界が存在するため、「あまり重要ではない」と判断されたデータから消去されていきます。
なので、より強い行動を自分が繰り返し行うことで、「古くて強くない行動」を忘れさせることが出来ると思います。なので、大まかな仕組みとしては自分が強くなるほど、ゴーストも強くなる設計になっています。
ゴーストの詳しい仕組み自体は企業秘密であるため答えられませんが、ゴースとは対戦中の「状況」に基づいて判断し、行動します。なので素早く行動を学習し「再現」をするかたちとなっています。
安田氏:
対戦をしている際に、プレイヤーの意図と行動は必ずしも一致せず、AIは「意図」ではなく「起きた現象」を学習する仕組みです。いっぽうで、プレイヤーが自身の行動を、自身の主観と切り分けて認識するのは難しいと思うんです。
ですから、遊んでいてしばしば「こんな行動を覚えさせたっけ?」という場面があるかも知れません。しかし、それはプレイヤーが行ったから学習している行動ですので、「自分が行ったこと」として受け止めて頂くと上達に繋がるかなと考えています。
池田氏:
やはりAIは「手癖で撃った風神拳」であるのか「確実に決める風神拳」なのかは分からず、「この状況では風人拳を撃っていた」という理由に基づいて技を放ちます。そういった点でゴーストの行動は、自身の手癖を客観的に認識することにも利用できると思います。
安田氏:
僕は距離が離れた時に「L1」を連打して「スペシャルスタイル」を癖で切り替えていたため、ちょっと距離を取ると「カチカチ動いて相手を煽る」ヤバいゴーストが出来上がってしまいました(笑)
池田氏:
ちゃんとそこも覚えているんですね。
一同:
(笑)。
池田氏:
この点は防御行動においても共通していて、プレイヤーが「防御」や「投げ抜け」を行わないとゴーストも学習しません。なので、ゴーストを一方的にボコボコにしていると「防御行動しないゴースト」となってしまうため、特に『鉄拳』の経験者であれば「覚えさせる」ことも「Super Ghost Battle」を上手に活用するためには必要になります。
──『鉄拳8』では「対戦ゲーム」において初心者が躓いてしまうハードルを徹底的に取り除き、「本当の初心者」がゲームに身を任せることで「オンライン対戦を楽しめる格闘ゲーマー」になれる設計になっているように感じました。
この仕様を採用した切っ掛けやバックグラウンドについてお伺いしたいです。
池田氏:
開発者であり、もともと格闘ゲームを楽しんでいた私としては『鉄拳』が楽しいことは充分に分かっていました。しかし、近年では「格闘ゲームは難しい」という印象が世間一般で定着してしまい、そのイメージは「ゲームをプレイして面白さを体験する」こと以外では払拭できないと思ったんです。
なので、第1に「スペシャルスタイル」で『鉄拳』らしい打撃の爽快感や空中コンボの気持ち良さを味わいつつ、操作に慣れてもらおうと考えました。
池田氏:
それだけではなく「人と対戦して駆け引きをする」ことが格闘ゲームで対人戦をする醍醐味ですよね。その魅力を伝えるべく、「アーケードクエスト」で「格闘ゲームをはじめたプレイヤー」として仲間と共に上達していく体験を提供させてあげたいと思います。
さらに、再現性の高い「Super Ghost Battle」を実装することで自分のプレーを客観的に振り返り、リプレイ機能で改善点を見つける。そうやって「ゲームが上手くなる」サイクルを用意しました。
こういった「サイクル」があれば多くの人に格闘ゲームおよび『鉄拳8』の魅力が伝わるのではないかと考えて、開発の初期段階で「サイクル」の役割や具体的な機能を考えていきました。
今回の試遊で「初心者が遊びやすい機能」が上手く伝わっていて、すごく嬉しかったです。
安田氏:
マーケット側の視点として僕からもお話させて頂くと、『鉄拳7』が『鉄拳8』ほど親切な設計ではないのに、1100万本を販売させて頂いているということがきっかけです。この業績を踏まえて、「これがもっと親切だったら更に色んな人に遊んでもらえるんじゃないか」と思いました。
『鉄拳7』は未だに100万人以上のプレイヤーに遊んで頂いている状況で、こういった結果から一度遊び方や魅力を理解して貰えれば「沼らせる」自信が『鉄拳』シリーズにはあるんです。
ですが、『鉄拳7』のファンはシングルプレイモードを中心にアクションゲームとして楽しんでいる方や、グラフィックを楽しみたい、音楽を楽しみたい方が多いのも事実です。もちろんシングルプレイ用のゲームとして楽しんでいただけるのも有難いのですが「もっとその先に面白い遊び方があるよ」という気持ちはやはり強く抱えています。
──なるほど。「更に成長する見込みがあった」ことも初心者向けシステムを導入するきっかけだったんですね。
安田氏:
もうひとつの理由としては、『鉄拳8』はシリーズのナンバリングタイトルでは初めて“アーケード先行”ではなく「家庭版」でワールドワイドに提供を開始する作品になるんです。
なので、『鉄拳』をなんとなく知っていたけどハードルを感じていた人にアプローチするおおきなチャンスだと考え、「鉄拳をはじめるなら今だよ!」とPRをしたいと考えました。
つまるところ“『鉄拳』に沼らせたい!”というモチベーションが動機です(笑)
──『鉄拳』シリーズは来年で30周年を迎えますが、今後の展望を答えられる範囲でお聞きしたいです。
安田氏:
『鉄拳』シリーズはゲーム自体が長く続いているいっぽう、弊社がすでに力を入れている競技シーン以外では「ゲームの外側のコミュニティ」を育む継続的な取組みは行えていませんでした。
例えば音楽やイラスト、物語の二次創作などグラスルーツな活動は存在するいっぽう、『鉄拳』シリーズは自走していくコミュニティを沢山抱えられていないんです。
なので、30周年に向けて、競技シーン以外のコミュニティを支援し、大きくしていけるように活動したいと考えています。
※『鉄拳』シリーズのサウンドトラック
──つまり、ゲーム本編以外での活動も予定しているんですね。
安田氏:
そうです。先日『鉄拳7』のマスターカップの開催終了後に、プロライセンスを持っている「G選手」が『鉄拳』の音楽をフィーチャーしたクラブイベントを開催していました。開発としては「やりたかったらやっても良い」というスタンスで、そういった取組みも「もっと実施されて良い」と僕らは思っているんです。
ほかにも弊社の取組みとしては『鉄拳』のイラストを募集して、応募して頂いたイラストを『鉄拳7』の「鉄拳ワールドツアー2023ファイナル」で紹介するキャンペーンを実施しています。
/#鉄拳 シリーズ
— 【公式】鉄拳8 @鉄拳プロジェクト (@TEKKEN_Project) November 13, 2023
ファンアート投稿キャンペーン🎨
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いつも素敵なファンアートをご投稿いただきありがとうございます🧑🎨
感謝を込めて1/12(金)-14(日)開催「#TWT2023 Finals」の配信中に一部の作品をご紹介📸
ハッシュタグ #tekken #fanart をつけて投稿しよう!✍️
※過去作品の再投稿もOK pic.twitter.com/w6KdwyE6eF
やはり僕らとしては「二次創作などのコミュニティが活性化してほしい」と考えているため、ゲーム本編の盛り上がりは勿論のこと、二次創作などを楽しむコミュニティを歓迎するシーンを作れれば良いなと思っています。(了)
この度の試遊ではシングルプレイ用のコンテンツのみをプレイさせて頂いたが、多彩な「初心者を導くコンテンツ」により、『鉄拳』シリーズの更なる盛り上がりを大いに予感させるものになっていたと言えよう。
初心者であり、対戦ゲームが苦手な筆者も安心して『鉄拳8』に足を踏み入れることができると確信した。格闘ゲームにハードルを感じている方も、ぜひ輝かしい“『鉄拳8』沼”へどっぷりと浸かりに行ってみませんか?