12月23日は『グランツーリスモ』第1作目が発売された日だ。
PlayStation用ソフト『グランツーリスモ』(以下『GT』)は、1997年12月23日にSCE(現・SIE)から発売されたドライビングシミュレーターだ。
レースゲームはゲーム的なデフォルメが当たり前だった時代に、山内一典氏の率いるポリフォニー・デジタル(※『GT』第1作目の発売後にSCEより独立)が開発した『GT』は、自動車メーカーのライセンスを取得して実車の挙動やグラフィックのリアリティを追求。『GT』以前にも実車の再現を目指したレースゲームがなかったわけではないが、『GT』はその再現具合が徹底されており、当時としては圧倒的にリアルな表現を達成していた。
レーシングカーや憧れの高級スポーツカーだけでなく、一般のドライバーにも身近な大衆車や過去の名車が収録されていた点も、『GT』の大きな魅力だった。現実の愛車をゲーム内で運転するといったことが可能になり、それにより多くの人が本物のドライビング感覚とゲーム内での挙動を比較して、そのリアリティを実感できた。
大きな話題を呼んだ第1作に続き、1999年にPlayStationでリリースされた『グランツーリスモ2』も大ヒットとなり、『GT』はPlayStationを代表するレースゲームブランドとして認知された。
プラットフォームがPlayStation 2、そしてHD画質のPlayStation 3へと進化することで、『GT』シリーズはゲームハードのグラフィック性能を示すベンチマーク的タイトルとなっていく。ファンの期待と注目がますます高まる一方で、収録される車種が膨大な数になり、かつ個々の車体がより詳細なグラフィックで制作されるため、新作の開発には長期間を要するようになる。
2007年にPS3でリリースされた『グランツーリスモ5 プロローグ』で、正式な製品としてはシリーズ初のオンライン対戦に対応。2017年にPlayStation 4で『グランツーリスモSPORT』がリリースされると、国際自動車連盟(FIA)と提携したeスポーツ大会「FIA グランツーリスモ・チャンピオンシップ」が開始された(2023年からは「グランツーリスモ ワールドシリーズ」として開催)。
実車の再現にこだわる『GT』では、自動車業界と密接な関係を続けている。PlayStation 2でリリースされた『グランツーリスモ コンセプト 2001 TOKYO』は、2001年の東京モーターショーに出展された各社のコンセプトカーや当時の最新車を、ゲーム内で乗りこなすことができるという内容だった。
また、シリーズ15周年を記念して2013年から開始された「ビジョン グランツーリスモ」と呼ばれるプロジェクトは、自動車メーカー各社が『GT』シリーズのために独自のコンセプトカーを開発して、ゲーム内で発表するというものだ。
さらに、2008年から開始された「GTアカデミー」は、『グランツーリスモ』のトッププレイヤーを現実のレーシングチームに招聘し、本物の国際レースを走るためのライセンス取得を支援するプロジェクトだ。GTアカデミーからは、F3やル・マン耐久レースに出場したヤン・マーデンボロー選手のようなプロレーサーが、実際に誕生している。
2022年にはPS5/PS4で『グランツーリスモ7』がリリースされた。2023年11月には新車種や新コースが追加される「Spec IIアップデート」が実施されており、『GT』は今なお進化を続けている。