ソニーインタラクティブエンタテインメントより、2024年2月8日(木)に発売されるPlayStaiton 5&PC向け協力アクションシューティングゲームの『HELLDIVERS 2』。プレイヤーは故郷であるスーパーアースを守るためのエリート兵士「ヘルダイバー」となって、自由と管理民主主義のために戦っていくこととなる。
ゲームの内容は、プレイヤー同士が争うシューティングゲームとは異なるものとなっており、最大4人でチームを組んで強力な敵と戦いながらミッションをクリアしていくタイプの作品だ。前作ではトップビュースタイルの作品であったが、ゲームの特徴は継承しつつも今回はTPSに変更されたことで、プレイスタイルも大幅に強化されている。
今回はリリースに先駆けて開催された、メディア向け先行体験会の様子をレポート。各メディアから筆者を含めた3名と、プレイサポートとしてソニー・インタラクティブエンタテインメントの稲垣健氏にご参加いただいた。90分ほどのプレイで3つのミッションを体験したので、プレイを通して見えてきた本作の魅力や特徴についてご紹介していく。
また、後半では開発を担当したArrowhead Game StudiosのCEO兼クリエイティブディレクターのヨハン・ピールステッド氏へのインタビューも実施しているので、そちらも合わせてぜひチェックしてほしい。
取材・文/高島おしゃむ
世界中のプレイヤーが協力していくことでストーリーがリアルタイムで進行
『HELLDIVERS2』はグローバルで展開される協力プレイ作品のため、ストーリーもリアルタイムで進んでいく。個別のプレイヤーごとに世界が用意されているというよりは、参加しているプレイヤーのプレイがゲーム全体に影響を及ぼすようなイメージだ。
ゲーム上に表示される宇宙空間のマップ上では、西側からは「オートマトン」と呼ばれるロボット軍団の侵略が始まっており、その反対側のエリアからは、「ターミニッド」と呼ばれる昆虫のようなエイリアンが故郷のスーパーアースに向けて攻めてきているという危機的な状況であった。
ゲーム画面に表示された「全体命令」には、「ムシどもが手に負えない状況だ。防疫惑星群まで押し戻し、ターニッド抑制装置を建設しなければならない」など、プレイヤーたちの現状を表したメッセージが表示されている。
また、本作ではエリアごとにいくつかの作戦が用意されており、中でも完了させなければいけない重要なミッションをクリアすることで報酬を得ることができるのだ。
挑戦するミッションを選択後、緊急脱出ポッドのような「ヘルボッド」を利用して、ミッションの目的地に向かう。ちなみに、挑戦するミッションのレベルは毎回自動で生成される仕組みとなっている。
出発前にプレイヤーが行わなければいけないことのひとつが、そのエリアのどこに降り立つのかを決めることである。たとえば、いきなり巨大な生物が潜む場所に降り立ってしまうと一網打尽になってしまう。そういった事態を避け、作戦を成功に導いていくためにも最初の一手であるこの選択はとても重要だ。
あわせて重要なのが、「戦略支援」の選択だ。戦闘中、頭上には自分たちを支援するための宇宙船が待機している。宇宙船からの武器の補充や上空からの攻撃などといった支援を最大4つまで選んでからミッションに向かうことができるのだ。
そうして指定したエリアに到着すると、そこは戦場のまっただ中だ。気を付けなければいけないのは、このゲームではフレンドリーファイア(同士討ち)ができてしまうことである。敵を撃っているときに、誤って味方を撃ってしまうということもあれば、不用意に要請した戦略物資による攻撃で、自分だけではなく味方にも大きくダメージを与えてしまうことがあるのだ。
体力が減ったときは回復することもできるものの、本作ではちょっとしたミスで比較的簡単に死んでしまう。その場合は、後ほど紹介する特別なコマンドを入力することで復活させることが可能だ。
続いて操作方法についてだが、攻撃に使用するボタンは一般的なTPSとほぼ同じとなっている。PS5ならばR2ボタンで銃を撃つことができ、L2でスコープを覗くことができる。また、コミュニケーションをするためのコマンドや、目的地がわかりやすいようにポイントにマークを付けるといったこともできるため、ボイスチャットなどがなくてもある程度は連携プレイが可能だ。
十字キーでコマンドを入力して支援物資の配給や仲間の復活が行える独特なシステム
このゲームの大きな特徴として、十字キーを利用したコマンド入力が挙げられる。イメージとしてはコナミコマンドの入力に近い感じだ。例えば戦闘で倒れてしまった仲間を復活させるときは、L1を押しながら「↑↓→←↑」を入力。出発前にセットした「戦略物質」を作戦進行中に呼び出すときも、項目を選んでから画面上に表示されているコマンドを入力していく必要があるのだ。
とくに敵に襲われているときではないタイミングならさほど問題はないのだが、大量の敵が攻めてきてパニック状態になると、なかなか思うようにコマンドを入力することができない。先ほどのフレンドリーファイアもそうだが、ミスも含めたワチャワチャしたプレイも本作ならではの特徴となっている。たとえば知らない人同士で遊ぶときは少し気を使ってしまうかもしれないが、友人同士で遊ぶときはちょっとしたミスは返って笑いを誘うような楽しいプレイになる。
最初に挑戦したのは、昆虫のようなエイリアンである「ターミニッド」が生息するエリアでのミッションだ。巨大な虫が大量に襲いかかってくるのだが、ノリとしては映画『スターシップ・トゥルーパーズ』を彷彿とさせる世界観になっているため、同作のファンなら作中で描かれた戦いに参加しているような気分になるかもしれない。
フィールド上には様々な施設やギミックがあり、場所によってはふたりのプレイヤーが協力しなければドアが開かないものもある。その中では様々な武器やゲーム内のメダルなどを集めていくことができるという、報酬のようなものが用意されている。また、フィールド上の光っている場所でも、武器やメダルなどを入手することが可能だ。そうした移動中の探索要素も、このゲームの特徴のひとつとなっている。
移動中は頻繁に敵に感知されて戦闘に突入することが多いものの、ミッションの目的は必ずしもそれらをすべて殲滅することではない。そのため、あえて戦闘を避けて移動するという「撤退」の判断も大切になってくる。大量の敵に襲われてしまうと対処が難しいというだけではなく、単純に弾切れになって継戦能力がなくなってしまうからである。
戦場は危険がいっぱいだが、本作ではフィールド上に咲いている花も危険因子となる。これらにうっかり触れてしまうと死ぬことはないものの。移動速度が遅くなってしまうデバフ状態になるので、注意が必要だ。
すべての目的を達成し、最後にそのエリアから脱出することでミッションが完了。しかし、脱出を果たすためには特定のポイントに移動して端末を操作し、シャトルを呼び出す必要があるのだ。シャトルの到着には2分間ほど時間が掛かるのだが、その間も大量の敵が押し寄せてくる。それらに備えるため、「戦略支援」で補給物資などを呼び出して、万全の体制で待ち受ける。そうしてシャトルが到着してハッチが開いたら、すかさず乗り込むことでミッションはようやく完了となる。
ミッション終了後に宇宙船に戻ると、様々なアップグレードを行うことができる。ミッション中に入手した様々なアイテムやサンプルを使うことで、戦略支援や宇宙船自体のアップグレードのほか、キャラクターの装備品の見た目やエモートなどを手に入れることもできる。
『ターミネーター』のような敵や巨大なバイルタイタンとのバトルにも挑戦
嬉しくも最初のミッションは難なくこなすことができたため、続いて少しレベルが上がったミッションに挑戦することになった。こちらに登場する敵は、ロボット軍団の「オートマトン」だ。「ターミニッド」の場合はいわゆる虫であるため、巨大な敵でも柔らかいものが多かった。しかし、この「オートマトン」はロボットだ。攻撃も強力で、ジャンプでこちらに向かってくるものもいる。だが、ロボットらしく腕や脚など個別のダメージを与えて破壊することである程度無力化することもできる。
今回挑戦したミッションは、マップ上にあるICBMを打ち上げて大打撃を与えるという作戦だ。ICBMを打ち上げるためには、マップ上にあるコードを入手する必要がある。無事ミッションの目的を達成すると、最後には派手な演出を目の当たりにすることができ、達成感もひとしおだ。
なんとかふたつ目のミッションも完了した後で、いよいよこの日の体験会のメインともいえる巨大な敵と戦うミッションに挑戦することになった。今回は虫のような姿をした「ターニミッド」の中でも最大種となる「バイルタイタン」に戦いを挑んだ。このバイルタイタンは、実際に目の当たりにすると明らかにほかのターニミッドと比較しても、何倍も大きなサイズで迫力満点。また、通常の武器は通用しないため、ミッションに出かける前に念入りに持って行く装備や「支援物資」なども吟味しておく必要があるのだ。
正直どうやって倒すのかわからないぐらい苦戦していたのだが、呼び出した戦略物資などにたまたまあったったのか、よくわからないうちに倒すことができた。その後脱出を目指したものの、シャトルが到着する前に押し寄せてきた大量のターニミッドに飲み込まれてしまい、筆者ひとりだけ乗り込むことができなかった。
ちなみに、その場合であってもミッション自体は成功したことになる。だが、途中で入手したアイテムなどの戦利品は手に入れることができない。
これにて今回の試遊はすべて完了となった。プレイして抱いたのは、戦えば戦うほどプレイヤー自身の知識が貯まっていき、それが次の戦いに活かされていくような作りになっているという実感だ。
実は今回のプレイ中、いくつものミスを犯してしまった。たとえば、「支援物資」を誤って呼び出してしまい、仲間全員にダメージを与えてしまった。だが、そのとんでもないミスも、オンラインでの協力プレイの場合はなぜか笑いが沸き起こる。そうしたところも、対人戦のオンラインゲームとは異なる、プレイヤー同士が協力して戦っていくゲームならではの楽しさだといえるだろう。
Arrowhead Game StudiosのCEO兼クリエイティブディレクター ヨハン・ピールステッド氏インタビュー
90分間にわたる試遊の後、Arrowhead Game StudiosのCEO兼クリエイティブディレクターのヨハン・ピールステッド氏にお話を伺うことができた。
──本作が誕生することになった経緯を教えていただけますか?
ヨハン・ピールステッド氏(以下、ヨハン氏):
自分たちが子供だった頃の様々な作品に影響されています。例えば映画の『エイリアン』や『ターミネーター』、『スターウォーズ』といった作品に触発されている部分はあります。
今回の『HELLDIVERS 2』が生まれた経緯としては、前作の『HELLDIVERS』を使ってカメラの位置を地面の位置まで下げてプロトタイプを作ってみました。そこで、自分たちがヘルダイバーの兵士になって現場にいる状況を作ったらどうなるんだろう?という夢からゲームを作っています。
──前作もそうですが、今作でもゲーム内でフレンドリーファイアができるようになっています。こちらを採用した理由を教えていただけますか?
ヨハン氏:
理由はふたつあります。ひとつは、ゲーム中の世界の信憑性にこだわったからです。世界観がサイエンスフィクションであってもファンタジーであっても、その世界に没入するためには敵をツーショットで殺せるならば、それを友人に向けても同じように倒すことができるところが大事だと思ったからです。
もうひとつの理由は、コメディ要素として間違えて友人を撃ってしまったときに、みんながわっと笑えるシーンが出てくるからです。それをとても大事にしました。
──本作はライブサービス型のコンテンツとして発表されていますが、どのようなサービスやコンテンツが今後追加されていくのでしょうか?
ヨハン氏:
私自身のこれまでのキャリアの中でも、ライブサービスに深く関わってきました。コミュニティと密接に会話をしながらゲームを進化させていくことがひとつ。それと同時に、ユーザーを驚かせたり喜ばせたりといった部分に注力し、開発者として責任を感じています。
スタジオとして、この先もずっとユーザーにとって優しいゲーム作りをしたいと考えています。今後、無料でゲームの世界を大きくしていきながら、「ウォーボンド」などを買い足すこともできます。もちろん本編のベースバージョンを持っていれば十分に遊べるような、充実したコンテンツを提供したいと思っています。今現在も開発チームでは、新たな目的やストーリーの進行を考えて制作中です。
──今無料でゲームを提供していくというお話がありましたが、有料のDLCやアップデートなどはないということでしょうか?
ヨハン氏:
購入可能なコンテンツとしては、「ウォーボンド」になります。ひとつの「ウォーボンド」には複数のページが用意されていますが、それをすべてアンロックしようとするとだいたい80時間ぐらいかかります。また、ゲーム内クレジットの「スーパークレジット」で新たな「ウォーボンド」を購入することもできます。スーパークレジットはゲーム内で拾ってアンロックしていくこともできます。
つまり、購入できるものとしては「ウォーボンド」がメインになります。そちらをみなさんが購入してくださることで、ゲームを長く開発していきながらユーザーと付き合いたいと思っています。
──HELLDIVERS 2』の開発はどのぐらい掛かったのでしょうか? また、開発中に苦労したところや印象に残っているエピソードがあれば教えていただけますか?
ヨハン氏:
実際の開発期間は8年ぐらいです。その中でいくつかチャレンジがありましたが、大きなものはふたつあります。
ひとつは組織としての成長です。前作の『HELLDIVERS』を制作したときは、15人の小さなチームでした。情熱的なメンバーと一緒に、楽しくゲームを作っていくことができました。しかし、今作を作っていくなかで、良いムードをキープするためにはしっかりとした組織になっていく必要がありました。そこが大変だった部分です。
もうひとつは、ゲーム要素です。ユーザーが協力プレイを遊びたいと思う気持ちを促すための仕組みが、すごく大変でした。強制的にチームプレイをさせるのではなく、みんなと一緒に遊んだほうが楽しいという雰囲気を作るために、いろいろと苦労しました。ゲームが難しければ難しいほど、友達と一緒に遊びたい作品に仕上がったと感じています。
──本作では十字キーを使ったコマンド操作が特徴となっています。こちらはどのような経緯から生まれたものでしょうか?
ヨハン氏:
非常にいい質問ですね。プレイヤーにシンプルでありながら、それぞれの状況の中でシンプルなタスクを提供したいと考えました。そのふたつを組み合わせていろいろとテストをしながら感じたことですが、銃を撃つところから十字キーの入力を切り替えるときに、戸惑ってしまう瞬間があります。その瞬間が、激しいゲームプレイとドタバタ感、カオスな雰囲気を作り出すと考えています。
――ちなみに、こちらの操作はどんどん複雑になっていくのでしょうか?
ヨハン氏:
難易度が上がっていくと、今まで覚えてきたコマンドが外部の影響で変更されたりアンロックされてしまったりということはあります。少し残酷に聞こえるかもしれませんが、逆に面白さが出てくると思います(笑)。
──他の作品にはない、『HELLDIVERS 2』ならではの特徴がありましたら、教えていただけますか?
ヨハン氏:
特に注力したもののひとつとして、ゲームの中がシステマチックな作りになっているところです。一見分かりにくいですが様々な仕組みが入っており、長い目で見るとコミュニティがそれを理解していくことができます。
たとえば、夜のミッションでは昼間ほど敵はよく見えません。また、「支援物資」を呼び出すと強いものに敵が集まってきます。このようにコミュニティ全体が経験を積んでいくことで、わかっていくようなシステムがたくさん仕組まれています。ほかにも、「オートマトン」を援護する飛行機を撃ち落とすこともできます。
ゲームの画面上では「全体命令」として書かれていましたが、ゲームマスターが状況によって「弾丸の供給ができない」とメッセージを出すといったような、コミュニティ全体に影響を及ぼすような要素も出てきます。
──本作では武器はどれぐらいのバリエーションがあるのでしょうか? また、新しい武器も追加されていくのでしょうか?
ヨハン氏:
とにかくたくさん準備をしています。社内には、武器のためのチームもおり、常に新しい武器や武器以外の様々なもの、購入できるものや無料のものなど、いろいろと考えて作っているところです。
──前作と同じく、仲間と協力しながら使う武器などもありました。スタジオのノウハウもあると思いますが、こうした武器はどんなところから発想を得たものなのでしょうか?
ヨハン氏:
私自身の兵役の経験から得たものが多いです。兵役中には複数人で扱う武器がたくさんありました。ひとりは抱えてひとりは発射するというように、協力しないとその武器を使いこなすことができないのです。そうした経験を、ゲームの中にも取り込んでいます。
武器だけではなく、ほかの場面でも協力が絶対に必要になる場面が出てきます。例えば、動きながら弾丸を発射すると散乱してしまうため、立ち止まった方が命中率は上がります。4人のグループならばふたりずつ移動し、残りのふたりが援護をしながら順番に移動していくことで、効率的に戦っていくことができます。特に難易度の高いゲームでは、チームをどのように使っていくのか、どんな戦略で動くのかというところも、非常に大事です。
──最後に本作の発売を楽しみにしている日本のファンに向けて、メッセージをお願いします!
ヨハン氏:
今作はグローバルな協力ゲームということで、みんながスーパーアースのために戦う作りになっています。たとえば、ストックホルムに来ていただければチームメイトに出会うことができます。時差の関係で、新たなイベントが発生したときに真っ先にそれを経験することになるのは日本のプレイヤーたちです。皆さんを頼りにしています。最前線として戦っていただきたいと思います。