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『スカーレットネクサス』ディレクター、なぜか女性キャラのコスプレで東京マラソンの42.195kmを完走する。心折れそうな時に支えてくれたのは、駆けつけた同僚や開発スタッフの応援だった──。

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僕はカサネになる

僕は昨年、スカーレットネクサスの主人公ユイトのコスプレで東京マラソンを走りました。

まさか今年も当選すると思っていなかったので、最初はどのキャラのコスプレをするか決められてませんでした。(コスプレするのは前提)
飲みの席でその話題になり、「テイルズ オブ アライズのアルフェン」という意見もあったのですが、「ユイトをやったのだから次はカサネしか無いだろう」という意見が強く、僕もそうかなと思い始めました。

こんなオッサンが女性キャラのコスプレをするのはイタ過ぎる。
最初はそんな風に考えてもいたのですが飲みの席の勢いも加わり、「イタいくらいの方が見た人に面白がってもらえそう」「どうせやるなら振り切った方が面白い」という考えに完全に切り替わりました。

こうしてスカーレットネクサスのもう一人の主人公、カサネのコスプレで走ることを決め、昨年、ユイトのコスプレ衣装を作成してくれたソウさんや同僚の三崎さんなどの協力で衣装制作が進みます。(感謝)

そして全ての衣装が揃ったのは、本番の3日前。
素晴らしいクオリティの衣装を身に纏い、カサネになった自らの姿を見てテンションを上げ、本番に臨みます。

『スカーレットネクサス』ディレクター・穴吹健児氏による東京マラソン完走の記録_003
(画像は穴吹健児氏のXアカウントより)

実際に走ってみた感想

東京マラソン当日、朝5時に起きて準備を進めます。
カサネになった父の姿に小6の息子は若干ひいていた気がしましたが、そんなことは気にしていられません。

僕は最後部のLブロックに入り、スタートの時を待ちます。
そしてスタート!……となってもLブロックの人間はまだ動きません。
38,000人ものランナーがいるわけですから、ブロックごとに少しずつずらしてスタートしていきます。

『スカーレットネクサス』ディレクター・穴吹健児氏による東京マラソン完走の記録_004
スタート場所に向かって移動するLブロックのランナー

マラソンには「グロスタイム」と「ネットタイム」というものがあり、「グロスタイム」は大会規定の号砲と同時にカウントされる時間で、「ネットタイム」は実際に自分がスタートしてからカウントされる時間となります。
ランナーが自分の記録として扱うのは、大体「ネットタイム」の方となります。

我々、最終Lブロックは号砲から30分遅れくらいでのスタートです。
僕はスタート台の小池百合子都知事とバッチリ目が合い、手を振られ、早くも振り切った目立つ格好で挑んだ恩恵にあずかります。

他のマラソン大会を走ったことがあるわけではないので比較は出来ないのですが、東京マラソンはとにかく沿道の応援がとてもあたたかいです。
見ず知らずの方が自分のことを応援して、手を振り、ハイタッチをしてくれます。
僕は出来るだけ応援パワーを貰えるように、沿道寄りを走ります。

この日、我々ランナーは東京の街で主人公になっている。
そんな高揚感に背中を押され、いつもより早いペースで走れているような気がします。

『スカーレットネクサス』ディレクター・穴吹健児氏による東京マラソン完走の記録_005
あたたかい応援の中、靖国通りを走る

そしていつもは車でしか通れない道を自分の足で走るというのも、非常に特別な感覚を得ることが出来ます。
新宿から水道橋、秋葉原、浅草と自分の足で踏破する事に達成感を覚えます。
僕は普段、門前仲町にあるバンダナイムコスタジオに勤めているのですが、いつも見ている駅前の赤札堂の看板が見えてきたときは、何とも言い難い非日常のシチュエーションに大きな感動が得られました。

また、ちょっとした坂道に差し掛かった時、物凄い人数が走っている様が見え、圧倒されると同時に「苦しい道のりを共に進む同志がこんなにたくさんいて心強い」という気持ちになれました。

『スカーレットネクサス』ディレクター・穴吹健児氏による東京マラソン完走の記録_006
ものすごい数のランナー

そんな東京マラソン。僕はカサネのコスプレで走っています。
コスプレしている人は沿道の方から声をかけてもらいやすいのですが、銀髪ロングのカサネは兎に角目立つので、沢山のお声がけを頂きます。

お姉さん頑張ってーー!
髪サラサラで綺麗だよーー!
何娘かな?頑張れーー!
エヴァンゲリオンかな?頑張れーー!
よくわかんないけどなんかすげーやつがいる!!

同じランナーからも「走りながら写真を一緒に撮ってくれ」と2回ほどお声がけ頂きました。
体感、昨年ユイトで走った時の2倍以上はお声がけ頂いたように感じます。
「イタいくらいの方が見た人に面白がってもらえそう」という考えは的中したようです。

そうこうしている内に30kmを通過。
応援パワーでいつもより頑張れてはいるものの、30kmの壁。しんどいものはしんどいです。

東京マラソンのコースは終盤、34kmを通過したあたりで日比谷公園から芝公園、田町駅前まで行って、同じ道を折り返して帰ってくるのですが、折り返し地点までが本当に遠くて辛い……
折り返して帰ってくるランナーがとても羨ましく、そっちの道に行きたいという気持ちなります……(-_-;)

そんな中、僕を支えてくれたのはやっぱり応援でした。
特に僕自身を応援しに来てくれている方。
スカネクの開発を共にしたトーセのスタッフがわざわざ京都から駆けつけてくれたり、会社の同僚がうちわを作って応援してくれたり本当に力を貰えます。

『スカーレットネクサス』ディレクター・穴吹健児氏による東京マラソン完走の記録_007
団扇を作って応援に駆けつけてくれた会社の同僚1
編集部注:『スカーレットネクサス』に登場する回復アイテムが印字されたうちわで応援されています
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団扇を作って応援に駆けつけてくれた会社の同僚2
編集部注:しれっと映り込むバンダイナムコスタジオ執行役員の樋口義人さん(写真左下)
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京都からわざわざ駆けつけてくれたトーセの仲間

そんな山王戦の三井寿のように周りに支えられた状況で、動かなくなった足が再び動き始めます。
最後の力を振り絞り、田町駅前で最後の折り返し。
行幸通りに入ると沿道の応援は最高潮となり、多幸感に包まれながらその時を迎えます。

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行幸通りの応援

5時間19分45秒(ネットタイム)。
決して誇れるタイムではありませんが、応援の力に支えられ、ボロボロになりながらも何とかゴールすることが出来ました。

なぜ、人はマラソンを走るのか?

なんでこんなアホみたいにしんどいことをするのでしょうか。
健康のため、自己研鑽のため、想い出作りのため。
人によって理由が違う部分はあるとは思います。

ただ1つ、間違いなく言えるのは、マラソンは他の何事にも代え難い達成感を得られるということです。
その達成感を糧に、今後の人生の様々な困難を乗り越え、毎日の瞬間瞬間を笑顔で生きるため、人はマラソンを走るのでしょう。

「一生に一回くらいマラソンにチャレンジするのも悪くないかも」

マラソンの魅力が少しでも伝わり、1人でもそんな気持ちになってくれれば幸いです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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東京マラソンと東京タワー

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