「カニの動画を作ってください」
ある日のことである。電ファミ編集部から突如、そんな話が降ってきた。
何を言っているのか分からないと思うが、私も意味がわからなかった。なぜカニ。エビでも、ヤドカリでもなく、なぜカニ…?
「あ、もしかして、知らないですか?カニって、人気コンテンツなんですよ」
……初耳である。
というか、そんなにカニが流行ってる世界、知らない。
「ほら『カニノケンカ』とか『Crab Champions』とか『Attack of the Giant Crab』とか、電ファミでも結構伸びてますし」
最強のカニを目指して戦う対戦アクション『カニノケンカ』の早期アクセス版リリース。『エース・オブ・シーフード』のnussoftの新作海産物ゲームhttps://t.co/cfWu0qCDkG pic.twitter.com/KU76yRTasv
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カニ界のチャンピオンを目指すため銃片手に旅をするシューティングゲーム『Crab Champions』がSteamにて配信開始https://t.co/IU0pD1Iq3q
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) April 3, 2023
島々を旅して敵を倒しながら最強のカニを目指そう。話題になった大量のカニが踊るMVの作者が開発を務める pic.twitter.com/AL6r7x75tU
怒れる巨大ガニとなって街を襲う『Attack of the Giant Crab』発売開始https://t.co/V5AMEZNzVS
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) January 30, 2022
2本のハサミを振り回し、海を汚す愚かな人類へ制裁を加えるアクションゲーム。目から放つレーザーや自己修復能力を備えたカニの前に人々は己の罪を悔いる。環境問題をテーマにした考えさせられる一作 pic.twitter.com/sk4DaHLSr6
…マジじゃん。
どれも3000リポスト超えで、『Attack of the Giant Crab』に至っては、1.2万リポストもある。
もしかしてカニって、ほんとに人気あるのか…?
「だから動画作ってほしいんですよ。蟹ゲー・オブ・ザ・イヤーとか勝手に決めちゃったりして」
蟹ゲー・オブ・ザ・イヤーて。
神ゲー・オブ・ザ・イヤーみたいに言うな。
なるほど、話は分かった。
それで、カニの動画を作りたいということか。事情を知ってみれば、確かに少し、気にならなくもない。
しかし…
「悩ましいんですが、ちょっと難しいと思います」
「え、なんで?」
「…だって電ファミのYouTubeチャンネルって、まだ登録者3000人くらいしかいないじゃないですか。そういう独自色の強いのコンテンツで勝負するのは、まだちょっと早いかなと。やるとしてもほら、いろんな先行プレイ映像とかを出して、もう少し登録者が伸びてからのほうがいいかなと…」
…というのが、いまから1年すこし前の話である。当時の私は電ファミの動画編集係に割り当てられたばかりで、まだ方向性が定まっていない電ファミのYouTubeチャンネルでいろいろな方向に手を出しては、痛い目を見たり、見なかったりしながら、その方針を探っている状態だった。
そして結局なんやかんやあって、そんな理由でそのカニの動画企画は没になり、海に帰っていったのだった。
……
しかし時は流れ、先月の話である。
「…実はいま、『DemoCreator』(デモクリエイター)と『Filmora』(フィモーラ)っていう動画編集ソフトのレビュー依頼が来てて、それでレビューと一緒に動画も一本作ってほしいんですよね、何かゲームの」
「何かゲームのって…」
「えぇ」
「それってつまり…アレとかですか?」
「ですね」
「…ということは、今こそあらためて…?」
「はい、カニの動画を作ってください」
というわけで今回は、Wondershare社より発売中の画面録画&簡易編集ソフト『DemoCreator』と、動画編集ソフト『Filmora』という二つのソフトのWindows版コードが届いたので、今回は動画編集歴16年の筆者が、おもにゲーム動画の録画・編集という観点からレビューを行っていく。
また、こちらを使って人気対戦カニゲー『カニノケンカ』シリーズの最新作『カニノケンカ・ニ』のゲーム動画も実際に作ってみたので、よければあわせて試聴してみていただきたい。
最初に一言言っておこう。この画面録画&動画編集ソフトたちには、補助輪が付いている…!
文・動画編集/司破ダンプ
※この記事は『Wondershare Filmora』『Wondershare DemoCreator』の魅力をもっと知ってもらいたいワンダーシェアさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
日本語チュートリアルも充実した画面録画&簡易編集ソフト『DemoCreator』
まずは『DemoCreator』から紹介していこう。『DemoCreator』は、PC画面の録画機能と簡易的な動画編集機能がセットとなったソフトだ。公式では初心者から中級者向けを謳っており、価格はWindows版の個人向け永続ライセンスが6480円、年間プランが2980円、またMacにも対応した年間プランが4480円となっている。
『DemoCreator』の特徴としては、とにかく初心者向けに特化した機能のわかりやすさが挙げられる。UIはシンプルにまとめられており、録画したいエリアの選択はドラッグだけで指定可能だ。また「ゲーム録画モード」を使えば、特定のウィンドウを指定して録画することも可能となっている。
また製品の使い方を動画で教えてくれるバーチャルアカデミーというコンテンツも充実しており、動画はそれぞれ合成音声ながら日本語吹替に対応。海外製のソフトの場合、チュートリアルビデオは存在していても英語のままだったりと不便が多いのだが、本製品のチュートリアルビデオはいずれも日本語で見ることができ、初心者にも優しい作りとなっている。
初めての人でも直感的に操作できる『DemoCreator』の録画モード
録画モードは、デスクトップ画面&音声、マイク音声、ウェブカメラ映像のそれぞれを別トラックとして録画可能なマルチトラック録画に対応している。録画したデータは後述する編集モードで編集可能なほか、即時書き出しをおこなうクイックエクスポートを使えば、すぐに一本の動画ファイル(mp4)としてまとめて書きだすこともできる。
録画設定については、フレームレートは15fpsから120fpsまでのプリセットから任意で選択でき、エンコーダーはAVC/H.264またはFast JPGからそれぞれ低・標準・高のプリセットが選択可能だ。
このプリセットの録画品質に関しては明確なビットレートの記載はないのだが、せっかくなので録画したデータを動画分析ソフトの『MediaInfo』でチェックしてみたところ、いずれもクイックエクスポートを利用して出力したmp4の場合で、AVC/H.264の低品質が映像10000kbps、標準品質が12000kbps、高品質で20000kbpsとなっていた。
なお本製品では撮影範囲=撮影した動画の解像度となるのだが、この範囲を変えてもビットレートに変化はなかったため、低・標準・高品質のそれぞれで解像度に関わらずビットレートは固定となる仕様のようだ。
ちなみに今回撮影をしていて気付いたのだが、録画時にデスクトップやマイクなど複数のソースを録画する場合には、基本的にクイックエクスポートは選ばない方がよさそうである。
というのも、クイックエクスポートを選択して録画を始めた場合、録画したデータはデスクトップ、マイク、ウェブカメラの映像や音声が自動的に一本の動画にまとめられてしまい、後述する編集モードに持っていっても、あとから細かい編集が利かなくなってしまうためだ。そのため基本的には、録画後は編集ツールを開く通常の運用をするのがよさそうに感じられた。
簡易的な編集ができる『DemoCreator』の編集ツールモード
『DemoCreator』の編集ツールモードでは、録画モードで撮影したデータや手持ちの動画等を利用し、各トラックを自由に編集可能だ。本格的な編集ソフトと比べるといくぶん簡易的ではあるものの、字幕の追加や各種エフェクト、音声素材なども用意されており、ちょっとした編集ならばじゅうぶん事足りるものとなっている。
また別途追加課金が必要にはなるが、編集モードには追加エフェクトの利用や、自動字幕起こしといった機能も用意されている。なかでも字幕起こし機能は、インタビューや会議のような録画映像を編集する場合、実際に使ってみると非常に便利な機能なので、あまり手間をかけずに編集を完結させたいという場合には選択肢に入ってくるだろう。
ちなみに本製品を使ってデスクトップ画面やマイク音声などをまとめて録画し、そのデータを『DemoCreator』とは別の編集ソフト上で編集したいという場合には、少々コツが必要になる。
というのも本製品はマルチトラックオーディオの録音(デスクトップやマイク音声を別々のトラックに分けて録音)には対応しているものの、録画時のデータは.dcrcという本製品用の独自形式で出力されるようになっており、編集モードなどからデータをmp4などの一般的な形式であらためてエクスポートする際には、音声は強制でシングルトラックにまとめられる仕様となっているためだ。
このため本製品では、マルチトラックオーディオを収録したmp4などの一般的な形式のファイルを直接出力することはできなくなっており、別の編集ソフトにデータを持っていきたい場合には、一度本製品の編集モードで各トラックの音声をそれぞれmp3などでエクスポートし、あらためて目的の編集ソフトで読み込むといった手順が必要となってくる。
本製品のこの仕様は、ターゲットである初心者や中級者に混乱が生まれるのを避けるため敢えてこのようにしていると考えられるが、公式サイトにある「マルチオーディオトラックで好きに編集」という説明をパッと見ただけでは想像しにくい仕様ともいえるだろう。『DemoCreator』による録画をする場合は、やはり編集も含めて同じ『DemoCreator』上で完結させるのを前提とするのがよさそうだ。
総じて本製品は、動画を撮影したことのない初心者でも直感的に操作しやすく、また詰まらずに扱えるようにチュートリアルなどの機能もよくまとめられた、入門用にちょうど良い画面録画&編集ソフトといえるだろう。ややこしい設定をせず、「とにかく手早く録画してみたい!」という方に特におすすめしたい。