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急にカニの動画が必要になったので、画面撮影ソフト『DemoCreator』と動画編集ソフト『Filmora』で蟹ゲー『カニノケンカ・ニ』の動画を実際に作ってみた。初心者でも扱いやすく「これからはじめる」クリエイターにオススメの一品

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多様な機能を備えつつも、初心者でも扱いやすく調整された動画編集ソフト『Filmora』で実際に動画を作る

さて、続いては今回のメインディッシュともいえる動画編集ソフト『Filmora』についてレビューしていく。『Filmora』は先ほどの『DemoCreator』とは異なり、最初から動画編集に特化して作られたソフトだ。

本製品は有料の動画編集ソフトとしては比較的安価ながら多様な機能を備え、かつ初心者でも扱いやすいように機能が調整されている。『DemoCreator』の編集モードと比較しても、エフェクトや調整できる項目などが大きく広がっている。

価格は4月8日までの新生活応援セール限定価格で、Windows版の個人向け永続ライセンスが8980円、年間プランが6980円、Mac、iOS、Androidなどにも対応したマルチプラット年間プランが7980円となっている。

画面撮影ソフト『DemoCreator』と動画編集ソフト『Filmora』で蟹ゲー『カニノケンカ・ニ』の動画を作ってみた_008
『Filmora』の編集画面。なお本製品には『DemoCreator』から出力される.dcrcファイルとの互換性はないため、あちらで撮影した動画を扱うにはmp4などでエクスポートしてくる必要がある

今回はこの『Filmora』を使って、人気対戦カニゲー『カニノケンカ・ニ』の動画を実際に作ってみたので、編集時の感想を踏まえて本製品の特徴を伝えていこう。

視覚的にも分かりやすく、丁寧に作られている『Filmora』の機能の数々

まず全体の機能としては、カットや字幕付け、トランジション効果など動画編集に必要な機能は当然一通り揃っており、かつ初心者でも比較的扱いやすいようにまとめられている。動画用の素材は画面左上のメディアライブラリにまとめられており、ここから素材や各種エフェクトを選択して、クリップ(オブジェクト)をタイムライン上に配置することで編集を進めることが可能だ。

また本製品では再生ヘッド(現在位置を示す赤いバー)とクリップの分割を行うボタンが一体となっており、直感的にカット編集を進めやすいのも特徴となっている。このように視覚的に分かりやすい点は、編集初心者には嬉しいポイントだろう。

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再生ヘッドと分割ボタンは一体化しており、初見でも使い方がわかりやすい。ちなみにこの分割ボタンは設定でON/OFFが可能だ

また音声波形を見ながらの編集機能や、その場での画面や音声の録画・録音機能、音声のノイズ除去、クラウド上での編集ファイルのバックアップ機能、クリップを動かす際に他のクリップの端に自動で配置をフィットさせる機能のON/OFFなどなど、諸々使いやすい機能も多数搭載されている。このあたりの機能については、さすが有料ソフトといった感じの充実っぷりだ。

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赤枠で囲ったアイコンがONになっていると、クリップを移動させた際にそのクリップが自動で他クリップの端にあわせて吸い付くようになる

また字幕関連では、トランジション効果とは別に字幕専用のアニメーションも用意されており、これを設定することで字幕のフェードイン/アウトなども簡単に設定可能だ。

今回の編集時には、筆者はシンプルなフェードを行う「フェードイン1」の存在にずっと気づいておらず、ずっとトランジション効果でフェードイン/アウトを設定していたのだが、こちらを使う方がおそらくより簡単に作業を進められるので、字幕のフェードアニメーションを設定する際には活用してみていただきたい。

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字幕用のアニメーションでは「フェードイン1」がシンプルなフェードインで、「フェードイン2」が文字の揺れを伴うフェードインとなっているのだが、編集時はフェードイン2しかないと思い込んでいた。(一覧では2の方は文字が省略されて「フェードイン…」と表示されるため)今後の編集の際には活用したい

このほか別途追加課金が必要になるが、購入したAIクレジットを消費して、AIによる画像生成やBGM生成をするといった機能や、月額課金にて効果音やBGM、演出のテンプレートといった素材が使い放題となるFilmora Creative Assetsという連携機能も存在する。

もちろん自分で用意した素材を使うことも可能だが、編集のために毎回フリー素材などを集めてくるとなると利用規約を調べるのも意外に大変だったりするので、そういった手間を省いて編集に集中したい場合には役に立つだろう。

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Filmora Creative Assetの料金プラン

ちなみに複数のオーディオトラックを持つマルチトラックオーディオで収録された動画ファイルの編集については、少々変則的な手順が必要ではあるが対応している。

本製品はドラッグ&ドロップだけでそのファイルの各オーディオトラックをタイムラインに並べるような機能はないものの、各ファイルで使うオーディオトラックを切り替える機能が搭載されているため、トラックを切り替えながら素材をタイムライン上に配置していき、その後不要な映像を分離してタイムライン上から削除するという方法を取れば、実質的にマルチトラックオーディオを読み込んでの編集が可能だ。

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マルチトラックオーディオで収録されているファイルは、メディアライブラリ上で素材を右クリック→オーディオトラックから使用するオーディオを選択できる

また他の動画編集ソフトとの比較という形で見ていくと、映像や画像のクロップ(切り取り)機能が、素材の上下左右を削るのではなく範囲選択式になっており直感的におこなえる点や、字幕の内容がしっかりとタイムライン上のクリップにも表示される点、オブジェクトの配置を座標指定ではなくプレビュー画面上でドラッグして直接配置を変えられる点などは、とくに使い勝手が良いと感じられた。

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絵画像や映像のクロップ(切り取り)は範囲指定式で、非常に直感的に操作できる
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字幕クリップにはしっかりと字幕の内容まで表示される
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オブジェクトの表示位置は座標指定だけでなく、プレビュー上でドラッグして直接移動させることが可能だ。また選択中のオブジェクトを、他オブジェクトの縦横の同軸上にフィットさせてくれる機能もある

さらに今回は編集中にPCがフリーズしてしまい、「編集データを飛ばしてしまった……!」と思った場面があったのだが、こちらは『Filmora』を起動しなおすと直前の編集状態が自動バックアップされており、すぐに前の状態に復旧することができた。こういった補助機能がある点も非常に心強い。

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タスクキルして自動バックアップからの復帰を再現した様子

『Filmora』は“初心者にとっての扱いやすさ”を重視しているためか、かえって操作のクセが強いと感じる点も…?

一方で、本製品には少々クセの強い点も見受けられる。なかでも特徴的なのは、再生ヘッド(現在位置を示す赤いバー)の移動方法だ。ほかの動画編集ソフトの場合、再生ヘッドの位置を操作したい場合には、タイムラインの上部にカーソルを合わせてドラッグをすればそのまま自由に動かせるというのが一般的な作りだ。実際、先ほど紹介した『DemoCreator』の編集モードでもそのような操作が可能となっている。

しかし『Filmora』では、タイムラインの上部をドラッグした際の操作には「タイムラインの拡大・縮小」が割り当てられている。

ドラッグでなくクリックした場合にはその場所に再生ヘッドが移動してくるため、そこから再度ドラッグすれば再生ヘッドの位置は動かせるのだが、このクリック→ドラッグという二手を経て再生ヘッドが動かせる、というのは少なくとも筆者が7~8種の動画編集ソフトを触ってきた中でも初めての経験で、非常に独特なつくりに感じられた。

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タイムライン上部にカーソルを合わせた際の操作にはタイムラインの拡大・縮小が割り当てられており、 再生ヘッドを移動するには前述の方法を取るか、再生ヘッドを直接ドラッグする必要がある

この操作方法に関しては設定画面でもとくに変更することはできないようで、本製品を触っていくならば慣れるしかない要素のようだ。しかし再生ヘッドの移動というのは動画編集のなかでも最も頻繁に行う操作であり、そういった操作に毎回二手かかるというのは、少々じれったい。

操作が一手で済む他のソフトと比べると毎回0.5秒ほどの時間が追加でかかる形であり、これが積み重なると馬鹿にできないくらいの時間消費になってくる気がしているので、これについては将来的に設定を選択できるような機能を望みたいと感じた。

また操作回りでいうと、複数のオブジェクトをまとめて操作する時の挙動については少々弱いように感じられた。たとえばクリップを連続選択したいときにドラッグ操作やCtrl+クリックで連続選択することはできるのだが、離れた場所にある複数のクリップをCtrl+ドラッグ等でまとめて連続選択を繰り返していくといった操作はどうやら本製品ではできないようだった。

このほかにもクリップをグループ化した状態で分割した際に、分割したグループがふたつに分かれることなくひとつのグループのままとなってしまう点なども、同じく少々扱いにくさを感じた部分となっている。こういった場合には、カットしたクリップはその前後でふたつのグループに分かれてほしく感じた。

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複数のオブジェクトをまとめて操作する時の挙動は少々弱く、グループを分割しても前後で二つのグループに分かれない点などは少し気になった

複数のオブジェクトをまとめて操作する時の挙動は少々弱い

また、これは人によって良し悪しが変わってくるポイントかもしれないのだが、筆者としては結構気になったポイントとして、本製品にはクリップの端をドラッグして尺の調整を行おうとする際、そのクリップが他のクリップに被るように伸ばすことができない、という仕様がある。

今回作った動画では、合成音声ソフト『VOICEPEAK』で出力したセリフに合わせて字幕をつけていったため、セリフに合わせて字幕の表示タイミングをこまかく調整していく必要があった。しかし本製品では前述のとおり、他のクリップに被せるようにクリップを伸ばす操作ができなくなっているため、同一タイムライン上に配置した連続した字幕クリップA、BのうちのAの長さを伸ばしたいという場合には、

1.まずBの字幕を後ろの方へ移動させ、
2.その後にAの尺を伸ばし、
3.BをAに隣接するように戻して、
4.Bの終点を調整する

という四手をかける必要があった。

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「戦いののちには~」の字幕をもう少し左に伸ばしたいのだが、ほかのクリップに被るように移動できないため、操作に少々手間がかかる

しかし、もしここで他のクリップに被せるような調整ができるなら、Aの尺をBにかかる形で伸ばすだけなので、必要な手順は一手のみで済むことになる。

筆者の場合は今回『Filmora』のこの仕様のために、編集にかえって手間がかかってしまう形となった。とはいえ、この意見は経験者ならではのものとも考えられる。なにしろ初心者からすれば、クリップを他のクリップに被るように伸ばせないのは、編集中にうっかりクリップを上書きしてしまわないための配慮がされていて良い、という見方もできるためだ。

そのためこの部分については人により良し悪しが変わってくるのかもといった感じなのだが、できればここも設定で変更できるようになってくれれば、筆者のような経験者にはありがたいと感じた。

総じて『Filmora』は、補助輪つきの自転車のようなイメージで、とにかく転ばないことを第一に作られているという動画編集ソフトという印象を受けた。

本製品は明確に初心者向けとは公式からは明言されていないものの、直感的なビジュアルや最初から潤沢に揃っている素材、初心者がミスを起こしにくい構造といったものをしっかり備えており、はじめて動画編集にチャレンジする人のことを強く意識した、どちらかといえば入門者におすすめしたいソフトという印象だ。


というわけで今回は、画面撮影&簡易編集ソフト『DemoCreator』そして動画編集ソフト『Filmora』のレビューをそれぞれお送りしてきた。

経験者目線で見ると、それぞれ少々融通が利かない部分もあるにはあるのだが、そのぶん初心者には扱いやすいような調整・機能の充実がはかられており、これから動画クリエイターを目指したいという方にとっては、悪くない足がかりの一本となってくれるのではないかと思う。

なお今回紹介した『DemoCreator』、『Filmora』の各製品には無料版も存在しており、それぞれいくらかの機能制限はあるものの、お試しで使うには十分な機能が揃っている。まずはこちらをダウンロードしてみて、一本動画を作ってみるというのも悪くないだろう。

『DemoCreator』および『Filmora』は現在発売中だ。今回のレビューが、あなたの動画クリエイターへの道の、あるいはカニ道への一助となれば幸いだ。


今回製作した『カニノケンカ・ニ』の動画はこちら!

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ライター
85年生まれ。『勇者のくせになまいきだ。』シリーズの代表的プレイヤーとして名を馳せたツルハシの化身。 10代の頃、メックシューターゲーム『ファントムクラッシュ』とその続編『S.L.A.I.』の世界にハマり、 ディスプレイ越しに見た2071年に帰るべく日々を生きる。TCGとボードゲームも好物。
Twitter:@Dump29

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