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『ペーパーマリオRPG』のリメイクが “どれだけヤバいか” を語らせてほしい。1作目からリアルタイムで追ってきたマリオファンが、『ペーパーマリオ』シリーズの刺激的すぎた「激動の歴史」を振り返る

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限界まで攻めた『ペーパーマリオ オリガミキング』

『ペーパーマリオ』シリーズ6作目は、2020年にNintendo Switchで発売された『ペーパーマリオ オリガミキング』(以下、『オリガミキング』)。

前作『カラースプラッシュ』のゲーム内容は風向きがいい方向に変わってきたことを感じさせるものだったが、どんなに面白い内容でも『スーパーシール』に似ているというだけで遊ばない層は厚かった。

しかし混沌が続いた本シリーズは『オリガミキング』により見事な復活を果たす。本作はファン達から愛される人気作となり、売上もシリーズ最高クラスまで回復している。

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オリガミとの抗争を描くシリーズ6作目

まさかの一発逆転だった。なぜここまで人気が返ってきたのだろうか。

理由はいろいろ考えられるが、まずファンに受けたのは「色濃くなったシナリオ」だろう。開幕からいつもと違う怪しい雰囲気のピーチ姫が登場したと思えば、マリオを突き落とす。そんな衝撃映像が初報で公開されたのだから、SNSでは大バズり。

すでにNinteno Switchが人気ハードとなっていたことも重なり、多くのユーザーの注目を集めていた。

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最初の掴みはバッチリ

そして本作の世界は久々にダークだ。突如として現れたオリガミの勢力によりクッパ軍団が次々とオリガミ兵へと変えられていくのだが、なんとオリガミに折られた者は二度と本来の姿には戻れない。最初に登場した恐ろしい雰囲気のピーチ姫も、オリガミに折られていたのである。

最初から強烈なホラー設定が登場するのだから、ワクワクが止まらない。

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オリガミ兵にされると終わりの世界

そしてそんな世界を一緒に冒険するのが、久々に帰ってきたなかま達だ。本作では『マリオストーリー』や『ペーパーマリオRPG』のように、なかまがマリオの後ろをついてくるシステムが復活。過去作と異なり舞台が変わればキャラも変わるのだが、バトルにも参加し、テキストも大量に用意されている。

そのうえで、いままでの「なかま」という存在を逆手にとった恐ろしいギミックも用意されており、その演出は多くのプレイヤーの心を揺さぶったことだろう。

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なかまだと思っていたら……?

さらに、オリジナルキャラや住民、敵キャラなどにもかなりのテコ入れがなされていた。まずクッパが敵ではなくマリオ達の味方ポジションだった。悪役を担当するのはオリジナルキャラの「オリー王」で、今回の相棒ポジションである「オリビア」の兄。

久々にオリジナルキャラ同士のストーリーが繰り広げられる為、過去作からのファンには刺さる内容だろう。

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相容れない妹と兄の物語が展開される

住民は変わらずキノピオが中心だが、それを逆手にとった設定やゲームデザインもなされており、納得感はグッと上がっている。いたるところで酷い仕打ちを受けていたり、中には変なセリフを発していたりと、ついつい触れあいたくなってしまう。

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キノピオ達のセリフを見るために助けているまである

そしてクッパ軍団が味方ということもあり、いつもの敵キャラ達が住人ポジションに回っているのもおいしい変更だ。敵キャラの種類だけNPCのバリエーションが豊かになっている為、『スーパーシール』や『カラースプラッシュ』のようにキノピオ一色にはなっていない。

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スパーランドで掃除をさせられるクッパ軍団の姿も……

そのうえでボス達も非常に魅力的だ。いままでマリオが使用していた「モノ」がまさかのボスとして登場するのだが、彼ら「ブンボー軍団」はそれぞれが強烈なキャラ付けをされており、これまた刺さる人にはとても刺さる。

たとえば「ハサミ」は楽しそうにクッパ軍団を切り刻み、それらを貼り付けたモンスターを仕掛けてくるサイコっぷり。見た目はただのモノなのだが、それを活かしたイカれたキャラクター性が、プレイヤーの心を大きく揺さぶる。

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タスケテ…タスケテ…

また、魅力的なのはシナリオやキャラだけではない。本作の冒険の舞台はこれまでよりも大きくスケールアップし、シリーズで最もフィールドが広く立体的な構造になっている。

その上でワールドマップは廃止され、久々に全てが繋がっているような世界に戻っているのだ。移動が苦にならないような工夫も施されており、テンポ感も損なわれていない。フィールドデザインも非常に魅力的で、どれも目を奪われるような光景だ。

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特に序盤で訪れる「モミジ山」は紅葉がとても美しく冒険のワクワク感を高めてくれる

BGMも非常に高く評価されており、なんとバトルBGMがエリアごとに変化するようになっている。同じ章内でもエリアを移動すれば別アレンジとなる為、次はどんなバトルBGMが聴けるのかとワクワクが止まらない。この贅沢な仕様はリメイク版『ペーパーマリオRPG』にも引き継がれる形となったようだ。

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『オリガミキング』はBGMの評価も非常に高い

バトルは新感覚のパズル性が強いものに変化していた。バトルフィールドにはマス目が存在し、それらを回転させ敵を揃えることができれば一網打尽にできるというシステムだ。

パズルが苦手な筆者には後半の難易度がやや厳しいが、コインを観客たちに投げれば自動で成功させてくれるので、新感覚なだけでなく誰でも遊べるバランスに仕上がっているのも素晴らしい。そして「カミさま」という要素を駆使したド派手な戦闘は、今までにない爽快感抜群な内容になっている。

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もはやポケモンバトルみたい?

何よりも筆者が感動したのは、シリーズファンが求めていた要素が詰め込まれていたことである。『スーパーシール』や『カラースプラッシュ』ではいつもの既存のマリオキャラしか登場せず、『ペーパーマリオRPG』の「クリスチーヌ」のようなクリボーがいない。おそらく何らかの理由で既存のマリオキャラは改変しないという方針なのだろう。

しかし本作でなかまになる「ボムへい」は相棒のオリビアから「ボム平」さんと呼ばれており、見た目も導火線を失った姿となっている。つまりシリーズファンが求めている「改変されたマリオキャラ」という存在が結果的に描かれているのである。

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彼はボムへいであり、「ボム平」さんなのだ

このようなファンサービスが随所に見られる点も、多くのファンに愛されている要因だろう。制約があるなかでここまでやってくれるのかと、筆者もクリアした時には感謝の気持ちでいっぱいであった。

だからこそ「最近の『ペーパーマリオ』シリーズはちょっと……」と思っている方に、本作を手に取ってもらいたい。きっと楽しめる要素がたくさんあるはずだ。

そして再び『ペーパーマリオRPG』のトビラが開く

2024年5月23日。ついに『ペーパーマリオRPG』がリメイク版となり我々の元に帰ってきた。

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(画像はペーパーマリオRPG ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)より)

今でも夢のようだ。
もうRPGのペーパーマリオは帰ってこないものだと諦めていた。『スーパーペーパーマリオ』以降も面白いペーパーマリオが出続けていたのだから、もう変にRPGにこだわらず踏ん切りをつけて楽しもうという心構えだった。

なのに……。令和になってRPGのペーパーマリオがもう一度遊べる。全世界で絶賛された最高傑作と名高い『ペーパーマリオRPG』が帰ってきた。

長年ペーパーマリオを追い続けてきた筆者からすれば、奇跡のリメイクだ。RPGを離れて以降、こんなにも激的な変化を遂げてきたマリオシリーズは、ほかに見たことがないのだから。

『オリガミキング』のその先はまだ未知数だ。また新しいペーパーマリオが現れるかもしれないし、根強い人気があるRPGの路線に戻るかもしれない。もしかしたら今回のリメイクの人気を確認してから未来が決まるのかも。

我々はまだ何も知らないし、知らないからこそワクワクが止まらない。これまで何度も驚かされている『ペーパーマリオ』シリーズに関しては、特にそうだ。

まずはリメイク版『ペーパーマリオRPG』で、旧友であるクリスチーヌ達と久々の冒険を楽しむことにしよう。また彼女達に出会えることに感謝しながら、この記事の執筆を終えたい。最後にひと言だけ、

『ペーパーマリオ』シリーズはいいぞ!

© 2001 Nintendo. Game by INTELLIGENT SYSTEMS.
© 2004 Nintendo. Game Developed by INTELLIGENT SYSTEMS.
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ライター
生まれた時からマリオが大好きなマリオファン。年がら年中マリオの話をしている。20代のサラリーマン期間を経て現在はYouTubeチャンネル「ロジー&マリオファンの集い」を運営中
Twitter:@7Roggie
編集部
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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