7月28日、冬には雪が数メートル積もることもある山間の町、長野県飯山市にあるマウスコンピューター飯山工場にて、マウスコンピューターの主催する「親子パソコン組み立て教室 2024」が開催された。
「世界に一つだけのマウスコンピューターを作る」ことをコンセプトに2009年から開催されている本教室の対象は、全国の小学校6年生。飯山市内はもちろん、遠くは滋賀県や香川県などからも参加者が集まり、昨年の倍となる60組の親子が参加した。
開会式では、マウスコンピューター代表取締役社長の軣(とどろき)秀樹氏、本教室の開催に協力した飯山市副市長の伊東ゆかり氏が登壇。「ものづくりの楽しさを感じてほしい」、「夏休みの楽しい思い出を作ってほしい」とコメントした。
子どもたちが、自分の力で自分だけのパソコンを組み立てた本教室。本稿では、その模様をレポートする。
倉庫でマップをもとにパソコンパーツを探す、「宝さがし」からスタート
さて、開会式では「親子パソコン組み立て教室」の校長である高橋和樹氏も登壇し、体操のおにいさんのような語り口で、子どもたちの入学をお祝い。「みんなで作ろうパソコンマウス!」の掛け声とともに、組み立て教室がスタート。参加者に個別にマウスコンピューターのスタッフが付き、プログラムが始まった。
最初のプログラムとして行われたのは、実際に組み立てるパソコン部品のピッキングと各種パーツについての説明。
ピッキングでは、それぞれが組み立てるパソコンのパーツ、“宝” のありかが書かれた地図が子どもたちに渡され、20分間という制限時間の中で、マウスコンピューター倉庫内の捜索が進められた。
倉庫内は連日続く猛暑により高温に達していたが、参加者たちは、教室から支給された冷やしタオルを首に巻きながら楽しそうに倉庫を探索し、部品を集めていた。
今回のパソコンの組み立てに使用するパーツの説明プログラムでは、マザーボードやCPU、メモリといった各種パーツの機能と取り扱い上の注意点などが解説された。それぞれのパーツの役割が、子どもたちにも分かりやすい勉強で例えられているなど、パソコンへの理解を深めるための工夫が随所にみられる学習の場となっていた。
実際の組み立ての前に、親子でトライアル。理解度にあわせてパソコン組み立てを予習
入念な事前説明が終わると、ここからはいよいよ本格的な組み立て作業のプログラムへ。
ただ、パソコンの組み立ては非常に難しい作業であるため、ぶっつけ本番ではなく、実際の組み立て作業の前に「親子トライアル」という練習時間が設けられた。
組み立て作業は、各生徒さんの机に設置されたモニターにマニュアルが表示されており、それに従って作業をしていく形で進められた。生徒さんたちは、それぞれの理解度や熟練度に合わせたスピードでトライアルを進めることができ、親子で相談しながら組み立てていく様子も見られた。
このトライアルで設けられた制限時間は、15分。残り時間が5分になったところで先生たちも積極的なサポートに回り、全員で協力して部品を作り上げていた。
このトライアルは審査対象となり、組み立てられたパーツや取り組みの姿勢によって、「工場長賞」、「飯山賞」、「親子で協力していたで賞」といった賞の表彰が行われた。
受賞者には賞品として、マウスコンピューターのマウスやキーボードだけでなく、牛乳かりんとうや雪んこそば ゴールド、おへりょパイなどといった飯山市の名物も贈られた。飯山市に馴染みのない方にはピンとこないかもしれないが、近隣の市に住むものの目には、かなりの豪華賞品に映るラインナップである。
親子の協力で、1時間ほどでパソコンが組み立てられていく
トライアルの後は、ついに本番の組み立て作業。
「親子パソコン組み立て教室」の参加者の皆さんは、マウスコンピューターWEBサイトで販売しているパソコンの中から好きなモデルを事前に選んでおり、それに応じて部品を組み立てていく。なお、今回の参加者の希望は、デスクトップパソコンとノートパソコンがちょうど半々くらいであったとのこと。
今回、取材させていただいたのは午後の部であったが、午前の部の苦戦ポイントとして挙げられていたのが、無線LAN。パーツ説明でも組み立ての際の注意点が入念に伝えられており、注意深く熱心に作業をする姿が見られた。
生徒さんたちは、先生のサポートを受けながら作業を進めていく。時には親御さんも参加し、協同でものづくりに励む様子も見られ、みるみるうちにパソコンが組み立てられていった。
作業開始から1時間ほど経過すると、ノートパソコンを組み立てていた生徒さんを中心に、続々とパソコンが完成。
ノートパソコンは作業机で、デスクトップパソコンはモニターに接続して、起動確認が行われた。自分の組み立てたパソコンが無事に起動することが確認されると、各所で歓声や拍手が沸き起こっていた。
起動確認が終わると、生徒さんは修了の証として、高橋校長から卒業証書を受け取っていた。
親子トライアルの表彰もこのタイミングで行われ、受賞したご家族から驚きの声があがる姿も見られた。
卒業証書の授与によってプログラム自体は終了したが、パソコン組み立ての作業はこれで終わりではない。完成したパソコンは、生徒さん自身の手によって段ボールで梱包された。これらのパソコンは、そのまま持ち帰るか、宅配で自宅に届けるかを選択できるとのことで、丁寧に作業が進められていた。
段ボールへの梱包、画竜点睛の作業を終え、晴れて「親子パソコン組み立て教室」は終了となった。
こうして幕を閉じた「親子パソコン組み立て教室」。各所で「先生の教え方が分かりやすかった」といった声が聞かれ、家で帰りを待つ家族に「楽しかった!」と、電話で報告をする姿も見られた。
参加している子供たちだけでなく、親御さんの笑顔も絶えず、見ているだけでも心があたたまる “ものづくり” の楽しさが伝わるイベントとなった。興味のある方は、開催の暁には是非とも参加してみてはいかがだろうか。
また、マウスコンピューターの軣社長は、囲み取材に対し、「品質は当然のこととして、お客様のニーズに応えながら、国内企業として “ものづくり” の意義を考えていきたい」とコメント。ゲーミングPCについては、「ゲーミングPC市場は激戦区だが、ゲームショウへの出展なども積極的に行い、周囲の力を借りながら、付随するサービスや製品の魅力で戦っていきたい」と語った。
今後のマウスコンピューターの動向にも注目していきたい。