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『ダンジョン・ストーカーズ』は“とにかく遊びやすい”ダンジョン脱出PvEvPだった。本番に備えてPvEモードで「練習」できたり、死んでも少しだけアイテムを持ち帰れたりと、かゆいところに手が届く親切設計が光る【gamescom2024】

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とにかく遊びやすく、ありがたい!

ダンジョン脱出PvEvP『ダンジョン・ストーカーズ』を試遊してみてとにかく感じたのは、その一言だった。

『ダンジョン・ストーカーズ』は、3人称視点で進むPvEvPダンジョン探索アクション──最近では「エクストラクション」【※】と呼ばれるジャンルのゲームだ。プレイヤー間で協力しつつ資源を奪い合いながら、魔女の生み出した謎のダンジョンからの脱出を目指す。

この手のゲームはハードコアかつ難しめな作品が多く、それこそ初心者だとゲームを始めて最初に出会うモンスターを倒すことすら困難な場合さえある(それもまた魅力のひとつなのだが)。

『ダンジョン・ストーカーズ』レビュー・評価・感想:“とにかく遊びやすい”ダンジョン脱出PvEvP_001

そんなエクストラクション系ゲームであるにもかかわらず、本作のプレイヤーを挫折させまいとする「やさしさ」は本物だ。

「本番」であるPvEvPモードに備えて、対人要素のないPvEモードで練習したり装備を整えることができたり、死んでもわずかだがアイテムを持ち帰ることができる仕様がデフォルトであったりと、とにかく挫折せずに、このジャンルの「トロ」の部分まで味わってほしい、という開発者の気概を感じる工夫が随所に仕込まれている。

2024年8月21日から8月25日にかけてドイツ・ケルンで開催された巨大ゲームイベント「gamescom 2024」にて、本作の最新バージョンを試遊させていただくことができたので、その感想をお届けしよう。

※エクストラクション(Extraction)
PvEvP(Player vs. Enemy vs. Player)、つまり対人要素に加えモンスターなど共通の敵が存在し、フィールドやダンジョンを探索しながらリソースを収集、生存して戦利品を持ち帰り、装備やキャラを強化してまた次の冒険に繰り出す……というサイクルを楽しむゲームジャンル。日本語では「脱出」と訳されることが多い。この手のジャンルの代表的な作品である『Escape from Tarkov』は”Extraction Shooter”(脱出シューター)とも呼ばれる。なお、本作のジャンル名は「3人称エクストラクション(PVEVP)ダンジョンクロウラーゲーム」と公称されている。

取材・文/実存


とにかく遊びやすさを追求したエクストラクション

『ダンジョン・ストーカーズ』は、3人称視点で進むPvEvPダンジョン脱出ゲームだ。韓国のゲーム会社Action Squareが開発を務め、 BTSやNew Jeansを擁するHYBEのゲーム事業部門を担うHYBE IMがパブリッシャーを担当している。

基本的なゲームシステムはダンジョンクロール型のエクストラクションゲームを踏襲。
最大3人までパーティを組んで協力マルチプレイが可能で、ダンジョンを探索しながらモンスターを倒して装備やアイテムを収集していくのだが、時間が進むと探索可能な範囲が円形に狭まっていき、いずれ他プレイヤーと出会い戦うことになる。

『ダンジョン・ストーカーズ』レビュー・評価・感想:“とにかく遊びやすい”ダンジョン脱出PvEvP_002

そんな本作だが、やはりその特徴は冒頭でも述べたとおり「とにかく遊びやすい」ことだ。
「PvEvP」モードでわけもわからず上級者パーティになぶり殺される……という「洗礼」を受けるのがこの手のゲームではよくあることだが、本作はそうした壁に対する配慮が手厚い。

そもそも本作には「PvE」「PvEvP」「PvP」の3モードが搭載されており、初心者はまず「PvE」モード……つまり対人要素がなくモンスター相手にゲームに慣れたり、装備やアイテムを集めることができるモードで心ゆくまで「練習」することができるのだ。

もちろん「PvE」モードで集めた装備やアイテムは、対人要素ありのいわば「本番」である「PvEvP」モードに持っていくことができるし、さらに対人戦闘を練習したり、腕試しをすることができる「PvP」モードも付属している。

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さらに、ダンジョンから脱出できずに死んでしまったとしても、中に入れたアイテムを持ち帰ることができる「安全バッグ」システムも搭載。最初はスロットがひとつだけだが、キャラを成長させていくとスロットを拡張することもできるという。「死んでも何かひとつだけ持ち帰れる」というのは、とても心強い。

ほか、状況を劇的に変化させる「魔女の呪い」というイベントがランダムに発生したり、独自のアーマーシステムによって致命的な攻撃でも1〜2回耐えることができたりと、初心者でも遊びやすくする設計がいたるところでなされている。

PvEモードでも「強くなる」目標を持って冒険に挑める

そんな遊びやすい設計に満ちた本作だが、今回は2人協力プレイで「PvE」モードを試遊させていただいた。

所感としては、「3人称視点」であることもかなり遊びやすさに寄与しているということだ。1人称視点よりも敵との距離感もつかみやすく、戦いやすい。
敵モンスターについても、コウモリやフローティングアイ、ネズミといった雑魚敵のほか、天井から触手を伸ばす食虫植物、さらには強敵らしきガーゴイルなど、その多種多様さを伺うことができた。

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またシステムとしてフレンドリーファイア(FF)も存在するが、ダメージ量はかなり抑えてくれるという仕様になっていた。「FFなし」だとヌルく感じるけど、かといって仲間を誤射してギスギスにもなりたくない……という欲張りなゲーマー心理をすくい取ってくれている。ありがたい。

PvEモードでもゲームの基本的な流れはPvEvPモードと同じだが、最後に青いポータルに触れることによってダンジョンから脱出するか、赤いポータルに触れて「レイドボス」に挑むかを選ぶことができる。

試遊では無謀にもレイドボスに挑んだのだが……両手剣の強そうな甲冑騎士が出てきて、あっという間に全滅してしまった。
しかし、これは逆に言えばPvEでもしっかり「強くなる」目標がある──自分がそれを倒して成長を実感できる、ということだ。

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この手のジャンルには「最初に出会うモンスターを倒すことすら初心者には難しい」というハードコアな作品も多い一方で、本作の序盤の優しさはホンモノだ。実際、試遊でも道中はそこまで苦労せず、レイドボスまで到達して死亡……という流れだった。

だからこそ、「何もかもわからずに死」というよりも、「ここまで来れたんだから、次回はもっとうまくできるはず」という気持ちを持つことができる。
こうした随所の工夫から、「挫折せずにこのジャンルのトロの部分まで味わってほしい」という開発者の気概を感じる作品となっているのだ。

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『ダンジョン・ストーカーズ』は2024年にSteamにてリリース予定。
体験版はリリースされていないが、たびたびβテストを実施している。気になる方はSteamストアページや公式Xアカウントなどをフォローして続報を待とう。

デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a
編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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