ソニーのゲーミングブランドであるINZONEより、モニターの新製品として『INZONE M10S』と『INZONE M9 II』の2機種が発表された。発売はどちらも10月25日(金)の予定で、市場想定価格は「M10S」が17万5000円前後、「M9 II」は13万2000円前後となっている。
今回発表された2種類のディスプレイは、どちらも最新の技術が盛り込まれているろのこと。特に注目なのが、プロゲーミングチームの「Fnatic」と共同開発した「INZONE M10S」だ。初期段階からFnaticメンバーの意見を取り入れながら開発された製品となっている。
INZONEとFnaticといえば、1年程前にも両者がタッグを組んでゲーミングヘッドセットの『INZONE Buds』と『INZONE H5』も発売済み。今回はよりゲームに密接に関わるモニターでのコラボとなった。
本稿では、発売に先駆けて体験して感じた本製品の特徴についてご紹介していく。
「FPSのプロ」の意見を取り入れて開発した超ハイリフレッシュレートな『INZONE M10S』
まずは、Fnaticとの共同開発で誕生した27インチ有機(OLED)ゲーミングモニターの『INZONE M10S』からご紹介していこう。Fnaticといえば、『VALORANT』で史上初の国際大会2連覇を達成したトッププロチームとして知られている。本製品は、Fnaticの「FPSのプロ」としての意見が取り入れられたコアゲーマー向けのモデルとなっている。
FPSなど競技性の高いゲームで使用するデバイスは、プロが使用しているモデルの購入を検討している方も多いだろう。そこで、プロゲーマーも納得のトーナメントクオリティなゲーミングモニターを目指して開発されたのが、本製品なのだ。
FPSでは、動きに強い「速さ」が重要となる。そのために用意されたのが、リフレッシュレート480Hzと応答速度0.03msGtGという性能を持つ有機ELパネルだ。
パネルメーカーと協力し、超ハイフレームレートを表示するための、超ハイリフレッシュレートのパネルを実現しているのだ。ちなみに、一般的なモニターの応答速度は1mmや0.5mmなどが主流となっているため、それと比較しても格段の性能差だ。
実際にリフレッシュレート360Hzのモニターとの比較を見せてもらったのだが、性能の違いがはっきりとわかった。
エイリアンの画像を左から右方向にスクロールさせるというシンプルな比較だったが、他のモニターはモーションブラーが掛かったように見え、絵を正確には認識できなかったのだ。だが、この「M10S」では、まるで止まっている絵を見ているかのようにクッキリとした映像として視認できるようになっていた。
一般的な液晶モニターは、「シャッターを開け閉めして後ろの光りを映し出しているような構造」になっている。しかし、「M10S」では有機ELを採用しており、自発光で直接光を映し出すことが可能。
また、フレームから別のフレームへの映像遷移が非常に高く、1秒間に表示する画の数が多い(秒間約480枚)とのことで、FPSなど競技性のあるゲームに適正が高いと改めて感じた。
さらに、ソニーがeスポーツ大会「Apex Legends Global Series(以下、ALGS)」などを開催するエレクトロニック・アーツ(以下、EA)とスポンサーシップ契約を締結。『INZONE M10S』がオフライン大会の公式モニターとしてALGS大会に提供される。
競技シーンを意識した24.5インチモードと敵を見やすくする画質モードを搭載
「M10S」の特徴は、有機ELパネルだけではない。プロゲーミングチームらしい意見を取り入れた機能も搭載されているのだ。
そのひとつが「24.5インチモード」。本製品は、27インチの表示から24.5インチの表示に切り替えられるようになっている。24.5インチは、視線の動きなどを踏まえた最適なサイズとも言われ、競技大会に多く設置されているサイズだ。
本体の背面側にジョイスティックが設置されており、そちらを下側に押すことで簡単に切り替えが可能。ちなみに本モードでは、ボトムポジションとセンターポジションのどちらかを、自分のプレイスタイルに合わせて選べるようになっている。
黒がしっかりと見える有機ELが採用されていることで、映像が表示されていない部分がまるでベゼルのように見えるのもポイント。違和感なく本モードを活用できる。
「M10S」ではFPS向けに、ふたつの画質モードが用意されている。Fnaticと協力して制作した敵がいちばん見えやすい「FPS Pro+」、他社でも採用されているTNパネルと同じ見た目を再現した画質モードの「FPS Pro」のふたつだ。
さらに「FPS Pro+」ではメニューの中にある「画質調整」でそれぞれの色の濃さを個別に調整することで、敵の輪郭を際立たせることができる。
また、すべての色を一律に制御することができる「標準」という設定も収録されている。全体的に抑え目な設定になっているほか、「FPS Pro+」と同じく色ごとにコントラストを調整することもできる。
一般的な競技シーンと同じ条件を再現したいときは、画質モードで「FPS Pro」を選ぼう。
もうひとつ、プロゲーマーらしい意見が取り入れられたのがスタンド部分だ。見た目はかなり小型ながら調整幅が大きく、360度回転させることができる。スタンド自体が小さいので、キーボードなどのデバイスが干渉しないのもうれしい。
アクションゲーム・RPGから映画まで幅広く対応する『INZONE M9 II』
前モデルである「INZONE M9」の後継機種として発表されたのが、アクション/RPGゲーマー向けのモニター『INZONE M9 II』だ。27インチ4KのIPS液晶モニターという点は前モデルと同じで、前モデル同様にBRAVIAの技術を活用した「直下型LED部分駆動」を搭載しているが、制御部分が進化しているためトータルの画質も大きく進化している。
さらに「M9 II」では、HDRでもゲームモードやRPGモードなどの画質調整が行えるようになっている。
このRPGモードでは、快晴感を出すために空を見るときの青色に注目して調整が行われている。緑もいきいきして見えるので、没入感も増しそうだ。
また、シネマモードなども用意されている。このモードでは加工がないフラットな映像だが、暗くて見えにくい部分は若干持ち上げられているとのこと。さらにこのチューニングは、ソニーのテレビ「BRAVIA」を作っているメンバーが行っているという。
「M9 II」では、動きに強い速さについても進化している。前モデルがリフレッシュレート144Hzだったのに対し、最大160Hzまで出力。
4K IPSパネルでも動きの速いゲームでの映像出力を向上させるため、新たに「バックライトスキャニング技術」が採用されている。こうしたモニターの映像は、画面の上から下に向かって水平方向に多くのラインを描画していくが、本機に搭載されている「直下型LED部分駆動」ではLEDが直下にある。
そのため、ラインの描画に合わせてLEDバックライトも追随して画面の上から下に順次明滅させることで、ラインを上書きするときのモーションブラーを低減することができるのだ。黒挿入技術では端の部分に関して残像低減が甘いことがあるものの、「直下型LED部分駆動」では画面全体で残像低減が可能となっているのだ。
また、『INZONE M10S』で採用されていた24.5インチモードもこの「M9 II」で設定することができる。
もうひとつ、前モデルから大きく変更されたのがスタンド部分だ。「M9 II」ではスタンド部分についても新たに見直し、安定感のあるものに変更されている。前モデルの三脚スタイルと比較してかなりコンパクトにながらむしろ安定感は増しているという。スタンド自体は360度回転させることができ、重心も常に安定しているのである。
実際の発表会での展示を踏まえ、今回発表されたINZONEの新商品をご紹介してきた。プロゲーマーが開発に協力した『INZONE M10S』は、FPSガチ勢の方ならば気になる一台だろう。
もう一台の『INZONE M9 II』は、BRAVIAの技術がふんだんに盛り込まれていることから、ゲームも映像作品も楽しみたい方にピッタリ。2台に共通するミニマルなスタンドのデザインも、すでに構築されたデスク環境があっても設置しやすいのもうれしいポイントだ。
さらに、9月25日(水)〜10月24日(木)の期間、対象商品を購入すると天鬼ぷるる氏、ハイタニ氏、こく兄氏が出演するファンミーティングの参加権利などがあたるキャンペーンも開催。キャンペーンの詳細は、以下の画像にてチェックしてほしい。
「INZONE M10S」は17万5000円前後、「INZONE M9 II」は13万2000円前後にて、10月25日(金)に発売予定。楽しみにしている新作を、高性能モニターで楽しんでみるのはいかがだろうか。