「オレの話」ではなく、「わたしたちの話」を表現したい。日韓合作『BREAKERS 』開発チームインタビュー
ここからは、『BREAKERS』開発チームへのインタビューの様子をお送りします。
応じてくれたのは、本作の統括プロデューサーであるイ・ドンジュン氏と、事業統括のイ・ドンギョ氏。
イ・ドンギョ氏は、本作の開発元・VIC GAME STUDIOSの日本支社長も務めており、大変日本語が堪能。筆者の早口オタク気味な質問の嵐を、丁寧に通訳していただきました。
試遊の中で浮かんだ疑問や、今回触れることができなかった戦闘以外の要素についても伺ってきたので、確認していきましょう。
──試遊版では、どんな属性のキャラクターを使ってもボスを討伐することができ、大変楽しかったです。一方で正式版の難易度の方針に関しては、どのようにお考えなのでしょうか。今回のように、どんなキャラを使ってもボスを攻略することは可能なのでしょうか?それとも、特定のキャラクターを持っていないと攻略不可能なボスを配置するようなことはあるのでしょうか?
イ・ドンジュン氏:
実は一番気を使って警戒している部分が、コンテンツを楽しむために、キャラの属性や武器のタイプが固定されすぎてしまうということなんです。スタンダードな難易度では、どのキャラクターを使ってもある程度戦えるようにしています。
ただそれだと、ただ前に進んでいくだけで、成長に対する欲求が生まれませんよね。ですので、難易度が上がっていけばいくほど、ボスを倒しやすい属性や武器タイプが発生するようにするつもりです。
ただ、そんな中でも、自分が今持っているキャラクターたちで挑んでいけるようなバランス取りをしていきたいと思います。
──「特定のキャラクターを持っていないと攻略ができない」というような状況は避けたいということですね。
一方で、さまざまなキャラクターを使い分けるのも楽しそうで、所持キャラクターの多さが、プレイの楽しさに繋がる部分もあると思います。正式リリース後は、キャラクターはどのように獲得していけるようにする方針なのでしょうか?
イ・ドンジュン氏:
ストーリーで入手できるキャラもいますし、ガチャによって入手できるキャラクターもいます。だからといって、レア度の高いキャラクターがいないとストーリーが進められないという状況は起きないようにして、レア度の低いキャラでも、育成をすればストーリーを進められるようにしていくつもりです。
──試遊プレイの中で印象的だったのが、上空の「潜空艇」から発射される「ウィーバーランサー」です。ゲームの世界観ともマッチしていて、大ダメージのロマンもある攻撃ですが、あれはどういった条件で発動するものなのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
実は今回の試遊版では、ゲームに慣れていない方も楽しめるように、3人のキャラが必殺技を使うと「ウィーバーランサー」が発動するようになっているんです。
正式リリース後のバージョンでは、特定の条件を満たすことで発動できる「チームアクションスキル」のような位置づけになっています。
この「ウィーバーランサー」は、カスタマイズが可能で、その内容によって発動条件も異なってくるんです。
──実は、事前に頂いた資料の中に「潜空艇の成長要素」という文言があり、非常に気になっていたんです。これは、「ウィーバーランサー」のカスタマイズ要素を指しているのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
はい。いろいろな種類の「ウィーバーランサー」の弾薬があり、どれを使うかを選択できるような形です。敵を爆撃するものや、捕まえるようなものも考えています。「潜空艇」の中には弾薬の格納庫があり、どれを使用するかを選んで戦闘に挑むんです。
──それは大変興味深いシステムですね。ちなみに、それ以外にも「潜空艇」のカスタマイズ要素はあるのでしょうか?例えば、ハウジングのような、デザイン的なものなどはあるのでしょうか。
イ・ドンギョ氏:
実は、そういった要素も検討しています。今回の試遊版では、町にいわゆる「集会場」のような、マッチングのシステムが設置されていましたが、正式版では「潜空艇」の内部がその機能を果たします。
他のプレイヤーが訪れた時に、自分の倒したモンスターの像を飾っておいて見せられるような機能を検討しています。
──自分の倒したモンスターを、他のプレイヤーに自慢できるわけですね!
ビジュアル面に関する質問もさせてください。本作のキャラクターたちは、「自分が主人公だ!」というような派手さよりは、それぞれが旅人としてのストーリーを歩んでいくような、やさしい印象を受けます。そういった、キャラクターのグラフィック面についてのこだわりがあれば教えてください。
イ・ドンジュン氏:
『BREAKERS 』のコンセプトとして、少年漫画的な「オレの話」ではなくて、「わたしたちの話」を表現したかったんです。そういった意味で、ひとりのキャラが主人公なのではなくて、それぞれの物語があって、みんなでストーリーを進めていくような、大きな軸を準備しました。
──そのお話を聞くと、今回の試遊ではマルチプレイが非常に楽しかったのを思い出します。みんなで集まってゲームを攻略していくというゲームのシステムも、そういったコンセプトに関係してくるのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
そうですね。そういった人たちの物語でもありますし、ひとりひとりプレイしていた人たちが、マルチプレイでマッチングして強敵を倒していくような感覚でも、「わたしたちの物語」というのを表現できたらいいと思っています。
──なるほど。ということは、マルチプレイが主軸になっていて、ソロプレイに関しては、「今日はひとりでやりたいな」といった方向けに用意されたものなのでしょうか?
イ・ドンジュン氏:
いえ、ゲーム自体の比重で言うと、ソロプレイが主軸になると思います。ストーリーなどは全部ソロでやりますし。その上で、もう少しやりこみ要素にたどり着いたときに、ソロでやりたい時はソロで、マルチでやりたい時はマルチで、と、その時の気分に合わせて選択できるようになっています。
ソロで戦いはじめたとしても、攻略が大変だったらマルチに変更することもできます。
本作のようなゲームは、ソロでプレイされる方がほとんどだと思います。ですので、ソロプレイであっても、最後までしっかりとプレイできるように作っていきます。
──VIC GAME STUDIOSさんは、韓国に本社があり、日本に支社があるという体制で開発を行っています。今回東京ゲームショウで大きな出展をされているということで、まだ本作を触っていない方や、日本で本作に期待を持っているファンに向けてメッセージがあればお願いします。
イ・ドンジュン氏:
本作は、日韓共同で作り上げているようなプロジェクトです。携わっているスタッフにも日本の方はたくさんいますし、国籍に関係なく「日本のアニメーションゲームだ」と思えるようなゲームを作りあげますので、楽しみにしていただきたいと思います。
イ・ドンギョ氏:
今回はゲームショウでの試遊イベントでしたが、これからは、ユーザー向けのテストなども繰り返していく予定です。みなさんからのご意見を頂きたいと思いますし、それを元にまたいいゲームを作れるように反映していきますので、楽しみにしてお待ちいただければと思います。
とにかくシンプルに、「だれでも楽しめるおもしろさ」が詰まった本作の戦闘システム。
ゲームって、難解なギミックを解いたり、複雑なコンボを習得したりするのも楽しいですが、純粋に「キャラを動かしていて楽しい」という感覚を、しばらくぶりに思い出したような気がします。
『BREAKERS : UNLOCK THE WORLD』は、2025年のベータテストに向けて鋭意開発中。皆さんのお手元に届くようになったら、ぜひプレイしていただきたいです。