『スーパーマリオサンシャイン』が、高難度スパルタ無理ゲーであることをご存知でしょうか?
バカンスで訪れたはずの島で、なぜか「落ちたら即死のアスレチックコース」に挑戦されられたり、「障害物にぶつかると即死するノンストップ爆速イカ」に乗るはめになったり、「最大96体にまで分裂するマンタ」と戦ったり、バカンスどころではありません。
なかでも本作において最高難度と名高い、通称「急流下り」と呼ばれるコースは「蓮の葉に乗って川を下りながら赤コインを8枚集める」という簡単そうな内容に対して、巧妙なトラップが待ち受けていました。もはやリゾート地ではなく “地獄” なのでは???
筆者はそんな、見た目に反してしっかり難しい『スーパーマリオサンシャイン』が大好きです。2002年の発売当時は小学生だったのですが、無我夢中で遊んでいました。
そこで本稿では「無慈悲なアスレチックコース」「トラップに絶望した急流下り」「ノーヒントすぎるアイテム集め」をはじめ、筆者が人生でもっともハマったゲーム『スーパーマリオサンシャイン』の魅力について紹介させていただきます。
記事内のスクリーンショットはNintendo Switchソフト『スーパーマリオ 3Dコレクション』で撮影したものです。
無実の罪で牢屋に入れられたマリオの表情が妙に生々しい
まずは本作のざっくりとしたストーリーを説明させてください。
南国のリゾート地「ドルピック島」にバカンスで訪れたマリオがひょんなことから落書き犯として誤認逮捕されてしまいました。そこでマリオは身の潔白を証明するために落書きを消しながら真犯人を追うことになります。
ゲーム開始数分で裁判所に行き有罪判決を言い渡され、薄暗い牢屋に入れられてしまうマリオ。「ええ~ッ!?(汗)」みたいな感じではなく呆然とした表情が妙に生々しいです。
そして上記がマリオだと見間違えられた真犯人「ニセマリオ」。造形自体は酷似しているとはいえ「どう見ても決定的に違う部分があるだろ」と言いたいところですが、
なぜかピーチ姫にすら間違えられてしまいます。この世界の人々は輪郭しか見えていないのでしょうか。
そんな不穏すぎる幕開けの本作。しかしながら舞台は南国のリゾート地なので海水浴場はもちろんのこと遊園地やカジノが併設された高級ホテルにまで行けたりと各エリアがバカンス感全開で気持ちいい!
ちなみに本作でもやはりピーチ姫はさらわれてしまいますが、思わず救出を後回しにしてしまいたくなるくらいどこに行ってもバカンス気分を味わえます。
各エリアには透明な壁があるためオープンワールドではないものの、無理やり別エリアの目の前まで泳いで行けたりするので行動範囲以上の自由度や広大さを感じてワクワクします。
いまでこそマップをシームレスで移動できるゲームが主流になっていますが、当時はこの「世界が繋がっている感」に感動しました。
上記のように高所からならゲーム内で行ける大半のエリアが確認できたりします。よ~く見ると各エリアが細部までしっかり描写されているところが熱い。これはもうドルピック島を舞台にしたオープンワールドゲーってことでいいですか? いいですね???
「ポンプアクション」を駆使すれば縦横無尽に飛び回れる
また本作は背中のポンプを使った「ポンプアクション」が大きな特徴のひとつ。このポンプには複数の種類があり、なんと一定時間 “空中に浮く” ことができるものもあります。
なんらかのマリオタイトルを遊んだことのある方であればおそらくだれでも「足を踏み外して落下」といったような経験があるのではないでしょうか。
本作においてはこのポンプアクションを駆使することで「あっ、やべ落ちた!」といった危機的状況を回避することもできてしまいます。
そのため、アクションに自信のない方であっても割と自由に行きたいところへ行くことができると思います。マリオの常軌を逸した身体能力とこのポンプアクションのおかげで、「地上から見える大体のところには行ける」と言っても過言ではありません。
えっ、じゃあどこらへんが “高難度スパルタ無理ゲー” なの???
ここまで書いた情報をまとめると冒頭で述べた高難度スパルタ無理ゲーとは真逆の「南国のリゾート地が舞台でアクション要素にも救済措置がある優しいゲーム」といったような印象を受けるかと思いますが、地獄はここからです。
高難度の要因のひとつになっているのが、各エリアに存在する「ヒミツコース」(別名アスレチックコース)の存在。ここからはその難しすぎるコースについて紹介させてください。
中間地点なし、コース外は奈落、救済措置のポンプも奪われる
コースは「通常コース」にくわえて「ヒミツコース」があり、ヒミツコースは初回挑戦時にニセマリオが急襲してきてポンプを奪い去ってしまいます。
救済措置のポンプアクションを封じられた丸腰状態で挑戦しなければいけないのが、謎の空間にギミックが散りばめられた高難度アスレチックコース。
基本的に足場が狭く少しの操作ミスですぐに落下してしまうのですが、
コース外は奈落なので落ちたら即死!
中間地点なんていう甘ったれたものも当然のようにないため落下したら最初から。「己の力のみでどうにかしないといけないこともあるんだぞ」と言わんばかりのスパルタ仕様です。
そんな厳しい条件下でグルグル回る巨大角材を飛び移ったり、
乗ったら崩れ落ちる砂のブロックの上を渡ったりしなくてはいけないのでとんでもない緊張感が味わえます。
終盤ともなるとヒミツコースも本気を出してきてもはや意味不明な難しさに。さっきまでリゾート地でバカンスを楽しんでいたはずなのに、いったいどうなってんだ!
しかもこれらのヒミツコースは猛者向けの隠し要素などではなく、通常のエンディングを見るうえで必ずクリアしなければいけません。序盤からガンガン出てくるため、わけもわからんうちから謎の空間に放り出されて無慈悲なアスレチックに挑むことになります。
じゃあヒミツコース以外はすべてヌルゲーなのかというとまったくそんなことはなく、「障害物にぶつかると即死するノンストップ爆速イカ」に乗ってコインを集めるステージがあったり、
「痺れるドロドロを撒き散らしながら次々と分裂して襲いかかってくるマンタ」と戦うステージがあったり、
ヒミツコースではない通常コースもかなりシビアな難度を誇ります。ちなみに筆者が初見プレイ時にもっとも苦戦したのは「たんじょう おおすなどり」。
このコースは、ブロック状の砂の塊で身体が構成された巨大な鳥「おおすなどり」の背に乗り、大空を飛び回りながら赤コインを回収していきます。
パッと見は簡単そうですが、飛行中なので風の影響を受けるうえにおおすなどりが突然全身をバタバタさせたりするためかなり難しい。
「ポンプがあるなら落ちても戻ってくればいいじゃん」と思うかもしれませんが、おおすなどりは常に上昇しながら飛んでいるので戻ろうとしても置いてかれます。
そして極めつけは、
唐突な90度回転飛行!
そんな魅せプレイしなくていいから!! 普通に背中に乗っているとなすすべなく振り落とされます。
小学生だった筆者は初見プレイ時にどうしたらいいのかわからず悪戦苦闘していたのですが、この状況で有効だったのは「回転に合わせて角をまたぐようにして徐々に足の接地面を変える」でした。
さて、ここまで急ぎ足で高難度コースを紹介してきましたが、多くのユーザーが口を揃えて “『スーパーマリオサンシャイン』最難関” と評するのが、通称「急流下り」と呼ばれるミニコース。
このコースが、最難関と言われているのには理由があります。
ミニコースに入るまでが大変、入ったあとも地獄、そして謎のトラップつきという無理ゲー仕様の欲張りセット!
このコースを初見で難なくクリアできたらアクションゲームマスターを名乗ってよいと思います。ちなみに筆者はこの記事を作成するついでに、少年時代ぶりに挑戦してみたら1UPキノコを取ることすらできずに余裕でゲームオーバーになりました。
このコース、難しすぎませんか???
「無を探すこと」は『スーパーマリオサンシャイン』において必須科目
ここからはアイテム集めの難しさについても紹介させてください。本作で完全クリアを目指す場合は、「隠しシャイン」を集める必要があります(マリオシリーズ恒例のスターではなく “シャイン”)。
隠しシャインの場所はさまざまで、明らかに見えている場合もあれば、ガチで隠されている場合もあります。たとえば下記をご覧ください。
「いやどこだよ」と思うかもしれませんが、じつはなにもない砂浜の一部に当たり判定が存在し、そこに向かって放水し続けると……
「無」からシャインが誕生! いやわかるかこんなん!!
完全クリアには青コインの収集も必須となりますが、こちらもまた隠しシャイン同様に見つけるのに苦労するものがちらほら。
最初から見えているものや大きな落書きがある(消すと青コインが出現)などわかりやすいヒントがあるものは見つけやすいですが、「ホテルのスタンドライトに放水すると出現」や「なんの変哲もない木に放水すると出現」などもあるため攻略情報なしで発見するのはかなり困難。
ちなみに青コインも隠しシャインと同様に砂浜のなにもない空間に放水し続けると出現する場合があります。
これらはほとんどがノーヒントで設置されているので、もし自力でコンプリートしたい場合はもう怪しいなにかがあろうがなかろうがとりあえず常時放水しまくる妖怪水撒き散らしおじさんになるのが最適解。
逆に言うと「誰が来るんだよここ」みたいな場所でも水を撒き散らしているとなにか出てきたりするので探索のやりがいがあり、島の隅々まで調べ尽くしたくなります。攻略情報を見ずに遊んでいた当時はワクワクが止まりませんでした。
以上が筆者が感じた『スーパーマリオサンシャイン』の魅力です。のんびりとしたバカンス気分を味わえるだけでなく、とんでもない歯応えと達成感も感じられる本作。興味がある方はぜひ遊んでみてください。
箱庭ゲーの探索がお好きな方やアクションゲームに自信のある方(死にゲーにハマるタイプの方)は間違いなく虜になるはず!
ゲームキューブで発売されたソフトではあるのですが、Nintendo Switch向けソフト『スーパーマリオ 3Dコレクション』に収録されているので現環境でも遊びやすいのがいいですね。
……と思いながら公式サイトを見てみたら、
販売終了してた。
そんな!!! 記事の締めが「ま、いまはプレイできないんですけどね」って最悪すぎる。恥ずかしながら販売終了の事実を存じ上げておりませんでした。季節外れもはなはだしいし、意味わからないよこの記事。ごめんなさい。
いつか『スーパーマリオ 3Dコレクション』の再販もしくは『スーパーマリオサンシャイン』がさらなるリメイク(なんなら続編の発売)がされることを祈ります。その際には皆さんもぜひ遊んでみてください!