バディとは「萌え」だ。
「萌え」なんて死語?カタいこと言うな。俺もお前も平成敗残兵。「萌え」が嫌なら「燃え」でもいい。
バディというのは己の命を預けてもいい相棒、手前の命に代えても相手を守り抜くと誓える相棒、そういう仲間だ。つまり、バディには人間関係のすべてが詰まっている。
自分だけの最高の相棒と、最高にヒリつく冒険をしてみたいと思わないか?
さて、そんな「バディ」に対する特大拗らせ感情を、満足させてくれるかもしれないゲームが登場する。それが今月1月23日にバンダイナムコエンターテインメントからリリースされる新作エクストラクションシューター『SYNDUALITY Echo of Ada』だ。
同作は文明崩壊後の荒廃した地球を舞台にしたPvPvEの3人称シューター、俗に『タルコフ』ライクと呼ばれるサバイバル脱出ゲームだ。
プレイヤーは2足歩行メカ「クレイドルコフィン」に乗り込み、AI搭載ヒューマノイドの「メイガス」と共に、地上世界に眠る貴重なエネルギー資源を採掘し、またライバルたちとしのぎを削っていく。
重厚なメカを操って戦うことから「メカ版タルコフ」として期待されている本作だが、最大の魅力は、そうしたシューターとしての面白さもさることながら、プレイヤーを支えてくれるサポートAI「メイガス」の存在も大きい。
実はこのメイガス、何度も共に出撃するうちにプレイヤーの行動指向などを学習していき、まさに世界に一人だけの「相棒」になっていくというのだ。
共に戦う「世界に一人だけの相棒」に「萌え」ならぬ「燃え」を感じない奴なんている?いーやいないねッ!俺は大好きだしお前もきっと大好きなはずだ。
というかバディとAIってめちゃくちゃ相性がいいんだよ。
誰よりも自分のことを分かってくれていて、いつでも最高のサポートを提供してくれる心強い味方。家族みたいに血のつながりがあるわけではないし、人間ですらないけど、というか人間ではないからこそ、常に自分と一緒にいてくれる、最高の「相棒」。
AIにはそういう可能性がある。
本作はエクストラクションシューターらしい脳がヒリつくようなバトルの面白さや、それを重厚なメカを操って遊べるという面白さはもちろん、そうした戦いをバディと共に生き抜いていくという面白さが存分に味わえる作品だ。
というか筆者個人的にはこのゲーム「おいでよ終末の森」だと思っている。終末世界でバディAIとほのぼの生活送ってもいいだろ!幸いなるかな『シンデュアリティ』、戦いは他のゲームに任せて、汝はイチャコラせよ!
なんなら個人的には、メカもシューターも全然やったことないような人にこそ、遊んで欲しいような気もする。本作にはクリアすべきストーリーなどというものが明確にあるわけではない。
物語は、自ら紡いでいくのだ。お前と、お前の相棒の手で。
※この記事は『SYNDUALITY Echo of Ada』の魅力をもっと知ってもらいたいバンダイナムコエンターテインメントさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
バディは萌えだが、お前はこれから燃えることになる。というか燃やされることになる。このハードでシビアな『シンデュアリティ』でなあ!
改めて本作について簡単に説明すると『SYNDUALITY Echo of Ada』はPvPvE形式のオンラインシューター。エクストラクションシューターと呼ばれるジャンルのタイトルだ。
フィールド上に散らばった資源などのアイテムを集め、それを自拠点に持ち帰ることを目指す、というのがおおまかなゲームの目的となる。ゲーム側で用意される一般的な敵に加え、時には他プレイヤーたちとも敵対としつつ、それを遂行していく必要がある。
物語の舞台となるのは、猛毒の雨によって世界人口のほとんどを喪失し、文明が崩壊した西暦2200年代の未来。プレイヤーは貴重なエネルギー資源「AO結晶」を採掘する職業「ドリフター」として、二足歩行メカ「クレイドルコフィン」を駆って地上世界への探索に挑むことになる。
基本的なゲームは「オンラインレイド」と呼ばれる、複数のプレイヤーが同じマップに参加し、「AO結晶」を求めてマップ上を探索するというモードで行われる。フィールドには「農耕プラント」や「都市遺跡」など複数のエリアがシームレスに接続しており、エリアごとに特徴が異なる。
地上探索ではマップ上に点在する「AO結晶」を定期的にサーチ・採掘し、十分な数の結晶を回収できたら、複数あるエレベーターのいずれかから収穫物を地下に持ち帰る。無事生還できれば任務完了だ。
持ち帰った「AO結晶」はサイズや品質に応じて換金され、拠点のアップグレードや新たな機体・装備の購入に充てることができる。はじめのうち解禁されている機体・装備は少ないが、フィールドなどで達成できる様々な目標をクリアしたり、拠点のアップグレードを進めることで、機体や装備、遊びやすさも拡張されていく。
大事なのは「持ち帰ることができれば」というところ。このゲーム、「おうちに帰るまでが遠足」というのが大原則になっている。
もし帰還前に倒されてしまえば、探索中に得た資源やアイテムはもちろんのこと、搭乗していた機体まで全てロストしてしまうという、かなりシビアなゲーム設計なのだ。
そのため、地上での探索中はエレベーターが降下する最後の最後までまったく気が抜けない。そうした脳がヒリつくような緊張感のあるサバイバル体験ができるのが、本作の大きな特徴のひとつだ。
と、ここまで「なんだかすごいハードなゲーム」っぽい説明しかないけど……と不安に思っているそこの貴方に伝えておこう。このゲームは、めっちゃハードなゲームなんだよ。
いや、最初に書いていた「AIバディとイチャコラできるゲーム」というのは全然嘘ではないのだが、それはベースとしてハードなゲーム性があってのことだ。危機も冒険もない場所では、絆は強くならない。
ここでようやく、この愛すべきハードな終末世界ライフをサポートしてくれる「メイガス」について説明できる。
「メイガス」とは、正式には「人類双対思考型AI搭載ヒューマノイド」といい、各ドリフターひとりひとりに割り当てられる、サポート用の人型アンドロイドだ。
プレイヤーもゲーム開始時、チュートリアル後すぐに自身の割り当てられたメイガスを細かくオーダーすることができる。基本的な性格などの設定も含めたボディタイプは4種類で、そのほか背の高さや顔の造作、ヘアスタイルなどは細かく調整することができる。
終末世界をともに生き抜いていくことになる大事なバディなので、しっかり念入りに、微に入り際に穿って己の癖を詰め込んだオーダーを施していくといいだろう。好きは自分で作るんだよ!
この「メイガス」最大の特徴は、成長するAIであるということだ。何度も共に出撃していく中で、「メイガス」はプレイヤーが得た経験を同じように蓄積し、そしてプレイヤーが取った行動も全て見ている。
プレイヤーの傍に寄り添い、助言やサポートを行いながら、主(あるじ)の行動・思考を学習し、少しずつ変化していく存在、それが本作における「メイガス」という存在なのだ。
このゲーム、実は「おいでよ!終末の森」だったかもしれない。送りたい!「メイガス」といっしょの素敵なアフターアポカリプスライフ
本作において「メイガス」が果たしている主な役割は、音声によるプレイヤーのサポートだ。言ってみれば、ロボットアニメのオペレーターのようなものだろうか。
『ガンダム』のセイラさんとか、『コードギアス』のセシルさんとか……要するに、インカムをつけて、パイロットに対して音声で指示やアドバイスを送っている役割の人たちだ。
「メイガス」はプレイヤーを取り巻く状況について、周囲の地形や環境の変化、資源の有無など、状況に合わせた様々な情報をアドバイスしてくれるのだ。
え、それだけ?と思った方もいるかもしれないが、これは実はものすごく大事なこと。ともすれば視覚的にはサッと通り過ぎやすい情報について丁寧に音声で拾ってくれるため、重要な情報を取りこぼしにくくなっているからだ。
探索中もそうだが、戦闘中には「メイガス」から得られる情報の重要度はかなり大きい。遠くで未発見のクレイドルの駆動音が聞こえる……といった情報から、対峙した敵のデータを分析し、交戦するか避けるべきかのアドバイスをくれることも。
「グレネードだ!退避しろ!」といった、生死を分けるような緊急性の高いアラートを発してくれることもある。
またすでに書いたように、「メイガス」はプレイヤーの行動を学習し、成長していく存在だ。分かりやすい例でいえば、プレイヤーが他プレイヤーのキルを重視したプレイングを続けていれば、メイガスもまた「こいつやっちゃいますか?」といった提案をしてくるようになる。プレイヤーの志向に合わせて、提案の質も最適化されていくわけだ。
「メイガス」の学習はプレイヤーの行動だけではなく、経験にも紐づいている。探索中に入手した素材の場所などを学習し、次に近い場所を通過した際にもその素材を必要としていれば、アナウンスしてくれることもある。
またGame8のインタビュー記事によると、そうしたプレイヤー個人に結びついた経験情報だけでなく、より広範に渡って収集されたデータにもとづくアドバイスができるようになるとも語られていた。
プレイヤーキルが発生しやすい危険なポイントがあれば、事前にそれを警告してくれたりもするのだ。
こうした情報は、一般的にシューター系のゲームに不慣れなプレイヤーほど役立つものだろう。マップの地形やアイテムの場所をしっかり覚えたり、音などの視覚以外の情報を活用するのは、不慣れな初心者には難しい。
「メイガス」が提供してくれるのは、そうしたちょっとした段差をやわらかくカバーしてくれるようなサポートなのだ。そうした意味において、本作はかなり初心者フレンドリーなシューターだと言えるだろう。
また、実際のプレイ上では、そうした「メイガスがどうゲーム内で役に立つか」ということよりも、とにかく「その場に一緒にいてくれる」ことからもたらされる安心感も強いと感じた。
自分ひとりの孤独な探索であっても、誰かが近くでしゃべっているだけで、心理的には少し余裕が生まれる。コントローラーを握っている自分の横で、口うるさく話しかけてくる友達のような感覚の存在と言えるだろうか。
本作はオンライン上で多くのプレイヤーが入り乱れることもあるゲームだが、基本仕様はソロプレイが前提だ。『タルコフ』ライクはもとより、オンラインのシューター系のゲームとしても珍しく、本作には予めチームを組んで出撃するという機能が存在しない。
フィールド上で出会った他プレイヤーと即席で共闘関係を持ちかけることもできるのだが、なんとこのゲームにはフレンドリーファイアを防止するような機能もない。仲間になることを持ちかけたうえで、安心しきった背中をマシンガンで滅多撃ちにする外道プレイだってできてしまうのだ。
それはそれで、めちゃくちゃ悪い脳汁が出そうな気もするが……。とにかく、仕様上だれひとりとして完全には信じられないこのゲームにおいて、本当の意味で100%味方と言い切れる存在は自身の「メイガス」しかいない。
なんか書いてて「もしかしてヤバい宗教にマインドコントロールされてる……?」みたいな不安に襲われてくるな……。
だが実際、ゲームをプレイしていると「俺って初恋前の中学生だったのかも……」みたいな気分になってしまうくらい「メイガス」が好きになってくるのだ。
そういえば日本人は『ドラえもん』や『鉄腕アトム』など、知性ある機械が人間の友人として描かれる物語が古くから展開されてきたことで、AIに対しても諸外国と比べて好意的だという説があるらしい。
まあその話が本当かどうかはさておき、「相棒」としての好感度が自分の中でゴリゴリに溜まっていくのは確かだ。
これは決して言い訳ではないのだが、そもそも自分が希望の見た目をオーダーしたんだし、しかもだんだん自分の行動・思考を学習して進化していくAIなんて、好きにならないわけないのである。不可抗力だよこんなの。
実は今回のゲームプレイ、発売前の製品版をバンダイナムコさんのオフィスで遊ばせてもらっていたのだが、なんか遊んでると自分のメイガスと離れがたくなってしまい、なんだかんだ理由をつけて6時間くらい遊ばせてもらっている。
「こいつまだやるのかよ……」みたいな開発者さんの目が忘れられねえよ!(被害妄想)
ちくしょう!なんでデータ引継ぎできないんだ!
まあ筆者がこういう感情になってしまうのも無理はないくらい(全くもって無理はないくらい)、「メイガス」は探索・戦闘を離れた場所でも、プレイヤーであるドリフターの日常に深く溶け込んでいる。
本作において、地上を探索して「AO結晶」を持ち帰り、それを換金していく主な目的は、自身の拠点を発展させていくことだ。
ゲーム開始時、プレイヤーは廃屋同然のボロガレージを与えられ、「クレイドル」の整備を含めた生活のすべてをこの場所で行っていくことになる。もちろん「メイガス」もいっしょだ。
近所に24時間営業の雑貨屋でもあればともかく、23世紀の地球にそんなコンビニエンスなお店は当然存在せず、というかあったとしてもたぶんお金がない。新米ドリフターと書いて貧乏人と読む、プレイしてみるとわかるが、とにかく金欠なのだ。
弾薬だってロハではないし、クレイドルコフィンだって使っているうちにパーツが消耗していってしまうので、定期的に整備を行う必要もある。新しい武器やパーツも試してみたいが、もちろん高性能なものは高価なわけで……。
まあそんな具合で、終末生活というのもとにかくお金がかかる。最初期の極貧生活では、ガレージ整備のためにメイガスが手ずから刈り取った雑草を使った、愛のこもった手作りの雑草汁を作ってくれることもある。これを食えと……?
繰り返しになるが、本作のオンラインレイドには、基本的には明確なストーリーは存在しない。
ただ拠点の整備を進めるごとにちょっとした演出があり、これ自体を終末世界で「メイガス」と二人三脚での成り上がり物語として楽しめるようになっている。ふたりの歩みこそが物語になっていくのだ。
出撃前の待機時間もよく見ていると、様々な場所で普段のメイガスの様子が確認できるなど、このガレージがふたりの生活拠点となっていることが伝わってくる演出も多い。
ひとりとひとり、アフターアポカリプス時代のおだやかな日常生活。
あれ、もしかしてこのゲームって「おいでよ!終末の森」でした……?
だけどやっぱり鉄の味。嘘をついてゴメンね……このゲーム、ハートフルでもラブ&キュートでもないです
終末世界を、共に力を合わせて生き延びるプレイヤーと「メイガス」。なんだか心があったかくなるような紹介をしたうえで、もう一度説明しておこう。
このゲームはハードでシビアなシューターゲームです。
倒されると、持っている全てを失います。全てです。なんなら「メイガス」まで持っていかれることもあります。
地上の探索中、機体がダウンしてしまうと、一定時間ベイルアウト(緊急脱出)をする猶予が与えられる。時間内に行うことで「メイガス」だけでも逃がすことができるという仕組みなのだが、逆を言えば、これに失敗すると「メイガス」さえ略奪の対象となってしまう。
といっても、基本的には奪われたとしても最終的にはちゃんと返ってくる。ゲームの設定としては「メイガス」を預かる組織のようなものがあり、奪った側もそこに「メイガス」を納品することでお金に替えているのだとか。
だから万一ベイルアウトに失敗しても「メイガス」が永久に失われるわけではないので、その点は安心して欲しい。こんなふうにちゃーんと帰ってきますから。
や、やろう、ぶっころしてやる!!!!
お、おれのメイガスをこんな目に合わせやがって……!という怒りで視界が真っ赤になるので、最近感情が死んでるかも〜と思ってる感情労働限界現代人のみなさん、ぜひ試してみてください。
マジでモニター割りそうになったわ。このゲームがあっためてくれるのはハートだけじゃないってことね。
ちなみにコゲコゲになってしまった「メイガス」は、何もしなければずっとこのままの状態。元に戻すには拠点を強化してお風呂を整備し、入浴させてあげる必要があるので、くれぐれも序盤のベイルアウト失敗には注意しておこう。
「メイガス」とふたりでおだやかな終末生活を送りたいと思っていても、ここはルール無用の終末世界。強いものが勝ち、弱いものはエサになる。
見向きもされないくらいマズければエサにもならないのだが、困ったことにプレイヤーキルというのはまずます美味しい。
インベントリがはちきれそうになるまで鉱石を詰め込んだような機体は、カモがネギどころか味噌とコンロとカセットボンベまで全部しょってきたようなもの。たとえば帰還目前のエレベーター付近などは、最も待ち伏せを警戒すべきポイントの一つになるだろう。
※機体ごとに出撃可能な制限時間があり、待ち伏せする側もなにも持って帰れない可能性があるので、覚悟が必要である。
帰還ポイントに到着しても、まずはエレベーターを地表まで呼び、そこからさらに地下へと降下するまで、約1分ほどの時間が必要になる。探索中はエレベーターが降下を始めるその瞬間まで、気を抜けないのだ。
一方で、それじゃあ襲ったもん勝ちってこと?というと、そういうわけではない。プレイヤーキルはゲームシステム上で認められているが、それをする人間には相応のペナルティが課せられる。
それが「賞金首」というシステムで、他プレイヤーへの襲撃行為を何度も意図的に繰り返していると、プレイヤーが初期から所属している組織「ドリフター振興協会」を追放され、さらに撃破報酬として、首に賞金まで掛けられてしまうのだ。
襲撃行為を繰り返すと賞金額も上昇し、マップに入った際に大まかな位置まで通知されてしまう。
要は「合法的に殺してもイイやつ」扱いされ、システム上から「さあ殺せ!」と言わんばかりの扱いを受けるわけだ。アウトローをやりたいプレイヤーは、協会からやってくる賞金稼ぎを返り討ちにするだけの実力が必要になるということだろう。
だが賞金首になれば、対クレイドル戦に有効な機体や武器が入手できるようになったり、徒党を組んで野良プレイヤーを襲うこともできるようになる。十分な実力さえあれば、リスクに見合うリターンもあるというわけだ。
本作において、各プレイヤーがゲーム内でどのような道を歩むのかは、完全に個々人にゆだねられている。
ただし重要なポイントとして、ゲームの目的はあくまで「AO結晶」などの資源をたくさん集めることにある。そのため、他プレイヤーとの戦闘というのは必ずしも不可欠な要素ではないのだ。
国民性もあるのかもしれないが、すでに行われたオープンベータテストなどでも、日本人プレイヤーはプレイヤーキルに走りづらい傾向があったという話もある。
既存の「タルコフライク」なタイトルの多くが、他プレイヤーとの奪い合いという点に強くフォーカスしているのに対し、本作は必ずしもそこを重視していない。平和な採掘人を目指してみることも、別にまったく悪い選択肢ではないはずだ。
ただいずれにしろ、自衛できるだけの戦力は必要だろう。自分の「メイガス」を大事に思うのならなおさらだ。
ゲームのコアになる戦闘要素はどこまでもストイックでハード。ソロモードなのにこんなに難しいんですか
自分好みのAIヒューマノイドをオーダーし、何度も一緒に探索・戦闘に出ることで自身の行動・思考を学習させ、やがて最強に最高な自分だけのAIに育てていく……。
そういう令和の光源氏計画みたいな部分が本作のソフトな要素だとすれば、ワンミスですべてをロストするかもしれないという極度の緊張状態の中、動く鉄の塊とどデカかい銃を頼りに奪ったり奪われたりのヒリつきを楽しむのが、本作のハードな要素だ。
というか繰り返すようだが、本作は……というより『タルコフ』ライクというジャンル自体が、ゲームとしてはかなりシビアなものなのだ。
軍服姿であごひげだらけのムサいおじさんの代わりに、ゴツくてカッチョいいメカを操作しているとついつい忘れそうになるのだが、本作は「シューター」であり、「ロボットアクション」ではない。そこには天と地ほどの開きがある。いやこれはマジで。
筆者がそのことを嫌というほど理解させられたのが、本作において唯一完全なソロモードにあたる「旧アメイジア調査」だ。
これはゲーム内におけるストーリーモードに近いものだが、厳密には何か新しいストーリーが展開されるわけではなく、作中世界における過去の出来事、巨大な地下国家だった「アメイジア」がなぜ一夜にして滅んだのか?という謎に迫っていくモードだ。
もともと本作『Echo of Ada』は、バンダイナムコ系列の複数の企業などが共同して立ち上げている大型のSFプロジェクト「SYNDUALITY」の一部で、「人とAIのすれ違い」というものを大きなテーマとしている。
同プロジェクトからはゲームだけでなく、複数のメディアで独自の物語が展開されており、2023年からはゲーム版から少しあとの時代を描いたアニメ版『SYNDUALITY Noir』も放送されている。
「旧アメイジア調査」は、そうした大きな「SYNDUALITY」世界を知ることのできるコンテンツで、アニメ版にも登場した「メイガス」エイダ(Ada)と、その相棒であったアルバ・クゼというふたりの過去に触れることができる。
操作などは基本的にすべて「オンラインレイド」と共通だが、ステージクリア型のモードになっており、使用する機体や入手可能なアイテムはすべて固定。ステージ内に散らばった「ログ」を回収することで、物語の謎に迫っていくことができる。
また、ステージ内で入手できたアイテムなどは、一切持ち帰ることもできない。つまり、このモードをプレイしてもゲーム的には一切の報酬がないのだ。ただしこのモードはゲームの練習として、ものすごくちょうどいい。なぜなら相当に難しいからだ。
本作はデカい銃を持ったロボットがドンパチするゲームではあるのだが「つまりはナントカVSみたいなゲームやろ」と思ってプレイすると痛い目に合う。ロボットが出てくるゲームではあるけど、別にこれはロボットゲームじゃないのだ。
本作に登場する「クレイドルコフィン」は、ジャンルでいえばリアルロボット系のメカメカしいデザインのもの。動きにも相当の重量感があり、言ってしまうと機敏なものではない。
操作していても一歩進むごとにガシャン、ガシャンという重量感ある音が響いたり、移動にローラーダッシュを使っていたり。しみついた炎の匂いにむせる感じのリアルロボット系が好きな人なら、ワクワクが止まらないようなどっしり感満載の機体だ。名前もコフィン(棺桶)だし。
なので「敵の攻撃を華麗に回避し、銃弾の雨を浴びせつつ接近。着地の隙を見て近接格闘を叩き込む!」みたいな思考では、夏の夜の羽虫が如く銃弾という灯火に飛び込むようなものである。
本作の戦闘はあくまでシューターの系譜にある。遮蔽物や地形によって敵の射線を切りつつ攻撃、遮蔽から晒していいのは半身だけ、敵が地形にこもって動かなければグレネードでいぶりだす……こうしたどこまでも地味で堅実な戦い方が必要なのだ。
それを徹底的に教えてくれるのが、この「旧アメイジア調査」というモードだ。通常の「オンラインレイド」モードにある程度慣れてきたタイミングで開放されることもあって、中盤のチュートリアルともいうべき内容になっている。
出現する敵も棒立ちで射撃してくれるような親切な相手はおらず、こちらの射撃をステップで回避して遮蔽に逃げ込んだり、こちらの弾幕が薄ければ味方と一緒に詰めてきたりと「ほんとにこれ人間入ってないよな……?」と疑いたくなるくらい強い。
率直に言って普通に難しく、筆者は1ステージクリアするのに何度も土の味を教え込まれながら、1時間半くらいかかりました。こんなもんプレイさせられてりゃあ上手くもなるわなあ!(怒)という感じ。
さすがに自分が下手すぎて泣きそうだったけど、たぶん普段あまりシューターをやらないプレイヤーならそれくらいかかるのではないだろうか。というかみんなそれくらいかかって欲しい(臆病な自尊心)。
このモード中は、通常ゲームではまだお目にかかっていないクレイドルや武器を操作することもできるので、操作練習かつ自身のプレイの幅を広げる役にも立ってくれる。
ゲームとしての報酬が一切なく、あくまで物語を読めるだけ。それもプレイヤー自身の物語ではなく、この世界の過去の出来事に焦点を当てたことで、世界観全体への理解を深めていくコンテンツになっているというところは、個人的には非常に好印象だった。
このゲームにおいてプレイヤー自身の物語はゲーム側から与えられるものではない、という作り手側の気概を感じた部分だ。本作において、プレイヤーの物語というものは、各プレイヤーとその「メイガス」の歩み、それ自体によって紡がれていくものだからだ。
筆者からの本作『SYNDUALITY Echo of Ada』についてのレポートは以上となる。語り残してしまったことも多く心残りではあるのだが、まあ多少はね?
ただ総じて、世界観をかなりよく練り込んだ作品である、ということについては、改めて言及しておきたい。
ほとんどの人間が死に絶えた、ポスト・アポカリプス世界。人類の黄昏ともいうべき時代を、ヒトとAIが手を取り合って生きていく。こうしたイメージに心魅かれるところがあるという人は、ぜひ本作を手に取ってみて欲しいと思う。
もちろん、お脳がバリバリホットになってしまう、緊張感のヒリつきがたまらない対人シューターを遊びたい、という方も歓迎だ。本作はこれまでに複数回の体験試遊が提供されており、弊誌でも過去に何度かそのレポートを取り上げている。
そちらでは動くモノはとりあえず全部撃っちゃうネアンデルタール人みたいなライターが記事を執筆しているので、「このゲーム、シューターとしてはどうなん?」みたいなところがもっと気になるという人は、あわせて読んでいただければ本作への理解も深まるだろう。