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革命ビーム、思想衛星、増税戦車“インボイス・ブラスター”(!?)。赤い思想が天に輝く革命的タワーディフェンス『絶対ロケット防衛主義』の世界観が面白すぎた反革命分子を前線に送り、邪悪な資本主義者の陰謀を打ち砕こう【東京ゲームダンジョン7】

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邪悪な資本主義者を粉砕するゲーム、たぶん全人類が好きなものの一つだと思っているんですが、いかがでしょうか?

別にそんなことない? そんなことを思ったあなたは、誤った教育による退廃思想に毒されています。

でも大丈夫、かわいそうなあなたも愛情のたっぷりの革命的再教育によって、すぐに模範的兵士に生まれ変わりますからね。

『絶対ロケット防衛主義』東京ゲームダンジョン7 試遊レポート。「限界共産主義独裁国家レベル99」な世界観が面白すぎた_001
(画像はSteam:絶対ロケット防衛主義より)

冒頭でびっくりした人のために申し添えておくと、こちらは全然、まったく、これっぽっちも思想の強いゲームとかではないんです。

ホラ見てここ、当局から模範的電子遊戯認可の印も押されてるでしょ!

というわけで今回は2月15日・16日に開催された「東京ゲームダンジョン7」でプレイした、はちのす氏制作による『絶対ロケット防衛主義』のレポートをお届けする。

本作は、なんか全体的にカラーリングが赤い感じの全体主義国家の一将校として、発射準備中のロケットを邪悪な資本主義者たちの魔手から守り抜くという非常に革命的なタワーディフェンスゲームだ。

実は昨年のTGSごろからすでに試遊作が出ていたのだが、筆者がプレイできたのはこれが初めて。ポップでレッドなアートワーク通りのプレイ感というか、画面を見るだけでもすでに楽しくなるタイプのゲームだった。

というかフレーバー・雰囲気が好みすぎて、この原稿もずっとゲラゲラ笑いながら書いてます。音楽もイイ感じなので、興味があれば公式のトレーラーなんかもぜひチェックしてみることをおすすめする。

ライター/恵那
編集/りつこ


偉大なる祖国の思想を全宇宙に発信せよ!アカく輝く一等星の革命的タワーディフェンス

改めて、本作は独裁国家「ヴァルナキア」のいち将校として、建設中のロケットを資本主義者たちから守り抜くというタワーディフェンスジャンルのゲームだ。兵士やトーチカなどを配置して戦力を高め、数ウェーブに渡って押し寄せる敵の攻勢を凌ぐことができればクリアとなる。

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▲レトロフューチャーなオートマトン・エリューシャがサポートしてくれるので、初心者でも安心

設定だけ聞くとなんだか『オネアミスの翼』みたいな感じのゲームだが、打ち上げるのは有人宇宙船ではなく、「思想衛星」。誤った方向に進む人民の思想を宇宙から矯正するための超テクノロジーで、無論これが革命的な偉業であることは疑う余地がない事実である。

「東京ゲームダンジョン7」で遊ぶことができた体験版は、7日間を凌ぐことができればクリアとなる15分ほどのステージ。ゲーム自体はかなりシンプルで、基本は防衛施設の設置→敵の進撃を迎撃→防衛施設の設置……の繰り返しだ。

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ノコノコやってくる資本主義者たちは、倒すと「資本トークン」をドロップする。これを配給係に渡すことで、新たな兵士や建造物などの配給品を購入……ではなく“交換”することができる。ウェーブごとに敵の進軍方向はあらかじめ教えてもらえるので、それにあわせてうまく迎撃できるように建物を配置していけばいい。

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タワーディフェンスとしてはコンパクトで分かりやすいシステムなのでお手軽に楽しめる。そういったカジュアルさと共に限界共産主義独裁国家レベル99くらいの世界観や、ブラックジョーク的なフレーバーを楽める点が本作の大きな魅力だ。

BGMやアートワークがかなりポップなこともあって、ゲームが動いているのを見たりテキストを読んだりするだけでワクワクできる。増税戦車“インボイス・ブラスター”が登場した時にはさすがに声出して笑っちゃった。

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▲今回体験版のラスボスとして登場。名前が邪悪すぎる……!

設置できる施設や兵士も「トーチカ」「射撃兵」といったごく普通のものから、ほかユニットの移動速度をアップさせる「ウォッカ補充兵」、周囲の兵士が「革命ビーム」を発射できるようになる「教育ラジオ局」など、名前だけでは何が起きるのかサッパリわからない愉快なものがたくさんある。

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配給品に欲しいモノが並んでいないときは、賄賂で解決するのが限界独裁国家流。
担当官のイヴァンスカさん、笑い方も好きだし「財布が重かったら戦いで満足に動けねぇだろ?」「こんな薄っぺらい紙切れが国境の長い壁を超える力を持っているんだ」とか、銭カス的誠実さを感じる発言がめっちゃ好き。

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▲イヴァンスカさん、めちゃくちゃカスのお姉さんで好き

さらに「秘密警察」を建てられるようになると、すてきなオートマトン「愛情クン」が仲間に加わり、裏切り者の反革命分子を再利用できるように。囚人部隊として前線送りにしたり人間の盾にしたりすることもできるらしい。世の中に無駄な反革命分子は一人もいないからね。

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▲敗北主義に染まった反革命分子も、愛情込めて教育することで立派な愛国的肉壁に生まれ変わる

終盤のウェーブになると敵も戦車を投入してきたり、落下傘部隊を使って防備施設をすり抜けてきたりと敵のバリエーションも豊富に。一方こっちもミサイルや革命ビームでばんばか敵を攻撃できるようになるので、盤面がたいへんカラフルになって楽しい。

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ただユニットが増えても動かせるのはプレイヤーユニットのみ(他の兵士はプレイヤーに追従)なので、操作が難しくなることはない。体験版のステージでは敵の進軍が2方向からのみだったので設備も配置しやすかったが、正式版ではバリエーションも増えそうだ。

『絶対ロケット防衛主義』は2025年にSteamリリース予定。現在ストアページも公開されているので、興味があればあわせてご確認いただきたい。

ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。
編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ライター/編集をしています。

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